【書評】『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』(ジョスリン・K・グライ)

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 お薦めの本の紹介です。
 ジョスリン・K・グライさんの『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』です。

 ジョスリン・K・グライ(Jocelyn K.Glei)さんは、アイデア実現のためのオンライン・ポートフォリオ・サービス「99U」を率いる編集長、兼ディレクターです。

「本当に大事なこと」のために時間を使えているか?


 グライさんは、大事なのはアイデアではない。アイデアを実現することだと、アイデアを実らせるためのタフな実行力とマネジメントスキルの大切さを説きます。

 会議や企業研修で、「創造性(クリエイティビティ)」をテーマに講演を依頼されることも多い。毎回、スピーチの滑り出しの質問として、「みなさんには何かアイデアがありますか」と問いかけるのだが、答えはほぼ決まって「アイデアはあるんですが」。そのあとに、アイデアの邪魔をするさまざまな理由が続くのだ。
「大きな会社ですから、斬新な案は通らなくて・・・・・」
「毎日の仕事に負われて、なかなか新しいことは進められないんです・・・・・」
「上からはイノベーションを求められているんですが、その上司がイノベーションの邪魔をするんですよね・・・・・」
 要するに、創造性について語るふりをして、実際には「やり方がわからない」「効果的な進め方がわからない」という悩みを語っているのだ。
 真の問題が別にあるときほど、非難の矛先を周囲の環境へとずらす。会社が大きいから、小さいから、経営陣に理解がないから、アイデアが良くてもプロセスが厄介だから・・・・・。
 周りに責任をなすりつけるのは、もうやめよう。責任を自分のものとして受け止めるのだ。完璧な職場など存在しないのだし、結局のところ、一番深刻な問題はもっと根本的で個人的なところにある。
 自分自身の仕事のしかたこそが、働き方を決め、その成果も決めてしまうのだ。
 はっきり言おう。毎日の習慣、主体的な姿勢、働き方をシステマティックに最適化する腕、それがアイデアを実現する力になる。

 『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』 はじめに より ジョスリン・K・グライ:著 上原裕美子:訳 サンマーク出版:刊

 与えられた仕事環境を変えるのは、ほとんどの場合、不可能に近いでしょう。
 しかし、自分自身の仕事に対する意識や取り組み方を変えることはできます。
 グライさんは、大切な目標を叶えたいなら、1日1日の働き方をしっかり自己管理していくしかないと述べています。

 本書は、毎日の仕事のリズムを最適化し、能力を最大限に引き出すノウハウをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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創造性を高める「土台」作りのコツ


 仕事の生産性を上げるために、何より重要なこと。
 それは、創造性を必要とする仕事を第一に、打ち返しの作業は二の次にもってくることです。

 グライさんは、毎日の労働時間のなかに大きなひとかたまりの時間帯を確保して、そこに自分にとって一番大事な活動を充てる。その時間帯は電話もメールもオフにすることだと述べています。

 ごちゃごちゃした細かい仕事を後回しにして、自分の集中を最優先する。
 グライさんは、そのための具体的な方法を以下のようにまとめています。

●エネルギーの「リズム」を活かそう
 1日のなかでも、精神の覚醒と集中力には波がある。特に創造的活動に向いている時間というのがあるものだ。自分のエネルギーが一番高まる時間帯を意識し、その貴重な時間帯を、一番大切な創作活動に充てよう。可能な限り、会議などは入れない。雑用などで時間をムダにしてはならない。

●気持ちを切り替える「トリガー」を作ろう
 同じツール、同じ環境、あるいは同じBGMにこだわる。それを「トリガー(引き金)」にして、創造的な作業に臨む状態へ精神を切り替えるためだ。
 小説家のスティーブン・キングの言葉を紹介したい。

