【書評】『「逆境」が男を育てる』(潮凪洋介)

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 お薦めの本の紹介です。
 潮凪洋介さんの『「逆境」が男を育てる: ”番狂わせ”の人生大逆転術54』です。

 潮凪洋介さん(@shionagi)は、エッセイスト、講演家、イベントプロデューサーです。
 20代後半で脱サラし、さまざまな大手企業、メディアとの企画を実現させるなど、多方面でご活躍中です。

人生の“番狂わせ”は、「負けを認める」ことから始まる!


 潮凪さんは、もともと会社を転々とし、何をやっても身につかない中途半端なビジネスマンでした。
 独立し、起業した後も、赤字続きで鳴かず飛ばず。
 多額の住宅ローンを抱え、日々の生活にも困窮する毎日・・・・。

 ところが、そんな「どん底」状態から、鮮やかなV字回復を成し遂げることに成功します。

 まさに、人生の大逆転劇。
 そのきっかけは、「敗北を認めること」でした。

 人間、振り切れると、心の底から不気味な呪文が聞こえてくるようになる。
「あれほどの極限状態を味わったんだから、この体験を活かしてV字回復できるはず」
 腹の据(す)わった状態から、そんな妄想が湧き上がってきたのを覚えている。
(中略)
 この振り切れた状態が、“見えない何か”を動かし、やがて仕事を軌道に乗せ、私はV字回復の波に乗ることができたのだと思っている。
 それまでの私といえば、負けを認めない往生際(おうじょうぎわ)の悪い人間であった。

「会社員のなかでは少しだけ年収がいい」
「一応、ベンチャーの役員」

 取るに足らない小さな優越感で
 無理に自分を奮い立たせていた。

 しかし、心のなかは敗北感で満たされていた。
 それを隠して、“負けないフリ”をしていたのだ。

 ふたをあければ実際は

「退屈な職務内容」
「最悪な職場関係」
「生活していくには十分ではない年収」
「仕事から発生するストレス」

 これらに毒され、世間的にも自己満足的にも完全に敗者であった。
 しかし、この事実を敗北と、きっぱり認めたのである。
 思えばその瞬間が、すべてのはじまりだった。

 潔く負けを認めようではないか。

 考えてもみてほしい。
 負けない人間などいるわけがない。
 できる人間、成功者であっても、“一時的な敗北”は必ずある。

 負けからすべてがはじまる。

 『「逆境」が男を育てる』 巻頭 より 潮凪洋介:著 学研パブリッシング:刊

 本書は、人生の捲土重来(けんどちょうらい)、巻き返しのためのセオリーをまとめた一冊です。

 潮凪さんの経験から生まれた実用性のある方法ばかりを集めています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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視点をずらし、視野を広げる


 どん底の状態から逆転するために必要なこと。
 それは、相性の悪い仕事の隙間を縫うように、自分が心底楽しめる何かを見つけて没頭するという、ある種の「現実逃避力」です。

 自分の志向性にぴったり合った「大好きで得意な仕事」の存在を探り当てるための「超・積極的現実逃避」をすることが重要だ。
 何を隠そう、私自身がこの超・積極的現実逃避により、人生を巻き返してきた。
 息苦しい自己嫌悪と虚無感、のしかかる上司や先輩からのプレッシャー。自尊心をどこに置くべきか? のアイデンティティの崩壊。
 さまざまな混沌(こんとん)とした感情を抱えながら、それでもギリギリの精神状態のまま、「視点」を目の前の「やらなければならないこと」からずらし、突破口を切り開いた。
 勇気を持って、創造的な自暴自棄になって視点を目の前のことから「ずらす」。
 それが「番狂わせの巻き返し」を実現する方法の一つである。
 なぜなら「仕事のできる人」とは、自分の志向性にマッチする「得意な仕事」と出合った人のことを言うからだ。
 彼らのほとんどは、その幸運な出合いからある種の恍惚(こうこつ)状態に入り、痛みを感じることなく努力を継続できた人たちである。
 本来、世の中に「できる人」「できない人」という絶対的な価値観は存在しない。
「できる人」が他の領域で「できない人」に陥落することもあるし、「できない人」が他の領域に移った瞬間、ものすごい能力を発揮して、たちまち世の中から「できる人」の称号を獲得することもある。
 歴史上の偉人、現代における成功者、そしてあなたの周りの「できる人」のほとんどは、まさにこの「仕事との相性」により、その位置まで上り詰めている。
 そしてもう一つ、できる人になるために重要なことがある。
 それは「たった一つのこと」で突き抜けているということ。
 狭い狭いたった一つのことを、高く高く上へ伸ばし、世の中に抜きん出る状態をつくっているということである。私もその部類である。
 今では数十冊の本を出し、なかには20万部超えの作品もある。巻き返しの後には年収も5倍。やりがいに関しては10倍20倍、心の自由度も計り知れない。 しかし会社員時代は日の目を見なかった。それどころではない。いくらがんばっても、成果は出ない。しかも周囲から辛辣(しんらつ)なことを言われる。どんどん周囲の職場の人のことが嫌いになるし、同時に自分のことも嫌いになる。
 そんな最悪な会社員生活を過ごしていた。
 そこで「書く」「表現する」「伝える」という自分に合った「仕事」と出合い、それに従事すると腹を決めた。狭い狭い、たった一つの選択と、その仕事への集中が活路を開いたのである。
 さあ、まずは無神経なまでに現実逃避をしてみよう。
 そして自分のなかを深く深く掘ってみることだ。寝食を忘れてつい没頭してしまうことがあるはずだ。
 その周辺に、あなたが「できる人」になるヒントが埋まっている。
 それは人生を変える「お宝」である。慎重に、そしてじっくりと、腰を据えて掘り当ててほしい。
 できる人になって、人生を変えようではないか。

