【書評】『誰でもリーダーになれる3つの約束』(和田裕美)

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 お薦めの本の紹介です。
 和田裕美さんの『誰でもリーダーになれる3つの約束』です。

 和田裕美(わだ・ひろみ)さん(@wadahiromi )は、作家、営業コンサルタントです。
 現在、コミュニケーションやモチベーションアップのためのセミナーや講演等を中心に、国内外で活躍されています。

リーダーシップの3つの柱


 和田さんは、かつて外資系の英語教材販売会社に在籍していたとき、世界142カ国の営業マンの中で第2位となるなどの実績を残し、25歳という若さでリーダーに抜擢されます。

 もともと目立たず、おとなしく、誰かの後ろについていくようなタイプでしたが、たくさんの苦労を重ねて試行錯誤を繰り返すうちに組織もだんだんと大きくなっていき、最後は100人を育成するマネージャーにまで成長します。

 和田さんがご自身の経験から言いたいことはひとつ。
 それは、『リーダーになろうとする人にもともと資質なんて必要ないということ』です。

 和田さんご自身も、そもそもリーダーとか上司とかになりたいと思ったことはなく、「いつのまにかそうなっていた」とのこと。

 和田さんは、リーダーに向いていたから部下を持つ立場になったのではなく、リーダーになったから、リーダーになれたと述べています。

 人を育てる「コツ」を見出し、一生変わらない普遍的なルール。
 和田さんは、自身の経験から、それを以下の『リーダーシップの3つの柱』にまとめました。

『自分と約束する』
 よい人材を育てるということは、まずは教育する側が変わるべきです。その本人が信用されていないとどんなによい人材でも結局は枯れてしまうし、誰も育ちません。
 だから真のリーダーになれるように、自分が変わること。まずは自分自身との約束が必要になります。

『部下と約束する』
 部下が10人いれば10人それぞれの長所や欠点があります。
 それぞれの人に向かい合いながら、きっと成長できると私も相手も心から信じることが必要です。それには、私だけでなく本人の協力も必要です。
 だから、一緒に変わるために部下との約束が必要になります。

『環境整備をする』
 組織はたくさんの人の集合体です。
 それはまさに、様々な感情がぐるぐると渦巻く環境です。
 マイナスの感情が流れればあっという間に組織全体に影響してしまいます。
 さらに「上司→部下」だけでなく、同僚同士が尊重し合う環境を作ることも大事です。
 だから、インフラを整えること。環境整備が必要になるのです。

 『誰でもリーダーになれる3つの約束』 プロローグ より  和田裕美:著  幻冬舎:刊

 本書は、和田さん流『リーダーシップの3つの柱』を具体的な項目として挙げ、自らの体験を交えて解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

矢面に立って盾となる 


 和田さんがまだ新米マネージャーの頃。
 彼女の組織全員で勝ち取ったご褒美を、先輩マネージャーに、半分命令口調で「自分に譲るように」と」迫られます。

 それまでの和田さんだったら、「はい、わかりました」とすんなり受けていたでしょう。
 しかし、部下の努力と喜んだ姿を思い出した和田さんは、その人との関係が悪くなることを覚悟で「絶対に嫌です!」と断ります。

 直後は、悔しさと怖さで涙が出てきたそうですが、だんだんに清々しい気持ちになり、自信のようなものも芽生えてきたと述べています。

 強引に諭されると、いつも争いを避けて「YES」と言ってしまっていた私にとっては、「NO」と言えたことは大変な進歩で、自分が強くなった気がしたのです。
 そうかリーダーって、みんなの代表なんだよな。
 自分の立場とか自分の状況とか関係ない。
 みんなの気持ち、みんなの結果、みんなの意見、それをちゃんと代表として、どんなに怖くても、どんなに言いにくくてもちゃんと伝えることが、私の仕事なんだな。決定権や權力を持って自由に行使できるのはなく、みんなの立場を守るために、みんなが幸せになるために働くのが私の仕事なんだ。
 こう気が付いた私は、自分の行動に自身を持ったのでした。
 その後、確かに私はマネージャー間では「生意気」というレッテルを貼られ、孤立しましたが、そのことがさらに私を強くしてくれたし、何も言われないように結果を残すようにしたし、何よりも自分の部下との関係もさらによくなったので、私はまったく後悔しませんでした。

