【書評】『関節可動域を広げる本』(原秀文)

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お薦めの本の紹介です。
原秀文さんの『体のかたさも痛みも解決する!関節可動域を広げる本』です。

原秀文(Shu Wun Yuan)(シュウン・ユエン)さんは、パーソナルトレーナーです。

痛みの原因は「関節可動域」にあり!

肩こりや腰痛が治らない。
いくら整体やマッサージなどに行っても、しばらくすれば、また痛みが再発する。

じつは、この原因は「関節可動域(かんせつかどういき)」にあります。

「関節可動域」とはあまり聞きなれないことかもしれません。しかし、体がかたくなったり、痛みが出ている時には、
「関節間に不要な組織がたまっている(付着している)」
「動かせる空間が狭くなっている」
のです。

ためしに、ご自身の足を見てみてください。
足の親指からつけ根までがうんともすんとも動かない。5本の指たちはすべて仲良しこよし、寄りそっている状態になっていませんか?
このような状態の場合、私がお手伝いをして足の親指の第一関節や、つけ根を反ったり曲げたりすると「ポキ、ポキ」と音が鳴ることがあります。音が鳴った後は、ご自身で足の指をグー、パーと動かすことができるようになります(※通常の指をならすのと意味合いが違います)
これは足の指の関節を使わずに歩いているために、体液の流れが滞り、指の関節に不要な組織がたまっていると考えられます。
しかも、体は末端にある関節から中心にある関節がすべて少しずつスムーズに動くことによって、しなやかで滑らかな動きができるようになっています。ですから、指の関節が動いていない分、別の関節に負担がかかってしまいます。なので膝、腰、背中などに痛みを感じている人もいるのではないでしょうか?

「関節」はあまりクローズアップされにくい部位かもしれません。
しかし、体を動かす“要”であり、フル稼働させることで柔らかく、強くしなやかな体を手に入れることができます。
そうは言っても、加齢には勝てない・・・・・
いろいろ試したけれど何をしてもよくならなかった・・・・・
なんて諦(あきら)めないでください。
関節間の不要な組織を「流すこと」と関節の可動域を広げる「反るトレーニング」、さらに「広がった可動域を使い続ける」を行えば、誰にでも痛みが少ない生活を送ることはできると思います。
実際に、私のクラスに来ている70歳の方々には、ブリッジ、開脚、壁ありの倒立までしてしまいます。みなさん、もともと「膝が痛い」「足腰がしびれる」など不調を感じてきている方々なのですから、どんな状態でも、いくつになっても、関節の使い方で体を変えていくことができるのだと強く感じます。

『関節可動域を広げる本』 はじめに より 原秀文:著 青春出版社:刊

本書は、関節可動域を広げることで、本来の強くしなやかな体を取り戻すための方法をわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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体は「乾燥昆布」のように萎縮する!

痛みが起こる時、関節軟骨のすり減りや関節の間が狭くなる、関節の偏った動きなどにより周辺部位が炎症を起こしています。
この症状を「拘縮(こうしゅく)」と呼びます。

拘縮とは、関節を取り巻いている結合組織の部分が癒着、(ゆちゃく)、けがや手術後の瘢痕(はんこん)、何年も同じ場所を使う、もしくは使わない場合に起こるものです。

一般的に、歳を重ねると、どんどん背中が丸くなっていきますね。
例えると、乾いた昆布のようにクルクルと丸く、乾いて萎縮(いしゅく)するようなイメージです。

 体が乾燥するという言い回しをしましたが、これはインドのアーユルヴェーダの概念です。医学的には「廃用性萎縮(はいようせいいしゅく)」といいます。拘縮(こうしゅく)の仲間で、あまりにも使われないと筋肉が萎縮する、というものです。

