【書評】『LESS IS MORE』(本田直之)

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 お薦めの本の紹介です。
 本田直之さんの『LESS IS MORE』です。

 本田直之(ほんだ・なおゆき)さんは、外資系銀行などを経て、ベンチャー企業への投資事業を行うかたわら、少ない労力で多くの成果をあげる「レバレッジマネジメント」という独自の方法でアドバイスなども手がけられています。
 現在は、日本とハワイの2カ所に生活の拠点を構えていて、時間や場所に縛られない自由な生活を自ら体現なさっています。

「LESS IS MORE」は、時代の流れを象徴するキーワード


 本書のタイトルにもなっている、「LESS IS MORE」
 これは、ドイツの建築家の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。

 その意味は、「より少ないことは、より豊かなことだ」です。

 しかし、シンプルに暮らしたいと思うのであれば、真剣に自分の生活や人生を考えなければなりません。しかもそれを、「自分の意思」で選んでいくことが重要です。モノだって減らさなければなりませんから、よりクリエイティブに生きることも求められるでしょう。
 もともと、こうした考え方は日本人の根底にあったもの。しかし、高度経済成長期をはじめとする物質至上主義の影響を受けて、徐々に変わってしまいました。
 物質至上主義とは、言い換えるならば、車や家をはじめモノや場所など、さまざまな制約に縛られて生きることでもあります。
 そうした制約から解放され、自由に生きること。
「LESS IS MORE」は、人生を楽しむために、とても重要な思想だと思うのです。

  「LESS IS MORE」 prologue より  本田直之:著  ダイヤモンド社:刊

 本編では、本田さん自身が、幸福度ランキングの高い北欧の国々を訪れてシンプルライフを実現している20人以上の人たちへのインタビューを実施、それをもとに幸せに生きていくための考え方やアイデアをまとめています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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なぜ「草食系」から学ばなければならないのか


 モノを買わない、旅行にも行かない。
 ここ数年、「草食系」と呼ばれる若者たちの存在がクローズアップされています。

「やる気が見えない」
「言われたことしかやらない」

 どちらかというと、ネガティブな意味合いで使われる、この「草食系」という言葉。

 本田さんは、この現象を「日本人の幸せの価値観」が変わってきた証拠だと、ポジティブに捉えています。

 だから、私は「草食系」の若者たちをまったく否定しません。むしろ学ばなければいけない存在だと考えています。なぜ彼ら、彼女たちが、物欲もなく、しっかり貯金をして、ワークライフバランスやライフスタイルを重視しているのか。
 そう、これも時代の変化を感じ取っているからにほかなりません。誰に教わったわけでもないし、また意識してやっていることでもないでしょう。本人たちが望むと望まないとにかかわらず、若い世代の人たちは、時代に合わせて絶えず進化していくものなのです。
 彼らは、とにかく一生懸命に働いてお金を稼ぎ、モノをたくさん買って生きてきた親の世代を見て、とにかく一生懸命働いてお金を稼ぎ、モノをたくさん買って生きてきた親の世代を見て、それが「幸せではない」ということになんとなく気づき始めています。もちろん私たち新人類と草食系世代でも幸福の価値観はまったく違うし、その価値観は常にシフトしていくものなのです。

   「LESS IS MORE」 chapter01より  本田直之:著  ダイヤモンド社:刊

 「草食系」と呼ばれる若者は、20代以下の世代が中心です。

 ものごころついたときには、すでにバブルは崩壊しています。
「景気がいい」とは、どんな状態なのかも知らずに育ってきています。

 彼らは、今の日本の経済状況に合わせた「省エネ型」の生き方を、無意識に身につけています。

 出世や周りの評価を気にせず、「モノ以外」の精神的な部分の充実を求める。
 そのスタイルは、理に適った考え方と言えます。

 彼らの親以上の世代には、なかなか理解できない価値観で、見習うべきところはありますね。

やりたいことより、やらないことを決める


 余計なモノを買わず、余計なことをしない。
 自分のやりたいことができる、シンプルライフ。

 それを実現するためには、具体的に、どうしたらいいのでしょう。

 本田さんは、やらないことを決めることで、より進むべき方向が明確になる』との理由から、「やらないことリスト」をつくることを勧めています。

 選択肢をあえて絞ることによって、「お金になりそうだから、面白くないかもしれないけどやっちゃおう」というように、目先のことに釣られなくなるというメリットもあります。目先のことに釣られていると、どこかでストレスになったり、トラブルになったり、いい結果も出しづらいもの。そして、それが回りまわって、次の仕事が来なくなるということにもつながります。
(中略)
「やらないこと」を決めておけば、「やること」はハッピーなことだけ。いい仕事もできるし、結果も出る。ストレスにもならず、当然幸せも感じやすくなるはずです。
 自由に生きようと思えば思うほど選択肢は増えていくので、放っておくと訳がわからなくなってしまいます。「やらないこと」を決めるのは、自分の中のスタンダードを持つことなのです。

   「LESS IS MORE」 chapter03より  本田直之:著  ダイヤモンド社:刊

 ここでも大事なのは、「自分なりの価値観」です。

 周りの目を気にした、背伸びした生活スタイル。
 それでは、とても余裕のある「シンプルライフ」は実現できません。

 本当に自分が欲しいモノ、やりたいこと以外は手を出さない。
 そんな決意が必要ですね。

「やらないことリスト」は、そのための強力な手段になります。

「ダウンシフト」をわくわくする“選択”に


 本田さんは、一生懸命に働いてお金を稼いで使う、そうやって車のギアを上げていくような「アップシフト」の時代は終わって、徐々に下げていく「ダウンシフト」の時代に代わったと強調します。

「モノを減らしてシンプルに生きる」こともそうだし、「お金や場所や時間に縛られないこと」もそう。ポジティブな選択としていろいろなものを削っていくことが、これからのダウンシフトです。
 なんだか疲れたから、一生懸命働くのが嫌だから、時間が欲しいから・・・・。そういう逃げ腰の発想では、幸せになれません。
 物質的な豊かさから精神的な豊かさへ、幸せの形は変わりました。わくわくすることは、自分で選んでいかなければならない時代です。それができなければ、たんに地味で質素な生活をして、日々「やっぱりつまらないな」と思うだけ。
(中略)
 幸せは、ポジティブな選択の向こう側にあります。
 新しい楽しみや人生の面白みを得るために「あえて」選ぶ。
 そして、自分自身がやるべきことや、持つべきモノを減らしていくこと。
 それが、幸せへの一番の近道です。

   「LESS IS MORE」 chapter04より  本田直之:著  ダイヤモンド社:刊

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 時代は、刻一刻と変わっていきます。
 それに合わせて生活スタイルも変えなければ、時代に取り残されるだけでなく、必要以上の重荷を背負い込むことになります。

 今は、先の見えない長い下り坂が続いている時代です。
「シフトアップ」して、この坂を無理に登ろうとすれば、エネルギーもお金も浪費します。

 それよりも、「シフトダウン」した生活スタイルに切り替えること。

 長く緩い下り坂を、ギアをニュートラルに入れたまま、気持ちよく滑走する。
 そのような生活を送ることが理想的ですね。
 
「たくさんモノが買えれば、幸せになれる」
「頑張れば、昇進できるし、給料が上がる」

 日本では、そんな「物質至上主義」や「右肩上がり神話」が幅を利かせています。

「現実と理想のギャップ」が、多くの人を制約して、自由を奪う。
 その結果として、幸せを感じられない世の中がつくり上げられています。

「LESS IS MORE」というキーワードは、現代の日本人こそ、じっくりと噛みしめるべき言葉です。

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