【書評】『10倍伝わる話し方』(渡辺美紀)

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 お薦めの本の紹介です。
 渡辺美紀さんの『言いたいことは1分で! 10倍伝わる話し方』です。

 渡辺美紀(わたなべ・みき)さん(@watanabemikity)は、大学卒業後外資系食品メーカーで営業や営業企画を担当されるかたわら、劇団を立ち上げ、舞台役者としても活動されていました。
 その後、「話して伝えること」を仕事にしようと決意されて独立、現在は、テレビ番組のレポーター・ナレーター・司会業を中心にご活躍中されています。

「伝わる大きさ」 =「思いの強さ」×「話し方」


「伝えたい思いや考えがあるのに、うまく話せない」
 そんなもどかしい思いを経験したことのある方は多いでしょう。

 渡辺さんは、相手に伝わることの大きさは、「思い・考え・知識」×「話し方」のかけ算だと述べています。

 10の熱い思いをもっていても、話し方が1だったら、10×1で、10しか伝わりません。
 しかし、話し方を10にできれば、10×10で、同じ思いが、10倍の影響力をもって相手に伝わります。

 本書は、誰でもかんたんに、すぐに役立つ「話して伝える」ための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

上司や先輩には、「1分だけいいですか」と話しかける


 仕事中は、たいていみんな忙しいです。
 なので、相手に手を止めてもらう工夫が必要になります。

 そのために有効なのが、『相手に話したいことの「ダイジェスト版」を1分だけ聞いてもらう』ことです。

「1分だけ」なら、時間をもらいやすいのです。
 自分がもし「話を聞く側」だったらいかがでしょうか。自分が忙しいときに、話しかけられて、いったい何分続くか分からない話をえんえんされたら、どうでしょう。
 「この話は、いつまで続くんだろう・・・」それが気になって、肝心の内容は頭に入らなかったり、「今度からは、この人には、なるべくつかまらないようにしよう」なんて警戒してしまったり。
 でも、「1分だけいいですか」と言って、ちゃんと1分で話し終えてもらえたら、安心ですよね。もし忙しくても「1分」だったら「ちょっとだけ手をとめて話を聞こう」という気にもなります。
 「1分だけいいですか」は、相手に「話を聞いてもいいな」と安心してもらうために、必要なひとことなのです。

 1分だけでも、伝えたいことの「ダイジェスト版」を聞いてもらえた場合は、さらに「次の展開」もありえます。
 私の経験から言うと、「1分間だけいいですか」と言った場合、80%ぐらいの確率で、その先の詳しい話を聞いてもらえるし、判断をあおぐことができます。

 『10倍伝わる話し方』  第1章 より  渡辺美紀:著  幻冬舎:刊

 渡辺さんは、実際にこの「1分だけいいですか戦法」を使うようにすると、以前の4倍から5倍も、その場で話を聞いてもらえるようになったとその効果の大きさを強調します。

 聞いてもらう方だけではなく、聞く方としても勝手な判断で動いてミスされるリスクが少なくなり、結果として負荷も減るわけですから、双方にとってハッピーな方法といえます。

「会議にいてくれて助かる人」になる3つの習慣


「伝わる話し方」が最も必要とされる場の一つが、会議です。

「この人たちのおかげで、会議が長くなる、時間のムダになる」

 そんな人は、どこの組織にもいますが、その中でも、以下のような人たちは、「3大困ったちゃん」です。

  • 1回の発言が長い人
  • 反対意見しか言わない人
  • 発言しない人

「困ったちゃん」にならないために、「会議にいてくれて助かる人」はどんな人かを知っておきましょう。実際に、9割の方が「会議にいてくれると助かる人」として挙げるのは、次の3つの習慣を見につけている人です。

 「会議にいてくれて助かる人」になる3つの習慣

 ①「1−1−1の法則」で発言する
  ・「1回の発言」では「1つのこと」を「1分以内」で話す
  ・意見がたくさんあっても、「それと、それと」と、いくつも一気に言わない
 ②「反対意見と代替案は2個セット」で発言する
  ・何かに反対意見を言うときには、必ず「代替案」を言う
 ③「無言禁止」と心得る
 ・会議では、「発言しない」は、なし!と心得る
 ・結果的に発言する必要がなかったとしても、いつでも発言するつもりで参加する

 この「3つの習慣」は、私が研修の場で「会議には、こういう人がいてくれるといい」という声を聞いてきた中で、9割の方が実際に挙げているものです。そして、まだ、できている人が少ないのが現状です。つまり、現時点では、この「3つの習慣」を身につけている人は、非常に希少価値があるのです。

