【書評】『口呼吸は治る!』(梅田龍弘)

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 お薦めの本の紹介です。
 梅田龍弘先生の『口呼吸は治る!──「歯みがき」でよくなる! 画期的改善法』です。

 梅田龍弘(うめだ・たつひろ)先生は、歯科医師です。

「口呼吸」をするのは人間だけ


 梅田先生は、哺乳類の中で口呼吸(こうこきゅう)をするのは人間だけで、最大の欠点だと指摘します。

 人間も1歳までは鼻呼吸のみで、母乳を吸う時の赤ちゃんは全て鼻呼吸のみで行っています。だから乳首を咥えたまま吸えるのです。
 この時に舌と上顎(うわあご、じょうがく=口蓋(こうがい)〈口腔上壁〉)に乳首を挟み込みながら、口の周りの筋肉を使って母乳を絞りだすのです。結果として母親の乳首が長く伸びてしまいますが、こうして無意識のうちに口の周り、舌の筋肉を鍛えているのです。
 これがその後の人生において最も大事なことです。
 もし赤ちゃんが風邪をひいて鼻づまりを起こそうものなら、お母さんが直接吸ったりしないと呼吸はできません。口呼吸ができないからです。
 片言の言葉を話し始めると、徐々に口呼吸を覚えていきます。
(中略)
 大人より子供はさらに多く、8割が口呼吸です。私の住んでいる地域ではもっと多いです(言い換えると鼻呼吸できている子供がほとんどいないということです)。
 診療の際、鼻づまりでブギブギと音を出している子の御父兄に問診すると、夜寝ている時に口が開いている、風邪をひきやすい、気管支炎、ぜんそく、いびきをかく、歯ぎしりをする、鼻炎が薬を飲んでも治らない、アトピーがある、歯が着色する、虫歯になりやすい、などの症状があるのですが、それが「口が開いている(口呼吸)こと」が原因だとは、思っていないのです。
 それらの症状が出るとその都度お医者さんに診てもらって、注射や投薬などを受けている(対症療法)のですが、原因が除去されていないため、免疫力がちょっと下がればまた同じ症状が何度も再発します。鼻炎(鼻づまり)が治りにくいのはこのためです。慢性鼻炎とか、アレルギー性鼻炎とか、患者さんが納得できる病名がつけられて、治らないと諦めてしまっているのです。

 『口呼吸は治る!』 第1章 より 梅田龍弘:著 自由国民社:刊

 子どもの8割が口呼吸というデータには驚きです。
 アトピー、アレルギー性鼻炎、気管支炎、ぜんそく、それにいびきや歯ぎしりまで。
 それらすべてが、口呼吸が原因と考えられるのですね。

 本書は、口呼吸が健康にもたらす悪影響を解説し、「除菌歯みがき法」を中心に、口呼吸を治す方法についてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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鼻呼吸をするメリットとは?


 鼻呼吸(びこきゅう)には、以下の6つの素晴らしい機能があります。

  1. 空気清浄器の機能
  2. 吸った空気を加温、加湿する機能
  3. 除湿呼気(吐く息)を冷却、除湿する機能(ラジエーターの役目)
  4. ウイルスや細菌の毒性や発病力を弱める機能(不活化)
  5. 気道抵抗の機能
  6. 「鼻サイクル」の機能(ネイザルサイクル)
 鼻呼吸が口呼吸と比べて病気になりにくい。
 その大きな理由の一つは、鼻に備わった「鼻水線毛輸送機能」にあります。

「鼻水線毛輸送機能」なんて初めて聞く方も多いと思います。一体何でしょう?
 鼻腔の呼吸上皮にびっしり生えた線毛(せんもう)が吸い込んだ空気中の細菌やウイルス、ごみアレルゲンなどは鼻水に吸着させられ、線毛運動(1時間に7mm、下図1を参照)で前に運ばれていくものは鼻水として出てきます。一方、鼻甲介があるところから後ろ側は、喉に向かって線毛運動でベルトコンベアーのように奥へ奥へと流されていくのです。これを後鼻漏(こうびろう)といいます。つまり痰(たん)として体外へ出したり、胃の中へ運んで胃液で殺したりすることで身体を守っているのです。

