【書評】『好奇心を“天職”に変える空想教室』(植松努)

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 お薦めの本の紹介です。
 植松努さんの『好奇心を“天職”に変える空想教室』です。

 植松努(うえまつ・つとむ)さんは、植松電機・専務取締役です。
 現在は、ロケットや小型の人工衛星の開発を手がけられています。
 また、全国各地の講演やモデルロケット教室を通じて、多くの子供たちに、“夢をあきらめないことの大切さ”を訴え続けられています。

小さな町工場がロケットをつくる理由。


 北海道にある、小さな町工場がロケットを宇宙まで飛ばす。
 そんな前代未聞の偉業を達成した植松さん。

 その原動力は、何から生まれたのでしょうか。

 あなたはなにが好きですか。
 ぼくはロケットが好きです。

 小さな町工場で、
 ぼくはロケットを作っています。
 宇宙に飛び出す、本物のロケットです。

 この世には、
 よっぽど頭が良くないと、
 よっぽどお金を持ってないと、
 よっぽど才能とか経験がないと、
 「どうせ無理だ」
 といわれることがたくさんあります。

 でも、あんなにちっぽけな工場の人だって、
 ロケットを飛ばせるくらいだから
 もしかしたら自分にもなにかできるんじゃないか。
 そんな風に感じてもらえたらいいなと思って、
 ぼくはロケットを作っています。

 『空想教室』 巻頭 より 植松努:著 サンクチュアリ出版:刊

 自分を信じることの大切さ。
 夢を持つことの大切さ。
 植松さんは、次代を背負うこどもたちにやさしく語りかけます。

 本書は、すべての人が夢を持つことの重要性を説き、その夢を実現させる方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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もう一度、「自分の夢ってなんだろう?」と考える。


 日本では、2004年をピークに急激に人口が減り始めています。
 2050年には人口9500万人、高齢化率は40%に達すると予想されています。

 私たちは、誰も経験したことのない超・少子高齢化社会を生きていかなければなりません。

 植松さんは、こんな時代だからこそ「夢が大切だ」と訴えかけます。

 ぼくははじめに「これから先の日本は、給料が毎年下がるような国になるかも」と縁起でもない話をしました。
 でも実はぜんぜん大丈夫なんです。
 ちょっと難しい言葉になりますが、日本の“単位労働時間あたりのGDP”は、フランスの半分しかないからです。
 どういうことだかおわかりになりますか?
 同じ時間働いたとしても、日本人が生み出すものは、フランス人の半分しかないということです。
 日本人はどれだけ効率の悪い仕事をさせられているのでしょうか。
 つまり、まだいくらでも改善できるということです。
 日本は2倍の経済成長ができるかもしれないし、それはもしかしたら世界を救うチカラになるかもしれません。
 そのためには間違いなく、みなさん一人ひとりの能力の向上が必要です。
 そして能力の向上のためには、夢が必要です。
 だからみなさんは、素敵な夢をたくさん持ってほしいのです。

 夢について、もうみなさんは知っています。
 “あきらめなければ、夢は叶う”
 すばらしい言葉です。本当のことだと思います。
 でもその言葉の裏にはとんでもない副作用がありました。
 それは「夢が叶わなかったのは、あきらめた自分が悪いんだろう」ということです。
 あきらめた自分のことを責めている。そんな人を、ぼくはたくさん知っています。
 でも自分を責める必要なんてありません。なぜなら日本が変だからです。
「夢」という言葉について調べてみたところ、アメリカの辞書には〈夢とは・・・・・強く願い、努力すれば実現できるもの〉と書かれていました。
 ところが、日本の辞書には〈夢とは・・・・・はかないもの。叶わないもの〉と書かれていました。
 実際、日本人には「あきらめた」んじゃなくて、「あきらめさせられた」人の方が圧倒的に多いのです。
〈夢とは・・・・・はかないもの。叶わないもの〉だと思い込んでいる、いろんな人たちによって、です。
 自分を責める必要なんてまったくありません。
 今、これから「自分の夢ってなんだろう?」と考えてほしいのです。
 もしかしたら誰かに売りつけられた夢を、自分の夢だと思い込んでいるだけかもしれません。
 自分の本当の夢を、一生懸命考えてほしいのです。

 『空想教室』 LESSON1 より 植松努:著 サンクチュアリ出版:刊

 日本を世界有数の経済大国に押し上げたのは、日本人の勤勉さであり、協調性でした。
 ただ、今後はそれだけでは国を支えていくことはできません。

「〜をしたい」「〜になりたい」。
 そんな夢の持つ力は、私たちが想像する以上に大きなものです。
 一人ひとりの抱く夢が、社会全体を押し上げる大きなパワーになるということですね。

