【書評】『「平常心」と「不動心」の鍛え方』(藤井英雄)

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 お薦めの本の紹介です。
 藤井英雄先生の『ビジネスマンのための「平常心」と「不動心」の鍛え方 』です。

 藤井英雄(ふじい・ひでお)先生は、精神科医であり、瞑想家です。
 潜在意識の法則や認知行動療法、さらには東洋医学などを活用した、画期的なメンタルヘルスプログラムを開発されたり、ブログやセミナー等で積極的に情報を発信されています。

「マインドフルネス」とは何か?


 マインドフルネスとは、「今、ここ」の現実に、リアルタイムかつ客観的に気づいていることです。

 たとえば、会議で退屈している時に、うわの空で他のことを考えているのではなく、「退屈している自分自身にきちんと気がついている」ことがマインドフルネスです。

 マインドフルネスをマスターすると、どんなときでも自分を客観的に冷静にとらえることができるようになるため、感情的に行動して失敗することがなくなります。

 藤井先生は、それが「平常心」や「不動心」を養うことにつながると強調します。

 マインドフルネスを強化するためには、「今、ここ」を強く意識することが大切になります。

 意識は、自分で認識できる心の部分(顕在意識)と、自分では認識できない心の部分(潜在意識)に分けられます。
 しかし、顕在意識と潜在意識の境界線ははっきりしないため、意識の状態によって変化すると考えられています。

 たとえば、「うわの空」という心の状態は、心の境界線が上がり、認識できる領域が減った状態です(左下図参照)。
 逆に、「いま、ここ」に集中し、潜在意識から顕在意識へ浮き上がってくる「ネガティブな想念」にリアルタイムで気づき、それを手放すという体験を重ねることにより、「心の境界線を下げる」ことができるようになります(右下図参照)。

マインドフルネス④ マインドフルネス③

(『「平常心」と「不動心」の鍛え方 』 同文館:刊 P39〜41 より抜粋)


 マインドフルネスは、「自己肯定感」を強化します。

 また、ネガティブに流れがちな思考を、ポジティブに引き戻す基礎体力をつけます。
 それにより、平常心が失われることを防ぎ、ストレスに負けない不動心を身につけることができます。

 本書では、効果的に自己肯定感を強化し、ゆるぎない不動心を身につける方法を具体例を交えて解説しています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「今、ここ」に意識の光を当てる


 マインドフルネスとは、「今、ここ」の現実を「感じる」ことと言い換えることができます。

 たとえば、今何が聞こえているかを感じてください。空調の音でしょうか。窓の外の小鳥のさえずりでしょうか。それとも、隣の部屋のテレビの音でしょうか。その音には、前から気づいていましたか?それとも、聞こうとして初めて気がついたのでしょうか?
 たとえば、あなたが椅子に座っているなら、その椅子の硬さやお尻との接触面の圧力はどうでしょうか。感じようとすれば感じることができます。よほどお尻が痛いなどの特殊な事情があれば別ですが、そこに意識を向けるまでは、意識には上っていなかったはずです。
 では、右の人差し指と左の人差し指をゆっくりと近づけて、2本の指が接触する直前で止めてください。さて、この作業をしているとき、何か考え事をしていましたか。それとも、指に意識が集中できていたでしょうか。
(中略)
 これが、「今、ここ」を感じるということです。
 感じることと考えることは、同時に行うことはできません。考えているときは、感じることがお留守になっていて、うわの空になっているものです。

