本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『プロフェッショナルサラリーマン』(俣野成敏)

 お薦めの本の紹介です。
 俣野成敏さんの『プロフェッショナルサラリーマン ― 「リストラ予備軍」から「最年少役員」に這い上がった男の仕事術』です。

 俣野成敏(またの・なるとし)さん(@MatanoAsia)は、大手精密機械メーカーに入社し、三十一歳のときに立ち上げた社内ベンチャーを超優良会社に育て上げた功績が認められて、三十三歳での現役最年少役員に抜擢されます。
 2011年現在、メーカー本体に戻り、同社史上最年少の上級顧問としてご活躍中です。

「プロフェッショナルサラリーマン」を目指そう!

 プロフェッショナルサラリーマンとは、「会社を辞めずに、サラリーマンであることの特権を120%生かして自分の仕事にやりがいを持つビジネスパーソン」のことです。

 変化の激しい今の時代。
「アマチュア発想」のままでは、いつ仕事を失うかわかりません。
 つねにビクビクと、リストラにおびえ続けなければなりません。

 プロフェッショナルサラリーマンになる。
 それは、「働き方」の自由な選択肢を手にすることです。

 会社の業績低下やリストラの噂に、一喜一憂する必要はなくなります。
 そして、毎日が充実して仕事が面白くて仕方がなくなります。

 本書は、「プロフェッショナルサラリーマン」になるためのメソッドをまとめた一冊です。

 俣野さん自身が、実行してみて確かに効果があったこと、あるいは人を使う立場になってから「こういう社員は絶対に引き上げたい」と実感したポイントをわかりやすく解説しています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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プロは配属に文句は言わない

 プロフェッショナルサラリーマンになる、“最低限の条件”は、非常にシンプル。

「若いときはつべこべ言わずに、一生懸命働くこと」です。

 日本企業ではリストラは悪だという認識が強いので、いったん正社員として採用したら、滅多(めった)なことでは辞めさせられません。それならいっそのこと最初から正社員を採用せず、契約社員や季節雇用でいいという動きが広がっています。
 つまり弱者保護の発想が、逆に労働者の非正社員化を促進しているという皮肉な結果になっているのです。
 こんなふうに正社員になりにくくなった若者の間では、「正社員」こそが憧れのポジションです。
 ところが、せっかく正社員になった人たちはあまり幸せそうに見えません。
「希望通りの配属にならなかった」
「抱いていた理想と現実の落差が激しい」
 などの声もよく耳にします。
 あなたもひょっとしたら、日頃からグチや不満を溜め込んでいるのではないでしょうか。もしそうだとしたら、それは正社員になりたいのになれない人たちに対して失礼な話です。
 正社員になりたいのになれない人の中には、もしかしたら世の中を変えたいと思っているプロフェッショナルサラリーマン候補がいるかもしれない。だったらその人たちに席を空けてあげたほうがいいでしょう。
 それがいやなら、自分がプロフェッショナルサラリーマンになって、雇用を創出する位の気概(きがい)を持ってほしいところです。

 『プロフェッショナルサラリーマン』 第1章 より 俣野成敏:著 プレジデント社:刊

 大切なものほど、なくしてみないと、そのありがたみがわかりません。
 仕事や正社員という立場も、その一つなのでしょう。

 どんな会社でも、若い頃から自分のやりたい仕事だけできることは、まずありません。
 仕事のより好みをせず、どんな仕事も全力を尽くしたいですね。

プロは残業代を固定費としてカウントしない

「残業代も給料のうち」
「残業しないと手取りが減ってしまうから、なるべく残業をするようにしよう」

 あたかも残業代が固定費であるかのように、勝手に解釈する。
 今でもそんな社員は、意外と多いです。

 管理職がなぜ無駄な残業を放置しておくのかといえば、管理職になると手当がつく代わりに残業代が出なくなるからです。「おまえらは残業代が出るんだからやってけ。俺はお先に」というような風潮になってしまいがちなのです。
 ところが会社が不調になったりして、経営の側から費用削減を指示されると、管理職はあわてて、「はい、残業代は何時間まで」というようなメッセージを伝えるだけのメッセンジャーボーイになる。
 プロフェッショナルサラリーマンは、しなくていい残業をして、その手当をあてにするようなさもしいことは考えません。収入を増やすなら、自分で仕事をつくることで増やそうと努力するはずです。
 もちろんできる人だって会社に残ることはあります。残業そのものが悪いのではなく、勤務時間内にできることをわざわざ残業でやって、それを固定費にするという発想はアマチュアだと言いたいのです。
 毎月3万円の残業代を固定費としてカウントするようなアマチュアからは、早く脱出してしまいましょう。