他の人がやっていないことを、自分からためしてみる。


 世の中にはたくさんの本があります。
 それらには、すばらしい人間の努力と命が詰まっています。

 植松さんは、でもそれを「知っている知っている!」で満足したら、ただの雑学だと釘を差します。

 人生はクイズ番組ではありません。知っていれば正解、ではないんです。
 知らないこと。不思議なこと。
 それは、英語で「ワンダー」といいます。そしてワンダーがいっぱいな状態のことを、「ワンダフル」といいます。
 世界には知らないことと、わからないことがいっぱい。
  だからすばらしいんです。知らないことは、全然悪いことではありません。
 ぼくたちがすべきことは、知識を詰め込むことではなく、昔の人たちの「努力の階段」を登っていくことです。
 そして「人類の進化」というものは、誰でも意外と簡単にできてしまいます。
 一人ひとりが“自分で考えて、自分でためして”みればいいのです。
 つまり、みなさんは人類を進化させることができます。
 でも残念だけど“自分で考えて、自分でためしたこと”というものは、なかなか他人に信じてもらえません。応援してもらえないし、ときにはバカにされたりもします。
 でも気にしなくていいんです。そういうものなんです。
 世界一のパティシエが、新しいお菓子を考えてためしに作ってみせると、いつもまわりから「変だ」「絶対、流行るわけない」という声が聞こえてくるそうです。でもまわりの声にめげずにがんばって作っていると、やがて大勢の人たちに「こんなの見たことも、食べたこともない!」という驚きとともに歓迎される。新しいお菓子はいつもそうやって誕生するというのです。
 信じてもらえないのが当たり前。だから、自分を信じればいい。「人からこういわれそう」とか、「人にこう思われそう」などと悩まなくてもいい。
 自分を信じるんです。自分を信じて、自分で考えて、自分でためしたら、必ずすばらしいことが起きます。
「自分で考えて、自分でためす」
 これは世界に何十億人の人がいたとしても、自分にしかできない経験だからです。
 その自分ひとりの経験こそが、個性になります。個性は「流行」じゃないですね。有名人のモノマネでもないですね。個性は、自分の経験です。
 そして個性があると、まわりから「必要だよ」といわれるようになります。
 想像してみてください。同じものがいっぱいあったら、どれを選んでいいかわかんないですね。お金を出すなら、単純に安いものを選びます。
 でも他とちょっと違うものは、高くても「必要だよ」といわれるんです。
 だからこそみなさんは、無理をして普通になろうなんて思わなくていいです。
 自分で考えて、自分でためすんです。そうしたら「必要だよ」といわれるようになります。

