【書評】『人生が変わる2枚目の名刺』(柳内啓司)

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 お薦めの本の紹介です。
 柳内啓司さんの『人生が変わる2枚目の名刺~パラレルキャリアという生き方』です。

 柳内啓司(やなぎうち・けいじ)さん(@kjyng)は、大学在学中にIT企業でインターネットビジネスに携わり、卒業後は大手民放テレビ局に入社されています。
 バラエティやドラマの番組制作を経て、現在は放送局のIT戦略全般に取り組まれるなどご活躍中です。

本職以外にも、いろんな「顔」を持つ


 柳内さんは、本職の仕事以外にもいくつかの「顔」を持っています。

 大規模な勉強会や交流会の開催を企画したり、バンドや自転車サークルのリーダーを務めるなど、社外にも独自の人脈ネットワークを構築されて活躍の場を広げています。

 柳内さんのように、本職以外の本格的な活動、いわゆる「2枚目の名刺」を持ち、自分の好きなことをして活躍している人たちが近年増えています。

 柳内さんは、2枚目の名刺を持つ働き方は、生活基盤を持ちながら、したたかに自分の夢を実現していく「戦略」として、今の時代にとてもマッチしていると考えています。

 本書は、「2枚目の名刺を持つ」という生き方についてのメリットや実践のヒントを解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「思い切って挑戦して、失敗できる場」が得られる


 失敗したその瞬間、恥ずかしさや自分の限界を感じ、心が挫けそうになるものです。
 しかし、そこから学ぶことで、人は成長することできます。

 成長するために、失敗は必要不可欠ですが、社会に出てから経験することはなかなか難しいです。
 今の日本は、「失敗できない空気」が国全体が覆われていますから、なおさらです。

 柳内さんは、そのような状況の中で、2枚目の名刺の活動は、「思い切って挑戦して、失敗できる場」として、あなたの人生にとって貴重な場となると述べています。

 本業で起業コンサルタントをしながら、2枚目の名刺としてNPO法人の活動に携わっている友人にやりがいを尋ねてみたら、プロジェクトリーダーとして責任ある立場でチームを運営できること、という答えが返ってきました。
 大きな会社に勤めていれば、プロジェクトリーダーなどの責任のある立場にまで昇進するにはある程度時間がかかりますが、2枚目の名刺で活動すれば、責任ある立場で挑戦する機会を本業よりも早く持つことができます。社会に出てからも成長し続けていくためには、学校の代わりとなるような「挑戦できる場」を意識的に自ら作り出していく必要があります。
 2枚目の名刺の活動を通じて、挑戦する場を自ら積極的に用意することは、自分の人生の成長戦略として正しい選択であると考えています。

 『人生が変わる2枚目の名刺』 第1章 より  柳内啓司:著  クロスメディア・パブリッシング:刊

 たしかに会社では、若い頃は責任ある仕事を任せてもらえないところがほとんどでしょう。
 しかし、若い頃に色々失敗を重ねることで成長できるということも事実です。

 これから先、「2枚目の名刺」での活動で、「挑戦できる場」を意識的に自ら作り出すことは、ますます貴重で大切になりますね。

自分の「背骨」を見つけるということ


 2枚目の名刺の活動のメリットは、他人に強制されずに、自分のやりたいことができる点にあります。

 柳内さんは、より人生を充実させるためにぜひやってもらいたいことは、自分の「背中」を見つけることだと述べています。
「背骨」とは、「これをやっているときが一番自分らしい」と感じられる、自分の人生のテーマと言えるもののことです。

 本業に加えて新しい活動をし始めるのは、決して楽なことではありません。プライベートの時間を削ることもあるでしょうし、周囲を巻き込もうとすると、責任が生じたりもします。人生のテーマを見つけて、それをしっかり意識した上で2枚目の名刺の活動を行うと、苦しい場面に遭遇しても、それを乗り越えて活動を継続することができるのです。
 あなたの背骨を見つける方法としてオススメしたいのが、本業と2枚目の名刺の活動の共通項を探してみることです。
 例えば、本業で営業職をしていて、2枚目の名刺でコミュニティの運営をしている人であれば、「人に会うこと、人をつなげること」があなたの背骨と言えるでしょう。また、本業でエンジニアの仕事をやりながら、2枚目の名刺で友人たちと新しいウェブサイトの立ち上げをしている人なら、「モノづくりをすること」があなたの背骨と言えそうです。
 本業であっても2枚目の名刺の活動であっても、あなたの大切な時間を割いて情熱を注ぐ活動の裏には、必ず強い動機が存在します。その動機を言葉にして「あなたの人生のテーマ=背骨」を作っていくと、あなたの人生に一貫性が生まれて迫力が身につきます。迫力を身にまとった人は強いです。言葉にも説得力があるので応援する人が増えますし、何より自分に対して自身が持てるようになります。