 『「逆境」が男を育てる』 1 より 潮凪洋介:著 学研パブリッシング:刊

 今いる場所で「できる人」になるのではなく、自分の能力を発揮できる場所で「できる人」になる。
 仕事との相性がいかに重要か、ということです。

「好きこそものの上手なれ」です。
 自分がとことんのめり込めることを探し出し、「超・積極的現実逃避」を始めましょう。

大いにカドを立てよう!


 どんな会社にも多数存在する、不誠実な勤務姿勢の人間。
 顧客をバカにし、陰口を言い続ける彼らに対して、どのような態度で接すればいいのでしょうか。

 周囲の言動を「正す」か「自分が抜け出る」か?
 選択肢はこの二つに一つしかない。
 会社員時代、こうした人間と同じ空気を吸わなければいけないことがあった。
 お客様よりも何倍も性格の悪そうな連中が、こぞって善良そうなお客様の悪口を言っていた。まさに「淀(よど)んだドブ」である。
 私は絶対にお客様への悪口に同調せず、言っている人を見たら「それは違う」とはっきりと言いつづけた。しかし悪口を言っているが決まって上司や先輩、あるいは職場の大多数だったため、正義感ぶる私を周囲は本気で煙たがった。 
私自身、先輩や上司と同じ空気を吸うことに嫌悪感を覚えはじめた。もう同じ人間とは思わなくなっていた。
 これが功を奏し、逆に何でも言えたような気がする。
「無駄なことをして・・・・」
 そんなふうに思っただろうか? しかし、ここで抵抗、主張をせずに「同じ穴のムジナ」と思われるのは心底、嫌だった。
 こうしたカドなら、大いに立てる意味がある。
「自分を腐らせない」という、重要な一点において、あなたはしっかり自分を守ることができる。
 安心してほしい理由が一つある。
 いずれにしろ、その環境は長くは続かないということだ。
 あなたももう、そこには長くいない。あるいはそういう部署は業績的にも、おそらく悪い。だからじきに解散になるか、人員整理がなされる。
 だから、大いにカドを立てればいい。あなたのその“謀反(むほん)のまねごと“が、あなた自身の今後の人生においてどれほど役立つか、計り知れない。
 淀んだドブのような心の人々に迎合しない。仕事で一緒に組んではいけない人を見極める。今、カドを立てることは、その有意義な練習になるだろう。
 世の中で成功している人。仕事を心の底から楽しんでいる人。生きることを楽しんでいる人。そのような人々は8割がた、心がきれいである。前向きで明るく、人の悪口を言ったり、悪い部分ばかりを指摘したりは決してしない。
 私の周囲の成功者はみな、そうだ。ときに心が病んだ成功者もいるが、少数である。
 嫌な人間からの毒をはねのけ、健全な心を守る。それが人生巻き返しの第一歩である。あなたの番狂わせの勝利は、そこからはじまる。

 『「逆境」が男を育てる』 2 より 潮凪洋介:著 学研パブリッシング:刊

 人は、よくも悪くも、自分のいる環境に馴染んでいくものです。
「朱に交われば赤くなる」といいますね。

 周囲が同調したくない人ばかりなら、彼らと一線を画すのは、自分を守るために大切なことです。
 周りの圧力に負けずに自分を貫く、強い意志と勇気を身につけたいですね。

「胸を張って仕事を楽しむ」ための方法とは?


