【書評】『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』(藤田紘一郎)

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 お薦めの本の紹介です。
 藤田紘一郎先生の『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』です。

 藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)先生は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学がご専門の医師です。

おなかのなかの“小さな神さま”を目覚めさせよう!


 いつまでも健康で長生きをしていくために、いちばん効果的な方法は何か?
 この“究極の命題”に、現代医学が、とうとう終止符を打つことになるかもしれません。
 そのカギを握るのが、「腸内細菌」です。

 腸内細菌――
 そう、腸のなかに棲んでいる1000個以上の細菌たちが、わたしたちが健康に生きられるかどうか、わたしたちが長生きできるかどうかを裁定する“決定者”であることがわかってきたのです。
 いま、最新の科学研究は、このおなかのなかの“決定者”が、わたしたちの想像をはるかに超えた力を持っているという事実を次々に明らかにしています。健康や長生きだけではありません。太りやすいかどうか、老けやすいかどうか、落ち込みやすいかどうか、幸せを感じやすいかどうかといったことに対しても、この“決定者”が多大な影響を与えていることがわかってきているのです。
 つまり、腸内細菌という“決定者”をどう扱うかによって、私たちの“生”のコンディションが大きく変わってくるのです。もし、腸内細菌を軽視してぞんざいに扱っていれば、その人は病気がちになって悩み多き失意の人生を送ることになるでしょう。一方、腸内細菌のことをいつも大切に扱っていれば、その人は健康を維持しつつ、心身ともに充実した幸せな人生を送れるようになるでしょう。それくらいの差がついてもまったく不思議ではありません。この腸内細菌という“決定者”は、まるでわたしたちの人生を陰で操っているのではないかというくらい大きな影響をもたらしているのです。

 『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』 はじめに より 藤田紘一郎:著 毎日新聞出版:刊

 腸内細菌という“決定者”を味方につける。
 藤田先生は、そのためには、日々「腸にいいこと」をたくさん行って、腸内細菌をよろこばせていくのがいちばんの近道だと強調します。

 本書は、腸内細菌の驚異のパワーを目覚めさせ、よりよく生きるための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「腸内フローラ」は、健康をつくる工場だった!


 多種多様の菌がひしめき合い、織りなしている様子は、「腸内フローラ」という、広大なお花畑(フローラ)に例えられます。
 その働きは、以下に示すように、多岐にわたります。

  • 食べ物の消化・吸収と排泄物の形成
  • 免疫機能の維持
  • 有害物質の排除
  • 各種ビタミンの合成(ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンKなど)
  • ホルモンの合成
  • 幸せ物質(セロトニン、ドーパミン)の前駆体の合成
  • 腸の蠕動(ぜんどう)運動の促進
 藤田先生は、腸内フローラの工場において腸内細菌たちの行っている仕事の調子の善しあしが、わたしたちの心身の調子の善しあしに直結してくると指摘します。

 たとえば、腸内細菌の調子が悪く、ろくに仕事をしていない状態が続くと、がん、アレルギー、糖尿病、感染症などの病気にかかりやすくなります。また、太ったりシワができたりして、見た目の老化が進みやすくなります。さらに、不調は精神面にも影響し、幸せやよろこびを感じにくくなり、うつ病や認知症などにかかりやすくなることもわかっています。逆に、腸内細菌の調子がよく、先に挙げた仕事が日々きっちりとこなされていれば、さまざまな病気にかかりにくくなり、美容面でも好調をキープでき、精神的にも明るくすこやかな日々を送れるようになっていくのです。
 要するに、腸内フローラは「健康をつくっている工場」のようなもの。病気になるかならないかも、キレイでいられるかどうかも、幸せな気持ちでいられるかどうかも、腸内フローラ工場において腸内細菌という作業員たちがどれだけ調子よく仕事をするかで決まってくるわけです。
 みなさん、腸内一面に広がる“お花畑の工場”で1000兆個の腸内細菌作業員たちが毎日せっせと働いている様子をイメージしてみてください。
 腸内細菌は種類やグループごとに棲み分けられていて、仕事の役割分担がだいたい決められているようです。ある者は食べ物を分解し、ある者はウンコを固め、ある者はホルモンを合成し、ある者はセロトニンのもとをつくるといったように、工場内のいろいろなセクションで作業が行われている。1000兆の作業員ひとりひとりが自分の役割を果たし、腸内フローラという工場を動かしているのです。そして、わたしたちの心と体の健康は、彼らが工場においてどれだけ気持ちよく仕事をできるか、彼らが工場の生産性をどれだけ上げられるかにかかっているわけです。

