【書評】『マイナス思考から すぐに抜け出す9つの習慣』(古川武士)

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 お薦めの本の紹介です。
 古川武士さんの『マイナス思考から すぐに抜け出す9つの習慣』です。



 古川武士(ふるかわ・たけし)さん(@take_furukawa)は、習慣コンサルタントです。
 人が本当に変わっていくためには、よい習慣を確実に身につける「続ける習慣」が重要と考え、オリジナルの習慣化理論とメソッドを開発されました。

逆境を乗り越える人に共通した「考え方の習慣」


 古川さんは、100人以上のアスリートや経営者、芸術家、歴史的な偉人、などのインタビューや伝記や実例などを参考にして、「逆境を乗り越える」人の考え方の習慣を徹底的に調べ上げました。

 その結果、それらの人たちが、逆境や苦難に直面したときに、どのように向き合ってきたのか、どのように受け止めてきたのかには共通点があったと指摘します。

 起こっている事実は一つでも、受け止め方や考え方は何通りもあり、選択することができます。

 古川さんは、偉人たちがすごいのは逆境や苦難を乗り越える考え方の習慣にあると強調します。

 本書は、それらの共通点をマイナス思考から抜け出すための「9つの習慣」としてまとめたものです(下図を参照)。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣
 (『マイナス思考からすぐに抜けだす9つの習慣』 古川武士:著 P13 より抜粋)

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「多様な自分」を許し「等身大の自分」を受け入れる


「長所と短所にあまり一喜一憂することなく、おおらかな気持ちで、自分の持ち味全体を活かしていくよう心掛けることがより大切ではないかと思うのです」

『経営の神様』と言われた松下幸之助氏の言葉です。

 古川さんは、この言葉を引用し、長所も短所も含めて自分と考え、短所をすべてなくそうとしないで持ち味として活かしていけばいいと述べています。

 一見短所に見えることの中にも、その人らしさや持ち味となっていることはたくさんあります。欠点を直しすぎないほうが人間らしくていいし、他人から共感を得ることもあります。完璧な人には隙がなくこころが許せないものです。
 心理学者リンビル氏が構築した「自己複雑性の理論」というのがあります。
 簡単に言うと「自分を多面的にとらえず単純にとらえている人は挫折に弱いが、自分を多面的にとらえている人は挫折に強い」ということです。
 たとえば、自分は強い人間だ、泣いてはいけない。自分はいつも努力を怠ってはならないなどと単純化してとらえる人は、自己否定しがちになるのです。
 なぜならば、泣きたいときもあるし、怠けたいときだってあるからです。
 しかし、自分はいい加減なときもあるし、怠けたいときだってあるからです。
 しかし、自分はいい加減なときもあるし、几帳面なところもある。内向的な面もあるし、外交的な面もあると多面的にとらえられる人は「ああ、またやっちゃったな」と自分を許すことができます。

 『マイナス思考から すぐに抜け出す9つの習慣』 第1の習慣 より 古川武士:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 多面的な自分を許すということは、自分のわがままを受け入れて向上心を失うこと。
 そう誤解されがちですが、決してそうではありません。

 古川さんは、今の自分を受け入れると、欠点も直視できると強調します。
 つまり、等身大の自分を受け入れて初めて、よい変化を起こすためののスタートラインに立てるということです。

「ペイ・フォワード」を実践する


 映画「ペイフォワード」の主人公、11歳の少年のトレバーは、社会科の授業で「今日から世界を変えてみよう」という課題を出され、他の誰かに違う形で先に与えて善意を広げていく=“ペイ・フォワード”というアイデアを思いつきます。

 彼は、「3人の人たちによいことをする」ことができれば、次から次に世界は善意に包まれるだろうと考えて、実行に移します。
 彼の投げ入れた「善意の小石」は、次から次に奇跡を起こし、「小さな波」がやがて「大きな波」となり、その波が東海岸から西海岸にまで広がっていきます。

 古川さんは、この映画を引き合いに出し、「与えること」と「受け取ること」の関係を、以下のように説明します。

 信頼される人は「先に与えている」人です。
 与えるものはお金、信頼、思いやり、親切、話を聞いてあげるなどさまざまです。しかも映画のように見返りを期待せずに与えることに喜びを感じている人です。
『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)の著者、本田健さんは「与える分だけ受け取れる」、それが世の中の法則だと言っています。
 考えてみると当然のことです。
 たとえば、給与は自分が会社やお客様に与えた価値の分だけ受け取っています。恋愛もこちらが愛さなければ愛されません。
「GIVE AND TAKE」といってもいいのですが、TAKEはすぐに返ってくるとは限りません。だから「与えることを中心に考える」、これができれば人間関係は根本的によくなっていきます。

 『マイナス思考から すぐに抜け出す9つの習慣』 第2の習慣 より 古川武士:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

