【書評】『「正しい失敗」の法則』(堀紘一)

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 お薦めの本の紹介です。
 堀紘一さんの『「正しい失敗」の法則』です。

 堀紘一(ほり・こういち)さんは、経営コンサルタント・起業家です。
 ベンチャー企業支援・コンサルティング会社のドリームインキュベータ(DI)の設立者でもあり、現在も社長を務められています。

涙を怖がりすぎないこと


「中二病」の次に老化が来る。そして人生に青春は一度もなかったとすれば、その人の人生はさびしすぎます。どうしてそんなことになってしまうかというと、涙を怖がりすぎるからです。そして叱ってくれる人もいなければ、励ましてくれる人もいないからです。
今の若い人達の不幸は不景気でも就職難でもありません。そんな時代は過去にもありました。
(中略)
 しかしどの時代にも若者は時代に、大人に挑戦してきました。もちろん失敗もしてきました。しかし「涙がターニングポイント」になっていたことが多かったと、私は思います。

 『「正しい失敗」の法則』 まえがき より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

 失敗を恐れずに挑戦すべき。
 ただ、失敗にも、意味のある失敗と、そうでないものがあります。

 本書では、様々な壁や挫折を乗り越えて起業家として成功された堀さん自らの経験を踏まえた「正しい失敗」の数々が記されています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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一日を振り返ることから


 君は今日、何をしていただろうか。
「いつも通りでした」という答え返ってくるかもしれない。では、その「いつも通り」とはどんな一日だろう。
(中略)
 では改めて問おう。「その一日でいいのか」。
「はい。これでいいのです」
 もし、そう答えるのであれば、少し立ち止まって考えて欲しい。それはなぜ「これがいい」ではないのかということだ。
「これがいい」と「これでいい」というのは、同じ行動をしていたとしても、その胸中はまるで違う。
 現在66歳になる私は、たとえば同じ質問を投げかけられた時に、「これでいい」とは答えないだろう。なぜなら私は毎日迷っているからだ。

 『「正しい失敗」の法則』 第一章 より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

「これがいい」と「これでいい」。
 違うのは、一文字だけ。

 ですが、人生に対する姿勢は、180度違います。
 能動的に生きているか、受動的に生きているかの差です。

「自らの意思で行動する」

 普段から、そういう心掛けがなければ、自分が何がしたいのかは、見えてきません。

大切に見える「安定」の正体


 貯金をいくらため込んだところで、インフレでいつパーになるか分からない。地位だって会社が倒産したり、クビになれば意味はない。そういう価値観で生きている中で作られた友達ならば、地位を失った瞬間に去ってしまうこともあるだろう。
 結局のところ「安定」なんていうものは、頭の中にある幻想のようなものだと私は思う。絶対に安心な道などというものは、世の中には存在しないだろう。先日の東日本大震災を例に挙げるまでもなく、そもそも地球そのものだって、天変地異が起こる不安定な存在なのだから。
 不必要に怖がらせるつもりはないけれど「一寸先は闇」「板子一枚下は地獄」という言葉は、なかなか的を射た言葉だろう。
 自分が魅力ある人間であり続けること以外に、この世の中で本当に頼りになる保証は何もないと、私は思う。

 『「正しい失敗」の法則』 第一章 より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

 とかく安定志向が強い日本人が、認識しなければならない事実です。

 有名大学に入ったから、安心。
 大企業に勤めているから、安心。

 そんなことは、幻想でしかないです。

 変化の激しいご時世、「変われないことが最大のリスク」です。

 安定を求めているうちは、不安からは逃れられません。
 自分自身を磨きましょう。

20代で張り合いを感じていない人は・・・・


 今回、インタビューをした人たちの中にも、20代での失敗を恐れている人は多い。
(中略)
 20代で張り合いのない日常というのは、私のライフプランとして考えるなら「投資していない」ということになるだろう。いわば、与えられた「会社員」としての地位を活用して運用するのではなく、それを抱えてプールしている状態だ。今後、目減りしていく一方だ。
 踏み出す力がない、とこの人は言っているが、20代で力がないのはむしろ当たり前のことだろう。圧倒的に人生の経験が足りていないのだ。失敗の経験を積んで初めて自信も力もついてくるのに、20代、30代の現在に踏み出すことができないのであれば、この先、一生踏み出すことはないんじゃないだろうか。
 そして50代になってから「20代の時から一歩も動いていなかった」ということに愕然とするかもしれない。
(中略)
 自分の日常に張り合いを持たせるということは、将来に向けてとても大きな投資に繋がるということを忘れないでほしい。

