【書評】『健康は「時間」で決まる』(根来秀行)

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 お薦めの本の紹介です。
 根来秀行先生の『健康は「時間」で決まる』です。

 根来秀行(ねごろ・ひでゆき)先生は、内科学、腎臓病学、抗加齢医学などを専門とする医師です。
 現在、ハーバード大学医学部客員教授などを務められ、最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的にご活躍中です。

一日のリズムは「時計遺伝子」が決めている


 昔から、「早寝早起きが、健康的な生活の基本」と規則正しい生活習慣が大切だと言われています。
「なぜそうなのか」という理由は、ごく最近まではっきりとわかっていませんでした。

 この謎を解明する糸口となったのが、「時計遺伝子」です。
 時計遺伝子は、関連するものを含めて20種類以上存在し、人間の体を構成する約60兆個の細胞すべてに存在します。
 時計遺伝子が血管の収縮、血圧、体温、免疫力などの日内変動を起こす。
 そうすることで、人間の生活リズムが制御されています。

 根来先生は、「体内時計こそが健康とすべての幸せな人生の鍵」であるとし、自分の体内にある「時計」を意識して、時を刻むその音に耳をすませることを「習慣化」するだけで、あなたの人生や仕事の質はぐっと高まると指摘します。
 
 本書では、時計遺伝子などの眠りの仕組みを解説し、毎日の生活の中で使える方法やアイデアをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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太陽の光でリセットされる体内時計


 人間は約24時間単位のサイクルで生活しています。
 この人間の体内にあらかじめ組み込まれたリズムは、「概日リズム(サーカディアンリズム)」と呼ばれます。
『人間のサーカディアンリズムは「24時間11分」』であることが突き止めらています。

 この体内時計にもっとも大きな影響を及ぼすのが「光」です。
 人間の体内時計が24時間よりも長いサイクルのリズムを持っており、これは太陽の光によってリセットされます。

 リセットされないままで24時間11分サイクルの体内時計が動き続けると、24時間の生活時間と毎日11分ずつのずれが生じますが、そのずれをうまく調節するためのスイッチが光なのです。
 体内時計が乱れると、体調は急激に悪化します。単に「眠い」というだけではなく、不眠になることはもちろん、心身の安定が欠けていき、全身に病気のもとになる兆候が現れてきます。さらに筋力、免疫力も落ちます。
「早起きをして太陽の光を浴びてから活動する」ことは、人類が進化の過程で生き延びるために獲得した、とても重要な「習慣」といっても過言ではありません。
「昼間に眠い」「夜眠りにくい」ことは、全身の健康に大きな害を与え、それが寿命にも病気の発症にも、美容にも大きな悪影響をもたらすのです。

  『健康は「時間」で決まる』 第1章 より  根来秀行:著  かんき出版:刊

 もし、毎朝太陽の光を浴びない生活をすると、体内時計は一日に11分ずつ狂っていきます。
 体内時計の乱れは、体調の乱れにつながります。
 毎朝、ずれた体内時計をちょっとずつ調整して、その日一日を快適に過ごしたいものです。

睡眠は体にとっての「再生工場」


 皮膚や骨、筋肉などさまざまな臓器で古い細胞から新しい細胞に入れ替わります。
 その働きを促進するのが、「成長ホルモン」です。
 成長ホルモンは、一日の総量の約70%が睡眠中に分泌され、それも寝入りばなに訪れる深いノンレム睡眠のときにもっとも多く出るとのこと。

 睡眠は「ノンレム睡眠−レム睡眠」の繰り返しがつづくものですが、眠りは入眠直後からもっとも深くなります。これは深いノンレム睡眠で、このときはほとんど寝返りも打たず、夢も見ません。その後、レム睡眠が訪れ、もう一度深いノンレム睡眠へ入るというサイクルを約90分〜120分間隔で繰り返し、三サイクル目からはノンレム睡眠も浅めになってきてレム睡眠が増え、徐々に覚醒につながっていきます。
 寝入りばなの約3時間の間の深いノンレム睡眠中に成長ホルモンが大量に分泌されることになるので、まずはこの深いノンレム睡眠をしっかりとれるかどうかによって細胞レベル、遺伝子レベルでの修復、体の再生の違いが大きくなります。再生がすみやかに行われることで、前日のさまざまなダメージを取り除き、病気のもとを体内に蓄積させないようにしてくれているのです。
 この成長ホルモン自体は直接、時計遺伝子に制御されているわけではありませんが、睡眠そのものは時計遺伝子の影響を受けます。そして、睡眠の時間によってノンレム睡眠の時間が決まってきます。寝入りばなの一番深いノンレム睡眠のときに成長ホルモンがもっとも分泌されるわけですから、成長ホルモンは間接的には時計遺伝子の影響を受けているともいえます。

 『健康は「時間」で決まる』 第2章 より 根来秀行:著 かんき出版:刊

 健康維持のためには、「毎晩12時前にはベッドに入り、ぐっすり休んで朝6時〜7時に起きる生活習慣をつけること」です。
 睡眠には、体の修復・再生という重要な役割があります。
 次の日を快適に過ごすためにも、規則正しい生活のリズムを身につけたいですね。

