【書評】『雑談力が上がる話し方』(齋藤孝)

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 お薦めの本の紹介です。
 齋藤孝先生の『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』です。


 齋藤孝(さいとう・たかし)先生は、大学文学部の教授で、専攻は教育学・身体論・コミュニケーション論です。
 教育やコミュニケーション能力向上に関する著書を多数お書きになっています。

雑談に必要なのは、「コミュニケーション能力」


 初対面の人とのうまくコミュニケーションを取りたいけれど、キッカケがつかめない。
 そんな悩みを抱えた方は多いのではないでしょうか。

 そんな場面で大きな力を発揮してくれるのが、「雑談力」です。

 齋藤先生は、雑談に必要なのは会話力ではなく、「コミュニケーション力」であり、ちょっとしたルールや方法を知り、それらを身につけるだけで誰でも身につくものだと述べています。

 本書は、互いの距離を縮める能力である「雑談力」を身につけるために必要な考え方や具体的な方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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雑談は「中身がない」ことに意味がある


 齋藤先生は、雑談が苦手、うまくできないという人が増えているとし、特に10代や20代前半の若者たちにその傾向は顕著だと述べています。

「雑談なんかして何になるの?」
「時間のムダ」

 そう考えている人も多いですが、「雑談=必要のない話」は、大きな間違いです。

 齋藤先生は、雑談には「中身がない」からこそ、する意味があると指摘します。

 では、中身のない、ビジネスに関係のない雑談が持つ意味とは何か。
 たとえばそれは、以降の商談をスムーズに運ぶための“地ならし”的役割です。
 雑談というのは人間関係やコミュニケーションにおける“水回り”的な役割を持っています。わかりやすく言えば、若い人たちやお笑い芸人たちがよく言う「空気読めよ!」の“空気”、これを作るものが雑談です。その場にいる人たちと同じ空気を共有するため、場の空気を作るために雑談があるのです。
 人間関係そのものを家にたとえれば、要件のある、意味のある話ができる力、あるいは日本人として日本語がきちんと話せる力などが土台・基礎工事になります。
 その上に一個人、社会人として必要な人間性という骨組みがあり、さらにさまざまな社会的経験を積んで身につけるマナー、人との付き合い方、コミュニケーション能力で“家”が形作られていきます。
 その中で「雑談」「雑談力」の担う役割が水回りなのです。外観に直接は表れてこないけれど、建物にとって欠かせないのが水回り。ここが詰まったままでは、どこか苦しくて居心地の悪い家になってしまうでしょう。雑談とは、家における水回りのごとく、人間関係を気詰まりなく、スムーズに動かしていくために不可欠なコミュニケーションのファクターなのです。

 『雑談力が上がる話し方』 第1章 より  齋藤孝:著  ダイヤモンド社:刊

 仕事はできるけれど、雑談ができない。
 そういう人は、見た目は豪華で立派だけれど、実際に住んでみると不便な家みたいなもの。
 価値も半減ですね。

 どこでも誰とでも、「中身がない話」ができるコミュニケーション力を身につける。
 それがビジネスの世界でも重要です。

「内容」よりも「行為」に意味がある


「雑談が大事」と言われても、いきなり何を話せばいいのか。
 そう戸惑ってしまう人も多いでしょう。

 齋藤先生は、悩んだら、まず「ほめる」。どんな些細なことでもいいので、ほめることが雑談の基本だと述べています。

 雑談とは、お互いの場の空気を温め、距離を近づけるためのものです。
 相手に近づくためには、「ほめること」が近道になります。

 つまり「ほめる雑談」とは、『私はあなたのことを、好意をもって受け入れていますよ』というメッセージ。「今日のネクタイ、すごくオシャレですね」のひと言は、ネクタイをほめることで、その人への好意を表現しているわけです。
 ですからこの際、ネクタイのセンス云々はどうでもいい。たとえ趣味の悪い柄だろうが関係ありません。これは雑談における非常に重要なポイントです。
「ほめ」の内容ではなく、「ほめる」という行為そのものに、雑談という目的があるのです。
(中略)
 価値観は人それぞれ、人の数だけ価値観はあります。
 雑談は、価値観を発表したり、押しつけ合ったり、議論したりするものではありません。
 相手を「受け入れる」ための行為です。
 だからこそ、極論すれば、“何でもほめりゃいい”のです。