 『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』 第1章 より 藤田紘一郎:著 毎日新聞出版:刊

 1000兆個の腸内細菌が、「腸内フローラ」という巨大な工場を動かしている。
 私たちの想像をはるかに超えることが、腸の中で起こっているのですね。

 腸内フローラの働き次第で、体だけでなく、心の健康状態も変わってくる。
 腸内細菌の存在は、単なる共生ではなく、もはや「体の一部」といえますね。

なぜ、腸内細菌が元気な人は、病気にならないのか?


 病気になりやすい人となりにくい人。
 その差を決定づけるいちばんの要因は、「免疫力の高さの違い」です。

 腸は免疫システムの「最前線基地」で、体内の免疫系細胞の約70%は腸粘膜に集中しています。

 それにしても、体を守る免疫システムが腸に集中しているのは、どうしてなのでしょう。
 その理由は、腸が「内なる外」だから。
 腸は、口から肛門までつながる1本の管のようなもの。いわば「ちくわ」と同じ中空の形状をしていて、「ちくわの穴のなか」に相当する腸の内部は、「外界」とじかに通じているわけです。
 外界と通じているということは、よからぬ者たちが侵入しやすいということ。病原菌やウイルスなどが侵入してくることもありますし、花粉やダニなどのアレルギー物質が入ってることもあります。また、食べ物と一緒に食中毒菌などの有害物が入ってきたり、消化をすることのできない異物が入ってきたりすることもあります。
 腸は人体最大の吸収器官ですから、食べ物の栄養と一緒にこうした有害菌やウイルスを吸収してしまったら一大事です。腸で吸収する前に、何とか有害物を選り分けて排除しなくてはなりません。それで、たくさんの免疫系細胞が腸粘膜に待機して、有害物質を入れないようにガードしているというわけです。
 腸管内の防御態勢は、かなりシステマティックにできています。腸粘膜のひだひだには「パイエル板」と呼ばれる独特の免疫組織があり、腸管侵入してきた病原菌や有害物質は、このパイエル板や腸管上皮間リンパ球などによって攻撃されることになります。そして、これらの免疫組織をさかんに刺激しながら、有害物を攻撃したり排除したりする力を高めているのが腸内細菌なのです。
 簡単にいえば、免疫細胞と腸内細菌とが連携して侵入者をやっつけているようなもの。たくさんの腸内細菌が腸壁を覆って侵入者が入り込むのをブロックし、孤立した侵入者を免疫細胞が取り囲んで攻撃しているような“捕り物劇”が腸内において繰り広げられていると思ってください。
なお、この“捕り物劇”では、腸内細菌の数がものをいいます。時代劇でも、「御用だ、御用だ!」と群がってくる人がたくさんいるほうが悪者を取り押さえられる確率が高まりますよね。あっちに行ってもこっちに行っても、たくさんの寄せ手がいれば、悪者は逃げ場を見つけられず、すぐに捕まってしまうことでしょう。それと同じように、腸内にたくさんの種類の腸内細菌が数多くいるほうが侵入をブロックする力が高まるのです。


 『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』 第2章 より 藤田紘一郎:著 毎日新聞出版:刊

 腸内細菌の数の多さが、そのまま免疫力の高さにつながります。
 腸内細菌は、人間の免疫機能の大部分を肩代わりしてくれています。

 普段から食事などに注意を払い、腸内細菌を元気にする。
 病気を防ぐため、つねに心がけたいですね。

「腸のリズム」にしたがって生活する


 私たちの体は、地球が自転するサイクルがもたらすリズムの影響を受けながら、一定の規則性を持って動いています。
 この規則性のことを、「サーカディアンリズム」と呼びます。