 鼻水は、健康な人でも1日に2〜6Lが作られ、その約3割(0.6〜2L)は鼻の後方から喉に流れ落ち、本人が知らない内に無意識に飲み込んでいます。この後鼻漏があること自体は病気ではありません。その量が問題となります。
 鼻水によって、どのくらいのゴミアレルゲンなどが除去されるのでしょうか。
 たとえば15μm(マイクロメーター。1mm=1000μm)の大きさなら、完全除去されます。これが5μmの大きさになりますと、半分は除去されますが、残りは肺に入ってしまいます。花粉症の花粉の大きさは30〜40μmですから、花粉は鼻で完全に除去されるわけです。ちなみに髪の毛の太さは700μm、黄砂は4μm、PM2.5は2.5μm、DEP(ディゼルエンジンの排気に含まれる微粒子成分)は0.5μm程度です。
 口呼吸では、鼻で行われるような除去はまったくなく、これらのすべてがダイレクトに肺に入ってしまいます。

 『口呼吸は治る!』 第2章 より 梅田龍弘:著 自由国民社:刊

線毛運動 第2章P66
図1.線毛運動 (『口呼吸は治る!』 第2章より抜粋)

鼻の中の側面図 第2章P63
図2.鼻の通り道 (『口呼吸は治る!』 第2章より抜粋)

 鼻には、空気中から入る体に入れていけないものをブロックする関所の役目があるのですね。
 口呼吸をするということは、それらが素通りして侵入してしまうということ。
 さまざまな病気にかかりやすくなるのは、当然といえます。

歯垢(細菌)が口呼吸の原因である理由


 口呼吸になる最大の原因は、口の中の歯垢(細菌)です。
 梅田先生の考える「歯垢(細菌)が原因で口呼吸になるしくみ」は、以下の通りです。

  1. 歯垢(細菌)が、唾液を介して、
  2. 近くにある、人間の身体の中で唯一、剥き出しになったリンパ腺がある扁桃(とくに咽頭扁桃〈アデノイド〉周辺)に感染し、
  3. 炎症を起こし、鼻腔へと炎症が波及し、鼻詰まりが起こり、
  4. 鼻呼吸ができなくなって口呼吸となり、
  5. 免疫力が低下し、全部の病気の70%の原因となる
 つまり、扁桃こそが健康への要(かなめ)となる最重要ポイントです。

 扁桃(へんとう)とは、咽頭(いんとう)の粘膜内に発達した「リンパ組織」の集合体のことです。
 ①口蓋扁桃(こうがいへんとう)
 ②咽頭扁桃(いんとうへんとう)
 ③耳管扁桃(じかんへんとう)
 ④舌扁桃(ぜつへんとう)
 ⑤咽頭側索(いんとうそくさく)および咽頭後壁(いんとうこうへき)のリンパ小節(しょうせつ)

 が咽頭部を輪状にとり囲んで、「ワルダイエル扁桃輪」(名前の由来は発見者であるドイツ人解剖学者ハインリッヒ・ウィルヘルム・ワルダイエルから)という部位を形成しています。
 扁桃の表面にはたくさんの凹凸(おうとつ)があって、凹(へこ)みは扁桃の内部に深く入り込んでいます(この凹みを陰嵩〈crypt〉といいます)。扁桃の凸凹の表面積を全部あわせると、なんと畳(たたみ)12畳分ぐらい(ちなみに、歯周ポケットを全部合わせても手のひらぐらいの面積にしかなりません。いかに広いか!)もあります。
 つまり扁桃は、鼻と口から体内に侵入してくる異物や細菌やウイルスを捕らえやすくできていると同時に、身体の中でもっとも感染を受けやすい場所にもなっているのです。ここがポイントです。
 風邪のひきはじめ、熱っぽいとき、ここが腫れたように感じる人も多いと思います。病気の70%はここから起こるといわれているのです。

 『口呼吸は治る!』 第3章 より 梅田龍弘:著 自由国民社:刊

口の中を正面から見たときの扁桃の位置 第3章P87

鼻と扁桃の側面図 第3章P89
図3.正面(上)と断面(下)から見た扁桃の位置 (『口呼吸は治る!』 第3章より抜粋)

