【書評】『90秒で好かれる技術』(ニコラス・ブースマン)

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 お薦めの本の紹介です。
 ニコラス・ブースマンさんの『90秒で好かれる技術』です。

 ニコラス・ブースマン(Nicholas Boothman)さんは、対人関係コンサルタント、NLP(神経言語プログラミング)認定マスタープラクティショナーです。

「90秒」で勝負は決まる!


 私たちは、人と会った瞬間、生存本能をはたらかせて、無意識下に“一瞬の判断”を下します。

 ブースマンさんは、この最初のハードルを乗り越えて信頼を生み出すことができれば、一対一のレベルで好印象を与え、相手とつながりを築くことができると指摘します。

 ビジネスの世界により深く関わって、多くの人々と交流をもつようになると、ビジネス上のつながりとプライベートでのつながりとでは質が違う、ということがわかってきた。
 プライベートなら友人を選ぶこともできるが、ビジネスの世界では、仕事を辞めないかぎり、上司や同僚あるいは従業員、クライアントとの関係から逃れることはできない。本書では、あなたが関係をもたなければならない相手と日常的にうまくつながりを築き、維持するために必要となる、ありとあらゆることをお教えしよう。

 専門家によると、経済的な成功は、その15%が技量や知識で決まり、残りの85%は相手と心を通わせ、相手の信頼と尊敬を勝ちとる才能で決まるらしい。

 仕事を求めて面接を受けるにしろ、商品を売り込むにしろ、生徒を指導するにしろ、上司に昇給の交渉をするにしろ、人との関係づくりがうまければ、それだけ成功の確率も高まるということだ。
 しかもそれにはスピードが要求される。人は、「好きか嫌いか」「OKかNGか」を90秒以内に判断してしまうからだ。
 この90秒を最大限に活用する方法をこれから学んでいこう。

『90秒で好かれる技術』 はじめに より ニコラス・ブースマン:著 中西真雄美:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 競争社会を勝ち抜くには、「人脈づくり」が不可欠です。

 本書は、その「人脈づくり」に役立つテクニックや戦術を、具体例を交えながらまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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人と会ったら、相手の目を見てほほえむ


 ブースマンさんの最初の仕事は、フランシス・ザビエル・マルドゥーンのアシスタントでした。

 マルドゥーンは、“社交の天才”として有名で、ブースマンさんは、そこで多くを学びました。

 ブースマンさんは、初対面の人と打ち解けるための秘訣を「マルドゥーンの3つの教え」として紹介しています。

図1 マルドゥーンの教え 90秒で好かれる 第1章
図1.マルドゥーンの教え
(『90秒で好かれる技術』 第1章 より抜粋)

 その中の「人と会ったら、相手の目を見てほほえむ」については、以下のような解説をしています。

「相手が君のことをちゃんと見てくれていないと感じることが一日に何度ある?」
「何十回とあります」私は答えた。
「それなら君は何十回とチャンスを無駄にしているんだよ。君と相手との関係、たとえば顧客や仕事仲間、受付やタクシーのドライバーといった人との関係をベストな状態にするために、もっとも簡単で効果のある、しかも金のかからない方法――それは、相手の目を見てほほえむことだ。なぜだかわかるかい?」
「誠実さや相手に関心をもっていることが伝わるからでしょう」
「いい答えだ。だがそれだけじゃない。もし君の好きなニュースキャスターが、うつむきながら、または窓の外を見ながらニュースを伝えていたら、真剣に聞く気になるかい?」
「なりません」
「メッセージは声の届くところに送られる。声は視線を向けたところに届く。出会った相手がまったく視線を合わせてこなかったら、どう感じる? 相手が視線を合わせてきた場合は? 会話の相手が誰かほかの人と視線を交わしていたら、君ならどう思う?」

 アイコンタクトは、もっもと大切な非言語コミュニケーション手段のひとつだ。”目は心の窓”といわれるが、営業の窓口でもある。なぜなら、アイコンタクトは互いのあいだに信頼関係があることを無意識のうちに伝えてくれるシグナルだからだ。
 また、人とつながりをもちたいとき、目は大事な疑問に答えてくれる。こちらの話の内容に注意を向けているか? 自分に魅力を感じているか? 気に入ってくれたか?
 社会生活やビジネスの場において、アイコンタクトの微妙な差異が多くを語ることがある。たとえば、相手が目を細め、やや下向きかげんで軽く一方に顔を向けながら、なおかつ視線を合わせてくる場合は、非常に親密な話をしようというシグナルだ。
 目が優越感を伝える場合もあるし(顔は上向きかげん)、敵意を示す場合もある(視線が一定でぐらつかない)。逆に、視線をそらすことが弱さや何かを避けたい気持ちを表すこともある。だから、大事な話をしたいときは視線を意識しないといけない。