 『10倍伝わる話し方』  第1章 より  渡辺美紀:著  幻冬舎:刊

 まだまだ日本には、会議の場を、「意見を集約してまとめる場」ではなく、「自分の意見を言い合って白黒をつける場」だという認識を持つ人が多いです。

 まずは、自分が「会議にいてくれて助かる人」になり、一目置かれる存在になりたいですね。

相手の「最新ネタ」を収集しておいて、第一声で伝える


 最近よく、コミュニケーションで大切なことは、「聞くこと」だと言われています。
 しかし、何の工夫もなく「相手の話を聞こう」と思っても、当然、話は盛り上がりません。

 渡辺さんが見つけた「答え」は、『会う前に「相手について知っていること」を仕入れておく』ことでした。
 しかも、知りうる限りの「最新のネタ」であることがポイントだと付け加えています。

 自分の「最新ネタ」を第一声で伝えられたときの驚きと感動! それを知った私は、自分でも実行してみることにしました。特に、「初対面」の方と会うときや、「この方となんとしても仲良くなりたい」と思うときには、必ず、相手の「最新ネタ」を仕入れておくようにしました。その「ネタ」は、たいていは、ほんのちょっとしたことでいいのです。
 まず、相手の方がフェイスブックやブログを使っていないかを検索し、見られる範囲で新しい記事を読んでおきます。
 (中略)
 もちろん、ブログもフェイスブックも使っていない方もいます。その場合には、その方の勤めている会社や所属している団体のホームページの「最新情報」を見ておきます。また、最新のテレビコマーシャルなどを見ておきます。

 『10倍伝わる話し方』  第2章 より  渡辺美紀:著  幻冬舎:刊

「相手の話を聞かせてもらう」ためには、「相手が喜んで話してくれる」必要があります。
 そのためにも相手の「最新ネタ」を仕入れて、コミュニケーションのきっかけにすることは効果的です。

 このたった数分の行動で、その後の話が盛り上がるのなら安いものでしょう。
 是非とも、試してみたいですね。

「自己紹介」では「自己」を紹介しないこと


 プレゼンテーションや、講演、採用面接などで、

「自分の考えを相手に受け入れてもらいたい」
「自分を選んでもらいたい」

 そんなときには、まず、「この人の話しなら前向きに聞きたい」「この人となら一緒に仕事をしたい」と思ってもらうことが大切です。

 渡辺さんは、『自己紹介』の大切なポイントとして、「関心」「共通点」「貢献」の3つを挙げています。
 それぞれの頭文字をとって「3Kセット」と呼び、以下のように説明しています。

①関心:相手についてどれだけ知っているか
 相手が驚くくらい下調べし、相手について知るための具体的な行動をしておくことです。「自己紹介」の初めに、「相手についてどれだけ下調べしたか」「相手を知るためにどれだけ行動したか」が分かるように伝えます。それが、相手の予想をはるかに超えたレベルであれば、相手は「感動」してくれます。 (中略)
 
②共通点:「相手が大切にしていること」と「自分の個性」の共通点
 相手と、自分の個性の「共通点」を探します。
 「共通点」は、「相手が大切にしていること」の中から探すのがポイントです。
 選んだ「共通点」が相手にとって「大切なこと」であった場合には、「この人は、自分たちが大切にしていることをわかってくれているな」と思ってもらえます。
 (中略)
③貢献:相手に対して、自分はどう貢献したいか
 相手が関心を持っているのは、「結局、この人、私たちにとって、どんなうれしいことしてくれるの?」ということでしょう。だから、最後に「どう貢献するのか」を必ず伝えます。

 『10倍伝わる話し方』  第3章 より  渡辺美紀:著  幻冬舎:刊

 人は、「感情」が動いたときに動いてくれます。
 それは、評価者も一緒ということです。

「実績や経験で考えたら、同じレベルだけど決め手がない」

 そんなとき、最後にモノを言うのは、相手の「感情」をどれだけ動かせたか、です。

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「伝わる話し方」というのは、伝えたい相手のことをどれだけ思いやることができるか。
 本書を読むと、それに尽きるということがよく分かります。

 話すことに限りません。
 渡辺さんもおっしゃるとおり、演技でも歌でも踊りでも、「感動」を伝えるということは、相手の「感情」を「動かす」ということです。

 自分が必死に伝えようとしても、相手に伝わらないのは、独りよがりの伝え方です。

 相手目線では、自分の話し方はどう受け止められているのか。
 本書を手に、もう一度振り返ってみるのもいいですね。



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