【書評】「しんどくなったら、心より先に体を整えよう」(いちい葉子)
お薦めの本の紹介です。
いちい葉子さんの『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』です。
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いちい葉子(いちい・ようこ)さんは、整体指導士です。からだデザイン研究所を主催されています。
なぜ、あなたの心はラクにならないのか?
本当に悩んでいたり、いっぱいいっぱいで心が悲鳴を上げているとき。
会社に行く気力も、家事をやる気も起きないとき。
世の中で有効だと言われている、ほとんどのアドバイス、ノウハウは効果がありません。
それはなぜでしょうか。
いちいさんは、その理由は、いきなり「心」にアプローチしようとしているから
であり、いわば、順番が間違っている
からだと指摘します。
もし、あなたが心の不調を抱えてこの本を手に取ってくださったのだとしたら、これだけは覚えておいてください。
いま、あなたに必要なのは
「体」へのアプローチです。なぜなら、体へのアプローチは、心へのアプローチよりもずっと取り組みやすくて、早く、たしかな結果をもたらしてくれるものだから。
体というのはわかりやすく正直で、手をかければ手をかけたぶんだけ、必ず応えてくれます。
姿勢が変わる、体形が変わる、肩を上げられる範囲が変わる、息のしやすさが変わる・・・・・・。体にアプローチすると、目に見えたり、たしかに感じることのできる変化が次々に起こっていきます。そうして「体が変わる実感」を積み重ねていたら、いつの間にか、心も変わっていたーーそれが、遠回りに見えて、簡単にラクにしんどさから抜け出す最短ルートなのです。
では、体へのアプローチとは、具体的にどういうことなのでしょうか?
それは、「動く体を取り戻す」ことです。
私たち人間は「動物」です。読んで字のごとく「ウゴクモノ」ですから、動きが悪くなるとストレスを感じ、気分が落ち込みます。これが野生の動物だった場合、「動けない=死」に直結します。
だから、体の動きが悪くなると「しんどさ」は増えるし、しんどいなぁと言いながらサバイブするのはとっても苦しいのです。そうならないために、ポイントになるのは、
「背骨」と「骨盤」です。実は、この2つが、体じゅうの調子を左右していると言っても過言ではありません。
具体的な方法については第3章で紹介しますが、整体を自分でできるよう考案したとてもシンプルな体操で、この2つを整えることができます。そうやって体が本来の動きを取り戻し、元気になっていくと、自然と心も上向きになっていきます。
実際、私が指導してきた生徒さんたちは、こんな経験をされた方がめずらしくありません。「若い頃からの慢性的な頭痛が解消され、猫背も改善。ウエストは10cmもサイズダウンしました。フルタイムで働きながら、家事に子育てと、常にやることがいっぱいですが、体がサクサク動くようになって負担が減ったおかげで、気持ちも前向きになりました」
「体重が5kg以上減り、皮膚炎や便秘,花粉症といった慢性的な体の不調が消えただけでなく、手術するしかないと言われていた子宮脱も寛解。体の不調がないことで心も軽くなったのか、10年以上通っていた精神科の先生から『もうカウンセリングは必要ないですね』と言われました」
私自身も、整体を学び、指導を続けてきたことで、体はもちろん、マインドも生き方も大きく変化したひとりです。
自分のやりたいことに集中し、ラクに、自分らしく生きることができるようになりました。『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』 はじめに より いちい葉子:著 アスコム:刊
本書は、体と心の関係を知り、「動きのいい体をつくる方法」を身につけるためのノウハウをわかりやすく解説した一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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自分をボロボロに傷つけるまで、がんばりすぎないで!