 『プロフェッショナルサラリーマン』 第3章 より 俣野成敏:著 プレジデント社:刊

「残業ありき」の考えで日々仕事をこなすと、時間に対する意識が甘くなります。
 結局、ダラダラと仕事をしてしまうことになります。

 これは、時間当りのアウトプットが少ない、つまり、労働生産性の低い「アマチュア発想」です。

 目先の利益(残業代)にとらわれない。
 そして、いかに生産性を上げて仕事を片付けるかに集中する。

 そんな真の「プロフェッショナルサラリーマン」を目指したいですね。

プロは「レール」からはみ出す

 俣野さんは、プロフェッショナルサラリーマンとは、いい意味で、企業の定めたレールからはみ出した人のことだと述べています。

 プロフェッショナルサラリーマンになれば、今までのしがらみから解放されますから、一国一城の主のような状態になって、自由に仕事ができるようになります。いわば免罪符を与えられて、好きなように仕事を任せてもらえるのです。時間的な自由度も比べものになりません。
 でも今までに前例のない働き方をするわけですから、会社としては人事的な扱いに困ってしまいます。
 僕が三十三歳で役員になったときも、関連会社の役員のなかでは最年少でした。
 こうなるとどうしてもまわりの人たちから、生意気と思われてしまいがちです。
「あんな若造のくせに」
「ろくに経験もないのに」
 というような陰口を言われます。
 それでは同じことをしても六十歳ならいいのかといえば、そんなことはないはずです。何歳だろうと、自らの意思で組織が敷いたレールからはみだした人間に対して、風当たりが強くなるものです。
 つまりレールに乗っている人は生意気ではなく、レールからはみ出すことが生意気なのです。
 だったら、生意気と言われることは、ほめ言葉だと受けとめたらいい。
 世の中や会社全体のためになるという信念をもって仕事をしていれば、たとえ意地悪されたとしても気がつかないし、気づいたとしても一時的なもので終わります。会社のために貢献している仕事を組織全体がつぶしにかかることはまずありません。

 『プロフェッショナルサラリーマン』 第6章 より 俣野成敏:著 プレジデント社:刊

 他の人と違うことをやったり、前例のないことをする。
 すると、目立ってしまい、どうしても周りからの風当たりが強くなります。
 しかし、そこで折れてしまってはいけません。

 生意気と言われることは、ほめ言葉だと受けとめる。
「レールからはみ出す勇気」を持ち続けたいですね。

プロはケタ違いのアウトプットを出す

「重大事故が1つあれば、その前に軽微な事故が29ある。その前にはヒヤッとしたり、ハッとしたりすることが300ある」

 これは、「ハインリッヒの法則」と呼ばれています。

 人前に出せるアイデアやすぐれた成果などが生まれる確率も、この法則が当てはまります。
 つまり、1回のいい仕事で評価されるためには、299回の空振りが必要だということ。

 たとえば赤川次郎さんという作家は、今までに400冊以上も本を出しています。この人は天才だから特別だと思ってしまいますが、年間に1000冊以上の本を読んでいるそうなのです。作家デビューした1976年から年に1000冊読破し続けたとすると、累計3万5000冊の本を読んだことになります。本を読んだからといって本が書けるわけではありませんが、読んだ本の数に対して出した本の数は1.14%ですから、アウトプット率としてはよくありません。
 ハインリッヒの法則の300分の1(0.33%)よりはましですが、赤川次郎さんのような天才でもアウトプット率は1.14%だという見方もできるのです。
 ということは、いつも一発ホームランを狙うのではなく、空振りはするものだと覚悟して、できるだけたくさんバットを振ることです。
「俺は299回も空振りしているのに、ヒットしない」
 と落ち込む必要はまったくありません。
 そして空振りしたら、なぜ空振りしたんだろうという分析をすることです。

 『プロフェッショナルサラリーマン』 第8章 より 俣野成敏:著 プレジデント社:刊

 プロゴルファーやプロ野球選手はよく、試合終了後にすぐに素振りをしたり、練習場に行きます。
 それは、そのときのダメだった感覚、あるいはよかったときの感覚を体に覚えさせるためです。

 どんなことでも、大当たりは300回やって1回だけ。
 それくらいの覚悟で、コツコツと続ける必要があります。

 とにかく、打席に立ってバットを振ること。
 そして、空振りした原因を分析して次に活かすこと。

 その繰り返しが、「プロフェッショナルサラリーマン」を作り上げます。

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 先の見えない、変化の激しい時代です。

 独立起業やフリーランス、ノマドといった、既存の組織に縛られない生き方。
 それらに対する関心が、これまでにないほど高まっています。

 俣野さんによると、一般的に、独立起業してうまくいく人は、会社側から見たら辞めなくてもよかった人なのだそうです。
 本当に実力がある人は、場所を選ばずに活躍できるということですね。

 どんな場所で、どんな人と仕事をしても、しっかり結果を出す。
 それが、本物の「プロフェッショナル」です。

 自分の身は自分で守らなければならない、そんな厳しい世の中です。
 会社に依存しない「プロフェッショナルサラリーマン」になるべく、日々精進したいですね。

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