【書評】『TIME HACKS!』(小山龍介)

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 お薦めの本の紹介です。
 小山龍介さんの『TIME HACKS!』です。

 小山龍介(こやま・りゅうすけ)さんは、ライフハッカーです。
 大学卒業後大手広告代理店に入社、その後海外に渡りMBAを取得、2009年からブルームコンセプトという会社の代表取締役に就任し、新規事業のコンサルティングやライフハックに関する新商品のプロデュースを手掛けられています。

時間を効率的に使うための「ライフハック」


 生活するうえで、難しい問題や、こんがらがった複雑なこと、それにちょっとしたトラブル。
 それらを、一瞬でサクッと解決する技術のことを「ライフハック」と言います。

 そして、そのような「ライフハック」のアイデアをいくつも持ち、道具として使いこなしている達人。
 彼らのことを、「ライフハッカー」と呼びます。

 誰もが平等に持っていて、最も貴重な資源である「時間」
 しかしあまりに身近にあるため、なかなかその有難みを実感できずに、つい浪費してしまいがちです。

 本書は、「効率的に時間を使って、時間に追い立てられる生活から抜け出したい」と思っている人に役立つライフハックをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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仕事のできる人は忙しいと言わない


 小山さんは、「時間の使い方」について、以下のように述べています。

 他人から見て忙しい人が、いい仕事をしているケースは確かにあります。しかし、そこには大きな誤解があります。仕事ができる人は決して、自分で「忙しい」とは言わないのです。そして、仕事ができる人に限って、休むときには徹底して休んでいるんです。時間に追い立てられていないんです。
 ちょっと恐ろしいことを言うと、「忙しい」と口癖のように言っている人ほど、仕事ができない。私は昔そうでしたし、今でもたまに言ってしまうので、言った後にゾッとします。
 このままではいけないと思い、まず始めたのが、「やるべきことを把握する」ということ。逆の言い方をすると「やらなくてもいいことを把握する」ということでした。

   「TIME HACK!」  はじめにより  小山龍介:著  東洋経済新報社:刊

 私たちは、つい「忙しい」を言い訳にしてしまいがちですね。

 時間がない大きな原因の一つは、やらなくてもいいことをやっていること。
 それも間違いありません。

 振り返ってみると、ボーッとテレビを観ていたり、何となくパソコンでネットサーフィンをしたり、そういうあまり意味のない時間が意外と多いことに驚かされます。
 ほとんど無意識にやっていますね。

ニュートン時間とベルクソン時間


 時間は平等である。
 それは、ある意味では、間違いです。

 時間には、2種類の捉え方があるからです。

「ニュートン時間」「ベルクソン時間」です。 

「物理的な時間」ではなく「体感時間」を基準にスケジュールを考えようという提案を行いたいと思います。
 物理的な時間は、客観的にはかられる、誰にとっても同じ長さの時間です。これを、かっこよく「ニュートン時間」と呼びましょう。万有引力があらゆる場所で普遍的に働いているのと同様、このニュートン時間は、誰にとっても、普遍的な長さを意味します。
 しかし一方で、とても主観的な時間が存在します。たとえば、夏休み、友達はみな旅行に行ってしまって、遊び相手がいない午後。そんなとき、家の庭先に流れていたあの時間は、いったいどういう時間だったのでしょうか?友達と遊んでいるときにはあっという間に過ぎ去っていく時間が、時計の針の音が聞こえてきそうなほど、ゆっくり進みます。時間について考え続けた哲学者の名前を取って、「ベルクソン時間」と呼ばれます。

   「TIME HACK!」   CHAPTER2より  小山龍介:著   東洋経済新報社:刊

 好きなことに熱中している時は、時間の感覚を忘れます。
 そのときの集中力はものすごく、普段の自分では考えられない時間の使い方ができています。

 仕事も同じです。時間が同じように流れていると思っていると、肝心なことを見逃します。それは、「効率」という概念です。ダラダラと過ごせば1日なんて何もせずに過ぎてしまいます。もしそれを、子どものときのような熱中の仕方で過ごしたとしたら、そこで生まれるアウトプットは膨大なものになるはずです。世の中で業績を残した人は、仕事に対して、まるで子供のように熱中していたはずです。

   「TIME HACK!」   CHAPTER2より  小山龍介:著   東洋経済新報社:刊

 つまり、時間を主観的に捉えることにより、時間の流れるスピードはいくらでも変わるということ。

 同じ1時間でも、意識して時間を使うか、そうでないかで、できる仕事の量は、まったく違います。

2種類の集中力を使い分ける


 集中力は、2種類に分けられます。

 一つは単純作業に集中するようなリズムのある、いわばトランス状態になるような集中力です。
 このトランス系集中力は、1人の作業や、複雑な判断が必要でないケースに向いています。

