【書評】『ずっと「安月給」の人の思考法』(木暮太一)

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 お薦めの本の紹介です。
 木暮太一さんの『ずっと「安月給」の人の思考法』です。

 木暮太一(こぐれ・たいち)さん(@koguretaichi)は、ビジネス書作家です。
 大手フィルムメーカーに就職、その後いくつかの企業を経て独立。
 現在は、企業・大学・団体向けに多くの講演活動を行なうなど、多方面でご活躍中です。

「ルール」を知らずに闘っても、負けるだけ


 不景気なこのご時世、「自分の給料は安い!」と嘆く人は多いです。
 しかし、「自分の給料がなぜその金額なのか」を論理的に話せる人はいません。

 ほとんどの人が「給料がどのように決まっているのか知っていないから」です。

 支払われる給料には「ルール」があり、そのルールに基づいて支払われています。

 スポーツでも、ルールを知らなければ、戦略を立てることもできないので勝つことはできません。
「給料」についても、同じことがいえます。

 本書は、知られざる「給料のルール」を解説し、収入を増やして生き残るための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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給料はこうして決まる!


 小暮さんは、給料の決まり方は、商品の価格の決まり方とまったく同じように、「価値」と「使用価値」の関係から考えることができると述べています。

 使用価値とは、「それを使うメリット」という意味です。
 パンが使用価値を持つのは、「人がそれを食べて、空腹が満たされるから」です。

 価値とは、「労力の大きさ」の意味です。
「それを作るのにどれだけ手間がかかったか」を計る尺度です。
 同じパンでも、1時間で作ったパンより、10時間かけて作ったパンのほうが「価値が大きい」です。

 消費者は、商品を「価値」で判断し、「価値」をベースに妥当な価格を考えます。

「使用価値」は、需要と供給の法則を通じて、値段に影響を与えます。
 しかし、相場を作るのはあくまでも「価値」、そしてその基準から価格を上下させるのが「使用価値」です。

 ペットボトルのお茶を作るのには、お茶を仕入れる、容器を仕入れる、デザインしてもらう・・・・などが必要です。
 それと同じように、あなたが「労働力」を作るには(働けるようになるには)、食事をしなければなりません。食費がかかります。
 体力を回復させなければなりません。住居や生活設備が必要です。住宅費がかかります。
 服を着なければなりません。衣服代がかかります。
 ストレス発散のために気晴らしが必要です。娯楽費がかかります。
 仕事をするための知力が必要です。このときに知識習得費がかかります。
 これらの合計が労働力の価値になり、あなたの給料を決めているのです。これこそが、給料の正体です。

 『ずっと「安月給」の人の思考法』 第1章 より 木暮太一:著 アスコム:刊

 給料は、自分の価値、つまり「労働力」を生み出す費用で決まります。

 物価が下がり、衣・食・住などにかかる費用が少なくなる。
 そうなればなるほど、私たちの給料は少なくなるのは、ある意味「当たり前」だということです。

(↓「価値」と「使用価値」の関係についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ!)
『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』

「経費精算」に慣れ過ぎてしまわないこと


 小暮さんは、「安月給の人」がはまりやすい思考法を、八つのパターンに分けて解説しています。
 その中のひとつが、「会社の経費で落ちるか」をいつも気にしていること。

 労働者が仕事で使ったお金は、必要経費として会社に請求できます。
 それ自体は自然なことであり、問題ではありません。

 ただ、この「経費精算」に慣れ過ぎてしまうと、自分でお金を「投資」できなくなります。

 たしかに、会社がお金を出してくれればうれしいでしょう。しかし、会社がお金を出してくれるから行くのではなく、自分がその金額に見合う意味があると思ったものには、自分のお金で参加しなければいけません。
 自分のお金であれば、より慎重に使い道を選ぶでしょう。それは自然なことです。
 しかし、「経費精算」に慣れていると、商品を買う基準が「経費で落ちるかどうか」になってしまいます。
 面白そうな本があっても「経費で落ちるかな・・・・」、尊敬する経営者の勉強会を見つけても「参加費5000円か・・・・。経費として認めてくれるかな・・・・」といちいち考えるようになってしまうのです。
 いいものとわかったら買うべきだし、投資をすべきです。あまりにも経費精算に慣れてしまうと、それができなくなってしまう恐れもあります。