 潮凪さんは、会社の群れのなかで胸を張っているのは、全体の3割前後だと述べています。

 残りの7割の人たちは、周囲を気にしたり、萎縮して息を潜めながら仕事をしています。
 そのような状態から脱するためには、どうすればいいのでしょうか。

 胸を張って仕事を楽しむ! そんな毎日をつくる方法が一つある。
 それは、得意分野で圧倒的な技術を身につけるということだ。
 たったこれだけで、あなたは群れのなかで背中を丸めずに、生きていける。
 さらには特定分野においてリーダーシップを取ることだってできる。
 単純な理論。「圧倒的な技術力に支えられたリーダーシップ」である。
 この単純な原理を、いつしか私たちは忘れてしまう。高尚(こうしょう)なリーダーシップ論で頭がいっぱいになり、頭でっかちになってしまっている。
「人を動かすにはメリットを与えることだ」
「人に任せる視点がリーダーシップとなり、組織を強くする」
 このような高い次元のアドバイスを、誰もが一度は実行しようとする。そして人心操縦術の増強ばかりに目を向ける。しかし、そもそも自分の仕事の技術が稚拙(ちせつ)であることに、リーダー自身が気づいていない。
「プレイングマネジャーになってはいけない!」
 こうした言葉に固執(こしつ)することが、かえってチームの士気を下げることもある。
 大企業ならまだしも、中小零細企業ではこれが致命傷となる。
 今、あなたは人生立て直しの瞬間を迎えている。巻き返さないといけないのだ。
 権限のある職位にいるなら、高尚なマネジメント論の実行もいいだろう。しかしそうでないならば、這い上がるように泥臭くリーダーシップを構築するより他はない。
「あの程度の発想力、企画力、そしてセンスの人にはついていけない」
「あんな技術力の低い人の命令は聞きたくない」
 あなたの後輩は、あなたのことを、そのように思ってはいないだろうか?
 それが後輩の士気を下げ、あなたへの尊敬を削ぎ、あなたにとっても居心地の悪い職場の原因となっていないだろうか?
 一度、原点に戻って考えてみたほうがよい。
「サッカーでイニシアチブをとるのは、サッカーの技術の高い人」
 子ども時代には、これこそがリーダーシップだったはずだ。ここに立ち戻ったほうがよいケースもあるのだ。
 得意分野で圧倒的な技術を身につけ、それをもってリードする。
 さらには「教える」ということでリードしていく。
 このパワーバランスを思い出してみよう。
 たった一つ、役に立つ技術を身につける。
 自分の特殊能力を、尋常ではないほどまで育て上げる。
 これこそが、今のどん底のあなたが身につけるべき「原始的リーダーシップ」なのである。

 『「逆境」が男を育てる』 3 より 潮凪洋介:著 学研パブリッシング:刊

「この仕事は、あの人じゃないとダメ」
「この分野は、あの人に任せれば大丈夫」

 周囲の人にそう思われるくらいまで、技術を高めておけば、会社内での立場は保証されます。

 目指すべきは、口ではなく、背中で引っ張るリーダーシップ。
 周囲を黙らせるくらいの圧倒的実力を身につけることから、“大逆転劇”は始まります。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

「習慣」の力は、私たちが思っている以上に強力なものです。

「今の人生を変えたい!」

 本気でそう願っているのなら、まず、悪しき習慣の引力を振り切って、抜け出す必要があります。
 とはいっても、がむしゃらに努力をしても、深みにはまっていくだけ。
 体に絡まった糸は、ますますこんがらがってしまいます。

 一度冷静に、自分を見つめ直すこと。
 それが、「負けを認める」ことです。

 現状を知り、今の状況を受け入れることで、ニュートラルな状態に戻ることができます。
 絡まった糸がほどけて、自由に身動きがとれるようになるわけですね。

 人生に革命を起こす力を秘めた、潮凪流の大逆転術。
 人生を諦めていないすべての人に読んで頂きたい一冊です。

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