【書評】『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(岩田松雄)

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 お薦めの本の紹介です。
 岩田松雄さんの『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』です。

 岩田松雄(いわた・まつお)さんは、企業経営者です。
 大学卒業後、国内の大手自動車メーカーに入社、生産からセールスマン、財務に至るまで幅広い業務をご経験されています。
 その後米国に留学して経営について学び、その後外資系コンサルティング会社などを経て、43歳のときに一部上場のゲーム会社の代表取締役に就任されます。
 そこで実績を残し、さらに複数の会社のCEO(最高経営責任者)を歴任、51歳の若さでコーヒーチェーン大手のスターバックスのCEOにまで上り詰められます。

「ついていきたい」と思われるリーダーとは?


 岩田さんは、ご経歴から、マスコミを賑わす他の経営者同様に、大人物の雰囲気を漂わせた強烈な個性の持ち主を想像させます。
 しかし、本人曰く、「普通のおじさん」で、私たちが想像するような、強引にものごとを押し進めていくタイプではありません。

 岩田さんは、まわりの人たちに推されるまま、気がついたらとうとう社長にまでなっていたと述べています。
 自身の体験を踏まえて、誰でも頑張ればリーダーになれるし、社長にもなれるとも強調します。

 本書は、「ついてこい」ではなく、「ついていきたい」と思われるリーダーシップを発揮するために、岩田さん自身が考えたことや実際にしてきたことをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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人を治める前に、まず自分を修めよ


 ジェームス・C・コリンズの名著『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(日経BP社:刊)のリーダーシップ論の中で、「第五水準」という考え方が出てきます。

「第五水準」のリーダーとは、カリスマ性とはまったく関係なく、謙虚な姿勢を持ち、人格的にも優れたリーダーと定義されます。

 岩田さんが目指したのも、この「第五水準」のリーダーです。

 リーダーといえば、ともすれば、人を使い、人を動かすことをイメージしてしまう人も少なくないと思います。
 しかし私は、人を動かす前に、自分を動かす必要があると思っています。
 人を治める前にまず、自分を修める必要があるのです。自分を修めることもできないのに人を治められるはずがありません。
 私自身、完璧にできてきたのか、と問われたらまったく自信がないのですが、それでも自分を修めようという意識を常に持っていました。自分を修めることが、「第五水準」のリーダーには、まず問われてくると思います。

 このときのベースとなるのが、努力は必ず実を結ぶのだ、最後には何とかなる、という強い信念だと思っています。
 そして、その信念は、必ず行動に表れる。さらに、その行動を、人は見ているのです。
 我こそがリーダーだ、などと思わなくてもいいし、示さなくてもいいのです。自分で自分を修めようと努力し、自分でコツコツ頑張って自分を高めていくと、まわりから推されてリーダーになっていくのです。
 結果的にそうなっていく。それが最も自然だし、最高の形のリーダーだと思います。
 自分にできないリーダーシップなど、発揮する必要はありません。
 まずは自分にできることをする。できることからコツコツ努力する。それを追求することこそが、「ついていきたい」と思われるリーダーになる第一歩だと私は信じています。

 『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』 第1章 より 岩田松雄:著 サンマーク出版:刊

 「人を治める前にまず、自分を修める必要がある」

 人の上に立つ人間は、そのような意識を持ち続けることが大切だということ。

 リーダーは、口だけでなく、自ら率先して行動すること。
 それが周囲の人に快く動いてもらうための条件です。

「みんなを幸せにしたい」が原動力であるべき


 岩田さんは、リーダーは決して「偉い」存在ではないのだと強調します。
 野球で、ピッチャーとサード、どちらが偉いかを考えても意味がありません。

 それと同様に、たまたま今は、私はCEOというポジションで、みなさんはお店というポジションを守っているだけ。それだけの違い。単なる役割の違いです。

 会社を離れた瞬間に、ふつうの一対一の人間に戻るべきだと思うのです。あくまでも、会社におけるポジションに過ぎない、ひとつの役割を担っているのであって、人間までが偉いわけではまったくないのです。
 ところが、そこで残念ながら、勘違いする人が出てきてしまう。上のポジションなのだから、むしろ、偉そうにしなければいけないと思っている人がいたりする。仕事を離れてもなお、上のポジションであることを求める人もいます。

 持つべきは、そうした妙なプライドではなく、リーダーとしての使命感です。
「みんなを幸せにしたい」という思い。これこそが、リーダーの最大の原動力でなければなりません。
 私自身、この使命感のみで社長を務めていたといっても過言ではありません。
 そしてこの使命感は、先にも書いたように責任感とセットになります。幸せにしなければいけないのは、リーダーの責任なのです。
 時には辛いこともある。思うようにいかないこともある。わかってもらえないことだってある。でも頑張らなきゃ、みんなはいろんな現場で頑張ってくれているんだ、と思って奮い立つ。
 リーダーとは、そういう存在でなければならないと思うのです。