具体的に解説していくと、筋肉は使わないとコラーゲンの量が増えて筋肉や関節周辺にまとわりつきます。同時に筋肉間も癒着し筋肉を潤わせない動きになります。
コラーゲンというのは、結合繊維組織のことをいうのですが(イメージはお肉と皮をつないでいる白い部分や腱から皮の白い部分で、スーパーで皮つきの鶏肉を買って、家で皮をひきさく時にこの部分を見ることができます)、この部分が大きく、強く、硬くなることで柔軟性や筋肉が動くことを妨げます。さらに、その部分の代謝も阻害します。
代謝が少なくなるとさらに硬くなります。
一方で代謝が盛んだと透明感もあり、伸び縮みしやすいものになります。赤ちゃんのお肉のように潤いがあるのです。
年齢を重ね、代謝が低下して筋肉が萎縮し、コラーゲンがへばりついて、代謝が阻害されて水分が行きわたらないため“乾燥”していくのです。
こうして体は丸くなってしまいます。

ただでさえ体は丸くなるのが自然の摂理。加えて、長時間のパソコンやスマホの仕様など内向きの姿勢を日常的にとっている人が増えています。
このような姿勢が定着してしまうと、肩こりや腰痛、股関節など節々の痛みに加えて、
■病気ではないのに呼吸器の不具合があり、咳が出たり、苦しいと感じる
■股関節亜脱臼
■股関節変形症
■半月板損傷
■五十肩
などなど、日常生活に支障をきたす不具合が出ます。
これは、内向きの姿勢は立っている時、小さな関節に負担をかけているからです。しかも、動作を行う時に同じ場所ばかりに負担がかかって、組織を傷つけたり、骨を傷つけたりしていきます。これか関節の不具合を拡大している原因のひとつです。
このような時、痛みのある個所、そしてより動きを深めたい部分にアプローチすることが多いかもしれません。しかし、まずは丸くなる原因である「背骨」を反らせると共に、末梢の関節も反るように使うことで、様々な体の悩みが解決していくでしょう。
なぜなら末梢の関節の指令は中枢神経から出しているからです。
中枢神経と末梢神経が相互に何度も連携を取ることで、関節部の動きが滑らかになり、痛みも緩和されていきます。

『関節可動域を広げる本』 第1章 より 原秀文:著 青春出版社:刊

図1 廃用性萎縮 のメカニズム 関節可動域を広げる本 第1章

図1.「廃用性萎縮」のメカニズム
(『関節可動域を広げる本』 第1章 より抜粋)

関節は、使わないと余計なものがくっついて、動きが悪くなります。
動きが悪くなると、ますます使わなくなってしまいます。

そんな悪循環を断ち切り、関節可動域を広げること。
それが、痛み知らずの体になるための秘訣だということですね。

「関節可動域」を広げていくには?

では、どうしたら使えていない関節を十分に使っていくことができるのでしょうか。

それには以下の2つのことが必要です。

1、体液の循環をよくすること
2、体の構造をそれるようにつくりなおすこと

【体液の循環をよくする】
なぜ、体液の循環をよくしないといけないのでしょうか?
それは、前ページで「乾いた昆布のように萎縮する」と書いた通り、体液がめぐっておらず滞っているからです。
乾いた昆布も水に戻すと少し乾く前に近づきますよね? 人間も、体をつくりなおそうとした場合に体液をめぐらせる必要があります。乾いた昆布をいきなり曲げると折れてしまうように、人間の体も体液をめぐらせることが不十分だと怪我につながるのです。

体液の循環をよくするには、「マッサージ」と「有酸素運動」が有効です。
そもそも、関節の可動域を広げるためになぜ体液の循環を良くする必要があるかというと、骨、皮膚、筋肉、神経は体液のめぐりとともに状態が復元されていくからです。
また、体の古い組織は関節間にたまる(コラーゲン組織が固まったもの)場合があります。これが癒着の原因となり、動かしにくい関節となってしまいます。このように関節間に不要な組織がたまることによって、関節間の動きの連動性もなくなります。
これでは体を動かしても“しなやかさ”がないので、踏ん張らなければなりません。
そしていつも踏ん張る関節に炎症やこわばり起こってしまうのです。
ですからそのこわばりを和らげるために「押す」のではなく「さする」ようなマッサージと、体液をポンプのようにめぐらせていく有酸素運動が効果的なのです。
この2つを定期的に行うと、体液の流れをよい状態にし続け、偏った角度ばかりに力が入らないような、質の高い筋肉や結合組織も手に入ります。動けば動くほどに、細やかな関節間に体液が満たされて関節可動域が増加していきます。

