【書評】『文章は型が9割』(高橋フミアキ)

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 お薦めの本の紹介です。
 高橋フミアキさんの『文章は型が9割』です。

 高橋フミアキ(たかはし・ふみあき)さんは、作家・ヒプノセラピストです。

「型を覚える」だけで文章の達人になれる3つの理由

 高橋さんは、文章の達人になるためには文才なんて必要ありませんと述べています。
 文章には、「型」があり、それを覚えれば、誰でも文章の達人になれるからです。

 高橋さんは、「型を覚える」ことのメリットとして、以下の3つを挙げています。

理由1 文章で読者をハッとさせられる
 短い文章でも読みづらいと読者は離れていきます。FacebookもTwitterも短いですが文章が重要です。画像は目に止まりますが、気のきいた文章がなければユーザーはすぐに違う誰かのところへ行ってしまいます。
 文章が必要なのです。文章がFacebookやTwitterからセールスページにユーザーを誘導するのです。それはキャッチコピーや見出しなどの短い文章かもしれません。その文章がなかったらユーザーを誘導することはできないのです。
 短い文章も馬鹿にしてはいけません。たった1本の見出しやキャッチコピーが巨万の富を生み出すのです。それには読みやすくて読者がハッとするような文章を書く必要があります。
 でも、型さえ覚えれば楽勝です。

理由2 財産としての文章が書けるから
 広告は一瞬で消えます。テレビCMは15秒。長くても60秒。チラシも消費者の手に渡った瞬間ゴミ箱入りです。ネット広告も契約期間が終われば消えます。
 しかし、コンテンツは永遠に財産として残るのです。小冊子やフリーマガジンは保存率が高く説得力があります。ブログやWebマガジンの記事は永遠に残り、アクセス数を稼ぎ続けてくれます。まさに財産です。
 しかし、心をつかむ文章でなければいけません。最後まで一気に読んでもらえるような文章を書くことです。そのためにはどうすればいいのでしょうか?
 これにも型があります。型さえ覚えれば、最後まで一気に読んでもらえるような文章がかけます。

理由3 感動させる文章が書けるから
 自分の文章で知らない誰かが感動してくれる、そんなイメージはできますか? 読者かあなたの文章を読んで感動の涙をながすのです。あなたの文章を深く心に刻み、忘れられなくなるのです。
 たとえばHPにあなたのプロフィールを感動的に書いたらどうなりますか? 社長の挨拶(あいさつ)を感動的に書いたらどうなるでしょう? 商品開発の誕生秘話が感動的に書いてあったらどうでしょうか?
 読者はきっとあなたのファンになるはずです。
 あなたが書いたセールスレターが読む人を感動させ、楽しませるのです。感動の文章が消費者の心を動かします。
 セールスレターがあなたの代わりに営業してくれるのです。有能で文句を言わない営業マンを雇ったようなものです。

『文章は型が9割』 まえがき より 高橋フミアキ:著 フォレスト出版:刊

 表現力や語彙力は、一朝一夕で身につくものではありません。

 高橋さんは、たとえ表現力や語彙力が中学生レベルだとしても、型さえ守っていれば、「わかりやすい」「論理的」な文章が書けるようになると述べています。

 本書は、「文章の達人」になるための「型」を、目的ごとに具体例を交えてわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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文学にも使われている「心に響く文」の5つの型

「文」が集まって「文章」になります。
 まずは、文の型を押さえることから始まります。

 高橋さんは、以下の「感情を揺さぶる5パターン」を挙げています。

イメージが伝わる名詞を繋いで読者を引き込む

 蘭陵(らんりょう)の酒を買わせるやら、桂州の竜眼肉(りゅうがんにく)をとりよせるやら、日に四度色の変るボタンを庭に植えさせるやら、白孔雀を何羽も放し飼いにするやら、玉を集めるやら、錦を縫わせるやら、香木の車を造らせるやら、象牙の椅子をあつらえるやら、その贅沢(ぜいたく)を一々書いていては、いつになってもこの話がおしまいにならない位です。

 この例文は芥川龍之介の『杜子春(とししゅん)』からの引用です。この1文で唐(とう)の時代の雰囲気やイメージが読者に伝わります。イメージが伝わるような名詞を並べるだけでいいのです。

セリフ回しを使って読者との距離を縮める型

 ハテナ? では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。

「ハテナ」とか「やっぱり手紙なのかしら」といったセリフのような言い回しをすると読者との距離がグンと近づきます。
 この例文は、江戸川乱歩の『人間椅子』です。

強烈なメッセージをシンプルに伝えることで印象に残す型

 恥の多い生涯を送って来ました。

『人間失格』(太宰治)の中にある一文です。この文が妙に印象に残るのはなぜでしょうか? ネガティブなメッセージを、短くシンプルに書いているからではないでしょうか。

ギャップを使って読者をドキッとさせる型

 桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!