 執筆作業にかかるときの作法は決まっている。水をコップに1杯、または紅茶を1杯淹(い)れる。席につく時間はいつも一緒だ。朝8時から8時半、必ずこの30分の範囲内に机に向かい始める。ビタミンのサプリメントを摂(と)り、音楽をかけ、同じ椅子に座る。書類のたぐいはすべて同じ位置に。毎日同じやり方で続けることで、これが自分の頭に『物語の世界へ入る』と告げるサインになっているのだと思う

●ToDoリストはひかえめに
 1日のToDoリストは7.5センチ四方の付箋紙に納まる分量にする。そのサイズにすべてを書き込めないなら、そもそも1日でやりきれるだろうか。日中に項目を書き加えていくのもご法度だ。そんなことをしていたらいつまで経(た)っても完了できず、モチベーションがすりへっていく。たいていのことは明日でも問題ないのだから、明日で良いことは明日に持ち越そう。

●自分や他人との「約束」は即座に記録しておく
 自分に、あるいは他人に何かを約束したら、そのつど記録しておこう。忘れたくても忘れられないような場所に書いておくといい。こうしておけば、指示や頼まれごとにも効率的に対処できるし、共同作業もうまくいく。
 さらに大切なのは、心が平穏になることだ。「大事な用事はきちんと記録してある」とわかっていれば、目の前の作業に集中できる。

●作業の「始まり」と「終わり」をはっきりと決める
 たとえ1人でする仕事だとしても、1日の開始時間と終了時間は決めておこう。考える作業、打ち合わせ、連絡、事務作業など、それぞれの作業にそれぞれの時間を割り振る。こうして厳密に区切っておくと、作業が必要以上に長引いたり、ほかの大切な作業に食い込んできたりすることはない。ワーカホリックになるのも避けられる。根を詰めて働きすぎると、むしろ生産性は低くなるばかりだ。

 『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』 CHAPTER 01 より ジョスリン・K・グライ:著 上原裕美子:訳 サンマーク出版:刊

 私たちが思っている以上に大きいのが、「習慣」の力。
 習慣が本当に効果を表すのは、それが自分に合ったものであるときです。

 とにかく、いろいろ試してみて、役立ちそうなものを取り入れること。
 グライさんは、義務的なルーティンではなくクリエイティブな儀式だと感じられたとすれば、それはきっと効果があると述べています。

邪魔されない時間を確保する「フォーカス・ブロック・メソッド」


 毎日のように送られてくる、おびただしい量のメール。
 それらへの対応によって、創造性や生産性を阻害されてしまう。
 多くの人が悩まされている問題です。

 グライさんは、それを防ぐための効果的な作戦として、「フォーカス・ブロック・メソッド」を挙げています。

 フォーカス・ブロック・メソッドは、「前もって予定に組み込む」という、非常にわかりやすいコンセプトにのっとっている。基本的には毎日のスケジュールのなかに、まとまった時間のひとかたまりを区切っておく。その時間は自分にとってもっとも重要で創造性を必要とする作業に焦点を絞る。週の初めか前週の終わりに予定を決めてしまえばいい。コツとしては、会議の予定と同じようにカレンダーに入れることだ。社内で共有するカレンダー・ソフトを使っている場合は、なおさらこの点が重要である。
 こうしておけば、「申し訳ありませんが、その日は9時から12時まで埋まっているんです」と。同様に、メールの返事が遅いとか、電話に出ないといったことを誰かに非難されても、社会人として充分に通用する言い訳がある。
「午前中はふさがっていたので、このメールは今拝見しました」
 スケジュールが埋まっているので注意を向けられない、という理屈なら、人は理解するものだ。フォーカス・ブロック・メソッドは、この理解を活用して、謝罪や説明の必要性に迫られることなく、集中時間を邪魔する要素を取り除くのである。
 もちろん、集中するための時間を区切るというのは、準備段階でしかない。気が散る要因に逆らうという戦いも待っている。メール、インターネット、電話はすべてシャットアウトだ。簡単に聞こえるかもしれないが、実際には驚くほどに難しい。何年もそうした刺激に流される生活をしてきたのだとすれば、それを切り離してまとまった時間の仕事ができるようになるまで、訓練をしなければならない。
 いくつかヒントを紹介しよう。