【体の構造を反れるようにつくりなおす】
人は体の中でよく使う場所と、全然使わない場所があります。
例えば、手の甲側、足の甲側、胸の真ん中、太ももの裏側などです。
全然使わない場所の筋肉や神経は細く、小さく、弱いです。
このような場所を強化して、ひとつの動作に多くの筋肉を使用していくことで負担が分散され、細かな動きができていきます。
わかりやすいのが、バレエの方々が足を上げていく場面です。通常のストレッチだけを行ってもあんなに高く足を上げることはできないと感じるでしょう。あんなに足を高くあげられるのは、筋肉や神経の成長が伴うストレッチやトレーニングを行ってきたからです。

『関節可動域を広げる本』 第1章 より 原秀文:著 青春出版社:刊

萎縮して可動域の狭まった関節は、本来の位置からズレてしまっていることが多いです。
それを改善するには、潤いを与えて、本来の状態に戻してあげることが何よりも重要だということですね。

錆びついて動きが悪くなったドアの蝶番(ちょうつがい)も、錆を落として潤滑油を差すことで、動きがよくなります。
メンテナンスが必要なのは、人間の関節も同じですね。

「マッサージ」で体液を循環させていく

体液の流れを良くするためにターゲットにするのは、曲がりにくい関節ではありません。
その関節の両隣の筋肉の質感を高めることが可動域を広げる大きな要因となります。

原さんは、その中でも前腕、ふくらはぎは体液をめぐらすとても重要な部分だと述べています。

図2 足の構造は扇子のよう 関節の可動域を広げる本 第2章

図2.足の構造は扇子のよう!
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)

 体中の血液をめぐらせていくためにも、ふくらはぎと前腕がしっかりと動く土台をつくっていくことが大切です。

では手から始めます。
手のマッサージ(詳しいやり方は下の図3を参照)では「中手骨(ちゅうしゅこつ)」の間を広げていきます。
中手骨の下には細かい石のような骨がゴロゴロと集まっています。この部分を動かすことがないと、固まり、手根骨の動きが悪くなってきます。
つまり、手首の動きが悪くなってしまうわけです。
そこで、動きにくい根本ではなくて、動きのある中手骨から指先の骨に向かって動きや広さをつくっていくのです。これを続けていくことで、じつは手を苦しめていた前腕の筋肉のこわばりが解けてきます。少し痛くてもめげずに、行ってみてください!
足のマッサージ(詳しいやり方は下の図4を参照)も同じように行っていきます。
足の構造は扇子(せんす)をイメージするとわかりやすいと思います。扇子の根の部分はかかと、扇子の紙の部分と骨の部分が足の指先までのイメージです。
しかし、足のかかとの部分が全く動かないイメージはして欲しくありません。扇子のピンどめの部分は動かないかもしれませんが、そこから骨が放射線状に広がっていきますよね。この発想が大切です!
かかとから中足骨に向かう部分(手では中手骨だった部分)は、見た目にははっきりと動いたようには見えませんが、押し広がっていくものというイメージを持ちましょう。扇子の骨部分である中足骨は大きく広がります。
しかし、硬くなった足はそうそう開きません! こんな時、足を大きく開こうと思ったら、指からの運動刺激が一番早く広がるのです。それも親指と小指からです。
扇子と同じで外側の骨の部分を広げることで全体が広がります。
ということは足がどれだけ曲がって内向きになっていても、指ごと外側へ大きく広げていきます。そうすれば、真ん中の水かきの部分に開く余裕が出てきます。
そうして一つひとつの骨を分けていくようにめくりあげていきます。指だけではなくて足の中足骨からです。
中足骨からかかとの部分まで長いので、手のようにすんなりとつかめない部分もあると思いますが、できる範囲で深い部分をつかんでいきましょう。
足の指が曲がっていて当たり前という人は多いですが、足の指の根が伸びるように取り組んでみてください。足の指はしっかりと伸びてきます。
手足のめぐりがよくなってきたら、少し細かいところも行っていきましょう。
手足の指のマッサージ(詳しいやり方は下の図5を参照)です。
手足の指には、親指2か所、人差し指から小指までには3か所、指の節があります。
ふだんあまり気にすることのない第一関節(つめの近くの骨)は特に注意していきましょう。ここはある程度の年齢に達すると曲げ伸ばしができなくなる方が多いです。指の節には体の不要な組織が固まりになって付着しやすく、加えて指の関節をしっかりと取り巻いている靭帯も強力にできています。
根気よく行っていきましょう。回数を重ねると少しずつ動いてきます。
手足の土台ができたら前腕のマッサージ(詳しいやり方は下の図6を参照)を行っていきましょう。
この部分はコリがあるのが感じにくい部分です。しかしマッサージをするとコリが取れ、楽になったのが感じられるかと思います。