 一方で、これとは異なる、別の種類の集中力があります。
 それは、妙に冷静で、落ち着いた状態での集中力です。

 ここでは、先ほどのトランス状態とはまったく違う意味の集中力が発揮されています。視界は制限されるどころか、限りなく広がり、外からの情報が遮られることなく取り込まれています。このときの集中力とはどんなものなんでしょうか?
 実は、剣豪の宮本武蔵がこの集中力について、「見の目、観の目」という表現をしています。「見の目」というのは、ある一点に集中する視線。これはトランス系の集中力で使われる視線です。一方の「観の目」というのは、全体をまんべんなく把握する広い視界のこと。宮本武蔵は、敵の一点を集中して見るような「見の目」ではなく、全体を眺めるような「観の目」をすすめます。そのほうが、不測の事態への対処ができるからです。
(中略)
 時間の流れもまったく異なります。トランス系の集中力が、「時間を忘れる」類のものである一方、「観の目」の集中力は、時を止めたり、スローモーションにしてしまうような集中力なのです。
 この集中力が活躍するのが、不確実性の高い状況で、高度な判断が必要となるようなシチュエーションです。
(中略)
 先ほどの「見の目」の集中力がトランス系なら、「観の目」集中力は、即興演奏を求められるジャズにぴったりなのかもしれない。そう思い、とりあえず「ジャズ系集中力」と名付けたいと思います。

   「TIME HACK!」   CHAPTER3より  小山龍介:著   東洋経済新報社:刊

「相手の動きが、ゆっくり見えた」
「ボールの動きが、ゆっくり見えた」

 ジャズ系集中力は、そのようなときに、発揮されている集中力のことです。
 集中するほど、時間の流れはゆっくりとなり、周りの動きにも敏感になります。

 小山さんは、この「トランス系集中力」と「ジャズ系集中力」を仕事の種類によって使い分けることを勧めています。

8割仕上げ、2割は余白


 小山さんは、企画などは8割仕上げたところで一旦完成とすべきだと述べています。

 企画を作るときに、8割のできであれば比較的短期間に作ることができます。ところが残り2割を仕上げるのに時間がかかる。こだわればこだわるほど、残りの2割がどうにも完成しない。誰しも、そういう経験をしたことがあるかと思います。
「IDEA HACK!」でも紹介したヌフカフェという喫茶店は、8割できた段階でお店オープンすると言います。残り2割は、入ってきたお客様の様子などを見ながら徐々に完成させていくのだとか。お客さんとの関係性を考えた場合、そういう余白を持っておくことで、喫茶店としての魅力を高めることができるわけです。
(中略)
 時間を節約するという点でも、まず8割の完成度で提案する。そして、それは何も後ろ向きの話ではありません。むしろ余白を残すことによって、企画の魅力が増すのです。

   「TIME HACK!」   CHAPTER4より  小山龍介:著   東洋経済新報社:刊

 企画に限らず、8割程度まで仕上げるのは、割合簡単です。
 しかし、そこから100%にまで仕上げるのには、相当な時間がかかります。

 100%に仕上げたつもりでも、上司のダメ出しで、大幅な修正を余儀なくされることも多いです。

 それならば、8割仕上がった段階で提出した方が、大幅な時間の短縮になり、修正も利きやすいです。
 余白を残した方が魅力が増す、とくれば、実行しない手はないですね。

「オフサイドルール」を作る


 作業は、ルールが完全に決まりきっている「ルーチンワーク」と、まったくルールのない「ノンルーチンワーク」に分けられます。

 業務は多くの場合、この二つが組み合わさっている「セミルーチン」のものです。

「セミルーチン」な業務を、より洗練された技術として確立させる。
 そのために、ちょっとしたルール設定をすると、うまくいくことが多いです。

 小山さんは、サッカーの「オフサイド」を例に、以下のように説明しています。

 一部ルールはあるのだけど、かといって毎回同じように対応はできないもの。原理原則を大切にしながらも、現場においてはケースバイケースでの対応が求められるものです。ルーチンワークほどのがんじがらめのルールではなく、ちょっとしたルール設定によって、豊かな創造性を生み出すのが、このセミルーチンの特徴です。
(中略)
 矛盾する2つのことを「同時に」求めるというのが、オフサイドルールのコンセプト、「紳士であるなら待ち伏せするな」は、一方で「それでも得点を挙げろ」という要求でもあります。
 優れたルールというのは、このように「矛盾した問い」という形で表現されます。それに答えようとして、頭をフル回転させる。チームで濃密な時間を過ごすためには、優れた問いをチームで共有し、問いに答えようとして共同作業を行うことなのです。

   「TIME HACK!」   CHAPTER5より  小山龍介:著   東洋経済新報社:刊

「英語の勉強をする」ことについて考えてみましょう。

 ここに、以下のようなちょっとしたルールを自分に課すようにします。

「毎日30分必ずやる」
「他に必要な仕事や家事もすべてこなす」

 そうすれば、その30分を絞り出すために、知恵を絞るようになりますね。

 時間に対する意識も上がり、時間を効率的に使うためのいいアイデアが浮かぶでしょう。

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 無限にあるようで、あっという間に過ぎ去ってしまうのが、時間です。

 限りある資源、後悔しないよう、意識してムダ使いせずに、しっかり使いきりたいですね。

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