【書評】『IDEA HACKS!』(原尻淳一、小山龍介)

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 お薦めの本の紹介です。
 原尻淳一さんと小山龍介さんの『IDEA HACKS!』です。

 原尻淳一(はらじり・じゅんいち)さんは、大学の修士課程を修了後、大手広告代理店勤務で入社から一貫して飲料や食品のブランド戦略立案を手掛けており、現在は、大手レコード会社でアーティストのマーケティングなどを担当されています。

 小山龍介(こやま・りゅうすけ)さんは、大学卒業後大手広告代理店に入社、その後海外に渡りMBAを取得、2009年からブルームコンセプトという会社の代表取締役に就任し、新規事業のコンサルティングやライフハックに関する新商品のプロデュースを手掛けています。

アイデアを生む秘訣


 生活するうえで、難しい問題や、こんがらがった複雑なこと、それにちょっとしたトラブル。
 それらを、一瞬でサクッと解決する技術がを「ライフハック」です。

 また、そのライフハックを道具として使いこなす達人を「ライフハッカー」と呼びます。

「アイデアを生むプロ」の二人が考える、アイデアを生む秘訣。
 それは、「アイデアを楽しむこと」です。
 

(小山) あとね、ぼくらにはひとつ芯があって、それは「本質に目を向けている」こと。ここでいう本質って、アイデアを生みだすシステムのことだけど、この流れを意識すること、すぐれたアイデアをより高い確度で導き出すことが可能になったと思う。そういう意味で、小手先のテクニックではなく、本質をしっかりとらえた「方法」まで落とし込めた。
(原尻) たしかに。ぼくらはいつも「方法」を探っているし、方法にこそ、新しいクリエイティブは宿ると信じている。目に見えるアウトプットから、その奥にある、目に見えない方法をひねり出す、そして、その方法を自分のビジネス領域に転化させる。これは常にぼくらが心がけていることで、共通している興味関心って、たしかにココにあるね。

 「IDEA HACK!」  はじめにより  原尻淳一・小山龍介:共著  講談社+α文庫:刊

 アイデアは、まったくの偶然から生まれるものではありません。
 生み出しやすい雰囲気や土壌を作ることが必要だということです。

 本書は、アイデアを生むために日頃から心掛けておく具体的な方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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ケータイのストラップにペンをつける


 著者は、アイデアは一瞬で過ぎ去ってしまうものであるから、それを書き留めることができるかどうかは、アイデアにとっては死活問題であると述べています。
 

 ではなぜ、いいアイデアにもかかわらず、すぐに忘れてしまうのでしょう?それには理由があります。アイデアが「意外なところ」からやってくるからなのです。
 新しいアイデアは、「既存の情報の新しい組み合わせ」だといわれています。「そんなこと知っているよ」という情報が、意外なパートナーを見つけて組み合わさって、新しい情報を生み出す。それが、アイデア誕生の瞬間です。
 しかし、ここにはふたつの問題点があります。ひとつは、知っている情報だと思って油断してしまうこと。もうひとつは、組み合わせが新しいだけに、どうしても覚えにくいという問題です。そのため、次の瞬間にはアイデアを忘れてしまうのです。

 「IDEA HACK!」 CHAPTER 1より  原尻淳一・小山龍介:共著  講談社+α文庫::刊

 せっかく思い浮かんだアイデアを取り逃がさない。
 そのために、ペンは常に持ち歩き、すぐに出せるようにしておくべきです。

 著者は、携帯電話のストラップにペンを付けておくことをお勧めしています。
 携帯電話に付けておけば、ほぼ常に身につけていますから、必要な時にすぐに取り出せますね。

アイデアは一刻も早く忘れる


「メモを書いておく理由は?」

 そう聞かれて、

「アイデアを覚えておくため」

 と答えるのは、アイデア・ハッカーとしては、まだまだです。
 

 ハッカー上級者は、「メモを書くのはアイデアを忘れるため」と答えます。
 これにはにはちゃんと根拠があります。
 記憶には、長期記憶と短期記憶があります。短期記憶は、文字通り短い時間だけ覚えておくための記憶領域で、複雑な作業を行ったりするときにフル回転します。短期記憶をつかさどる海馬は、とくに空間的な記憶にすぐれています。アイデアを覚えておくときには、実は、この短期記憶の領域を使用します。短期記憶には限りがあるので、アイデアを覚えておこうとすると、作業のため使える短期記憶領域が減ってしまいます。
(中略)
 一方、アイデアは、既存の情報の新しい組み合わせ。長期記憶として覚えておこうとしても、組み合わせが新しいため、物語としてのつながりがあまりありません。だから、覚えておくためには、どうしても短期記憶に頼らざるを得ない。そういう種類の情報だと認識があるからこそ、達人は、アイデアをメモしておく。メモすることによって、頭の中の短期記憶から消去し、作業領域を確保するのです。

