本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(坪田聡)

 お薦めの本の紹介です。
 坪田聡先生の『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』です。

 坪田聡(つぼた・さとる)先生は、ヘルスケアがご専門の医師で、「睡眠」分野の研究の第一人者です。
 講演や著書などを通じて、睡眠の質向上によるメンタルヘルス対策の指導や普及に努めておられます。

たった数分の仮眠が驚くほどの効果に!

 日中、眠くてどうしようもないときに、数分の仮眠を取っただけで頭がスッキリした。

 皆さんも、そういう経験を持っているかもしれません。

 たった数分の仮眠が、睡眠不足の解消に効果がある。
 そのことを科学的に説明してくれているのが、本書です。

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寝付きのいい人は要注意!

 睡眠時間を削って時間をつくると、逆に、日中の脳と体のパフォーマンスが大幅に落ちます。
 そのため、トータルの生産性を考えると、逆効果です。

 坪田先生は、睡眠不足の状態で日常生活を送るということは、アルコール(お酒)を飲んで運転しているようなものだと述べています。

 お酒同様、睡眠不足は、自覚しにくいうえに、どんどん蓄積されていきます。

「日中、眠気を感じることはほとんどないから、睡眠は足りているだろう」と思っている人も注意が必要です。
 なぜなら、日中に眠気を感じていなくても睡眠不足の人が多くいるからです。
 たとえば、ベッドに入って5分以内に眠れる人。
「寝つきがいいこと」、それ自体はすばらしいことですが、体が危険信号を発しているのかもしれません。
 睡眠不足は、疲労と同じようにどんどん蓄積されていきます。これを「睡眠負債」と呼びます。
 睡眠負債が多い人ほど寝つきはよくなります。

  『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』 第1章 より  坪田聡:著  スバル舎:刊

 睡眠不足が蓄積されると、疲れが抜けないだけではありません。
 免疫力が低下する、肥満になりやすくなる、などの悪影響が出ることが、科学的にも証明されています。

「1分の仮眠」が人生の質を上げる

 慢性的な睡眠不足を解消し、「質の高い時間」を増やす。

 坪田先生は、そのための方法として「仮眠」の習慣を推奨します。
 たった1分の仮眠でも、驚くほど集中力が上がり、仕事の能率を上げ、ストレスを減らすことができるとのこと。

 坪田先生は、短時間の仮眠の効果を、断眠の世界記録に挑んだ米国の高校生を例に説明しています。

 その高校生は、猛烈な眠気に襲われると、しばらく目を閉じてじっとすることで、やり過ごしました。
 その時間は、わずか10秒程度です。 

 マイクロ(Micro)は「非常に小さい」、スリープ(Sleep)は「眠り」のこと。つまりマイクロスリープとは、「非常に短い睡眠」を意味します。時間にして、数秒から長くて10秒程度の極めて短時間の睡眠のことです。
 これほどまでに短い睡眠であっても脳をクールダウンしたり、メンテナンスしたり、睡眠物質を取り除く可能性があるといわれています。
(中略)
 脳にとっては、目から入ってくる視覚情報は大きな負担なのです。
 そこで目をつぶって1分間、外の世界からの視覚情報をシャットアウトしてやります。たったこれだけのことで脳細胞、とくに大脳皮質が休まります。
「目を休める」ということは、すなわち「脳を休息させる」ことです。
 もちろんごく短い時間ですから、夜の睡眠と同じ効果は期待できませんが、少しでも脳を休めることで、仮眠する前より、集中力は高まり、仕事の効率は高まることでしょう。

  『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』 第2章 より  坪田聡:著  すばる舎:刊

 ただ目を閉じるだけでも、脳にとっては、大きな休息なんですね。
 そう考えると、1分の「仮眠」といえども、バカにはできません。

30分以上、仮眠を取ると「睡眠惰性」が発動する

 坪田先生は、睡眠不足はこまめに解消することが大事として、1日に何度も1分の仮眠を取ることを勧めます。
 極度に睡眠時間の少ない人は、昼休みなどに20分程度の仮眠を1回取ると午後のパフォーマンスが全く違ってくるとも述べています。

 ここで注意しなくてはいけないのは、『眠気をためてしまわないこと』です。 

 一番よくないのは、30分以上の仮眠を取ることです。
 30分以上眠ってしまうと「睡眠慣性」が強く働くからです。「睡眠慣性」とは眠気をいい換えたものと思って考えてください。
 強い「睡眠慣性」が働くと、起きたあともしばらくの間は眠気が続き、仕事や勉強に戻るまでに時間がかかります。
 つまり長く寝すぎると、本来のパフォーマンスが発揮できる状態になるまで時間がかかるのです。

  『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』 第2章 より  坪田聡:著  すばる舎:刊

 過ぎたるは及ばざるがごとし、です。
 小さな眠気を「先取り」することが大事です。

眠気をコントロールする秘訣

「仮眠」は、睡眠不足解消に大きな効果があります。
 とはいえ、夜にしっかりと睡眠を取り、規則正しい生活を送ることが、健康的な生活の基本です。

 重要なのは、「体内時計」「“睡眠物質”や“睡眠ホルモン”などの体内物質」をコントロールすることです。 

 規則正しい生活を続けるために、1日1回、体内時計をリセットしてあげましょう。
 方法は簡単です。毎朝、太陽の光を浴びればいいのです。
 太陽の光や2500ルクス以上の強い光を浴びると、体内時計がいったんリセットされます。
(中略)
 目から入った光の情報は、神経を経由して脳視床下部にある「体内時計」に伝えられ、その結果、体内時計はリセットされます。
(中略)
 太陽の光を浴びると、私たちの体内ではもうひとつの機能が動き始めます。眠気の元となる睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が一気に減少するのです。

  『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』 第3章 より  坪田聡:著  すばる舎:刊

「メラトニン」が、再び分泌のピークをむかえるのは、14~16時間後です。

 朝早く起きて、太陽の光を浴びる。
 それが、心地よい睡眠を取るうえでも、重要だということがわかります。

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 これからの時代は、ますます効率的な時間の使い方が問われます。

 夜遅くまでダラダラと残業しても、仕事を終わらせればいい。
 そういう時代では、すでにありません。

 「質の良い時間」を手に入れるために、「良質な睡眠」は、欠かすことができません。
 「たかが1分の仮眠」とバカにはできませんね。

 日々睡眠不足と戦っている、日本のビジネスパーソンにこそ、お読み頂きたい一冊です。

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