【書評】『冒険に出よう』(安藤美冬)

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 お薦めの本の紹介です。
 安藤美冬さんの『冒険に出よう』です。

 安藤美冬(あんどう・みふゆ)さんは、起業家・コラムニストです。
 2011年に独立されて以来、ソーシャルメディアでの発信を駆使し、一切の営業活動をすることなく、多種多様な仕事を手がけいらっしゃいます。

冒険に出よう!


 安藤さんは大学卒業後、大手出版社に入社、配属先は広告部でファッション誌の担当となります。
 しかし、なかなかなじめずに失敗を繰り返し、ついには、精神的なストレスなどで半年間の休職に追い込まれます。

 安藤さんは、自分に言い訳することで責任逃れをしていたと、それまでの苦い経験を反省します。

 復職後は、宣伝部に異動となりますが、そこで心機一転、「一日ひとつ新しいことをする」を合い言葉に主体的に仕事に取り組むようになります。

 すると、徐々に結果も出るようになりました。
 そして、30歳を迎えたの機に、「他に替えのきかない、自分にしかできない仕事をやってみたい」という衝動を抑えきれずに会社を辞め、フリーとなります。

 安藤さんは、特別な才能や知識があるわけではない無名の個人だからこそ得られる、共感や応援があると強調します。

 私は、自分のことを「成功者」だなんて考えたこともありません。先に書いたように、常に「挑戦者」でいたい「青コーナー女子」です。実際、この本を書いている今でも、数字ではかれる実績や大金を手にしているわけではありません。
 しかし、私なりの「自分らしい生き方」は、だんだんできるようになっていると思います。私にとっての「自分らしい生き方をする」とは、「自分の人生の手綱を、自分で握って生きる」ことです。

 『冒険に出よう』 まえがき より  安藤美冬:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 本書は、自らを『一人の未熟で未完成な挑戦者』であると語る安藤さんが、「戦略」と「情熱」だけを頼りに自分の道を切り開いてきたこれまでの人生をドキュメンタリー形式でまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「自分だけの地図」を持ち、人生という冒険のたびに出る


「人生は冒険だ」

 そう言い切る安藤さん。
 高校生の頃、初めての海外旅行で船上から見た大海原の景色は、今でも鮮明に心に焼き付いているとのこと。

 安藤さんは、海を渡り異国の大地を踏みしめたとき、私は「自分だけの世界地図」を手に入れたように思えたと述べています。

 地図を広げて、まだ見ぬ世界とそこにある可能性に向かって、「次はこっちへ行こう」と道をつくっていく。思い返せば私は常に「ここではないどこかに、もっと素晴らしい出会いがあるに違いない」というように、その先にある「可能性」にかけてきました。

 思春期に夢中になったゲーム、「ドラゴンクエスト」。人生は「リアル版ドラクエ」だと、私は思っています。船を手に入れて、地図を渡されて、始めて世界のなりたちがわかり、自分の現在地を知る。自分だけの地図を頼りに、目的地に向かう途中で武器を手に入れたり、仲間を見つけたりして、「勇者」としてレベルアップしていく。
 半径500メートル以内ですべて完結する地元での生活から一歩外へ踏み出したときに、私は、幼い頃からずっと憧れていた「冒険への切符」を手にすることができたと感じたのです。

 『冒険に出よう』 CHAPTER 1 より  安藤美冬:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 何ものにも縛られずに、つねに新しいことにチャレンジするワークスタイル。
 安藤さんの原点は、こんなところにあるんですね。

 逃げてばかりでは「経験値」は得られません。
 当然、目標やミッションをクリアすることもできません。

 未知の世界に足を踏み入れ、“魔物”に対しても全力でぶつかっていく。
 そんな彼女の「生きること」へのこだわりが伝わってきますね。

24時間以内にメールする


 安藤さんは、会社員時代に独立準備のためのルール、「マイルール+(プラス)」を定めていました。

 その中のひとつに、「24時間以内にメールをする」があります。

 会いたい人と会うチャンスをせっかくつかんでも、それを次につなげられる人、意外と少ないものです。
 相手とのコミュニケーションを取るために、「メール」は重要な手段となります。

 なぜ「あってから24時間以内」という制限を設けたかというと、人は忘れやすい生き物だからです。「エビングハウスの忘却曲線」という人間の記憶力に関する研究によれば、人は24時間以内に実に7割以上のことを忘れるそうです。そこで記憶が薄れないうちに、あらためてこちらから連絡をとり、名前やキャラクター、交わした会話などの「記憶を蘇らせる」のです。
 自分から連絡する、と決めてしまえば、「あの人から連絡がこない」と不満に思うことはなくなります。まず帰宅したら、名刺入れをかばんから取り出してサッと連絡。それだけで周囲の人よりも一歩先んじて縁をつないでいけるようになります。

 『冒険に出よう』 CHAPTER 2 より  安藤美冬:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 フリーで働く場合、人とのつながりは、とくに重要です。
「出会い」は待っているだけで訪れるものではありません。

