【書評】『「気遣い」のキホン』(三上ナナエ)

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 お薦めの本の紹介です。
 三上ナナエさんの『仕事も人間関係もうまくいく 「気遣い」のキホン』です。

 三上ナナエ(みかみ・ななえ)さんは、元ANA(全日空)の客室乗務員(CA)です。
 現在は、接客・接遇・コミュニケーション力向上のセミナー講師としてご活躍中です。

気遣いは「ちょっとしたこと」の積み重ね


 CAのイメージといえば、「気遣いができる人」「気がきく人」。
 でも、そのようなスキルが最初から備わっている人はごくわずかです。

 三上さんも、CAになりたての頃は失敗ばかりを繰り返していました。
 業務に慣れて、だんだんまわりの人のしている気遣いが見えるようになった三上さんは、相手にとって嬉しいと思う気遣いとは「ちょっとしたこと」だということに気づきます。
 その「ちょっとしたこと」で、まわりの人がどんどん笑顔で返してくれるようになりました。
 気遣いは、特別な人に備わっている先天的な資質や性格ではなく、後からいくらでも身につけられる簡単なスキルです。

 本書は、“気遣いの達人”になるための、誰でもできる「ちょっとしたコツ」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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最初から器用にできなくていい


 三上さんは、上手な気遣いを修得するために、一つひとつ目標を立ててキホンを徹底的に身につけることに集中しました。
 基本の業務が自然にできるようになると、自信がついてきて、気持ちに余裕ができ、今まで見えていなかった部分まで見渡せるようになったそうです。

 プロ野球選手とアマチュア選手の最も大きな違いは、「基本の素振りの量」と言われています。超一流のメジャーリーガーも、「一番何を練習したか?」という質問に「素振り」と答えていました。基本ができているからこそ、年々フォームを改良しても、対応できるのです。
 スボーツであれ、仕事であれ、何事も基本を押さえた上で初めて応用ができるようになるということです。

 まずはしっかり基本を身につけること。その上で「こんな気遣い素敵だな!」というシーンを覚えておき、実際に真似していくと、どんどん引き出しが増えていきます。すると、その場に合った「気遣い」が自然とできるようになっていくのです。
「最初から器用にやれる人ほど、ある時期から急に成長が止まってしまうものよ」とCA時代の教官に言われたことがあります。
 コツコツ積み上げていく人ほど着実に年々成長していく。「基本」と「真似」から、上手な「気遣い」を身につけていきましょう。
 そしてそれは、決してもともと備わっている能力や性格ではなく、行動であり、習慣であり、意識して身につけることができるスキルなのです。いくつかコツを会得(えとく)しながら、繰り返し、繰り返し実践することで誰でも自然とできるようになります。
 必要性を感じて磨きをかけている人であれば、必ず身についていくものなのです。

 『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』 第1章 より  三上ナナエ:著  すばる舎:刊

 すごい才能の持ち主だったけれど、努力を怠ってしまい、途中で成長が止まった。
 そういう話はよく耳にします。

「ウサギとカメ」の寓話の例もありますね。
 最終的に成功するのは、歩みは遅くとも、着実に一歩一歩目標に向かって歩み続けた人。

 繰り返し繰り返しの基本の実践が、上達へのただ一つの道です。
「気遣い」も、例外ではないということですね。

「相手の気持ち」をそのまま言葉にするだけ


「同感」「共感」
 三上さんは、この二つの違いを理解し使い分けると、話を聞くとき、話し手の気持ちに寄り添った反応ができるようになると述べています。

 同感とは、「相手の意見を肯定すること」です。
 一方、共感とは、肯定も否定もせず「ただ相手の気持ちを受け取ること」です。

 ビジネスシーンでも「共感」を使うと、上手にコミュニケーションを図ることができます。
 たとえば、クライアントが「うちの社員、なんだか元気がないんだよね」と言ったとします。同感だと「そうですね。ちょっと元気がないですね」、否定だと「そんなことはないですよ」となります。これらの言葉だと、相手は受け止めてもらったという感覚にはなりづらいのです。
 一方、共感であれば「元気がないと感じていらっしゃるのですね」となります。
 これであれば、クライアントは自分が感じていることをしっかり受けとめてくれたと思い、信頼して相談してくれるようになるでしょう。
 以前私も、共感してもらうことで、癒(いや)され、やさしい気持ちになれた経験があります。
 それは、近所の和菓子屋さんでお菓子を買ったときのこと。
 家に帰って袋を開けると、買ったはずのお菓子が一部入っていませんでした。慌てて電話でお店に問い合わせると、お店のおばあちゃんが、
「本当にごめんなさいね。お家に帰ってとてもがっかりされましたよね」
 と言ってくれたのです。
「とてもがっかりされましたよね」という言葉になんだか癒され、怒る気持ちは全くなくなりました。私は自分の気持ちを言葉で伝えたわけではありませんでしたが、それを読み取って言葉にしてくれたことが嬉しかったのです。

 気持ちに焦点を当て、それを受けとめ、言葉にして返してあげることが「共感する」ということです。共感とは、相手の心に寄り添う大事な気遣いなのです。

 『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』 第2章 より  三上ナナエ:著  すばる舎:刊

 何でもかんでも、相手の言うことに同感すれば、好印象が得られるわけではないということです。

 気遣いで大切なのは、相手に対する「共感」の姿勢。
 どうすれば、相手の気持ちに寄り添うことができるかをつねに考えてコミュニケーションする習慣を身につけたいですね。