いちいさんが、数多くの生徒さんたちと接していて、痛感していること。
それは「がんばり屋さん」の多さです。
たとえば、「家族のために私ががんばらなくちゃ!」と家事に育児に仕事に、休みなく動いている人。
「自分がやらないと回らないから」と常にいくつもの仕事を受け持っている人。
「忙しいけど、断るわけにはいかないし」とPTAの係を引き受けている人。なんでも良いところと悪いところがありますが、「がんばり屋さん」はとても優秀で、責任感も人の心を汲み取ろうとする力も強い方が多いですね。
ただ、そうなると当然、周囲からの期待も高まり、いつの間にかそれに応えるため、「私がやらなきゃ」と自分を奮い立たせるようにして、過剰なストレスを抱え込んでしまう。「しんどさ」がテーマであるこの本を手に取ってくださったあなたも、そんな「がんばり屋さん」のひとりだと思います。
自分ががんばりすぎていることや、無理をしていることには、気がついているんですよね。「このままじゃ自分の身がもたなくなるんじゃないか」という不安もある。でも、自分がやらなきゃいけないし・・・・・・。そんな葛藤を抱え、苦しんでいるがんばり屋さんに、私はこう声をかけたいと思います。
「もういいんじゃない? 人のためにがんばらないで、自分のことを優先しても、『逃げるが勝ち』もアリですから」
たまには家事を放棄してもいいし、仕事をサボったっていい。「ねばならない」から、たまには逃げちゃいましょう!「がんばらなくていいんじゃない?」
そう言われて、まず真っ先に思い浮かんだのは、「とはいっても、私がやらなくちゃ・・・・・」という気持ちかもしれません。実際に、あなたのおかげで助かっていることがたくさんあるのだから、当然です。とくに、だれかのためにがんばれる責任感の強い人であればあるほど、「でも・・・・・」と思われるはずです。けれど、つらい現実ですが、あなたでなければできないことは、ほぼありません。
大谷翔平(おおたにしょうへい)選手のような方は別ですが、それでも、彼がこの先、歳をとって引退したとしても、メジャーリーグは回りつづけます。大谷選手でもそうなんですから、我々のような一般人なら、あったりまえです!
「でも私がいなくちゃ・・・・・・私がやらなきゃ・・・・・」という思いが湧いてきたら、自分自身に言ってあげましょう!
「オマエじゃなくてもいいんだよ〜」って。
すると、ぼんやり「たしかに、自分がやらなくてもいいこともあるのかも?」という考えが浮かぶはずです。
そうして、だんだんと時間が経って心が落ち着くにつれて、「どうして自分ががんばっていたのか」という疑問が頭を巡りはじめるでしょう。仕事だったら「上司に認められたいから」かもしれない。
漠然と「このくらいがんばらなくちゃ自分の存在価値がなくなる」と思っている人もいるでしょう。
あるいは「デキる自分でいることで、みんなに頼られたい」と思っているのかもしれませんね。
それは、心の奥底に隠されていた、自分の本当の動機や欲求です。そうやって、自分の本当の願いがわかってしまえば、「体を壊すほどにがんばる」ことはしなくなるはずです。だって、そうやってがんばりつづける以外の方法でも、あなたの願いを叶える道が見つけられるはずだから。
まずは、「逃げてみる!」。
そして、自分じゃなくてもよかった、と気づいてしまったら、手放して、もっと自分のためになることをがんばりましょう。そもそも、多くの人にとって「がんばりすぎ」が通常運転になっているのは、どうしてなんでしょうか?
私は、その原因のひとつに、SNSがあると思っています。SNSを眺めていると、たくさんの「人生がうまくいってる風」の人たちがアドバイスを発信してくれていますよね。たとえば、
「1日5分で10kg痩せられる!」
「稼げる人が実践する5つの習慣」
「賢い子に育つ知育おもちゃ3選」
など、流し見している手をつい止めたくなるような、気になるトピックスが目白押しです。
そして、「ダイエットしなきゃな」と思ってちょっと検索すれば、痩せるための方法が無数に提案される。しかも、たいていの情報は無料です。
美容、健康、仕事、貯蓄、恋愛、子育て。どんなジャンルでも、そんな提案があふれています。便利といえば、便利な社会です。
