本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『がんばらないほうが成功できる』(池田貴将)

 お薦めの本の紹介です。
 池田貴将さんの『がんばらないほうが成功できる』です。

 池田貴将(いけだ・たかまさ)さんは、リーダシップ・行動心理学の研究者です。
 起業家・経営者・ビジネスリーダー向けのスクールを自ら経営されています。
 セミナーや講演なども数多く開催されるなど幅広くご活躍中です。

最大のトラップは「まぁまぁ」で満足する「自分自身」

 池田さんは、「よりよい人生を送る」ことを妨害しているのは、「まぁまぁで満足するあなた」自身だと指摘します。

 ベストを目指さない(目指せない)理由を知る。
 そのためには、人生には「2つのゾーン」があることを知る必要があります。

 2つのゾーンとは、「慣れたゾーン」「不慣れなゾーン」です。

「慣れたゾーン」とは、自分が「心地よく」過ごせるゾーンのこと。
 住み慣れた場所、通い慣れた道、話がわかる友人、行き慣れたお店などです。

「不慣れなゾーン」とは、慣れたゾーンの外に広がる無限のゾーンのことです。
 知らない人の集まりにはじめて参加するときや入ったことのない高級レストランに入るとき、このゾーンに入ります。
「ドキドキ」したり、「緊張」するのは、不慣れなゾーンの中に身を置いたからです。

 人生は、「不慣れなゾーン」で、どういう考え方・態度・選択ができるかで決まってきます。

 池田さんは、多くの人が心から満足することができないのは、「慣れたゾーン」の中でベストを探してしまっていたり、はじめから「ベスト」を諦めているからだと強調します。
 うまくいっている人たちは、「わざわざ心地よい慣れたゾーンから出る」ことこそが、うまくいく最短で最速の道だと知っているとのこと。
 
 本書は、「不慣れなゾーン」に飛び込み、少ない労力で最大の結果を手に入れる方法を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「ホーム」となる感情を変える

 ワクワク感やドキドキ感は、やる気をかき立てます。
 感情が盛り上がらないと、どれだけ「やらなきゃ!」と思っても、行動につながりません。

 私たちの行動をつくっているのは、「行動をつくる感情」で、それを形作る上で最も大事なのが、結果を受け取る感情である「ホームとなる感情」です(下図1参照)。

ホームとなる感情P27
図1.ホームとなる感情 (『がんばらないほうが成功できる』 P27 より抜粋)

「モチベーションを上げたい」と考える人は、「行動をつくる感情」を変えようとしますが、本当に人生をスイスイ歩んでいる人は「ホームとなる感情」を変えようとします。それは、うまくいく人は「いつもいる感情」を変えることが、一番効果的だと知っているからです。これが行動力の秘密なのです。

 ホームとなる感情とは、何かが起きなくてもあなたがいる普段の感情です。そして、落ち込んでも、また帰ってくる感情のホームです。
 いいことがあったら嬉しくなるのは普通のことです。しかし、何もなくても「嬉しい」という気持ちでいたら、人生はもっと楽しくなると思いませんか。人生全体のレベルを上げるのが「ホームとなる感情」のパワーなのです。

 あなたは、どんな感情でいつも過ごしていたいでしょうか。気持ちですから、もちろん盛り上がったり、沈んだりするのは当然ですが、それは気にしないでください。ポイントは「どんな気持ちに帰ってくるか」という「ホーム」です。

 『がんばらないほうが成功できる』 第1章 より 池田貴将:著 PHP研究所:刊

 いつも楽しそうに見える人は、何をするにも楽しそうです。
「ホームとなる感情」が楽しいものだからなのでしょう。

 幸せは、「出来事」ではなく、「心の状態」です。
 普段の心の持ちようが、いかに重要かということですね。

人は「反対」の情報をもつことができない

 パソコンには、インターネット上のサイトを取捨選択するソフトがあります。
 そのソフトに望ましくないと判断されたサイトは、自動的に見せないようにもできます。

 池田さんによると、「わたしたちの脳にも似たようなソフトが入っている」とのこと。

 ある人は人の欠点ばかり見つけますが、他のある人は長所ばかり見つけます。

 両者の間で違うのは性格ではありません。
「情報を取捨選択するソフト」の設定です。

 情報を取捨選択するソフトとは、「思い込み」のこと。
 人は自分の「思い込み」に合う情報しかキャッチできません。

 人生を変えるきっかけはいつも、自分の思い込みを疑うことからはじまります。
 もし絶対に失敗しないとしたら、あなたは何をするでしょうか。
 先ほどの「もし、絶対に失敗しないとしたら、本当はどんな生き方がしたいですか?」という質問に、すぐに答えられなくても安心してください。それは答えがないのではなく、このような考え方をする「クセ」がついていないだけです。自分自身に繰り返し質問してみてください。脳は高速で答えを探し続けています。
 この質問を自分に聞くときは、「本当は」というところを特に強調して聞いてみてください。自分の胸に手をあてて、ゆっくりと呼吸をしながら、心の声に耳を傾けてみてください。そして、浮かぶものを書き出してみることをオススメします。
 脳があなたに隠していたものがみえてくるでしょう。「え!? こんなこと思ってたんだ!」というものが出てくるかもしれません。