 「IDEA HACK!」 CHAPTER 1より  原尻淳一・小山龍介:共著  講談社+α文庫::刊

 アイデアを記憶することに、短期記憶の能力を割かない。
 それよりも、思い浮かんだアイデアと既存の情報を組み合わせることに使う。

 それが画期的なアイデアを創り出すには必要です。

歩くスピードは、「1秒に2歩」


 アイデアが生まれやすい、「歩くリズム」というものがあります。
 それには、しっかりした科学的な根拠もあります。

 それからもうひとつ、脳内ホルモンで重要なものに、「セロトニン」というものがあります。これは精神的な落ち着きをもたらすホルモンで、ストレスを解消してくれます。歩くと気持ちが晴れ晴れしてすっきりするのは、実はこのセロトニンという物質のおかげなのです。
『「歩く!」仕事術』(アーク出版)という本では、1秒間に2歩で5分以上歩くことをすすめています。これは、セロトニンを分泌する大脳の縫線核が、1秒に2回というリズムでセロトニンを生成しているからだそうで、その縫線核と同じリズムで歩き「共振」を引き起こすことで、セロトニンの生成を促すことができるのだそうです。この1秒に2歩というリズムは、ふつうに歩くよりも少し速め。アイデアを出すためには、歩くスピードにも気を配るといいようです。

 「IDEA HACK!」 CHAPTER 4より 原尻淳一・小山龍介:共著  講談社+α文庫::刊

 気持ちを落ち着かせることも、アイデアを生み出しやすくするポイントです。

 アイデアに詰まると、気分転換に外に出て散歩をする作家や作曲者の方も多いです。
 単なる気分転換ではなく、ストレスを解消してくれる効果もあります。

「予告ホームラン」を狙うこと


 自分自身にプレッシャーを掛けることで、より集中力が増して、素晴らしいアイデアを思い付くこともあります。

 自分にプレッシャーを掛けるために一番いい方法。
 それは、「周囲に対して宣言してしまうこと」です。

 仕事においても部下や上司に「いつまでにこの案件をすませます」と予告して、その通りになれば彼らの信頼も獲得できますし、何より自分自身、気持ちいいものです。小さな予告と達成の積み重ねが日常生活では大事で、それがよい潤滑油になっていくでしょう。
 また、ちいさなことでも、予告をするということは「狙ってやる」ということです。わたしはこの狙ってやるということはとても重要だと思います。なぜかというと、最後に戦うのは自分自身だからです。自分との戦いを乗り越えて、狙ったものを獲得できたときの喜びは何ものにも変えがたいものがあります。
(中略)
 最後まで諦めないで、あくまで自分がやると決めたことに邁進する。そういう姿はまわりが見ても「カッコいい」し、感動します。
 だから、あえていいたい。どんなに小さなことでもよい。予告ホームランで行きましょう!

 「IDEA HACK!」 CHAPTER 7より  原尻淳一・小山龍介:共著  講談社+α文庫::刊

 周囲に宣言し、自分にプレッシャーを掛ける。
 そうすることで責任感も芽生えるし、集中力も高まります。
 また、周囲の信頼を得ることにもなります。

 一石二鳥のこの方法。
 まずは、小さいところから始めてみたいですね。

「プライオリティ」と「セレンディピティ」


 アイデアを生み出すには、「プライオリティ(優先順)」を付けて物事を進めることと、「セレンディピティ」を十分に働かせることが重要です。

 セレンディピティとは、「ふとした偶然をきっかけに閃きを得、幸運を掴み取る能力」のことです。
 

 たしかに、プライオリティは明確にしておくべきです。それによって無駄はなくなりますし、目標も達成できる。けれど、うっかり忘れてしまっている隠れた目標や 目的があった場合に、それをスポイルしてしまっている可能性もあるのです。
 セレンディピティという考え方は、そうした「うっかり無視してしまっている別の可能性」への対応を促してくれる、貴重なハックです。リンクとハブという話でいくと、これは見えないリンクに対応するための余裕でもあります。アンテナを立てて、飛び込んでくるアイデアのリンクを待ちかまえるわけです。
 こうした構えが必要になるのは、結局、未来が不確実性にあふれているからなのです。誰も将来のことは予測できない部分がある。ある程度の予報はできるとしても、正確な予測が難しいのは、ほんの些細なことが変わるだけで、未来が大きく変わってしまうからなのです。
(中略)
 8割の意志決定については、プライオリティをつけることで迅速に行いながら、あとの2割はセレンディピティを受け止めるために空けておく。これこそ、未来のアイデアを活かすための意志決定ハックなのです。

  「IDEA HACK!」 CHAPTER 7より  原尻淳一・小山龍介:共著  講談社+α文庫::刊

 機械的にできるルーチンワークなどは、優先順を付けて、さっさと片付ける。
 時間的にも、精神的にも、余裕を持てる時間を、できるだけ確保する。

 それが大事です。

「幸運の鍵」が、いつ、どこに落ちているのか、誰にも分かりません。
 それを見つけて拾えるかどうか。

 本人のアンテナの感度次第、です。

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 つねに好奇心を持って、世界を眺めてみる。
 そんな何気ない日常にこそ、皆が驚くような発見があります。

 皆さんも、本書を読んでアンテナの感度を上げて「アイデア人間」になりましょう。

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