 1日の長さが24時間に対して、人間の体のサーカディアンリズムは、24時間11分。
 体のリズムを地球のリズムに合わせるためには、1日ごとにリセットする必要があります。
 そのコントロールを行っているのが、体の中に組み込まれている「体内時計」です。

 日々の体内時計のリセットのためにとくに重要なのは、以下の2つです。

  1. 朝の光を浴びること
  2. 1日3度の食事を決まった時間に摂ること
 その他にも、以下のようなものがあります。

・起床後、コップ1杯の水を飲む
 ふとんを抜け出して、排尿後、コップ1杯の水を飲みましょう。朝に飲む水には、体内の血液のコンディションを整える働きがあります。ぞれに、水が入ると、腸も目覚めやすくなります。水道水ではなく、天然のミネラルウォーターを冷蔵庫に冷やしておき、それを飲むようにするといいでしょう。
・朝は深呼吸と軽い運動を
 朝起きたら、全身に日光を浴びつつ大きく深呼吸をしてください。より体内時計のスイッチが入りやすくなります。また、軽い体操やストレッチもおすすめ。私は毎日、NHKのEテレを見ながら、「ラジオ体操」を行うのを習慣にしています。ただ、朝は血圧や自律神経の働きが不安定なので、ジョギングなどのきつめの運動は避けたほうがいいでしょう。
・朝食と昼食は4〜6時間空ける
 食事は、前に食べたものが完全に胃で消化されてから摂るのが鉄則です。前に食べたものが消化されるのには、2〜6時間かかります。朝食と昼食の間は4〜6時間空けるようにしてください。
・炭水化物を食べるなら精製されていない玄米、雑穀米などを昼食時に
 50歳を過ぎた人は炭水化物の摂取を控えるようにすべきですが、どうしても食べたいという場合は、昼食時に摂るといいでしょう。日中は活動量が多いので、ブドウ糖の燃焼率が高まります。また、昼食時にごはんを食べる場合は、できるだけ白米は避け、玄米や雑穀米などの精製されていないごはんを選ぶようにしましょう。
・間食は腸を疲れさせる
 食事と食事の間に「間食」が入ってくるのは、腸にとっては忙しい仕事中に「すぐにやらなきゃいけないめんどうな仕事」が割り込んでくるようなもの。腸を疲れさせないためにも、できるだけ控えるようにしてください。
・運動をするなら夕方がベスト
 夕方は、体の運動機能が高まる時間帯です。それに、夕方に汗をかいておくと、夜、ぐっすり眠れることにもつながります。ウオーキングやジョギングをするのもいいですし、ジムで筋トレをしたり、プールで泳いだりするのもいいでしょう。ただ、無理は禁物。運動のし過ぎはかえって体内リズムを狂わせることにつながりますし、活性酸素が大量に発生して体に有害な作用をおよぼします。運動量の目安は安静時より1.5倍ほどに心拍数が増える程度です。翌日に疲れを残すほどの激しい運動は控えるようにしてください。
・夜食は「寿命を縮める」と心得よう
 早い時間に夕食を摂っていると、寝る前くらいになっておなかがすいてくることもあります。でも、そんなときについお菓子をつまんだり、残り物を食べたりしてはいけません。就寝前はこれから腸が本格的に仕事を始めようとしている時間帯です。そんなタイミングで夜食が入ってきてドーッと仕事が増えたらどうなるでしょう。いきなりの負担増に、腸が疲弊してしまうのは間違いありません。さらに、遅い時間の食事は脂肪に変わりやすく、肥満につながります。夜食の習慣は、寿命を縮めるもとと心得たほうがいいでしょう。
・夜は強い光を浴びないようにする。
 就寝前に強い光を浴びると、入眠を誘う物質・メラトニンの分泌が妨げられてしまいます。パソコンやスマホ、タブレットなどの光も強いので、就寝前の操作はなるべく避けたいもの。人間の生体リズムにとっては、夜はちゃんと暗闇のなかにいることが必要なのです。就寝前は暗めの穏やかな照明の下で過ごし、ふとんに入ったらすべての照明を消して真っ暗にして眠ることをおすすめします。