「みだしなみ」で注意する三つのポイント


 ビジネスの場で重要な第一印象を大きく左右するのが、「身だしなみ」です。
 三上さんは、身だしなみから、その人となりを判断している人は結構多いと指摘します。

 ビジネスシーンにおける身だしなみのポイントは以下の三つです。

  • 清潔感はあるか
  • 違和感がないか
  • 機能的であるか

「清潔感」では、特に「先端」に注意しましょう。爪や靴などの先端に、人は目がいきやすいのです。つい見逃しがちだからこそ、この部分が整っていると印象が断然よくなります。
 また、見た目はもちろんですが「臭いケア」も重要です。最近は、タバコを吸える場所が少ないので、ちょっとしたタバコの臭いに敏感になっている人は多いはず。人に会う前にタバコを吸う場合は、十分注意したほうがいいでしょう。今はさまざまなケア用品が充実しているので、カバンに忍ばせておくと役立ちます。

「違和感がない」というのは、特に初対面のとき、相手にスムーズに受け入れてもらうために、とても重要なキーワードです。
 違和感をなくして営業成績を上げた郵便局員がいます。
 とある郵便局で働くAさんは、郵便局が扱う金融商品の営業を担当していました。Aさんは、気がきくし、お客様への説明もわかりやすい。しかし、なかなか営業成績を上げることができませんでした。
 伸び悩んだ末、「郵便局員として違和感のあるツンツン立てた髪型を変えてみたらどうか」という同僚からの指摘を受け入れ、早速髪型を変えてみたところ、営業成績が三ヶ月後に1.5倍になったそうです。
 髪型は、顔のまわりを覆うため、印象を大きく左右するもの。郵便局員として安心感を与える違和感のない見た目が、大事だったのかもしれません。

「機能的」とは、仕事をする上で支障がない状態のことです。
 しゃがむと背中や胸元が見えるような服を着ていないか?
 ミュールやサンダルなど、歩きにくい靴を履いていないか?
 座りジワができやすい麻などの素材を選んでいないか?
 仕事や職場によって、ふさわしい身だしなみはそれぞれ。その場に合った機能性を持ちあわせているか、ぜひチェックしてみてください。

 身だしなみにこだわりがないばかりに、最初から手を抜いている印象に映ってしまうのはもったいないこと
 身だしなみは、相手に安心感、信頼感を与える大きな気遣いです。
 ぜひ今一度、三つの視点でチェックしてみてください。

 『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』 第3章 より  三上ナナエ:著  すばる舎:刊

「身だしなみ」は「おしゃれ」とは違います。
 あくまで、相手の印象をよくするためのもの。
 相手目線で考えることが重要ですね。

「身だしなみは、相手に安心感、信頼感を与える大きな気遣い」

 そのような意識で、つねに整えておきたいです。

「私」を主語にして話をすること


 三上さんは、相手のことを思いやりながらも、自分の意見をストレスなく言えるようにする方法として、『自分(私)を主語にして話をすること』を勧めています。

 “私はこう思っている”という視点でメッセージを伝えるのは、「I(アイ)メッセージ」です。
 それに対して、“あなたは◯◯だ”と伝えるのは、「YOU(ユウ)メッセージ」です。

 YOUメッセージは、ときに「あなたはこういう人」と決めつけているように聞こえます。相手の領域に踏み込むので、言われた相手は「責められた」という気持ちが強くなります。すると、素直に話を受け入れることが難しくなるのです。
 それに対してIメッセージは、自分自身の気持ちや要望を伝えているので、言われた相手は否定しづらく、受け入れざるをえない心理がはたらきます。

 私もCA時代、後輩を指導する際に、YOUメッセージを使って失敗したことがありました。
 笑顔が足りないAさんに「Aさん、笑ってないですよ」と伝えたところ、「これでも笑ってるつもりです!」と反発が返ってきたのです。
 もしこのときにIメッセージで伝えていたら、「私は、もう少し笑顔をプラスするといいと思います」という感じになっていたでしょう。このような言い方をしていたら、Aさんはそこまで反発しなかったかもしれません。
 相手が踏み込まれたくないところには入らず、でもしっかりと自分の思いを伝える。
 Iメッセージのおかげで、私は疲れやストレスを感じることが少なくなり、自然体で相手に気遣いができるようになりました。また、自分が自然体でいられるので、相手に気を遣わせるようなことも少なくなったように感じます。
 気遣いができ、自分らしくいられるなら、まわりも一緒にいて心地よいですよね。
 ぜひ、Iメッセージを上手に使って、あなたもまわりも心地よい気遣いをしてみてください。

 『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』 第4章 より  三上ナナエ:著  すばる舎:刊

「Iメッセージ」と「YOUメッセージ」。
 同じことを言うにしても、相手の感じるイメージや受け取り方が変わりますね。

 相手にできるだけ不快な印象を与えないことも、大きな「気遣い」です。
 普段の会話から気をつけたいですね。

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 三上さんは、気遣いでもっとも大切なことは、「相手のためになると思うこと」を「自信がなくてもやってみる」ことだとおっしゃっています。
 気遣いにおいて、テクニックはもちろん大事ですが、それ以上に重要なのは「気持ち」です。

 相手にどうしたら喜んでもらえるかを考えてから、行動すること。
 感謝の気持ちがこめなければ、どんな気遣いの行為も、相手には伝わらないものです。

 相手目線で考えて、行動する。
 その積み重ねが、“気遣いの達人”に通ずる道だということですね。

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