でもその一方で、現在のSNSやインターネットは、明らかに情報の「栄養過多」な状態になっていると感じます。あなたの目の前のテーブルには、「やったら成功できること」という栄養満点の情報が並んでいます。しかも、すべてタダだと書いてある。思わず手が伸びてしまうのは、当たり前の心理でしょう。
そうやって「なるほど!」「これはタメになる!」と休みなく、いろんな情報を口にしているわけですね。
けれど、どれだけたくさんの情報を食べても、なかなか「身につく栄養」にはなりません。それどころか、食べすぎたせいで疲れてしまった・・・・・と「しんどさ」を抱える人のほうが多いかも。無計画に、なんのプランも一貫性もないまま食べているのだから、当然のことですね。あるいは、迷い疲れている人もたくさんいるでしょう。
「どの情報を信じればいいの?」
「本当にこれで成功できるの?」
「あれもこれも有益に見えるけど、ぜんぶやるべきなの?」
そうやって、延々と迷い箸をつづけている。結局、時間だけがいたずらに過ぎていって、「しんどさ」をため込んでしまっています。
しかも、そういう「ごちそう」は、こちらの都合は完全無視で、ずっとサーブされつづけます。なかには、「これをやらなきゃ損だ!」「これができないなんてありえない!」とこちらを焚きつけるような情報も多くある。
そうなると、「あれもしなくちゃ」「これもできたほうがいい」と、どこか急きたてられるような感覚に襲われます。
だから、すでにお腹いっぱいで、「しんどい」のに、がんばってがんばって口に詰め込みつづけてしまう。このように、現在の「情報が栄養過多になっている社会」が、私たちを「がんばり屋さん」へと向かわせ、「しんどさ」をもたらしているのです。
『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』 第1章 より いちい葉子:著 アスコム:刊
「過ぎたるは及ばざるが如し」
そんな言葉もあるように、多すぎることは少なすぎるより害が大きくなることが往々にしてあります。
「情報」についても、例外ではありません。
絶え間なく与えられる料理を、何も考えずに、次からつぎに口の中に入れている。
例えるなら、そんな状態です。
これでは「しんどい」と感じても仕方がないですね。
体が「ゴミ屋敷化」していませんか?
自分というのは、「株式会社わたし」
であり、社長として社員に指示を出し、経営方針を決めて、舵(かじ)を取っているのが、あなたの「心」(気持ち)
です。
そして、一つひとつの臓器や四肢、皮膚など(総称して「カラダさん」と呼びます)はみんな、その指示に従う社員
です。
いちいさんは、カラダさんの声を聴くために、大切なこと
は、「入れる前に出す」という原則
だと指摘します。
たとえば、散らかった部屋を掃除するとき。最初に必要なことは、「ゴミを捨てること」ですよね。
いきなり最新式の掃除機を買ってみても、床にゴミが散乱していたら、まともに掃除機をかけることもできません。
あるいは、片付け本を買ってプロ級の収納術を学んでも、部屋が片付くことはありません。それより先にいらないモノを捨て、部屋に収まる量にまで、モノを減らす必要があります。これは、私たちの体でも同じです。
体の不調を感じて病院に行き、薬を処方してもらう。あるいは、薬局で市販薬やサプリメントを購入する。
こんなふうに、「体に良い(はずの)もの」や「病気に効く(はずの)もの」を体に「入れる」ことが、体のケアだと考えている人は多いのではないでしょうか?
もしくは、普段から野菜中心の食事をする。塩分ひかえめの食事をするといった「体に良い(はずの)食事」を「入れる」ことで、体に気を遣っているという人も多いかもしれません。もちろん、そんな取り組みは、体にとって良い効果をもたらしてくれるもののひとつだと思います。
でも、体の力を最大限に引き出そうとするなら、順番が間違っています。体にとっては、「良いものを入れる」ことよりも、まず先に、体にたまった「ゴミを出す」ことが大切です。
体のなかの悪いものを排出する。
それだけで、いろいろな体の不調は改善されていきます。
私はこの「体のゴミ出し」にあたる作用を「排泄」と呼び、とても大切にしています。では具体的に、体における排泄とは、どんなものでしょうか?