 『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』 第3章 より 藤田紘一郎:著 毎日新聞出版:刊

 空腹を知らせる「腹時計」も、人間に内蔵されている体内時計のひとつです。
 腸からのシグナルに素直に耳を傾けることが、健康の秘訣です。
 規則正しい生活を送れるよう心がけたいですね。

「頭で考える」より「腸で考える」ほうがうまくいく!


 私たちは、何か考えるとき「頭を使う」といういい方をします。
 しかし、考える機能は「頭」だけではなく、「腸」にもあります。

 人間は、脳で考えると、不満やストレスをふくらませがちです。
 すると、どうしても考え方がネガティブな方向に向かってしまいます。

 一方、腸で考えるとどうなるのでしょう。
 腸は「考えなくてもいい“よけいなこと”」は一切考えません。
 では、何を考えているのかというと、「生きていくために必要なこと」だけを考えているのです。
 腸のいちばんの関心事は「生体の維持」です。今日もいつも通りに生き、いつも通りに心と体を維持していくために、「いま、この瞬間、何が必要なのか」「いま、この瞬間、どっちを選ぶべきなのか」といったことを考えています。そして、その判断の多くは、もともと朝に組み込まれている本能的直観に基づいています。
 例を挙げながら説明しましょう。たとえば、みなさんは初対面の人と仕事の話などをしているときに、“この人、何となく怪しいなあ”と感じたり、“どうもこの人は信じられないなあ”と感じたりすることはありませんか?
 私はこれは、腸が直観で感じ取って発信している警戒アラームだと思っています。
 実際、このアラームは当たることが多いのです。私の経験を振り返っても、“どうも怪しい”というアラームに従ったおかげで難を逃れることができたり、アラームに従わなかったために騙されて大損してしまったりしたことがあります。
 きっと、腸には「人を見る目」があるのかもしれませんね。
(中略)
 私は、もともと腸には、危険察知能力のようなものが組み込まれていると見ています。ミミズやゴカイのような腸だけで生きている生き物だって、生死を分かつような危機に立たされたとき、どっちへ行くべきかをちゃんと判断して危険を回避しているのです。ですから、わたしたちが生き続ける日々のなかでも、腸はそういう本能的直観を発揮してくれているのでしょう。
 すなわち、どっちへ行くべきか迷ったりピンチに立たされたときに、“何かこっちは危険だな”“何となくこっちのほうがよさそうだな”という情報を発信してわたしたちが危険なほうへ踏み込まないように助けてくれているというわけですね。
 大きな災害に見舞われたときなどには、時としてこういう直観が生死を分けることもあります。だからこそ、わたしたちは普段から腸の危機察知能力を磨いておく必要があるのではないでしょうか。

 『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』 第4章 より 藤田紘一郎:著 毎日新聞出版:刊

 私たちが「直感」と呼ぶものは、実は、腸からのメッセージなのかもしれません。
 藤田先生は、腸の下した決断に従っていれば、「より健康に生きられる道」を行けると述べています。

 直感は、私たちが思っている以上に、正確で信頼できるものです。
 頭で考えたことより、腸で考えたことを優先する。
 普段から習慣にしたいですね。

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 近年、「腸」の働きの重要性が、さまざまなメディアで取り上げられています。
 体の健康はもちろん、心の健康や幸せ、個人の性格や感情。
 最新の研究成果により、そんな人生の根幹の部分にも、大きな影響を及ぼしていることがわかっています。

 腸内環境を整えることは、人生を整えること。
 そう言っても過言ではありません。

 腸内細菌、腸内フローラの研究は、まだまだ始まったばかりといえます。
 今後、これまでの常識を覆すような大発見が次々と生まれてくることでしょう。
 楽しみに待ちたいですね。


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