●最初は「小さなブロック」から始めるのがコツ
 まずは1時間から始めるのがいいだろう。その後、2週間ごとに15分長くしていく。ただし、「絶対に邪魔を入れない」というのがカギだ。ちょっとでもフェイスブックをチェックしてしまったら、ブロックそのものをいったんキャンセルし、あとで区切り直す。「わずかのよそ見だったら大丈夫」などと思ってはいけない。

●準備を事前に済ませ、仕事をきっちりと「独立」させる
 たとえば記事を1本書くとするなら、下調べは事前に済ませておいて、フォーカス・ブロックの間は文字を打つことに専念する。

●「別の場所」に移動するとさらに効果的
 部屋を移動する、図書館に行く、まったく別の静かな場所に行くなどして、集中して作業する。可能なら紙とペンでの作業を選ぶことで、ネットの誘惑から逃れられる。

 『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』 CHAPTER 02 より ジョスリン・K・グライ:著 上原裕美子:訳 サンマーク出版:刊

 本当にしたい仕事だけをする。
 時間・場所を確保したら、それを決して崩さない。

 それが、フォーカス・ブロック・メソッドを取り入れる際のポイントです。
 外部からの圧力や誘惑に打ち勝つだけの意志力が必要ですね。
 まずは、「小さなブロック」から始めてみましょう。

「ソーシャルメディア」との賢いつきあい方


 急速に発達し、人々の生活に欠かせない存在となった、「ソーシャルメディア」。
 コミュニケーションの道具として便利な半面、依存し過ぎると集中力を大きく損なう要因となります。

 グライさんは、ソーシャルメディアとの関係を変えていくために必要なのは、どうして使いたい気になるのか、どう使いたいのかを、考えることだと述べています。

(前略)私たちは無自覚に、画面やフィールドの流れるままになっています。ほかの道を選んだほうが真に適した答えが出るときでも、何となく、その場限りの満足に引き込まれてしまいます。
 だとすれば、まずはテクノロジーの使い方に境界線を引くことで、ソーシャルメディアに対する自覚をもってみてはいかがでしょうか。流されるままに利用するのではなく、使う理由があるときに、意図的に利用するのです。たとえば、ログインする時間帯を決めて、その時間帯だけ利用することにしてはどうでしょうか。
 もし、それ以外の時間にデジタルデバイスに関心が向いてしまったときは、次に挙げる質問を胸に投げかけてみましょう。

  • これは本当に共有する必要があるのか。これを共有することで、わたしと他人の人生に何か価値があるだろうか。
  • この体験を共有するのはあとにして、今は今のことに集中したほうがいいんじゃないだろうか。
  • わたしは、誰かに認めてほしいと思っているんだろうか。自分自身で自分を認める方法はないだろうか。
  • 何か別なことから逃げたくて、それに立ち向かうかわりに、ソーシャルメディアを使いたいんじゃないだろうか。
  • わたしは今、退屈しているんだろうか。そうだとしたら、今日を有意義にするために、ほかに何か努力できることないだろうか。
  • わたしは今、寂しいのだろうか。誰かと接する機会を自分で作っているだろうか。
  • わたしは情報を見逃すのを恐れているのだろうか。情報に遅れる不安を解消するというのは、今、目の前にあることを逃すだけの価値があるだろうか。
  • わたしは「周囲に追いついていかねばならない」という強迫観念に駆られているんじゃないだろうか。昨日の話題は追いかけず、今日の会話に参加するわけにはいかないだろうか。
  • 時間をとにかく何かで埋めようとせず、ただそのままに過ごすことはできないか。
  • わたしはマインドレスな楽しみを追いかけたいだけじゃないのか。
    (最後の問いは特に重要です。自分が何をやっているか意識していれば、それに自覚的に取り組むことができます)