最初に思い浮かぶのは、便や尿だと思います。いちばんわかりやすく、大切な排泄反応ですね。同じように、汗や涙、鼻水、呼吸、生理など、体から「出る」ものはすべて排泄にあたります。
さらに、老若男女問わず、もっと大切な排泄反応があります。
それは、熱を出すこと。たとえば、風邪を引いたとき、何重にもした布団にくるまって、たくさん汗を流す。もちろん体温はぐんぐん上がり、頭もぼーっとしてくる。そんなふうにひと晩過ごすと、翌朝にはスッキリ風邪が治っている。
みなさんにも、そんな経験がないでしょうか?逆に、「体はすごくダルくて体調が悪い日がつづいているけれど、熱はないんだよな・・・・・・」という経験をお持ちの人もいると思います。
それはまさに、発熱という排泄がうまくいっていない状態。体力がないから、発熱(排泄)する力がなくて、熱が体のうちに籠(こ)ってしまっていくんですね。
熱は上がりきったら下がっていくものですが、上がりきらないとスッキリせず、「風邪をぶり返す」「こじらせる」ことになります。それでダラダラと体調悪い状態がつづいてしまうのです。幼いお子さんの場合、急に発熱し、サッと回復することが多いと思います。
それこそが、体の反応が良く、元気な体。風邪を引かない子が丈夫なのではなく、すぐに回復する体が丈夫な良い体だというのが私の考え方です。整体では、発熱も咳も、鼻水や湿疹、下痢、ぎっくり腰もすべて「排泄反応」として歓迎します。そんな体の排泄反応を邪魔せず、うまく経過させることができると、なんとも気持ちのいい状態へとリフレッシュすることができます。
とはいえ、排泄反応は私たちにとってあまり歓迎したくない、つらい症状でもあります。
でも、排泄反応がない(=症状がなにもない)体になってしまうとたいへんです。そうなれば、ゴミ屋敷まっしぐら。ゴミ出しも掃除も、どんどん重労働になり、億劫になってしまいますから。入れるよりも、まずは「出す」。
こまめなゴミ出しをつづけることで、体の中をフレッシュな状態に保つことができ、カラダさんも働きやすくなります。この「排泄」がうまく働くようになると、体にとって良いサイクルが巡りだします。
「良いサイクル」とは、体に入った悪いものを、勝手にお掃除して、キレイな状態に戻すサイクルのこと。つまり、体にはもともと、自然と自らを浄化する力が備わっている、というわけです。この力を「自浄作用」と呼びます。「自己治癒力」と言いかえてもかまいません。
自浄作用は、私にもあなたにも、生まれたときから全員に備わっている、すごい力です。これをしっかり活用しない手はありません。たとえば、体のなかに残った老廃物や毒素が毎日便や尿として排泄されるのは、いちばんわかりやすい自浄作用の例ですね。
それから、自己治癒力という側面から言うと、転んでできた擦り傷が、しばらくするとキレイな皮膚になることや、骨が折れたところを固定していたら、キレイに骨がくっつくこともそうです。自分の意思とは関係なく、勝手に悪いものを排出したり、傷を修復したりして、もとの元気な状態に戻してくれる。そんな便利なシステムが、「自浄作用」です。
この「自浄作用」に深く関わっているのが、自律神経です。
「自律神経の乱れ」「自律神経を整えよう」「自律神経失調症」といったワードで、最近よく耳にするようになりました。自律神経とは、呼吸や血液循環、消化など、生きるのに欠かせない働きを、無意識のうちにちょうど良い状態に調節してくれている機能のこと。自律神経には、交感神経と副交感神経という正反対の作用を持つ2つの神経があって、この2つが交互に働いてバランスを取ることで、体のなかの状態を一定に保ってくれています。
2つの神経のバランスが乱れると、体にはいろんな不調が引き起こされます。
たとえば、イライラしやすくなったり、睡眠の質が低下したり、胃腸の働きが悪くなったり。肩コリや頭痛、肌荒れ、不整脈やめまい、動悸などがひんぱんに起きるようになったり、更年期障害か重くなったり、うつ症状が現れることもあります。
素晴らしいシステムがある私たちのカラダさん。なのに、我々は日々システムがうまく作動しないようにジャマすることをやらかします。
不規則な生活やお酒の飲みすぎ、タバコ、精神的なストレスなど・・・・・・。
要するにあなたの生活習慣です。ということは、自分でなんとでもできるということでもあります。
あなた次第でいくらでも好転させることができますから、いま「カラダさんのジャマばかりしているわ・・・・・」とドキッとした方も、伸びしろしかありませんので、ご安心を!自律神経がうまく働いていれば、体のなかの消化や吸収、排泄のプロセスがスムーズになっていきます。つまり、体が本来の力を発揮して、自浄作用もしっかり機能してくれるようになるのです。
少しめんどくさい話になりましたね。ここではとにかく、
「自律神経というのは体と心の調子のカギを握っている」
「自律神経を整えれば、体本来のすごい力が発揮できる」
ということを覚えてもらえば大丈夫です。『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』 第2章 より いちい葉子:著 アスコム:刊
私たちの体の中は、知らない間に、必要のないもので溢れてしまっています。
不要なゴミを片付けて、体の外に吐き出す。
それが体本来の自浄作用を再生させる最初のステップです。
「入れる」より「出す」。
私たちも、ぜひ、日々の生活習慣から改善していきたいですね。
「しんどさ」を乗り越えるために一番いい姿勢とは?