 『「平常心」と「不動心」の鍛え方』 第2章 より 藤井英雄:著  同文館出版:刊

『感じることと考えることは、同時に行うことはできない』

 つまり、ネガティブなことを「考えない」ためには、「今、ここ」を感じればいいということです。

「今、ここ」の現実にフォーカスし、いきいきと感じる。
 そのとき、心の中には心配事が入る隙間はなくなります。

 それが「マインドフルネス」です。

今していることを、全身全霊を込めて行なう


「思考すること」ではなく、「対象をあるがまま感じること」がマインドフルネスです。

 楽しいことを経験すると、それと同じ楽しみやもっと刺激的なことを探すようになる。
 このような悪循環を断ち切るには、どうしたらいいでしょうか。

 それは、「楽しいことを探す」ことをやめて、「今していることをマインドフルに楽しむ」ようにすることです。
 たとえば、今掃除をしているなら、うわの空になって他のことを考えながら掃除をするのではなく、掃除という行為自体にフォーカスして全身全霊をこめるのです。
 雑巾を持つ手の感覚、拭いている床の感覚、しだいに綺麗になっていく様子などにフォーカスして、心をこめて掃除をするのです。
 そのとき、よけいな思考はなくなって、「今、ここ」を感じることができます。それがマインドフルネスです。
(中略)
 前にも述べたように、マインドフルな行動とは、とても丁寧な行動でもあります。そのように行動しているとき、その行動(作業)はとてもスペシャルなものになります。行動や作業が、とても神聖なものに変貌するのです。
 そして、そのようなスペシャルな行動をしている自分自身も、やはりスペシャルで神聖な存在となるのです。

 『「平常心」と「不動心」の鍛え方』 第5章 より 藤井英雄:著  同文館出版:刊

 つまらない家事や仕事に取り組むときこそ、あれこれ余計なことを考えない。

 いま、目の前にある「やるべきこと」に集中する。
 それが、「マインドフルに楽しむ」ということです。

 藤井先生は、その積み重ねが自己肯定感の強化につながると述べています。

すばやく気づくための「3秒ルール」とは?


 藤井先生は、自分のネガティブ思考にすばやく気づくための「3秒ルール」を紹介しています。

 「ネガティブなことを口に出して言ってしまったら、3秒以内に「今のはなし!」とつぶやき、ポジティブな言葉に置き換える方法です。

 ネガティブなことを口に出すことは、ネガティブな思考を“無自覚に”繰り返していたということです。
 ネガティブ感情は気づきにくいですが、口に出た言葉は気づきやすいものです。

 藤井さんは、以下のような具体例を挙げて説明しています。

 以下では、私のジム仲間同士の会話です。
A「あーあ、今日のトレーニングきつかったあ」
B「きついって言うなよ。効いたって言えよ」
A「そ、そうだね」
 Bのポジティブ思考もいいし、Aの素直さもすばらしい。

 ふだんの生活の中で、ついネガティブなことを言ってしまったら、すかさず「今のはなし!」と言って、ポジティブな内容に言い換えるようにしましょう。
 すると、ほんの数日でネガティブな言葉がどんどん減っていくはずです。そして、ネガティブな思考をしているだけで、頭の中でアラームがなりやすくなっていることに気づきます。そして、ネガティブな思考をしているだけで、頭の中でアラームが鳴りやすくなっていることに気づきます。
 言葉になる前に、心の中で気づくこともあります。たとえ口に出してしまったとしても、「あーあ、今日のトレーニングきつ・・・・」と、この辺で気がつきます。気づいたら、すかさず「いまのは取り消し!体が強くなるぞ!」など、無理矢理にでもポジティブに言い直すようにしましょう。その間約3秒。3秒以内だったら、ネガティブ想念の影響はほとんどなくなるでしょう。

  『「平常心」と「不動心」の鍛え方』 第6章 より 藤井英雄:著  同文館出版:刊

 ネガティブな口癖は、潜在意識から顕在意識に浮かび上がってきたネガティブ想念の断片です。

「3秒ルール」によって、いままで無自覚だったネガティブ思考にすばやく気づき、その場でポジティブ思考に変えることができます。

 続けていくことによって、ネガティブ思考へのとらわれから自由になり、ストレスに負けない不動心を鍛えることにつながります。

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 人間の心は「顕在意識」と「潜在意識」から成り立っています。
 顕在意識の占める割合は、潜在意識と比較すると、ほんの少しの部分だということもよく知られています。

 いくら顕在意識の中だけで、「プレッシャーに打ち勝とう」と思っても、潜在意識の中が「自分はプレッシャーに弱い」というネガティブ想念があふれていたら、うまくいくはずはありません。

 藤井先生の「マインドフルネス」の考えかたは、理に適ったものですし、とても分かりやすいです。

「思考する」のではなく、「いま、この瞬間を感じる」。

 一瞬一瞬をマインドフルに楽しんで、何事にも動じない、しなやかで強い心を手に入れたいですね。


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