 『「正しい失敗」の法則』 第一章 より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

 これも耳の痛い言葉です。
 ですが、核心を突いています。

 いろいろな経験を積むことが、自信につながり、自らの力となります。
 というか、それ以外に方法はありません。

 そのために必要なのは、「踏み出す力」。
 少しの勇気です。

残業を止めて帰る


「残業を止めなさい」
 そんなことを言うと、反発を覚える人も多いかもしれない。
「忙しいんだから仕方がない」「仕事が終わらない」「上司の命令だ」
 理由は色々あるかもしれない。
 だが、私は社会人として生活して随分と歴史を重ねてきたが、その中で残業をしたことはほとんどない。ゼロではないが、限りなくゼロに近いと言っていいだろう。
 残業をしていないから、私は他の人よりもたくさんの時間を持つことができた。本を読むことができたし、勉強をすることができたし、人と出会うこともできた。
(中略)
 私は仕事を時間で片付けるというのは、とても原始的な解決方法だと思う。そして、あまり有効な方法でもない。
 特に、私が携わっているコンサルティングという業務においては、デスクに張り付いていることで解決できることなんて、そんなに多いものではない。ましてや、時間が遅くなり、睡眠時間が減ればそれだけ、頭の働きも落ちるし、効率も悪くなる。それならばいっそ仕事を終わらせて、誰かに会いに出かけたほうがいいくらいだ。

 『「正しい失敗」の法則』 第一章 より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

 反発を覚える人も多いとは思いますが、その通りです。

 サービス残業は、コンプライアンス上、もっての外です。
 たとえ、残業代が出るとしても、残業はすべきではありません。

 誰もが平等に持ち、しかも一番貴重な資源は、「時間」です。
 その認識が、日本人には、希薄です。

 周りが残業している中、一人だけ定時で上がるのは、勇気がいる場合も多いです。
 しかし、仕事をきっちりこなして、結果を出せば、誰も文句は言えません。

 自分にそれ位のプレッシャーを掛けると、気が引き締まり、集中力も高まります。

「自分は頑張っています」

 そんなアピール的な、逃げ道確保の残業は、これから流行らなくなるでしょう。

我慢ではなく「逆提案」を


 不満を抱えつつも「上司のデキが悪いから」なんていって仕事をしている人が異様に多いように思う。しかし、そんな風に愚痴を言うのは誰でも出来るし、とても知恵がない、もったいないことだと思う。
 たとえて言うなら、サッカーの試合を見ていて「おいおい、そんなところでシュートをするなよ」などと文句を言っているのと同じだ。君は、フィールドに立ってさえいない。「観戦していてどうする。君の仕事だろ」と、私は言いたい。
 評論するのは簡単だ。しかし評論していても仕方がない。提案しなくてはいけない。
(中略)
「君自身が立っているフィールドで、きちんとボールを追いかけろよ」と言っているだけなのだ。
 評論だけして、「俺だったらこうするね。でも、上司がアホだからしょうがないよ」と言いながら、自分は頭が いいと思っているのだとしたら、それは大間違いだ。提案もしないまま、20代、30代を過ごしていけば、今度は君が上司になった時に結局、まともな提案などできはしない。そして、部下たちに、
「あの上司はアホだから」
 と、愚痴をこぼされるだけのことだ。

 『「正しい失敗」の法則』 第一章 より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

 やるべきことをしないで、何を言っても、愚痴でしかありません。
 本人のいないところで言うのは、すべて陰口です。

 陰口を言う人は、その人も、どこかで陰口を叩かれる。
 それを忘れてはいけません。

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 最後に、堀さんは、以下のようにおっしゃっています。

 結局、失敗の原因を他の人やものに押しつけている限り、原因を解明することにはならない。
 私の身の回りにも、挑戦しては失敗をしている人たちはたくさんいる。彼らの中で、失敗から上手に立ち直ることが出来る人たちは、
「失敗したのは、俺が何か悪かったからなんだろうな」
と、素直に言えるという共通点がある。間違っても「俺のせいじゃない」とは言わない。あるいは卑屈になって「どうせ俺なんて」といじけているわけでもない。前向きに解決しようとした時に、一番早いのは「他人」や「社会」ではなく「自分」を変えることだと、彼らは知っているのだ。
(中略)
 君が失敗した時には、君の考え方や価値観を変えるチャンスなのだと考えたほうがいい。そのほうが、失敗をただの失敗で終わらせず、次へのステップに変えることができるのだ。

 『「正しい失敗」の法則』 あとがき より  堀紘一:著  PHP研究所:刊

 失敗が誰の責任かは、重要ではありません。
 人のせいにした時点で、自分の成長には繋がりません。

 自分に原因を求めることで、その失敗から得ることが必ずあります。
 それが、その人を成長させていきます。

 自分に起こったことを、自分の責任として、受け入れる覚悟を持つ。
 結局、それが『正しい失敗』を積み重ねて成功する秘訣です。

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