 『がんばらないほうが成功できる』 第2章 より 池田貴将:著 PHP研究所:刊

「思い込み」のパワーは強力で、なかなか気づくことができません。
 無意識のうちに「慣れたゾーン」から「不慣れなゾーン」に足を踏み入れるのを妨げます。

「思い込み」は、これまでの自分の考え方のクセです。

 生きたいように生きられていないのは、「思い込み」が邪魔をしているだけ。
 それに気づき、新しい「思い込み」をつくること。

 生き方を変えるための秘訣です。

自分の価値観をハッキリと外に出す

 自分の価値観をハッキリさせることで、人生の軸を定めることができます。
 そのためには、「本当はどういう生き方をしたいのか」という心の声を見つけることが必要です。

 自分の心の声に従い、価値観をハッキリ外に出す。
 すると、今まで自分の近くにいた人が離れていくことがあります。

 それを怖れずに「慣れたゾーン」を越えていくと、ワクワクした心からの充実した人生が待っています。

 価値観があやふやなときに一緒にいた人が、あなたの価値観がハッキリしたとたん離れたとしても、それはあなたを嫌いになったわけではありません。その人は、「価値観があやふやな人」を求めて旅立っていっただけです。
 でも、逆に、必ず「そんなあなただから、わたしは力になりたい」という人も現れます。なぜなら、「価値観」とは磁石のようなものなので、ハッキリさせるほど、似た価値観の人を引き寄せるのです。
 熱烈なファンがいる人は、価値観がハッキリしている人です。だから、熱烈なファンがいるところには、アンチが必ずいるものです。アンチの声にばかり耳を傾けていたら、その人は気が滅入るでしょう。
 でも、あなたが幸せになり、かつ、ファンの人たちを幸せにすることができる道を進んでいくことに心を集中させていけば、人生は全く別のものになるはずです。あなたが本音で生きたら、それを受けとめてくれる人が必ず現れる。これを忘れないでください。
 今はまだ、自分の本音をまっすぐに受けとめてくれる人がみえないかもしれません。でもそれは、あなたが自分の本音を出していないだけ。本音は、その本音に共感してくれる人を強く引き寄せます。相手に合わせようと無難に人と付き合っていた頃より、自分の本音で生きようと思ってからのほうが、たくさんの人と付き合えることに気づくでしょう。

 『がんばらないほうが成功できる』 第3章 より 池田貴将:著 PHP研究所:刊

 自分の価値観をハッキリと外に出す。
 それは、似た価値観の人を引き寄せ、違う価値観の人を遠ざます。

 周囲にいる人の影響は、自分が考えている以上に大きいもの。
 “価値観の磁石”を上手に利用し、なりたい自分になる環境作りをしたいですね。

真っ正面から乗り越える賢さを手に入れる

 人生の中で壁にぶつかったとき。

「面倒なことは、わざわざ人生があなたに与えている」という言葉を思い出すこと。
 そして、真正面からその問題と向き合うことが重要です。

 長い目でみたら、その問題と向き合って乗り越えたおかげで、人は成長することができる。そう考えると、今あなたが悩んでいることや、問題だと思っていることは、あなたを成長させるために起きていることになります。

 ですから、人生の中で大切なことは、
「面倒なことを避ける器用さ」を身につけることではなく、問題を真っ正面から捉えて、それを解くことができるように「賢くなる」ことです。

「面倒なことを避ける器用さ」とは、その場をなんとかやり過ごそうとする生き方です。愛想よくしたり、問題を避けたり、小手先のテクニックで手抜きをして、目先の人生を切り抜けようとする人です。
 しかし、平穏な波のときは小舟でもテクニックで乗りこなすことはできるかもしれませんが、嵐がやってきたら一瞬で、海のもずくに変わってしますことを忘れないでください。

 『がんばらないほうが成功できる』 第4章 より 池田貴将:著 PHP研究所:刊

 面倒なことから避けても、あくまで一時的なことです。
 根本の問題を解決しない限り、“面倒なこと”は、形を変えて再び目の前に現れます。

 問題から逃げるのではなく、問題に体当りしてぶつかっていく。
 まさに、「不慣れなゾーン」に飛び込んでいく行為そのものですね。

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 池田さんは、「まぁまぁで満足している自分」を超えていく生き方ができるかどうか人生の質は決まりますとおっしゃっています。

 人間の理想には、限界がありません。
 どこまでいっても、真の意味での「ベストの自分」というのはないのでしょう。

 本当の喜びは、「ベストの自分になる」という結果の中にはありません。
「ベストの自分になろう」と、もがきながらも前に進む過程にあります。

 勇気を持って「不慣れなゾーン」に飛び込み、“未来の自分”を探し続ける人生でありたいですね。

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