 『空想教室』 LESSON2 より 植松努:著 サンクチュアリ出版:刊

 立派な思想や高尚な理論も、それだけでは意味を持ちません。
 実行がともなって初めて、大きな価値を生み出すものです。

 失敗も、立派な「経験」です。
 経験こそが、個性。経験こそが、成長です。

 そして、個人の成長を足し合わせたものが、「人類の進化」となります。
 どんなときも、失敗を恐れずにチャレンジする精神を忘れないようにしたいですね。

定期的に「今からやりたいこと」を考える。


 夢を持って生きていくために大事なものは、「憧れ」です。
 憧れは、未来をより良くするためのパワーです。

 ぼくたちは憧れをやめちゃいけないんです。届かないものに手を伸ばすんです。ジャンプし続けるんです。
 そうしたら5年後の自分は、今の自分からは想像もつかないくらい素敵な人になります。本当になります。だから憧れをやめないでください。
 ぼくは飛行機に憧れました。
 中でも日本人が作ったゼロ戦という飛行機に憧れて、いっぱい飛行機のことを勉強しました。ところが高校生のときに、まわりの人からいわれました。
「こんな田舎に生まれた時点で、飛行機の仕事なんてできるはずないでしょ」
 “もうだめ”だというのです。人は生まれる場所を選べません。ぼくはただ悲しかった。
 よくこの「もうだめ」という言葉を使う人がいます。たとえば「おれは大学に行っていないから、もうだめだ」とか「不景気だからもうだめだ」とか「少子化だからもうだめだ」とか。
 そういう言葉はもっともらしく聞こえます。でも、他人の「もうだめだ」にのっかってはいけません。一緒に地獄に落ちてしまいます。全然「もうだめ」じゃないです。「まだできること」を考えればいいだけだからです。
 学歴や職歴、自分の過去のことなどで悩んでいる人もいるかもしれませんが、重要なのは「今までどうだったか」じゃない。「これからなにを学ぶか」です。今こうしている間にもなんぼでも学ぶことができます。
 大学というところは、行けばなんとかなるところではありません。
 昔、人口がどんどん増えている頃は、大学にさえ行けばよかったのかもしれませんが、今は違います。
 進学は手段の一つにしかすぎません。「知りたいこと」と「やってみたいこと」を学ぶための手段です。だから今のうちに、なるべくいっぱい「知りたいこと」と「やってみたいこと」をためておいた方がいいです。そうすれば進路はすごく決めやすくなります。
 若いうちだけではありません。忘れないでほしいことは「知りたくなったら、いつでも、いくらでも学べる」ということです。
 ちなみに日本の18歳の大学進学率は、欧米の8倍ですからね。
 わかりますか。日本人は高校を卒業したら、「なんだからわからないけど、とりあえず大学に行かなきゃ」と思い込まされているのです。
 全然そんなことはないですからね。だって社会人になれば、大学なんてなんぼでも行けるじゃないですか。しかもそのときの受験はかんたんじゃないですか。おまけに学費もすごく安いじゃないですか。
 なぜそういう手段をとらないんだろうって、ぼくは思ってしまいます。
「あせらなくても、知りたくなったらいつでも学べるんだよ」そのことを下の世代にも教えてあげてほしいなと思います。

 『空想教室』 LESSON3 より 植松努:著 サンクチュアリ出版:刊

 憧れは、夢まで続く道を照らしてくれる「ヘッドライト」のようなもの。

「いつか、自分もそうなりたい」

 その願望が、前に進む勇気と力を与えてくれます。
 憧れを持ち続けている限り、夢への扉はいつでも開かれています。

 重要なのは「今までどうだったか」ではなく、「これからなにを学ぶか」。
 自分の可能性を信じて、前に進んでいきたいですね。

「楽そうな方」ではなく「楽しそうな方」を選ぶ。


 植松さんは、楽はしないほうがいいと述べています。
 楽をすると“無能”になるからです。

 考えてみてください。能力というものは、失敗するか成功するかの「経験」によって身につきます。「楽をする」ということは、つまり「その経験を避ける」ということです。
 だからずっと楽をしていたら、自動的に無能になって、誰からも見向きもされなくなります。
 もったいないです。人生の価値は、「誰にほめられるか? いくらもらえるか?」では決まりません。「自分の給料はこれくらいだから、これくらい手を抜いておこう」なんて考えはじめたらその通りの、額面通りの人間になってしまいます。
 そんなものは人生の価値じゃないです。人生の価値は、人生の時間を使って得た自分自身の経験で決まります。
 人生なんて一回しかない。それなのに最短コースをえらんだら、一瞬で終わっちゃうじゃないですか。
 いっぱい寄り道をした方が得だと思いませんか。いっぱい人に出会ったらいいです。いっぱいいろんなことやったらいいです。それこそが棺桶に入る瞬間の、自分の価値になります。
 一生懸命いろんな経験をしてほしいです。もしなにかに迷っちゃったときには、「自分は楽を選んでいないかどうか」だけを気をつければいい。
 そうしたらきっと間違えないで、今より前に進むことができると思います。

 『空想教室』 LESSON4 より 植松努:著 サンクチュアリ出版:刊

 人は誰しも楽をしたくなるものです。

 楽をすることは、今の自分の能力でできることをするということ。
 それでは新しい経験を積むことはできませんし、成長することもできません。

「自分は楽を選んでいないかどうか」

 頭の片隅に入れておきたい言葉ですね。

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 子どもの頃、誰でも持っていた「夢」。
 多くの人は、大人になっていくにつれてなくしていきます。
 周囲の人の「どうせ無理だ」という言葉を信じて、自分の可能性を閉じてしまう。
 とても残念なことですね。

 植松さんは、教育とは死に至らないよう、失敗を安全に経験させるためのものだとおっしゃっています。
 今の日本社会は、失敗自体を避けようとする傾向が強いです。
 失敗は「慣れ」です。場数を踏めば、怖くなくなります。

 上手に失敗して経験を積み、工夫してまたチャレンジする。
 その方法を体験として知ることこそ、最高の教育です。

「どうせ無理」を「だったらこうてみよう」へ。
 植松さんの“授業”は、すべての人の夢を力強く後押ししてくれます。

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