 『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』 CHAPTER 03 より ジョスリン・K・グライ:著 上原裕美子:訳 サンマーク出版:刊

 特段の用もないのに、つい、スマートフォンを開いて、フェイスブックやラインをチェックしてしまう。
 誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。
 それだけ、ソーシャルメディアには、大きな依存性と常習性があるということです。

 貴重な時間を奪われないためには、本当に必要なときに、必要な時間だけ使うことが重要です。
 ソーシャルメディアと賢くつきあいたいものです。

一見ムダな創作活動こそが、新たな可能性を引き出す


 グライさんは、毎日の仕事で創造性を発揮したい、好奇心を満たしていきたいと思う人ほど、日常の働き方に苛立ちをつのらせると指摘します。
 様々な制約がある中で、自分の最高の仕事ぶりを反映できないと、慢性的なもどかしさを感じるからです。

「リソースさえあれば、あるいは面倒な事務作業さえなければ、作り出せるはずの作品」と、日常業務との間には、明らかに大きな溝が横たわっている。だが、企業がリスクに対して厳しく、リソースもかつてないほど限られている現状で、そうした溝が緩和されるとは期待できない。目の前の作業をやっつけるしかない日々だとしたら、たしかに苛立ちがつのるのも避けられない。
 この負のサイクルを打ち破る方法がある。「空き時間に取り組みたいプロジェクト」をつねにリストアップしておくのだ。そして、毎週(または毎日)専用の時間を区切っておき、リストに挙げた内容を進める。
 その瞬間にはきわめて非効率な行為に見えるかもしれない。特に、緊急の優先事項に注意を引っ張られているときなどは、「こんなことをするのは単なるムダだ」とさえ感じるかもしれない。だが、これが日々の仕事にクリエイティブなエネルギーを流れさせる重要なカギとなる。
 つきつめて考えたい疑問、温めているアイデア、やってみたい実験などを書きとめるノートも作っておくといいだろう。そのうえで、事前に確保しておいた「必要に迫られていない創作活動のための時間」に、これらのアイデアで遊んでみる。
 ノンフィクション作家のスティーブン・ジョンソンは、著書『イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則』(日経BP社)で、こう書いている。
「よいアイデアはネットワークだ。脳内の特定のニューロンの集まり――何千というニューロン――が次々と点火し、アイデアが浮かび上がってくる。新しいアイデアというのは、思考のなかの近接したつながりの可能性を探る細胞のネットワークだ」
 つながる先に制限を設けず、ただ「近接した可能性」を探っていく。その試みを頻繁に取り入れるように心がけていれば、生活と仕事のあらゆる面で、創造のブレイクスルーを果たす確率も高くなっていく。

 『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』 CHAPTER 04 より ジョスリン・K・グライ:著 上原裕美子:訳 サンマーク出版:刊

 世間を驚かせるような素晴らしいアイデア。
 それらは、一見、関係のないアイデア同士がくっついて生まれることが多いです。

「今はできないから」と諦める必要はありません。
 アイデアは、忘れないよう、ノートなどに書き留めておくこと。
 それが、創造的な仕事をする上で、重要となります。

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 どの分野でも、結果を出すことは大切。
 しかし、それ以上に重要なのは、「結果を出し続けること」です。

 “超一流”と呼ばれている人たちは、どんな状況においても、ある一定のパフォーマンス以上のものを残すことができます。
 つねに、想定以上の成果を出し続けることで、確固たる地位を築いているということ。

 本書の内容は、そんな超一流の人たちの仕事のやり方の、ベースとなる部分で、誰にもできる、簡単なものばかりです。
 ぜひ、少しずつ取り入れて、より効率的に、よりクリエイティブに仕事をこなしたいものですね。


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