「与えること」と「受け取ること」。
 その順番が、とても大事です。

 古川さんは、「与えて受け取る人」か、「受け取ってから与える人」なのかで人生は変わると述べています。

 感謝すること、思いやること、関心を持つこと、助けること、笑顔を向けること。

 これらを惜しみなく与えている人は、多くの人から感謝され、思いやられ、関心を持たれ、助けられ、笑顔を向けられます。
 そして、結局は、豊かな人間関係が築けるということです。

 まずは、「与えること」から。
 肝に銘じたい言葉ですね。

結果ではなくプロセスに集中する


 2000年の北京オリンピック、体操の団体戦は期待されながらも銀メダルに終わりました。

 自らも鉄棒で落下するなど精彩を欠いたエースの内村航平選手。
「3日後の個人総合に向けてどうするか」と問われたとき、悲壮感を漂わせながらも次のように答えました。

「やるべきことをやるだけ。あとは開き直るしかないですね」

 結果は、ご存知の通り、個人総合で28年ぶりの金メダルを獲得しました。

 古川さんは、内村選手のこの考え方は、「結果よりプロセスに集中する」思考だ、と指摘します。

 マイナス思考からすぐに抜け出せる人は、プロセスに集中する思考習慣を持っています。
 天皇陛下の心臓バイパス手術をした順天堂大学の心臓外科医・天野篤先生は手術後、次のように語っていました。
「普段の手術を普段通りにしたということで、結果も自ずとその通りになる」
 成功率98%と言われる天才外科医の天野先生ですが、天皇陛下の心臓手術を担当するとそのプレッシャーたるや想像を絶するものだったでしょう。
 天野先生の発言から分かるのは、普段通りの正確な手術プロセスを踏むことに徹底的に集中されたのだと思います。
 また、売れない営業マンほど売上が上がらない結果ばかり見て、経済情勢や会社の方針に愚痴や不満を言っています。一方、優秀な営業マンは結果ではなく、結果を出すための自分の行動プロセス(訪問件数、提案の質、件数)に意識を集中させます。結果が出ないときほど淡々と行動に集中するのです。
 結果を見ると苦しくなるときは、自分に今できること(プロセス)に集中することです。
 マラソン選手の高橋尚子さんが言うように、「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」です。

 『マイナス思考から すぐに抜け出す9つの習慣』 第5の習慣 より 古川武士:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

「結果」ではなく、「プロセス」に集中する。
 それは、「結果は無視していい」というではありません。

 古川さんは、結果を出すことを前提に考えるのだけれど、実際に行動を始めたらプロセスの一歩一歩に集中するという意味だと述べています。

 内村選手も、最後の最後は開き直ることで、最高のパフォーマンスを見せることができました。
 ただ、それは、そこに至るまでの強い結果へのこだわりがあってこそ、です。

「一日一生」で生きる


 人間の思考には、「過去・今・未来」という時間軸があります。

 古川さんは、マイナス思考が続く人は、過去の失敗を後悔して自分を責めている時間、未来の不安を膨らませて心を痛めている時間がとても長く、今この瞬間にある、楽しさ、美しさ、喜び、できることに集中できない傾向にあると指摘します。

 私たちは、過去の失敗に後悔し、未来の不安に心奪われているうちに、大切な今日というかけがえのない時間を失っているのではないでしょうか?
 過去の後悔、未来の不安は人間である以上、消すことはできませんが、今に生きることがストレスフリーな生活に近づく一歩であることは間違いありません。
 新約聖書「マタイの福音書」にも「明日のことを思いわずらうな。明日のことは、明日自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その一日だけで十分である」という言葉があります。これこそ、今日一日に生きようというメッセージです。
 楽しみを先延ばししない、美味しいものを食べる、会いたい人に会うというように一日を生きる精神がなければ多忙な毎日の中で一日はあっという間に過ぎていきます。
 人生は、毎日毎時間の連続の中にあります。今を未来や過去の犠牲にしないことが大切です。

 『マイナス思考から すぐに抜け出す9つの習慣』 第9の習慣 より 古川武士:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 ほとんどの人にとって、「心とは、過去と未来の間を絶えず往復する振り子のようなもの」
 つまり、ほとんどの思考を過去と未来について費やしてしまっているとも述べています。

 やるべきことが決まったのなら、過去を振り返らない。
 未来を恐れることもなく、やるべきことに集中するだけ。

「過去」も「未来」も、現実には存在しません。
 私たちの頭の中にあるだけです。

 時間とは、永遠に続く「今」のこと。
 だからこそ、「今」この瞬間を大切に生きていきたいですね。 

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 考え方の習慣を変えるためには、思考を客観的にチェックすること。
 つまり、「書くこと」が重要です。

 古川さんは、習慣化のために「思考習慣ノート」を一冊、用意することを勧めています。

 長期的に思考習慣を変えるのには、それなりの努力の継続が必要となります。
 6ヶ月程度の時間がかかりますが、その後はマイナス思考に陥ることが劇的に減ることが期待できます。

 その半年という期間を、「長い」と感じるか「短い」と感じるかは、その人次第です。

 本書の「知識」を、自分の中に「知恵」として取り入れ、ぜひとも「逆境を乗り越える」人になりたいですね。


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