いちいさんは、「しんどさ」を乗り越えるために一番いい姿勢
を以下のように説明しています。
いちばん大切なポイントは、「アーチ」です。
背骨は、7つの頚椎と12個の胸椎、そして5つの腰椎で成り立っています。それぞれのパートでカーブをつくって、背骨全体でゆるやかなS字カーブができているのが良い姿勢の条件です。
どうしてS字カーブが必要なのか?
それは、人が二足歩行をするからです。人の頭はおよそ6キロ。かなりの重さがあるんですね。
腰が下がって腰椎のアーチがなくなり、首が前に出ると、頭を含めた上半身の重さを支えられなくなって、どんどん背骨が押しつぶされていきます。
そんな重さを他の箇所でなんとか支えようとした結果、股関節やヒザ、足首などの下半身に痛みが出たりするわけです。一方、背中のS字カーブがあれば、頭や上半身の重みが分散されて、しっかり支えることができるようになります。首や腰のカーブは、体全体のバランスを保ってくれている重要なポイント。
このS字カーブがあることによって、人は強い重力のストレスを和らげ、二足歩行に堪(た)えるようになっています。背骨とその先の骨盤には、「脊髄(せきずい)」という自律神経のケーブル(束)が通っています。自律神経については第2章でもお話ししたように、体と心の調子を左右する大事な器官です。
そして、24個の背骨一つひとつから、体中の各器官へと自律神経がつながっています。たとえば、胸椎(きょうつい)の2番は胃に、胸椎の3番なら肺に、といったように、それぞれに関連が深い内臓があります(下の図1を参照)。
日常生活のクセによって、背骨が歪んだり、背骨のカーブが崩れて固まってしまうと、どうしても、中を通るケーブルも圧迫されることになります。
ということは、自律神経がスムーズに働かなくなるということ。すると、自律神経がつながった先の各内臓にまで悪い影響を及ぼしてしまいます。要するに、自律神経の乱れや内臓のトラブルは、実は背骨の歪みから起きている可能性が高いのです。
たとえば、デスクワークをする人には、頭痛やめまいといった自律神経の乱れを訴える人がかなり多いです。
それも、姿勢と自律神経が密接につながっていることを知れば、ピンとくる話ではないでしょうか。デスクワークの人は、姿勢が崩れやすく、しかも、同じ姿勢でいる時間も長いため、かなり背骨が歪みやすくなっています。
体の歪みを取ることで、痛みやコリがなくなって、楽にキレイに歩けるようになる。さらには、自律神経の働きも良くなって、内臓の働きも正常化する。つまり、背骨を整えることで、見た目も、目に見えない不調もぜんぶ改善していくのです。
そんな背骨と同じくらい、心にとって大切な部位がもうひとつあります。
それが「骨盤」です。「骨盤」というと、ひとつの大きな骨を指しているように思われがちですが、実は5つの別々の骨から成り立っています。
なかでも、仙骨には背骨と同じように自律神経のケーブルが通っていて、主に生殖器につながって指令を出しています。とくに、女性にとっては、「骨盤の機能が体の調子のカギを握っている」と言ってもいいくらい、骨盤は大切。なぜなら、毎月やってくる生理、そして妊娠や出産に深く関わっている部分だからです。
ご存知の方も多いと思いますが、生理とは、排卵された卵子が受精しなかったときに起こる現象です。受精しなかったために使われなかった子宮内膜がはがれ落ち、経血になって外に排出されます。
実は、この生理のたびに、5つの骨が動き、骨盤が開閉しています。いらなくなった子宮内膜(経血)や体のなかにたまった不要なものを出すために骨盤が開いて、排出が終わったら閉じる、というよくできた排泄システムです。
そんな骨盤の開閉がスムーズになると、生理もスムーズになって、生理痛や生理不順といったトラブルがなくなっていきます。逆に、開閉がうまくいかないと、生理のシステムに狂いが生じて、周期のばらつきや長期化、生理痛などに悩まされたりすることになります。たとえば、
「生理かな?」と思ったのにやっぱり違った、という経験がある人はいませんか? これは骨盤がなかなか開ききらないから起こること。一方、1週間以上ダラダラと生理がつづくのは、うまく骨盤が閉じきっていない証拠です。
それから、骨盤の開閉力が弱っていると、出産でもトラブルが多発してしまいます。ここでぜひ、ご自身の骨盤の状態をチェックしてみましょう。
チェックの方法は簡単です。
①両手でウエストを挟みます。
②手の下に腰骨を感じたら、その骨を指でお腹のほうに辿ってみましょう。
③すると、スポンと骨を感じなくなる凹んだところがあると思います。
④イラスト(下の図2を参照)のように、そこに片方の小指を置いて、反対側に向けて手のひらを開いてみましょう。(片手で届かない場合は、反対側から逆の手を伸ばし、両手が重なった幅が指何本分くらいかを確認します)いかがでしたか?