 『人生が変わる2枚目の名刺』 第2章 より  柳内啓司:著  クロスメディア・パブリッシング:刊

 本業において自分らしさを出し、鮮やかに色付けしてくれる。
 それも、2枚目の名刺の活動の利点になります。

 2枚目の名刺の活動が、自分の本業と一貫性を共有する。
 それにより、自分の個性をより輝かせて強力な支えになります。

「モノ」より「つながり」重視の時代


 私たちは今、「パラダイムシフト」と呼ばれる大きな価値観の変化の中にいます。
「豊かさ」に対する考え方の変化などは、それを象徴するもの。

 これまでの「モノを持つことが豊かだ」という考えられていました。
 しかし、20代、30代の若者達を中心に「つながり(=縁)を持っていることが豊かだ」という考えへ大きく変わりつつあります。

 柳内さんは、この「つながり重視」の傾向について、以下のように説明しています。

 具体的に言えば、「1人で気ままに美味しい高級フレンチを食べる」よりも「心許せる仲間と言えで鍋をつつくほうが楽しいと感じる価値観です。「モノより思い出」というキャッチコピーのCMがありましたが、このコピーもまさにそんな価値観を端的に表現したものですよね。この傾向はバブル崩壊以降ずっと続いているものですが、最近更に強まっているように思います。
(中略)
 私たちは「お金」という道具を使って、「個人の自由」を獲得した側面があります。お金がなかった大昔は、モノを手に入れたり、サービスを受けるためには、他人と毎回面倒くさい交渉を行う必要がありました。それがお金の登場によって、あらゆるモノやサービスに値段がつけられるようになると、この面倒くさいやりとりがいらなくなります。そのおかげで、私たちは他人に気を遣わずに、自由に生きるシステムを手に入れたというわけです。
 しかし、このシステムがあまりに高度化した結果、私たちは他人とのつながりを過度に希薄にしてしまいました。そして今、その反動で人とのつながりを求める人が増えているというわけです。ちょっと前まで「人と関わるのなんて面倒臭い」と言っていたのに、急に「人とつながりたい」と言いだすなんてワガママだなと思ってしまいますが、人間ってそういうものなのかもしれません。

 『人生が変わる2枚目の名刺』 第3章 より  柳内啓司:著  クロスメディア・パブリッシング:刊

 このような価値観の変化は、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及や、東日本大震災の心理的な影響も大きいです。

「つながり重視」時代の現代において、2枚目の名刺を持つことは「自分はこんな人間です」というアピールすることです。

 それは、自分の会社や同じ業界以外の人たちと関わるチャンスを生み出してくれます。
 まさに「自己PRのための道具」としてうってつけです。

 持ち歩いていれば、いざという時役立つこと間違いなし、ですね。

肩書きは「名乗ったもん勝ち」


 巻末に、実際に「2枚目の名刺」を持つことで人生を加速させた多くの方達のインタビューが掲載されています。
 その中の一人が、自らも起業家で、現在は投資家として多数のベンチャー起業を支援されている家入一真さんです。

 家入さんは2枚目の名刺を持つことについて、肩書きは、名乗ったもん勝ち。名乗って先にゴールしちゃって、そこから逆算してやるべきことを考えればいいと思うと語っています。

 柳内さんも、家入さんの考えに共感し、なりたいものがあるなのなら、さっさと名乗ってしまって、そこからやるべきことを考えるのが、やりたいことを叶える最短距離だと述べています。

 いきなり「今日から私は◯◯です!」と名乗って、中身が伴っていなければ、最初は周囲に馬鹿にされるかもしれません。しかし、そんなことを気にしないで周りにやりたいことを発表してしまえば、誰かが必要な人を紹介してくれるかもしれないし、誰かが仕事を振ってくれるかもしれません。さらには自分にも自己暗示がかかってきて、それにふさわしい人間になっていくかもしれません。
 言葉の力は強烈です。家入さんの言うように、やりたいことがあるのなら、今の仕事を辞めてからとか、それに関する勉強をしてからとか、あれこれやる前に自分で自分の肩書きを決めてしまってから行動すればいいのです。

 『人生が変わる2枚目の名刺』 巻末インタビュー より  柳内啓司:著  クロスメディア・パブリッシング:刊

 名刺を作り、そこに肩書きを書き入れることは、「今日から私は◯◯です!」と宣言すること。
 その宣言は、他人に対してのものでもありますが、自分に対してのものでもあります。

 作った名刺を胸のポケットに忍ばせておくだけでも、かなりの効果があります。
 気持ち的に、その肩書き通りの人物になり切ろうとするのではないでしょうか。

 そんなところから意識が変わり、やる気も生まれることもありますね。 

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 実際に、会社を辞めて独立して活躍されている方々は、年々増え続けています。
 しかし、多くの人達にとって独立してフリーランスで働くことは、かなりのリスクを伴うため、やろうと思ってもなかなか足を踏み込めない状況であることも事実です。

「2枚目の名刺を持つ」という生き方は柳内さんがおっしゃるように、本業との相乗効果を生みます。

 人生の可能性を広げてくれる手段としても、とても有効的で、多くの方が魅力を感じる考え方であることは確かですね。

 私たちは、この経済状況の厳しい時代を、したたかに生き抜いていかなければなりません。

 本書の内容は、個人の持つ可能性を広げるという意味ではもちろん、社会全体を活性化させるという観点からも多くの人や企業に浸透してほしいアイデアです。


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