 『誰でもリーダーになれる3つの約束』 第1章 より  和田裕美:著  幻冬舎:刊

 リーダーは、その組織の代表という立場です。
 個人的な感情をぐっとこらえて、みんなの代表としての意見を述べる場面が必ず出てきます。

 孤立や中傷を恐れずに、リーダーとしての立場を貫き通すことができるか。
 それが部下との強い信頼関係を築く重要なカギになります。

 その姿勢を貫き通そうとする努力が、リーダーの自覚を強め、成長につながります。

「好きな窓」から相手を見る


 上司も人間、部下も人間です。組織の中に嫌いな人や苦手なタイプの人がいることもあります。
 そのような人に対するとき、和田さんは、「好きな窓」から見るようします。

「好きな窓=その人の長所」です。

 例えば、「仕事が遅い人」ではなく、「仕事が遅いけれど、そのぶん細かい仕事もコツコツできる人」といいところにフォーカスするのです。また、「仕事が遅い」という概念を、「仕事が丁寧」という見方に変えると欠点も長所のようになるのです。
 どこが嫌いかに意識を向けず、どこが好きかに意識を向ければ、相手への態度も変わり、だからこそ、相手の態度も変わり、もっといいところが見えてきたりします。
 100%完ぺきな人が世の中にいないように、100%悪いところばかりの人も私はいないと思っています。
 きっと人には必ずいいところがあるはずです。
 だから、素直じゃないし、仕事量は少ないし、理解度は低く、仕事が遅いというような、上司にとっては頭を抱えたくなる最悪な部下がいたとしたら、その人の100%のうち悪い部分70%ではなく、残りの30%にフォーカスして「ああ、お礼はきちんとしているな」とか、「仕事は丁寧だな」とか、ちょっとでも褒めてあげられるような部分を探していくのです。それが「好きな窓」から見るということです。

 『誰でもリーダーになれる3つの約束』 第2章 より  和田裕美:著  幻冬舎:刊

「陽転思考」の和田さんらしい考え方ですね。
 お客に対してだけでなく、部下に対しても、できる限り相手の良さを見つけようという姿勢で臨んでいます。
 そのような姿勢が、相手への理解を深めることにもつながります。

評価基準を設定する


「成果主義は日本に合わない」という専門家も多いです。
 しかし和田さんは、自らの経験から「成果主義も評価基準もあったほうがフェアだ」と考えています。

 フェアな環境だからこそ、能力のある人が伸びる。フェアな環境が厳しいと思うのは、冷たい言い方になるけれど、本人の努力が足りないということを意味するのです。

 また、評価基準はあったほうがマネジメントしやすくなります。
 「どのようにがんばったら、具体的に何をやったらもっと評価してもらえるのか?」
 「何をしたらプロモーション(昇進)できるのか?」
(中略)
 もしこれが明確だったら?
 リーダーは「とにかくがんばりなさい」なんていう曖昧な指示を出さずとも「今月はここを目指しましょう」とより具体的な指示や誘導ができ、相手にもそれが明確に届きます。
 基準を作ってしまうと、もうそこには、上司に好かれるとか、根回しが上手いとか、そういうどろどろしたことが一切なくなります。
 リーダーに反抗的であっても、その基準を達成したら、それはやっぱり評価なのです。
 だからこそ「チャンスは平等」の世界を作れるのです。
 営業でなくても、「本をたくさん読んで下さい」よりも、「本を1ヶ月に3冊読んで感想を書いてきた人には読書賞を差し上げます」と言うほうが、どれぐらいの期間で、どれくらいの量が評価の基準になるか明確です。だから本人も目標設定が立てやすいのです。

 『誰でもリーダーになれる3つの約束』 第3章 より  和田裕美:著  幻冬舎:刊

 信頼されるリーダーであることの条件のひとつに、「公平であること」が挙げられます。
 部下に対して、しっかりした評価基準や昇格基準を示してあげることは大事なことです。

 そして、それ以上に大事なのは、一度決めた以上は、全員に厳格にその基準を適応させることです
 もちろん、リーダーの個人的な感情や意志が入ることはあってはいけません。

 自分に反抗的な人でも、結果を残したのなら、それ相応に報いる必要があります。
 その公平さを保つことが、リーダーの「働く環境整備」の役割です。

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 和田さんは最後に、リーダーにとって一番大切なのは「愛情」だとおっしゃっています。
 愛情が、本書で述べている「3つの柱」が立つ土台になるので、何よりも強く、頑丈でなければいけないと強調されています。

 本書で述べられていることは、リーダーの心構えとして基本的なことです。
 しかし、その基本的なことをやり切るためには、相当の強い意志と精神力が必要です。

 和田さんは、人を愛せない人に人を育てることはできません。人を愛せない人は人を愛せない人は人から愛されることはありません。人を愛せない人は人を許しません。人を愛せない人は人を認めませんとおっしゃっています。

 この言葉はリーダーという立場で、苦しみながらも成長し、その中に喜びを見出してきた和田さんの実感のこもった言葉です。

 リーダーの役割は、突き詰めれば、どれだけ部下を愛し続けられるか、信じ続けられるか。
 和田さんのひたむきな姿勢と傷つくことを恐れない勇気を、私たちもぜひ、見習いたいですね。


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