朝食は「タンパク質」をしっかりとろう


 光によって体内時計がリセットされる。
 その理由のひとつが「メラトニン」というホルモンの生成・抑制です。
 メラトニンとは、人間を眠りに誘ううえで大きな役割を果たすホルモンのことです。
「睡眠ホルモン」ともいわれています。
 朝、太陽の光を浴びて体内時計のスイッチが入ってから約15時間後に分泌が始まります。
 メラトニンが活発に働き出すことで、体は睡眠モードに入り、ぐっすりと眠りにつくことができるようになります。

 メラトニンの材料となっているのが、「セロトニン」と呼ばれる物質です。
 セロトニンの原料は、「トリプトファン」というアミノ酸です。

 トリプトファンは、体内で合成できない必須アミノ酸の一つですから、食事のときに外部から体内に取り入れる必要があります。
 トリプトファン不足はセロトニン不足に直結し、セロトニン不足はメラトニン不足につながります。
 とくに、最近の研究で、健常男性のほうが女性より脳内セロトニンを産生する能力が高く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の四倍減少するということがわかりました。このセロトニン不足が慢性頭痛の原因になるとも考えられています。女性でこのような症状が気になっている方は、とくにトリプトファンをとるように心がけましょう。

 トリプトファンはアミノ酸ですから、タンパク質の多い食品にたくさん含まれます。肉はもちろん、豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やチーズなどの乳製品、ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類、バナナなどです。
 朝食でとるなら、納豆や牛乳、バナナなどが手軽です。タンパク質が不足しがちな人はトリプトファンも不足しますから、注意してください。朝から肉は重いという人なら、豆腐の入った味噌汁やヨーグルトなどで補うといった工夫をするといいと思います。

 『健康は「時間」で決まる』 第4章 より 根来秀行:著 かんき出版:刊

 トリプトファンの不足は、快適な睡眠を妨げます。
 ダイエットをしていて朝ごはんを抜いているという女性は要注意ですね。
 トリプトファンは、必ずしも「朝とらなくてはいけない」というものでありません。
 一日の中で、上手に摂取していきたいですね。

筋トレのゴールデンタイムは「アフター5」


 継続的な軽めの運動も、夜ぐっすり眠るための有効な手段です。
「運動などのトレーニングは、夕方の時間帯(午後5時〜7時)に行なう」のが理想的です。
 根来先生が勧めるトレーニング方法は、「無酸素運動+有酸素運動」の組み合わせです。
 筋力アップによる基礎代謝向上、体脂肪燃焼、成長ホルモンの分泌を効率的に行なえます。

「無酸素運動+有酸素運動」によって体内ではこんなことが起きています。まず、ちょっときつめの筋トレなど、無酸素運動によって成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解しますが、このまま運動をやめるとまた脂肪に戻ります。しかし脂肪酸とグリセロールは、非常に燃焼しやすい状態になっているのです。ですから、ここで短時間でもウォーキングなどの有酸素運動を行なうと、分解された脂肪がエネルギーとして使われて燃焼し、ダイエット効果もあるというわけです。
(中略)
 ビジネスマンだったら、たとえば夕方の退社時にオフィスで5分くらいの簡単な筋トレをして、自宅のある最寄り駅やバス停の一つ、二つ前で降り、15〜20分ほどのウォーキングをしながら帰るという方法が手軽なメニューになります。無酸素運動と有酸素運動の間隔は、数時間あいても問題はありません。成長ホルモン分泌は、筋トレ後5〜6時間はつづきますから、自宅に着いてから家の近所のウォーキングという方法でもいいでしょう。この時間帯に無酸素運動+有酸素運動を行なうと、分泌された成長ホルモンを睡眠中に使い、朝までに体を再生することもできます。

 『健康は「時間」で決まる』 第6章 より 根来秀行:著 かんき出版:刊

「筋トレ(無酸素運動)5分+ウォーキング(有酸素運動)15分」の組み合わせ。
 それが、最も効率的で健康的なトレーニングになります。
 工夫して、通勤・通学の合間に取り入れていきたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

社会全体が昼夜の区別なく動き続けている今の世の中。
「朝は早く起きて、夜は早く寝る」という規則正しい生活習慣を維持するのが難しくなっています。
 しかし、人間には遺伝子レベルで決められたバイオリズムがあります。
 それに逆らって健康的な生活は送ることが難しいことが科学的に証明されつつあります。

 寝る間も惜しんで、効率的に時間を使おうと必死になっている人も多いです。
 それよりも「より健康的に時間を使うためには」という発想をする。
 そのほうが、長期的には優れたパフォーマンスを発揮できます。
「時間」を味方にして、健康的な生活習慣を身につけたいものですね。


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コメント

  1. paleo recipes より:

    We can alter the varieties once we like, and it’s the best to pick those that
    are an excellent source of chlorophyll and dietary fibers.
    This could lead you to definitely eating more, so transform it
    into a habit to keep yourself hydrated after meal or
    perhaps a glass before meal. On the opposite hand, you’ll be able to consume 1,
    200-1,500 calories daily in 3-6 meals and lose fat easily.

    These foods constitute deep fried foods and many foods are
    full of carbs. Avoid taking junk food, alcohols, drugs and beverages that
    incorporate high sugar levels.

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