 『ずっと「安月給」の人の思考法』 第3章 より 木暮太一:著  アスコム:刊

 身銭を切らないと、人は本気で学ぼうという気が起こりません。

 経費で落ちる、落ちないにかかわらず、どんなものでも「支払うべき代金に見合う価値のあるものなのか」を自分で判断して投資する習慣をつけたいですね。

「今の自分の枠」にとらわれるな!


 給料を上げるために、必要なこと。
 何よりもまず、「労働力の価値を高めること」です。

 労働力の価値は、「自分が仕事をするための体力・知力をゼロから創りあげるとしたら、どのくらいコストがかかるか」で決まります。

「自分」という労働者をゼロから作り上げるのに、できるだけ高いコストがかかること。
 それが最も大切です。
「替えの効かない人材」を目指せ、ということですね。

 自分には何ができるのか。
 どの道に進めばいいのか。

 それに迷ったら、「ハリネズミの概念」に当てはめて考えることが有効です。すなわち、

  1. 「好きなこと」
  2. 「得意なこと」
  3. 「人の役に立ってお金がもらえること」
 これらの三つの質問の回答を円で表し、重なるものを考えて、その部分に資源を集中する戦略をとればいいということ(下図参照)。
ハリネズミの概念
図.ハリネズミの概念 (『ずっと「安月給」の人の思考法』 P220 より抜粋)

 ここで注意しなければならないことは「いまの自分の枠にとらわれないこと」です。

「三つの円」を埋めようとするとき、現実的に考えるのではなく、理想像を描きます。
 その理想像と現実を見比べて足りないところがあれば、それを埋める努力を「これから」すればいいとのこと。

 まず、好きなことを起点にして「ゴール」から考えていきます。好きなことの定義がズレていると、あとでギャップを埋めるのが大変です。嫌いなことを一生懸命好きになろうとしなければなりません。そのため、「好きなこと」の範囲に収まるものの中で、残りの二つの円を満たす内容を考えます。
 そのときには、「商圏の中で一番になれそうなもの」を探すのではなく、「どうすれば、商圏の中で一番になれるか?」を考えてください。自分の好きなテーマの中で、こういう能力があったら、「商圏で一番、日本一になれるか?」を定義するのです。
 同じように、「お客様からお金を払ってもらえそうな内容」を探すのではなく、どういう商品だったら、どういうサービスだったらお客がお金を払ってくれるかを考えるのです。
 多くの人は、「得意なもの」を起点に考えようとします。自分にはこれができる、これが得意だから、と考え始めてしまいます。しかし、お伝えしたように「好きなこと」はギャップを埋めることが難しいです。
(中略)
 もし「人よりはうまくできるけど、じつは嫌い」という仕事内容だったら、ものすごくつらい仕事人生を選ぶことになります。
 知識や技術を身につけることはできますが、嫌いなものを好きになることはなかなかできません。「好きなこと」の中から二つの円に重なる内容を探していくべきなのです。

 『ずっと「安月給」の人の思考法』 第4章 より 木暮太一:著 アスコム:刊

 今、自分のしていることを好きになろうとするのは、「安月給」の人の考え方です。
 世の中で成功している人は皆、自分の好きなことを突き詰めて、その道のスペシャリストになった人たちばかりです。

『好きなことを起点にして「ゴール」から考える』
 個人個人が、そんな長期的な戦略を考える時代だということですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 正社員として入社すれば、普通に勤めても自動的に役職が上がり、給料も上がっていく。
 そんな時代は、すでに終わっています。

 私たちの労働力は、「商品」です。
 その商品の値段である「給料」を上げるためには、給料が支払われる仕組みを理解し、自分の価値を高めるしかありません。

 どこでも、どんな状況でも「代わりのいない存在」として認められる。
 そのためにも、自己投資を怠らず、日々研鑽(けんさん)したいですね。


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