【書評】『いい言葉は、いい人生をつくる』(斎藤茂太)

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 お薦めの本の紹介です。
 斎藤茂太先生の『いい言葉は、いい人生をつくる』です。

 斎藤茂太(さいとう・しげた)先生は、精神科医、エッセイストです。
 明晰な頭脳と柔らかい発想で、人生を上機嫌に生きる名手であり、人間味あふれる話し方やお人柄が忍ばれる文章は、今なお多くの人を魅了しています。

人生の成功とは何か?


 心のスペシャリストでもあり、人生の達人でもある、斎藤先生が考える「人生の成功」とは、何なのでしょうか。

 私流にいえば、成功した人生かそうでないかを分けるのは、振り返ってみたとき「楽しかった」と即答できるかどうかだと思う。
 90年近く生きていれば、たいていのことはどうでもよくなる。だから楽しい人生だったといえるんじゃないですか、と反論する方もあるだろう。だが、私は、生まれてこの方、いつの年代もだいたい楽しかった。あの戦争中さえ、それなりに楽しいことを見いだしていた。
 景気はまだまだ、よくはない。どんな大会社だって、いつ倒産するかわからない。けれど、私の生きてきた時代もまた、すさまじいまでに厳しいときがしばしばあったのだ。
 そんな中でも日々、起こることを楽しんでしまえる力。それこそ、人生を成功させる原動力なのではないだろうか。そして、その力をもっていなければ、いつの時代も、生きていくのは、なかなか大変なのではないかと思っている。

 『いい言葉は、いい人生をつくる』 はじめに より  斎藤茂太:著  成美堂出版:刊

「人生は、楽しくなくては生きる意味がない」

 そのモットーを、自ら体現した斎藤先生。

 その秘訣に、一つの習慣がありました。
「いい言葉を書き記すこと」です。

 斎藤先生は、新聞や本を読んでいる時、テレビを見たり、スピーチに耳を傾けたりしている時に、気に入った言葉に出会うと手帳にメモしておき、時間のある時によく反芻(はんすう)しました。

 本書は、その中から斎藤先生自身が選りすぐった珠玉の名言を、解説付きでまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「笑顔」は人のためならず


 楽しい人生を過ごすには、やはり「笑い」は欠かせません。

 斎藤先生も、コンチクショーと思うようなときも、無理にでもニコッと笑うように心がけているうちにニコニコ顔が定着するようになり、心まで笑ってくるようになったと述べています。

表面をつくるということは、内部を改良する一種の方法である。
                        ——夏目漱石


(中略)
 笑顔は人のためならず。ニコニコ顔の効用は、相手を快くさせることばかりではない。笑顔を心がけているうちに、自分自身の心までときほぐされてくるのだ。笑いには脳の活動を高める効果があることは生理的にも実証されている。病院寄席を開き、患者さんの治療に役立てている病院もある。
 私のニコニコ顔は、精神科医として身につけた、いわばプロのニコニコ顔でもある。看護師やヘルパーなど、お客さま相手のさまざまな仕事にも笑顔のプロがいる。それを見習うのも一法だ。

 『いい言葉は、いい人生をつくる』 第2章 より  斎藤茂太:著  成美堂出版:刊

「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」

 この米国の実践心理学者の有名な説も持ち出して、笑顔の有効性を説いています。
 まず形からはいるということは、笑顔に関しても有効です。

人生に失敗がないと、人生を失敗する


 斎藤先生は、「最近の若者にはどうも覇気がない」という言葉に、精神科医の立場からも全く同感できる、と述べています。
 ごく些細なことで、精神のバランスを崩してしまう若者が多くなったと嘆いています。

どんなにベッドが温かくても、そこからでなくちゃいけない。
          ——アメリカの歌手 グレイス・スリィック


(中略)
 最近の若い人には、思うようにいかないことに耐える力、専門的にいえばフラストレーション・トレランス(寛容さ)の急激な低下が見られる。原因は、過程で我慢することを教えなくなったからだと、私はにらんでいる。
 われわれの時代、子どもとは、ひたすら我慢を強いられる存在だった。何かがほしいといえば、正月になったらとか、成績がよかったらなどといわれ、その日まで欲望を抑えて待つことを教えられた。
(中略)
 昔は貧乏でモノが不足していたからだろうか。私はそうではないと思う。昔の親は、辛抱させる、我慢させることがいかに大きな意味をもっているかを、体験上、熟知していたからだと思う。
 最近の子は、おもちゃ屋が引っ越してきたのかと思うほどの玩具に囲まれ、多くの場合、二人の両親と四人の祖父母からかわいがれ放題にかわいがられる。
 ほしいものは何でも手に入り、足らざることを知らぬまま育った子どもに、フラストレーション・トレランスが発達するわけがない。ちょっと気が染まないことがあれば簡単にキレたりしてしまうのだ。

 『いい言葉は、いい人生をつくる』 第3章 より  斎藤茂太:著  成美堂出版:刊

 斎藤先生は、トラブルは人生を発展させるためのチャンスなのだと考えるとよいと述べています。

 失敗や困難を、ピンチと捉えるか、チャンスであるととらえるか。
 精神的なストレスは、雲泥の差となります。

 前向きな心構え、大事ですね。

知らないことを聞ける人を増やすのが、財産を増やすこと。


 名経営者、松下幸之助さんの学歴は、小学校卒です。
 並の人なら、学歴コンプレックスに陥りそうなところですが、そうはなりませんでした。

 松下さんは、「知らないことは、知っている人に聞けばいい」という、柔軟で率直な考えを持っていました。
「経営の神様」と呼ばれるようになってからも、その姿勢は変わりませんでした。

 退屈な人は千人に一人しかいません。
 そして、千人に一人しかいないぐらいだから、それは面白い人間です。
          ——イギリスの政治家 ハロルド・ニコルソン


(中略)
 松下さんの偉いところは、自分の聞きたいことをちゃんともっていて、「これこれはいま、どうなってますの?」などと具体的に相手に質問を向けることだった。きちんとした質問を受ければ、たいていの人は、その質問にきちんと向き合った話をする。松下さんのところにインタビューに来る人は第一線のジャーナリストが多かったから、有意義な話や、貴重な情報が聞ける場合も多かっただろう。
 結果的に、松下さんはいながらにして、豊富な情報を入手し、ますます経営に冴えを発揮できたのかもしれない。

 『いい言葉は、いい人生をつくる』 第5章 より  斎藤茂太:著  成美堂出版:刊

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」

 知らないことを素直に知らないと言える、柔軟さ。
 大事ですね。

 年齢を重ねるごとに、妙なプライドが大きくなり、つい知ったかぶりをしがちです。
 謙虚な姿勢をもち続けたいですね。

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 どんな言葉を支えにして生きていくか。
 それは、私たちの人生を決定付けるといっても、過言ではありません。

 楽天的な言葉を信じる人は、楽しい人生を生きます。
 悲観的な言葉を信じる人は、悲しい人生を生きます。

 言葉には、そんな強い力があります。
 日本には、「言霊」という言葉もありますね。

 私たちも、つねに楽しく前向きな言葉たちを抱えながら、人生を歩んでいきたいものです。

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