 自ら積極的に動くことで、チャンスの芽を作り出す。
 そんな彼女の積極的な姿勢はぜひ見習いたいですね。

「自分メディア」の編集長になる<


 ツイッターやフェイスブック、ブログなど、「ソーシャルメディア」と呼ばれるインターネット上のサービスの普及。
 そのおかげで、個人でも、不特定多数の相手に対して自分の考えを発信できるようになりました。

 安藤さんは、このソーシャルメディアをフルに活用し、自分に興味を持つ人、つまり、“顧客”を増やしました。

 自分のどの部分を、どの媒体を使って、どのように伝えるか。
 私は自分のことを「自分メディアの編集長」だと言っています。毎日、毎月、自分の名前を冠した雑誌を編集し、世に出しているというイメージです。言ってみれば、「月刊 安藤美冬」の特集記事にあたるのが、先ほど挙げた4つのキーワードになります。私の場合、第一特集がソーシャルメディア、第二特集はセルフブランディング・・・・・というわけです。編集長である私は、常にアンテナを張り、その特集に関する情報を集め、自分自身で実践し、それを情報にして、発信する。その繰り返しで、読者、つまりお客さんをつかむのです。
 雑誌の世界では、20代向け、エコやオーガニックに興味がある人向け、キャリアウーマン向け、というように、対象となる読者層をあらかじめ設定して編集されています。それと同様に、ソーシャルメディアにおいても、自分の情報の受け手が誰か(=ターゲット)を意識してみましょう。
 私の場合、「年齢」や「性別」といった指標ではなく、「ノマド」「ソーシャルメディア」「フリーランス」「セルフブランディング」という4つのキーワードに興味のある人たち、つまり自分と「感度」が似ている人に向けています。

 『冒険に出よう』 CHAPTER 3 より  安藤美冬:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 自分のキャラクターを際立たせ、それを「売り」にしてターゲットを絞り、情報を発信する。
 雑誌の編集に携わった安藤さんらしい発想ですね。

 自分の考えを自ら発信し、自分の個性や強みを相手に伝えてアピールする能力。

 フリーになるならないにかかわらず、このような力は、今後ますます必要となります。
 是非とも参考にしたいですね。

初対面の時には「損得感情」に訴える


 安藤さんは、自分の人生を大きく動かすチャンスや情報というのは、たいてい「人」を介してやってくると述べています。

 人とのつながりをつくる「入り口」となるのは、初対面です。
 出会って最初の15秒で、どれだけ相手の心をつかみ、「また会いたい」と思わせるかが勝負です。

 安藤さんが意識してやっているのは、「損得感情」に訴えるという方法です。

 一度あった人とその後もつき合いを続けていくかどうか。そのポイントなるのは、この人とつき合うと損か得かという「損得勘定」ではなく、実は、この人とつき合うとどんな感情が揺さぶられるかという「損得感情」にあると思っています。その人と会ったときに、楽しい、嬉しい、元気が出る、勇気が湧くといったポジティブな感情が生じれば、感情が動いた分だけ相手に魅力を感じ、「また会いたい」と思います。逆に、つまらない、気分が落ち込むなどネガティブな感情を抱かせてしまえば、距離は遠のいてしまうでしょう。
 ただ、ネガティブな感情も相手に好感を抱かせる場合もあります。正直に怒り感情を伝えたり、勢い余って涙を流したりすることで、「人間らしい、真っすぐな人」と好意的に受け取られることもあるのです。
 こうした「損得感情」を意識したコミュニケーションは、わざとらしく感じられると嫌われることもあります。とはいえ、当たりさわりのない受け応えを繰り返していては、嫌われることもないかわりに強烈に好かれることもありません。相手の感情に働きかけるコミュニケーションは、多少のリスクはあっても、それだけ効果もあるのです。

 『冒険に出よう』 CHAPTER 4 より  安藤美冬:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

「素のままの自分」をさらけ出すことで、相手の警戒感を取り除かせる効果があります。

「人間は感情の生き物」とも言われます。

 自分も相手も「会っていて楽しい」そう思える関係を築くこと。
 それが、長くつき合っていく上で最も重要です。

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『成功者を目指すのではなく、一生、挑戦者でありつづけたい』

 この言葉をモットーに、活動を続けられている安藤さん。

 自らの長所を最大限に生かして、ソーシャルメディアという武器を手に協力者を広げつつ自らの道を切り開いていく。

 そんな安藤さんのライフスタイルは、新しい働き方を模索する人たちにとって、ひとつのモデルケースとなります。
 もちろん、大きな刺激にもなるでしょう。

 彼女の冒険はまだまだ始まったばかり。
 これからどんな武勇伝を残してくれるのでしょうか。とても楽しみです。

 “挑戦し続ける勇者”安藤美冬さんの、今後の活躍に期待したいですね。


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