『桜の樹の下には』(梶井基次郎)の書き出しです。「桜」と「屍体」のギャップが大きいので、ドキッとします。

メタフィクションで意表をつく型

 おらのことは、『トム・ソーヤーの冒険』っていう本を読んだ人でなければ、だれも知るめえが、そんなことはかまわねえ。

『ハックルベリー・フィンの冒険』(マーク・トウェイン)の冒頭の文です。これは作り話であることを意図的に気づかせるのですが、読者は意表を突かれたような気持ちになります。このように、作中であえて作り話であることを表現したり、小説の中に小説を登場させたりすることを「メタフィクション」といいます。

『文章は型が9割』 第1章 より 高橋フミアキ:著 フォレスト出版:刊

 頭に残るインパクトのある文というのは、それなりに理由があります。
 洋の東西を問わず、名作と呼ばれている文学作品には、宝石のように光る一文がたくさん散りばめられています。

 本をたくさん読むと、文章がうまくなる。
 それは、文章の「型」を学ぶことができることが理由なのでしょう。

 私たちも、文豪たちをまねて、心に響く一文を書いてみたいですね。

「人物のキャラクターを分かりやすく伝える文章」の型

「文」がいくつか合わさった「文章」になると、応用の幅が広がります。

 高橋さんは、「人物のキャラクターをわかりやすく伝える文章の型」を以下のように説明しています。

 STEP-1 性格
〇〇は[    ]な性格だ。
 STEP-2 性格を端的に示す事例1
〇〇は子どものときに[    ]をしたエピソードが残っている。
 STEP-3 性格を端的に示す事例2
さらに、〇〇は[    ]という行為までている。

人物で一番知りたい要素は性格
 人物を紹介するとき、もっとも重要な要素は性格です。性格というのは言葉を替えると「人間性」ともいえます。どんな人間なのか、読者はその人物の名前や学歴や職業も知りたいでしょうけれど、一番は性格と考えていいでしょう。

性格に合った事例を書くこと
 性格を一言で表現するのは困難です。人間にはいろんな側面があるからです。嫉妬(しっと)深い面もあれば、傲慢(ごうまん)な面や不真面目な面、生意気な面などさまざまでしょう。
 すべての面を紹介することはできません。ですから、その人物を端的に表現する性格の1つにフォーカスしてみましょう。
 そして、その性格に合った、性格の輪郭がより浮かび上がるような事例やエピソードを書いていきます。性格を伝えるときに的はずれな事例を用いる人が多いので注意しましょう。
                      SAMPLE 1
STEP-1 性格
 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。

STEP-2 性格を端的に示す事例1
 小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りることは出来まい。弱虫やーい。と囃(はや)したからである。小使に負ぶさって帰ってきた時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。

STEP-3 性格を端的に示す事例2
 親類のものから西洋製のナイフをもらってきれいな刃を日に翳(かざ)して、友だちに見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないといった。切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合った。そんなら君の指を切ってみろと注文したから、何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。さいわいナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、いまだに親指は手についている。しかし、きずあとは死ぬまで消えぬ。

『文章は型が9割』 第3章 より 高橋フミアキ:著 フォレスト出版:刊

 誰もが一度は目にしたことがあるくらい有名な夏目漱石の小説『坊っちゃん』。
 主人公の坊っちゃんをはじめ、個性豊かな人物描写のうまさも人気の理由のひとつです。

 その裏には、漱石の巧みな文章術がありました。
 わかりやすくて面白いエピソードに、読み手もついつい引き込まれてしまいますね。

不思議と続きを読んでしまう文章の型

 もう一つ、日本文学の名作から、ついつい引き込まれてしまう文章の例を挙げます。

STEP-1 超短文
[   ]は〇〇だ。
STEP-2 STEP-1の補足説明
〇〇なのは△△だからだ。
STEP-3 STEP-2の補足説明
その△△は□□だった。

最初の1文は超短文にする
 文章の書き出し文や段落の最初の1文をわざと超短文にします。20文字以下です。
 超短文を読むと読者はさまざまな疑問を持ちます。疑問を持つから次が読みたくなります。人間には好奇心がありますから。
 読者が持つ疑問を事前に予測して、それに答える形で補足説明していくのがこの型です。

読者が知りたいことを書く
 多くの人は、どうしても言いたいことや伝えたいことをだらだらと書いてしまいがちです。しかし、言いたいことは超短文で書く最初の1文に込めるか、最後に書いてください。
 最後まで一気に読ませたいのであれば、自分の言いたいことを書くのではなく、読者が知りたい情報を書いていくことです。

                      SAMPLE 1
STEP-1 超短文
 メロスは激怒した。

STEP-2 STEP1の補足説明
 必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らして来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれたこのシラクスの市にやって来た。メロスには父も、母も無い。女房も無い。

STEP-3 STEP2の補足説明
 十六の、内気な妹と二人暮らしだ。この妹は、村の或る律儀な一牧人を、近々、花婿として迎えることになっていた。結婚式も間近なのである。メロスは、それゆえ、花嫁の衣装やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。今は此のシラクスの市で、石工をしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねていくのが楽しみである。
(中略)
  STEPの解説
STEP-1 超短文
 例文1は太宰治の『走れメロス』の冒頭部分です。主語、述語のみの超短文ではじまっています。