そして最後にふくらはぎのマッサージ(詳しいやり方は下の図7を参照)をして、しっかりポンプが動いていくように仕上げていきましょう!

『関節可動域を広げる本』 第2章 より 原秀文:著 青春出版社:刊

図3−1 手のマッサージ① 関節の可動域を広げる本 第2章

図3−2 手のマッサージ② 関節の可動域を広げる本 第2章

図3−3 手のマッサージ③ 関節の可動域を広げる本 第2章

図3.手のマッサージ
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)


図4−4 足のマッサージ① 関節の可動域を広げる本 第2章

図4−2 足のマッサージ② 関節の可動域を広げる本 第2章

図4−3 足のマッサージ③ 関節の可動域を広げる本 第2章

図4.足のマッサージ
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)


図5−1 手の指のマッサージ① 関節の可動域を広げる本 第2章

図5−2 手の指のマッサージ② 関節の可動域を広げる本 第2章

図5−3 手の指のマッサージ③ 関節の可動域を広げる本 第2章

図5−4 手の指のマッサージ④ 関節の可動域を広げる本 第2章

図5.手の指のマッサージ
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)


図6−1 足の指のマッサージ① 関節の可動域を広げる本 第2章

図6−2 足の指のマッサージ② 関節の可動域を広げる本 第2章

図6−3 足の指のマッサージ③ 関節の可動域を広げる本 第2章

図6−4 足の指のマッサージ④ 関節の可動域を広げる本 第2章

図6.足の指のマッサージ
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)


図7−1 前腕のマッサージ① 関節の可動域を広げる本 第2章

図7−2 前腕のマッサージ② 関節の可動域を広げる本 第2章 図7−3 前腕のマッサージ③ 関節の可動域を広げる本 第2章

図7−4 前腕のマッサージ④ 関節の可動域を広げる本 第2章

図7.前腕のマッサージ
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)


図8−1 ふくらはぎのマッサージ① 関節の可動域を広げる本 第2章

図8−2 ふくらはぎのマッサージ② 関節の可動域を広げる本 第2章

図8−3 ふくらはぎのマッサージ③ 関節の可動域を広げる本 第2章

図8−4 ふくらはぎのマッサージ④ 関節の可動域を広げる本 第2章

図8.ふくらはぎのマッサージ
(『関節可動域を広げる本』 第2章 より抜粋)

私たちの体は、想像以上に、たくさんの関節とそれを動かす筋肉で構成されているのがわかります。

マッサージをする際も、それらを一つひとつに刺激と潤いを与えるように意識したいですね。

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原さんは、トレーナーとしてご活躍されていますが、空中パフォーマーとしての一面もお持ちです。

厳しいトレーニングを重ねるうちに、膝や股関節に激しい痛みを覚えることも多かったそうです。
だましだまし自分の体とつき合ってきた原さんでしたが、どうにもならなくなり、1年間お休みをとって様々なメソッドを体験して治療に取り組みました。

その努力の集大成が、本書で解説されている「関節可動域」を広げることをメインとした独自のメソッドです。

新型コロナウィルスの影響で、なかなか外でたくさん体を動かす機会がない現状。
いつでも家の中で、しかも一人で簡単にできる原さんの健康法は、今の時代にぴったりといえますね。

皆さんも、体が縮こまりがちな在宅勤務のお供に、一冊いかがでしょうか。
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