このとき、左右の間隔が、手のひら1つ分になっているのが理想的な骨盤幅とされています。
そして、生理になったらプラス指2本分くらい開いて、生理が終わるとまた手のひら1枚分にまで閉じるのが理想的な骨盤の開閉です。前腸骨の高さに左右差があったり、生理ではないのに指が何本分か入るくらい開いていたり、片側だけが大きく開いていたり・・・・・・。
骨盤は立体です。ここでは、左右差と横幅だけのチェックなので、あくまで目安ですが、ご自身の骨盤のズレやクセが目に見えて感じられると思います。
ただし、骨盤の状態にも個人差があります。「開いているからダメ」「閉じているから良い」とは思わないでくださいね。大切なのは「きちんと開閉する」ことです。骨盤のズレやクセは、生理などに影響を及ぼすだけでなく、もちろん姿勢にも影響します。骨盤という土台が整っていないと、その上に積み上がっている背骨の隙間が詰まったり、歪んだりして、自律神経の働きが悪くなってしまいます。
だから、骨盤のクセをリセットしていくことは、体と心のケアとしてとても大切なのです。生理や出産は、骨盤が大きく動くタイミング。つまり、骨盤の位置が狂いやすいタイミングでもありますが、逆に言えば、骨盤の位置を整えられるタイミングでもあります。ぜひチャンスととらえて、この後紹介する体操で整えてほしいと思っています。
それじゃあ、生理や出産のない男性や閉経した女性の場合は、骨盤を整えるチャンスがないのでしょうか?
ご安心ください。そんなことはありません。骨盤は、生理と出産時ほど大きくはありませんが、朝と夜にも小さく開閉しています。夜になると自然と骨盤が開いて、体がゆるんでくる。それでリラックスして、眠気が訪れるわけです。反対に、朝になったら骨盤が閉じてくることで体が緊張し、活動モードになります。
だから、朝晩の開閉をうまく活用すれば、だれでも毎日すこしずつ骨盤の歪みやクセを整えていくことができます。体から心を整えるためには、「背骨」と「骨盤」にアプローチするのがとても大切。
そこでとっておきの方法が、「まくら体操セラピー」です(下の図3、図4を参照)。それを実践するために、まずは「簡易バスタオルまくら」を準備していきましょう。
つくりかたは超簡単、バスタオルを3枚重ねて丸めるだけ!
3枚用意したバスタオルを、それぞれ3分の1の大きさ(フェイスタオルくらい)に畳んでください。まず1枚をくるくると丸めて、その上に次のバスタオルを重ねる。最後のバスタオルも重ねて巻いたら、ひもやゴムなどで縛る。これで完成です。
実際のレッスンでは専門のまくらを使っていますが、このバスタオルまくらでもじゅうぶん効果が期待できます。『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』 第3章 より いちい葉子:著 アスコム:刊






心と体は密接につながっています。
心のしんどさは、体のしんどさとして現れます。
もちろん、逆もまた真なり、です。
体のしんどさを和らげてあげれば、心のしんどさも和らぎます。
まずゆるめるべきは「背骨」と「骨盤」です。
「まくら体操」を習慣にして、心をしんどさから解放しましょう。
めまぐるしい時代を生きやすくする「柔軟性」とは?
