【書評】『IDEA HACKS!2.0』(小山龍介、原尻淳一)

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 お薦めの本の紹介です。
 原尻淳一さんと小山龍介さんの『IDEA HACKS!2.0』です。

能力やスキルは、成功の第一要因ではない


 この本はスキルを身に付けるための「ハック本」ですが、仕事で成功するために必要なものはスキルではなく運であると言い切っています。

 本書の究極の目標は、スティーブ・ジョブズになること。

「運」をつかむには、まず報酬を顧みずにその業界に献身的な働きをどれだけしたかが重要であると述べています。 

 ジョブズになるなら、スキル至上主義は捨てるべきです。スキルを持った自分がどんな報酬をもらえるのかを考えるのではなく、自分がその業界に何ができるのか、その社会に何ができるのかを考える必要があるのです。
 何を得られるのかではなく、何を贈ることができるのか。問いを180度回転させ、報酬ではなく、贈与を優先して考えることによって、その人は「運」をつかむことになります。
(中略)
 これを別の言い方で言えば、「方法から場へ」ということができます。
 今までのハック1.0は、方法を取り扱ってきました。それは一歩間違えるとスキル至上主義になりかねないものをはらんでいたことは、ここで認めたいと思います。
 この2.0においては、その人の献身によって、業界や社会といった「場」を豊かにすることで、自分も結果的に豊かになるという新しいアプローチを提案します。

 「IDEA HACK!2.0」  はじめにより  原尻淳一・小山龍介:共著  東洋経済新報社:刊

 ただ自分のスキルアップをすれば、成功するというわけではありません。

 自分の所属している「場」が豊かになって、初めて自分自身が豊かになる。
 なるほど、その通りかもしれませんね。

「自分が何を得られるか」ではなく、「自分が何を与えられるか」という発想は、大事です。
 
 本書は、「場」を豊かにし、「運」をつかむアイデアを生み出すためのスキルやアイデアが詰め込まれた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「フロー状態」に入るための三つのポイント


 著者は、アイデアを出すときには、アウトプットだけに集中することが重要と述べています。
 理想的には、「フロー状態」に入ることです。

 スポーツ選手などが集中した状態になると、途中から歓声がまったく聞こえなくなることがあります。
 フロー状態とは、そのような極度に集中した状態のことです。 

 こうしたフロー状態に入るためにはどうしたらいいかのか。思考錯誤の末、次の三つのポイントが見えてきました。

 ①感覚の微妙な差異に注意を向ける
 まず、自分の感覚だけ注意を向けるようにします。
 たとえば、キーボードを打っている手の感触。そんな感触には、普段ほとんど注意を向けないでしょう。しかし改めてそこに注目してみると、微妙な感触の違いを指先で感じていることがわかります。このような五感で捉えられる感触に注意を向けるのです。
 そうすると、自然と雑念が消えていき、フローの状態に入っていきます。
 
 ②時間的制約の中に身を置く
 もうひとつの条件が時間的制約です。僕自身、フローに入るときには、時間的制約がもっとも効果的だと感じます。今この瞬間に、普通であれば無理な分量の仕事をこなさなければならない。そういう状況に追い込まれると、いわゆる火事場のバカ力が発揮できるのです。
(中略)
 ③即座にフィードバックを与える
 自分のやったことの結果がすぐに見える状態にしておくことも、フロー状態を作り出すポイントです。やった結果が一週間後にわかる、というのでは、人は没頭することはできません。やったことがすぐに結果として見えることが重要なのです。

 「IDEA HACK!2.0」  Chapter1 より  原尻淳一・小山龍介:共著  東洋経済新報社:刊

 もちろん、「フロー状態」に入れるようにするためには、訓練が必要です。
 アウトプットの作業をするとき、この3つを意識することで集中力を高めていけます。

本物の知性を磨くために必要なことは?


 個性的で、豊かなアウトプットをする。
 そのためには、自分の頭の中に「材料」が詰まっていることが前提となります。

 著者がバケツにあらかじめ水を流し込んでおく作業という、大量のインプットがまず必要となります。

 ここで重要なのは、ただやみくもに情報を積みこめばいい、わけではないということです。
 情報や知識そのものではなく、情報をどう扱うかという方法や知恵を、吸収して豊かにすることが肝心です。

 具体的には、「スキーマ」と呼ばれる、情報を認知するときの枠組みをたくさん持つことです。

「サッカー」というスポーツを例に挙げると、あまり詳しくない方は「足でボールを蹴りあって、ゴールの中に入れるスポーツ」程度の認識かもしれません。
 中には「全く知らない」という方もいるかもしれません。

 一方、サッカーが好きな人は、戦術やルールなどの知識など、より幅広い知識が背景にあるので、より深いレベルで楽しめます。

 つまり、同じサッカーの試合を観ても感じ方や視点が全く違うのは、それぞれが持っているサッカーの「スキーマ」が違うからといえます。
 

 同じものを見ていても、まったく違うものを見ているかのように、入ってくる情報が異なる。発動させているスキーマが異なるからです。
(中略)
 このスキーマは、その人が経験してきたことや学んできたことに基づいて形作られています。さまざまなスキーマを持っている人は、同じものを見ていても、それだけたくさんの情報を認知することができる。そして、それだけ多くの経験と深い学びをしてきたのことの証拠でもあります。

 「IDEA HACK!2.0」  Chapter2 より  原尻淳一・小山龍介:共著  東洋経済新報社:刊

 こうしたスキーマは、お金で買えるものではなく、時間をかけなければならない代物です。

 サッカーの本を買ったからといって、すぐにサッカーがうまくなるわけではありません。
 スポーツのように、日々のトレーニングによってのみ、豊かになっていきます。

創造性を伴う活動は「疲れない」


 著者は、会社の仕事のように人から指示されてやる仕事は相当なストレスが掛かるためかなり疲れることが多いけれど、逆に自分が心底「やりたい!」と思って始めた活動は、どんなに大変でも不思議と疲れないものだと述べています。

 その違いは、どこから来るのでしょうか。

 これまでの仕事論では、どんな状況(逆境の中でも)楽しめるポジティブマインドが大事だといった精神論的な議論がなされていました。
 しかし、僕はそうではないと思います。重要なのは、あらゆる活動の中に小さくてもいいから自己の創造性を発揮できる領域があるか、どうかが鍵なのではないでしょうか。なぜなら、創造性を発揮する活動は、その人の体からエネルギーを発するものだからです。
 だから、ストレスですり切れてしまうライスワーク(食べていくための仕事という意味)を抱えている人ほど、創造性のあるライフワークをぜひ持ってほしいと思います。これは自分の肉体と精神の保険、リスクヘッジとして、です。もし、エネルギーの湧くライフワークを傍らに持っていれば、たとえ仕事でへこんだとしても、エネルギーを移動でき、持ちこたえることができます。

 「IDEA HACK!2.0」  Chapter6 より  原尻淳一・小山龍介:共著  東洋経済新報社:刊

 創造性を発揮することは、自らが主体的となって表現することを意味します。
 つまり、疲れを感じる程度は、「能動的」であるか「受動的」であるかの差です。

 精神衛生を守るうえでも、創造性を発揮できるライフワークは、持った方がいいということです。

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 今日の、ソーシャルメディアが充実しつつある社会環境。
 そのなかでは、個人を評価する価値基準が、「創造性」にシフトしてきています。

 自分の中に溜めこむだけではなく、得たものを周囲に還元する能力が、より求められます。

 皆さんも、周囲を活かして自分も活きる、そんな「アイデアハッカー」を目指してみませんか。

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