 『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』 第3章 より 岩田松雄:著 サンマーク出版:刊

 社長であろうと、平社員であろうと、肩書は仕事や会社の中だけの話です。
 日本では、岩田さんが述べている通り、勘違いされている方々が多く見られますね。

「決断力」を日頃から強く意識する


 岩田さんは、リーダーが最もしてはいけないことは逃げてしまうことだと述べています。

 失敗の責任逃れや決めるべきことを先延ばしにして決断しないことは、絶対に避けなければなりません。

 その場は逃げられたとしても、それは本当に逃げたことにはならず、後に延ばしただけの話です。
 しかも、さらに大事なものを失います。

 それは「信用」です。

 大きな決断は、時に誰かを傷つけたり、困らせたりすることになります。恨みを買うこともある。しかし、それを恐れていては、決断などできないのです。
 怒られても恨みを買っても、決めなければいけないことがあるのです。リーダーは、恨みに任ずる覚悟が必要です。
(中略)
 リーダーは絶対に逃げてはいけません。それは、組織に危機的状態をもたらします。
 そして逃げないとはつまり、決断するということです。だからこそ、決断する力を磨いておかなければいけない。
 そのためには、早い時期から決断する訓練をすることです。
 報告をするときにも、ただ報告をするのではなくて、「私はこう思うのですが」という自分なりの意思決定をして報告してみる。会議に出るときには、上司の立場で聞いてみる。上司の意思決定を自分ならどうするか、考えてみる・・・・。
 決断力は、実は日常の場でも、鍛えられるのです。

 『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』 第4章 より 岩田松雄:著 サンマーク出版:刊

 責任も取らず、決断もしないリーダーは、結局、信用されなくなってしまう。
 どこかの国の政治家たちを見ても、大いに納得ですね。
 彼らを他山の石としたいところです。

伸び続ける人、伸び止まる人


 本当に優れたリーダーになるのに、絶対に欠かすことができないもの。
 それは「人間力」です。

 岩田さんは、「この人のために」「ついていきたい」と部下に思ってもらうためには優れた人格が必要だと述べています。

 もちろん、最初から優れた人格の持ち主はいません。ただ、優れた人格の持ち主になろうと努力する人はいます。そういう人たちこそ、周囲から人格者だと評価される人ではないかと私は思っています。

 自らを弱いものと理解することができれば、その弱さとしっかり向かい合って、負けないようにしよう、という覚悟を持つことができます。自分の甘さを認識し、自分をもっと強くしよう、という意識を持つことにつながります。

 言葉を換えれば、安易に自分を肯定しない、ということです。
 まだまだ自分は未完成だと認識し、未完だからこそ努力をしなければいけないと思う。そういう姿勢を持っているからこそ、常に成長が続いていきます。
 そして、人間として大きく成長しているにもかかわらず、自分は未完だと認識している。そういう姿勢を持っているからこそ、常に成長が続いていきます。
 そして、人間として大きく成長しているにもかかわらず、自分は未完だと認識している。そういうリーダーに、人はどんな印象を持つでしょうか。
 基本的に、伸び続けている人というのは、謙虚な人です。まだまだ、これからだ、という意識を強く持っている。だからこそ、成長し続けることができるのです。

 『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』 第7章 より 岩田松雄:著 サンマーク出版:刊

 そのような感覚を感覚を持てるようになるためには、「自分に対しての志、なりたい姿の要求水準を高く設定すること」、もしくは「自分は常に誰かに見られているのだ、と意識すること」が必要です。

 岩田さんは、傲慢になってしまう人は、もう現状の自分に満足してしまい、こうした感覚がないものと述べています。
 年齢を重ね、社会的地位が上がるごとに、つい、現状に満足してしまいがちです。

 いくつになっても「自分は未完だという意識」を持って、謙虚な姿勢を忘れないようにしたいですね。

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 日本の大企業でも、育成のために若手の幹部を子会社の社長として送り込むケースが増えているそうです。
 岩田さんは、自分が社長には向いていないと思っている人にこそ、チャンスがあったときに尻込みせずに社長になってもらいたいと強く願っておられます。
 そのためには、会社でも、会社の外でも、リーダーになるチャンスがあれば、手を挙げてほしいともおっしゃっています。

「ついていきたい」と思われる魅力的なリーダーに率いられた企業が増えれば増えるほど、国全体が活気づきます。

 結局、リーダーに向いている向いていないを決めるのは、自分ではなく周りの人です。

「自分はリーダーに向いていない」と決めつけずに、機会があったらやってみる。
 そこで「新たな自分」に出会えるかもしれません。

 先入観を持たずに、自然な成り行きに任せることで、道が拓けることもあります。
 何事にも前向きにチャレンジする姿勢は、忘れないようにしたいですね。


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