私たちの人生は,つねに変化の連続です。
いちいさんは、体を整えれば、そんな変化の荒波に飲み込まれることなく、自分の船をこぎ進めていける
ようになると述べています。
人生を俯瞰して見てみると、私たちはいくつもの「時代」を生きます。当たり前ですが、時代は変わりつづけます。今は、とくにめまぐるしく時代が変わっている最中ですよね。
たとえば、携帯電話・スマートフォンは、とんでもないスピードで私たちの日常に欠かせない生活必需品へと駆け上がっていったアイテム。それに伴って、情報伝達のスピードも爆上がりです。新型コロナウイルス感染症が流行し、テレワークが急速に広まったように、予期せぬ出来事が私たちの生活をガラッと一変させることもありますよね。
私も、コロナ禍でオンラインレッスンを取り入れ、生徒さんとのコミュニケーションに大きな変化がありました。それから、自然環境もどんどん変わっていますよね。昔は「気温30度」予報を見て「今日は暑くなりそうだな」と思っていたのに、今では36度、37度といった気温も珍しいものではなくなりました。日本全体が亜熱帯気候のようだと感じています。
昔は「エアコンの風は体に悪い」「電気代がかかる」とエアコンを避ける人も多かったように思いますが、今の気候で冷房を我慢するのはかなり危険です。自宅で熱中症になって重症化する人もいます。
私の教室でも、春先から秋までと、かなり長い期間エアコンを使うケアをおすすめしています。
以前、「私はナチュラリストです。エアコンは自然ではないから使いません」という方がいらっしゃいました。その方の主義なので私からはなにも言いませんでしたが、体の状態を見ると、肋骨が硬直して十分に呼吸が入らない様子でした。
その様子はまるで、太ってしまったのに、痩せていた頃に着ていたシャツを無理やり着ているかのようでした。ボタンが弾けそうになりながら、窮屈そうに我慢させられて息苦しそうなカラダさん・・・・・。エアコンがない時代とは全く違う環境になってしまっている今、いったい何が自然なの?
そう思わずにはいられませんでした。年齢を重ねていくと、新しいものを見ても「大変そう」「難しそう」と避けるようになったり、「昔は良かった」と過去を懐かしむ気持ちが強くなるものです。その気持ちは私もとてもよくわかりますし、実際に、過去の知識や経験がものを言う場面もあると思います。
ですが、自分の手技や過去の経験値に固執し、変化を異常なまでに嫌って不安がるのは、年齢だけのせいではありません。
これまでたくさんの方の体を診てきて私が言えることは、「体が硬直している人は思考もカタイ」ということです。70代の方でも、初めてのことに対して「なんでもやってみよう!」とすぐ動ける方は、体も心も柔らかく温かくしなやかですし、人に対する気遣いも素晴らしい。
反対に20代の方でも、自分の主義主張と少しでも違う人はアンチし、考えるばかりで動けない人もいます。そんな人の体は非常に硬く冷たく、老人のようです。変化のスピードが速い時代に生まれた巡り合わせだととらえて、年齢に関係なく、体と心の柔軟性を持つこと。それが、自分らしさを見失わず人生を楽しみつづけるための秘訣です。
『しんどくなったら、心より先に体を整えよう』 第4章 より いちい葉子:著 アスコム:刊
歳をとると、体が硬くなる人が多い。
それは、年齢的なことよりも、むしろ心の問題が大きいです。
偏見や思い込みで心が凝り固まると、体が硬直していく。
体が硬くなると動くのが億劫になり、ますます思考も感情も錆びついてしまう。
そんな“老化のスパイラル”を止めること。
心も体も若々しさを保ち、時代の荒波を乗り越えるためにも、ますます重要となりますね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
いちいさんは、自分スタイルの生き方、これはどんなに高額なお金を払っても買え
ず、自分でつくり上げていくしかないもの
だとおっしゃっています。
そのためには、自分の根っことなるカラダさんを大切に、そして、周りのいろんな意見や社会の出来事に対して、いつも関心を持ち、批判するのではなく「わたしだったらどうする?」を常に頭の中で考え、想いを形にしていける
ようになることです。
自分スタイルの生き方を手に入れるには、心を完全に解き放し、自由に働かせてあげる必要があります。
もちろん、「心」は「体」と強く結びついています。
体を解放し自由にすればするほど、心も開放され自由になります。
「体」から「心」へのアプローチ。
遠回りのようでいて、実は最短ルートなのかもしれません。
本書のノウハウは、まさに“急がば回れ”の健康法と言えるかもしれません。
気になった方は、ぜひ、お試しください。
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