【書評】『微差力』(斎藤 一人)
お薦めの本の紹介です。
斎藤一人さんの『微差力』です。
斎藤一人(さいとう・ひとり)さんは、「銀座まるかん」の創業者で、“納税額日本一の実業家”として有名な方です。
93年から納税額12年連続ベスト10に入るという快挙を成し遂げられています。
この世は、すべて「微差が大差」
この世は、『微差が大差』という道理でできています。
例えば、オリンピック。
金メダルと銀メダルの間には、世間の注目度は雲泥の差があります。
両者の差は、100m走の記録でいえば、たったコンマ数秒ほど。
そのちょっとした差が、100倍、1000倍の知名度の差を生みます。
人生も同様です。
能力的にはほとんど変わらなくても、わずかな違いの積み重ねが決定的な大きな差として表れます。
一人さんは、この大きな違いを生むわずかな差に気づく能力を『微差力』と呼びます。
微差と言っても、嫌なものの微差はダメですよ。いいほうの微差ですよ。
いいほうの微差が、大差を生むのです。
私がお弟子さんに教えたことも、いいほうの微差です。
「笑顔でいるんだよ」だって微差です。「整形しなさい」とか、言ったのではないのです。
みなさんの顔には同じように筋肉がついています。笑顔は、その筋肉を動かすか、動かさないか、だけのことです。ちょっと動かして笑顔にしてるだけで、笑顔じゃない人と、全然違うのです。
言葉だって、そう。これも微差なんですよ。
外へ食事をしに行ったとき、頼んだものがなかなか出てこない。そのとき、
「今日は昼から懐石料理ですね」
と言えば、笑っちゃうんです。
「遅い、遅い」と言ってるから、腹が立つんですよ。
(中略)
否定的なことを言うか、肯定的なことを言うかで、これだけ違うのです。
服装もそうです。同じ値段の服でも、いつも暗い服を着てるより、明るい服を着てたほうがいいのです。
それで違うんですか? って、違います。
この微差、笑顔だったり、言うことが肯定的だったり、着ているものが華やかだったりするだけで、この微差が掛け算になってくるのです。
ものスゴイ、結果が違ってきちゃうんですよ。
ホントに、仕事でも、日常生活でも、いろんなことが違ってくるのです。『微差力』 微差って、スゴイ! より 斎藤一人:著 サンマーク出版:刊
本書は、ちょっとした違いが大きな差を生む、一人さん流「微差力」の育て方を解説した一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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人の器量は無限大
人には、その人なりの「器量」というものがあります。
器量というと、「持って生まれたもの」というイメージがありますね。
しかし一人さんは、「人には人の器量があるよ」と言うけれど、本当は、人の器量というのは大きくなる
と述べています。
器量は、「大きくしたい」望むといくらでも大きくなります。
人には、無限の器量がある。
もう、無限大です。
人間は、この宇宙ですら、頭のなかで思い描いて、想像することができるのです。銀河系ですら想像できるんです。
ということは、本当は、ものスゴク無限の器量がある、器があるんです。
自分が地球の上に立ってる姿を思い浮かべてみてください。
そういうことを想像するということは、この地球を飲み込んでしまうだけの想像力が、本来、あなたにあるのです。
それなのに、ほとんどの人は日常生活のこまごましたことに「あーでもない、こーでもない」とイライラしたり、暗くなることばかり考えている。
そういうこと、もうそろそろ、やめませんか? 「会社のみんなが暗くて嫌になっちゃう」と言うけれど、周りが暗いことと、あなたはどういう関係があるのですか? 「周りが暗くて嫌だ」と言うけれど、黒板だって黒いから白い白墨が目立つのです。周りの人が暗いからこそ、あなたは明るくしていればいいのです。
たった、これだけの微差で、人生、エラク違ってしまうのです。
(中略)
そうやって、明るくしてて、嫌な人と正反対のことをしていたら、あなたが目立つだけなんです。
それで、その嫌な人のことは、
「神が出してくれた、自分を盛り上げるために生まれてきたようなやつだな」
と、思えばいいだけなんです(笑)。『微差力』 私は、自分のことを「一人さん」と呼びます より 斎藤一人:著 サンマーク出版:刊
周りが暗ければ暗いほど、小さな灯りでもまぶしく光り輝きます。
同様に、周りに嫌な人が多いほど、そうでない人は普通にしていても目立ちます。
「周りが暗いから嫌だ」ではなく、「周りが暗いから自分の明るさが目立つ」という前向きな発想。
それが、微差力を生むということですね。
富士山の山頂に脚立を立てる
人間は、だいたい同じような波動の人と一緒にいます。
「どんぐりの背比べ」をしているようなものです。
そのなかで一個だけ微差をつけることで、頭ひとつ抜け出ることができます。
そこでまた同じ波動の人たちと一緒になり、「どんぐりの背比べ」になる。
そういう具合に成長していくわけです。
一人さんは、頭ひとつ抜け出る方法を「富士山の山頂に脚立を立てる」ことに例えています。
踏み台をかついで行って、山頂で踏み台を出して乗れば、日本史上最高に高いところに立てるのです。
せこい話かもしれないけれど、事実上、そうなんですよ。
脚立(きゃたつ)を持って行く。この微差で、大差なんです。
要するに、自分がいる業界、職場でも、一番の人がいますよね。その人がやってることを、じぃーっと見て、いいことをマネすればいいんです。
そこに脚立分だけ、ちょっと、微差をくっつければいいだけなのです。そしたら、大差です。わかりますか?