 よく、風邪をひいて高熱を出したときに腫れる扁桃腺。
 口呼吸の人は、この扁桃腺がつねに腫れた状態にあります。
 それが慢性の鼻炎や鼻詰まりの原因となり、いびきにもつながるということです。

「除菌歯みがき法」の手順


 口呼吸の原因となる歯垢を除去する方法は、やはり「歯みがき」です。
 歯ブラシで普通にみがくだけでは、歯垢(細菌)はせいぜい、20〜30%取れているかどうかです。

 歯垢を徹底的に除去する方法が、梅田先生の考案した「除菌歯みがき法」です。
 除菌歯みがきは1日2回行います。

  1. 夜寝る前(時間をかけて)
  2. 朝起きてすぐ(歯ブラシだけで簡単に)
 具体的なやり方は以下の通りです。

 除菌歯みがきは、これまであなたが普通にしてきた歯みがきよりも、ずっと長い時間がかかります。ですから夜、座ってやりましょう。寝る前に洗面台の前に立ってやったりしないでください。冬場など、冷えて長くできません。
 慣れれば、テレビを見ながら、お風呂で湯船につかりながら、など「ながらみがき」をして、時間を有効に使いましょう。

①歯ブラシ 15分
 まず、歯ブラシに歯磨剤を少量付けて、歯全体を、100gのブラッシング圧でみがきます。
 だいたいの目安で言うと、歯2本分の幅で「こちょこちょ」と動かします。すみずみまで毛先が入るのが感じられると思います。ただしこの段階では、歯と歯の間の歯垢は取れません。
 ブラッシング圧は基本100g、強めにしても200gという弱い力(最初は頼りないと思われる程の力)です。Bタイプの方(歯ぐきが下がり歯がしみる、知覚過敏の方)はさらに弱く、ブラッシング圧50gで行ってください。
 とにかく力を抜いて、小さく「こちょこちょ」とみがきます。
 歯の裏側も忘れずにみがいてください。
 最初は慣れていませんから焦らずに、時間をかけて。最低15分はかかります。
 ワンタフトブラシも併用すれば効率的です。

②デンタルフロス 5分
 次にデンタルフロスを入れます。慣れるまでは5分以上かかります。

③歯間ブラシ 5分
 歯間ブラシを入れます。40歳以下の方は無理に入れないでください(40歳以下でも歯周病が進行していて、歯と歯の間が大きく開いている方は入れてください)。

④歯垢染色液 5分〜
 ここで歯垢染色液を使って確認してみます(裏側など見にくいところはデンタルミラーで)。これだけみがいても、かなり赤い色が残っていることに驚くはずです。それは歯垢が強固なバイオフィルム(ネバネバの細菌の塊)を形成しているからです。
 そこで主に歯ブラシ、ワンタフトブラシを使って残った歯垢を落としていきます。

 これで完了です。

 以上のことを
 3日間繰り返します。


 最初はここに挙げたよりもっと時間がかかりますが、3日目になると、染まった赤い色が取れやすくなっていることに気づかれることでしょう(さらにお奨めの洗口液を使えば、より効果が増します)。
 しっかり行えば、日に日に口の中の爽快感(今までのネバネバ感が無くなる)、歯ぐきがしまっていくのを実感していただけます。
 今までの歯みがきと違い、お口の中が除菌されているので、朝目覚めた時、今までのあなたとは違うはずです。

 『口呼吸は治る!』 第4章 より 梅田龍弘:著 自由国民社:刊

 4日目以降も同じことを繰り返します。
 ただ、歯垢(細菌)のバイオフィルム(ネバネバした細菌の塊)が破壊され、さらっとしてみがきやすくなるので、合計時間は短縮されていきます。

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 歯みがきで免疫力を上げ、薬知らずの健康体になる。
 それを国をあげて実践しているのが、北欧の国、スウェーデンです。
 スウェーデンでは、歯科の予防に力を入れ、虫歯、歯周病が減り、結果として国民の総医療費が激減したとのこと。

 歯垢(細菌)と口呼吸。
 まったくつながりがないようで、実は大きな関わりがある。
 本書を読むと、それがよくわかります。

 歯みがきで口呼吸を治す。
 これまでの常識をくつがえした「除菌歯みがき法」、ぜひ皆さんもお試し下さい。


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