STEP-2 STEP1の補足説明
「メロスは激怒した」と書いてあると、読者はなぜ激怒したのか疑問に思うはずです。さらに、メロスはどんな人物なのか知りたがるはず。だから、次の文でそれを説明していきます。
(中略)
STEP-3 STEP2の補足説明
 例文1の補足説明部分で「メロスには竹馬の友があった」という言葉が出てきます。この友はいったい誰なのかという新たな疑問が生まれてきます。そこで、次の文章ですぐにその答えを補足説明するわけです

『文章は型が9割』 第4章 より 高橋フミアキ:著 フォレスト出版:刊

 やはり「つかみ」は大事です。

「メロスは激怒した」

 誰もが知っている太宰治の『走れメロス』の書き出しは、計算され尽くして書かれたもの。

「型」を理解すると、それがよくわかりますね。

演繹法(3段論法)で相手を納得させる文章の型

 頭のいい人は、わかりやすい文章を書きます。
 それは、論理的な文章だからです。

 論理的な文章とは、筋道を立てて物事を説明したり解明する文章のことです。

 高橋さんは、論理的な文章の代表として「演繹法(三段論法)」を挙げています。

STEP-1 A=B(大前提)である
AとはBのことだ。

STEP-2 B=C(小前提)である
そしてBとはCともいえる。

STEP-3 ゆえにA=C(結論)である
つまり、AとはCなのである。

論理的で説得力がある
 これは3段論法と呼ばれるライティング技法です。誰もが正しいと思える事実を起点として、妥当な結論を導き出す「演繹(えんえき)法」の一種です。ポイントは誰もが正しいと認めている事実を積み上げていくことです。定理や法則なども使えます。
 この型で書かれた文章は論理的で説得力があります。

主張や意見には理由をつける
 大前提とは、言葉を換えると筆者の「主張」や「意見」です。くれぐれも、「自分には何の主張や意見もない空っぽなんだ」と卑下(ひげ)しないでください。テレビに出ている評論家たちだって、ありきたりなコメントばかり言っているではありませんか。結局は、誰がどんなことを言っているのかを調べて、どの主張や意見をあなたが選ぶかなのです。
 ただし、主張や意見には理由をつけるようにしましょう。

                      SAMPLE 1
STEP-1 A=B(大前提)である
 生き残る会社とは、変化する会社のことだ。
 ダーウィンの進化論の中にこんな名言がある。「もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」
 環境は常に変化する。暑かったと思えば寒くなる。ビジネス環境も同様に、昨日まで売れていたものが急に売れなくなる。その変化に適応できなければいくら大企業といえどもつぶれてしまう。いくら優秀な大卒社員を集めたとしても倒産するのだ。
 だから、企業が生き残るには、環境変化に適応して変化しなければいけない。

STEP-2 B=C(小前提)である
 変化するには学びが不可欠だ。環境がどのように変化するのか、それに適応するにはどうすればいいのかを学ばなければいけないからだ。
 つまり、変化するには学びが必要なのだ。

STEP-3 ゆえにA=C(結論)である
 したがって、生き残る会社とは、学び合う会社のことだ。社員一人ひとりが学び変化する会社最強だといえる。個人においても、生き残るには学んで変化することだ。
(中略)
 STEP解説

STEP-1 A=B(大前提)である
 もしかすると、何を大前提に持ってくるかで迷うかもしれません。コツは、先に結論を考えておくことです。「生き残る会社とは、学び合う会社のことだ」という結論を導きだすために、どんな小前提があるかを考えます。それから大前提を考えれば、案外簡単に見つかります。

STEP-2 B=C(小前提)である
 小前提は、大前提と結論の橋渡しになるものです。だから、両者の要素が入っていなければいけません。高橋フミアキは人間だ。人間はみんな死ぬ。したがって高橋フミアキは死ぬというように。

STEP-3 ゆえにA=C(結論)である
 結論を書くときには「ゆえに」「したがって」「だから」という言葉を使うといいでしょう。もちろん、こうした言葉がなくても大丈夫です。

『文章は型が9割』 第6章 より 高橋フミアキ:著 フォレスト出版:刊

 誰でも知っている「三段論法」。
 誰もが反論できないほど論理的だからこそ、抜群の説得力を持ちます。

「型」として意識して使うか、使わないかは、文章全体のわかりやすさ、明快さに大きな差が出てきますね。

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「文章は、オリジナリティが大事」

 私たちはそう考えて、自分の頭の中から「自分らしい文章」を一からひねり出そうとします。
 そして、自分の文才のなさを嘆いてしまいがちです。

 しかし、高橋さんはオリジナル性を出したければ、「型」を身に着けてからにしたほうが早道になるとおっしゃっています。

 何事も、上達の秘訣は「学ぶより真似ろ」です。
 もちろん、文章も、例外ではないということですね。

 個人の発信力がますます問われてくる、これからの時代。
 本書を片手に「型」を手に入れて、周囲から一目置かれる“文章の達人”を目指したいですね。

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