 『雑談力が上がる話し方』 第2章 より  齋藤孝:著  ダイヤモンド社:刊

 日本人は、ひとつの価値観をベースにした会話に陥りがちです。
 さりげなく、無難に相手をほめられない人が多いですね。

 ほめられて、イヤな気になる人はいません。
 相手の懐に飛び込むためにも、気づいたことは、どんどんほめるクセをつけたいですね。

自分のコミュニケーションツールを持つ


 何を話さなければいいかわからない。
 話に自信がない。

 そういう人は、何かしら、自分なりのコミュニケーション・ツールを用意するのも有効な手段です。

 携帯電話にユニークなストラップをつけるのもいい。待受画面に凝ってみるのもいいし、デザインのおもしろいステーショナリーを使うのもいいでしょう。
「これ、おもしろいでしょう?」
「こういうの、知ってます?」
 といった話のキッカケになるものなら何でも構いません。珍しくておもしろそうなモノを探してきて、会話のキッカケに使ってしまうのです。
 そして大事なのは、相手が持っているユニークなモノ、楽しげなモノには、こちらから食いついてあげること。相手のツールを拾ってあげることも重要です。
「それ何ですか?おもしろそうですね」
「ああ、これ?実はね・・・・」
 と、相手本位の話題で雑談が広がっていきます。
 自分がキッカケを提供するためのコミュニケーション・ツールを持つ。相手の持ち物などに話のキッカケとなりそうなアイテムを探して反応する。
 困ったときのモノ頼み、大いに結構。それを糸口にすればひととおり雑談ができるようなコミュニケーション・ツールは、雑談下手な人にとって心強い武器になります。

 『雑談力が上がる話し方』 第3章 より  齋藤孝:著  ダイヤモンド社:刊

 齋藤先生オススメの、手軽な雑談アイテムは、「フリスク」とか「ピンキー」などのミントタブレット。
 30秒くらいで溶けてなくなるところも、雑談の小道具に向いています。

「また行きたい」と思わせるのは、料理よりも雑談のうまい店


 もっとも「雑談力」の問われる仕事のひとつ。
 それが、サービス業、接客業です。

 例えば、どこかのレストランで食事をするとします。
 そこの接客係が雑談が上手な人ならば、その店に、また行きたいという気持ちなりますね。

 もちろん料理がメインですから、雑談を交わすのも時間にして数分くらいのものなのですが、その人と言葉を交わすことで、すごくリラックスできて料理も一段とおいしく感じるのです。料理はもちろんですが、半分はその人と雑談をするのが目当てでその店に通っているといるといってもいいかもしれません。
(中略)
 今さら言うまでもないことなのですが、事かように、飲食店に限らずお客さん相手の商売は、商品以上にお客さんとのやりとりが重要なポイントになります。
 気を使わずに話ができる。専門的な情報を持っている上に、気心が知れていて心地よい雑談ができる。お客は、そういう人間関係ができている店に足が向くものなのです。
 それが、客にとっての「また行きたい店」なのです。

 『雑談力が上がる話し方』 第4章 より  齋藤孝:著  ダイヤモンド社:刊

「雑談は、場の空気を温める」

 レストランなどは、その最たる例です。

 美味しくて人気のある店と、美味しいけれど人気はイマイチの店。
 その分かれ目は、実はこのようなところにあるのでしょう。

 これは、もちろん個人にも、そのまま当てはまります。
 雑談力、本当に大切ですね。

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 一見、何の役に立つのかわからない。
 世の中では、そう思われていたものが、実は、重要な役目を果たしていることは多いです。
「雑談力」も、その一つに数えられるでしょう。

 誰とでも「中身のない会話」をできることは、決して意味のないことではありません。
 それどころか、最高のコミュニケーション力であるということが、本書を読むとわかります。

 齋藤先生は雑談は「生きる力」そのものであるともおっしゃっています。

 たかが「雑談」、されど「雑談」。

「雑談力」をしっかり鍛えて、より楽しく充実した人生にしたいですね。

 

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