自分が蕎麦(そば)の修行をやっているんだとしたら、人気店の蕎麦を一生懸命、食べたりして、それに、ちょっと乗せるのです。それで大差です。
それなのに、「自分は自分のオリジナルで行くんです」とか言って、下から全部、自分でやろうとする人がいるのです。
それ、富士山を自分で作ろうとしているのと同じです。
そんな苦労はやめたほうがいいですよ。
自分1人で富士山を作るのは不可能ですよ。
それより、もうすでに富士山があるのです。周りじゅうに、宝の山が転がっているのです。
そこへ脚立を持って行って、乗ればいいだけなんですよ。『微差力』 微差って、スゴイ! より 斎藤一人:著 サンマーク出版:刊
一番の人の、いい部分をとことんマネる。
そして、最後の仕上げの部分だけ、自分のオリジナリティを発揮する。
それだけで自分が一番になれてしまうのは、素晴らしいアイデアですね。
自分の周りに“富士山”を見つけること。
その山頂に立てるべき“脚立”は何かを探すこと。
それが、微差力を成功に結びつける秘訣といえます。
実力は「重続」のループ
「継続は力なり」とよく使われる言葉です。
ただ、一人さんの経験からいうと、「重続は力なり」だとのこと。
重ねて続ける。
どういうことかと言うと、私は、ものを、まずやってみます。
車でループ橋を走っていると思ってもらうと、わかりやすいんですけれど。私はとりあえずやってみる。そして、ぐるーっと走って、一周してきたときには上にいます。わかりますか? 要は、最初の失敗の上に乗っかるんです。
そして、また、ぐるーっと回って行って、次、次って重なりながら、上にあがって行く。これをやっていると、競争がいらないのです。
だから、とりあえず、やってみる。やってみたら、「ここがマズかった、今度はこうしよう」とか、やってみてわかることがあるのです。
そうすると、それを改良して、またそこへ来て改良して、また来て改良して・・・・という。
これが神の仕組みなんです。
ぐるーっと回って、重続しながら上にあがるのです。
飛行機が離陸するときみたいに、直線状にあがるのではないのです。
ただ、前にも言ったとおり、これからの時代は、大きいことを求めてはいけません。人生、何でも微差です。微差を積み重ね続けるのです。
この微差の積み重ねが、とんでもなく大きなことを生みだすのです。
商売も、微差の重続なんです。『微差力』 一人さんが教えた精神論 より 斎藤一人:著 サンマーク出版:刊
同じ場所をぐるぐる巡るのではなく、円を描きながらも少しずつ上っていく。
つまり、螺旋(らせん)状の階段を登るようなイメージですね。
登っている感じはあまりないけれど、気づくとかなり高いところまで登っていた。
微差を重ねて続けることには、そんな強い力があります。
「重続は力なり」
覚えておきたい言葉ですね。
地球は、「想念して行動するための星」
一人さんは、この地球という星は、想念して行動する星
である述べています。
地球上では、思っているだけで行動しなければ、なんにもならない
ということ。
だから、行動する。
行動するときは、いいことの微差です。
この微差は、1センチの微差に対して1メートルぐらいのごほうびがあります。そういうものなのです。
もし、1センチの微差で、1メートルのごほうびがなかったとしたら、それは間違った努力をしているのです。
いいことの微差には、必ず、スゴイごほうびがあるのです。それがなかったとしたら、やり方が間違っている。それも、ちょっとの、微差の間違いです。
だから、「笑顔にしなさい」って、笑顔はいいことの微差なんです。その微差に対して、スゴイごほうびがある。なのに、「やったけど、人生、うまく行かない」というのは、笑顔に見えていないのです。
自分は笑ってるつもり。でも、周りのみんなには笑ってるように見えてない。
笑顔とは、歯が見えなきゃ笑顔に見えない。だけど、「歯を出す」と言っても、歯医者で歯を出すような出し方をしていたのでは、ダメなんです(笑)。
人から笑って見えての、笑顔なんですよ、目が垂れたりして。わかりますか?
だから、微差が大差にならなかったら、やり方に問題がある。
あくまでも、微差が大差なんです。
うまく行かなかったら、必ず、その微差が間違っている。だけど、改めればいいだけのことであって。『微差力』 一人さんが教えた精神論 より 斎藤一人:著 サンマーク出版:刊
別に、思い切ったことをやれ、というわけではありません。
ささいに思えることでも、自分にとって「いいこと」を続けることが大事です。
ほんの少しでも、効果を実感できたのなら続ければいい。
うまくいかなかったのならば、それはやり方に問題があるということ。
方法を変えて、またチャレンジすればいいということですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「塵も積もれば山となる」
どんなに高い山でも、小さな一歩を積み重ねることでしか、頂上にたどり着くことはできません。
その「小さな一歩」の大切さをどれだけ理解して実践できるかどうか。
それが、積もり積もって大きな差となるということですね。
「微差力」を鍛えて、日々の小さな努力を、大きな結果につなげたいですね。
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