『90秒で好かれる技術』 第1章 より ニコラス・ブースマン:著 中西真雄美:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

「目は口ほどに物を言う」

 そういう言葉もありますね。

 ニッコリと微笑まれて、嫌な感情を抱く人はいません。
 逆に、鋭い目つきで睨まれたら、警戒感を持ちます。

 目は、「心の窓」であり「営業の窓」。
 初対面のときこそ、アイコンタクトの重要性を意識したいですね。

「好印象を与える態度」を選ぶ


 相手の心を、「言葉」以上に動かすもの。
 それは、「態度」です。

 ブースマンさんは、言葉に発しなくても、態度によってあなたを見た人は感化され、同じ行動をとるようになると述べています。

 対面コミュニケーションで相手が真っ先に感じとるのは、あなたの「態度」だ。そして、心のガードだって意図的に解除できたように、あなたが望めば、態度をコントロールすることも可能である。そして、あなたの態度を伝達するカギは、「ボディ・ランゲージ」と「自己一致」なのだ。
 あなたの心と身体は一体だ――一方を変えれば、他方もそれに従う。
 試しに、子どもがよくやるようなしぐさで、舌を突きだし、両手を頭の横につけて、おどけた様子で指をひらひらさせながら、惨めな気持ちを味わってみよう。できないはずだ。
 近所のバーベキュー・パーティでトランポリンをしながら、深刻な気分になってみよう。それもできないはず。身体が許さないのだ。
 これは心と身体のつながりを非常にシンプルに表現した例だが、ポイントは理解してもらえただろう。

 自分で自分の態度を選ぶ――それは誰だってできることだ。
 たとえば、職場で二人の知人のもとへ、あなたが近づいていったとする。もう後戻りできない段階になって、この二人が激しい口論の真っ最中だということに気づく。
 あなたが「やあ」と声をかける。彼らはあなたのほうを見て、何事もなかったかのように笑顔を見せ、「ブライアント、久しぶりだな」と言うと、しばらくあなたを交えて楽しげにしゃべっている。
 あなたが立ち去り、その姿が見えなくなると、彼らはまた口論を始める。このとき彼らは、あなたに気づいた時点でフレンドリーな態度を選び、それに切り替えたのだ。

 態度は、2つの部類にはっきりと分かれる。
 ひとつは、人を惹きつける「好印象を与える態度」
 もうひとつは、誰の役にも立たない「反感を買う態度」
 “臨機応変な”“好奇心が強い”“歓迎する”などは「好印象を与える態度」の例だ。
 “退屈した”“敵対的な”“せっかちな”というのは「反感を買う態度」の例だ。

 73ページの「さまざまな態度」のリストを見てみよう(下の図2を参照)。ビジネスの相手と90秒で良い関係をつくろうと思うなら、好印象を与える態度のなかから、あなたにぴったり合うものを選べばいい。
「好印象を与える態度」に並んている言葉に注目してほしい。そのなかから気になった態度をいくつか選び、実践してみよう。目を閉じて、その気分が味わえる具体的な状況を考えてみる。
 自分にぴったりくるものが見つかるまでいろいろ試してみるといい。ぴったりくるものが見つかったら、もう一度目を閉じて、そのとき目に浮かんだ情景、聞こえてきた音、感じた気分をできるだけ詳細に再現してみよう(匂いや味を感じられなら、それも再現してみる)。頭のなかにその”映像”を描き、音を聞き、身体で感じた感覚を味わってみるのだ。

『90秒で好かれる技術』 第3章 より ニコラス・ブースマン:著 中西真雄美:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

図2 さまざまな態度 90秒で好かれる 第3章
図2.さまざまな態度
(『90秒で好かれる技術』 第3章 より抜粋)

 態度は、言葉以上に、その人の本心を表す。
 だからこそ、第一印象として強烈に相手に伝わります。

 気分や感情は、私たちが想像以上に「態度」に出てしまうもの。
 普段から気をつけたいですね。

相手の「コミュニケーションスタイル」に合わせて話す


 人は13歳ぐらいになると、世界を解釈する方法として、3つの主要感覚(視覚、聴覚、触覚)のうちひとつが優位に立つようになります。

 必然的に、その人にとってとくに優れた感覚が、自分自身や他人とコミュニケーションをはかる際にもっともよく使われることになります。

 ブースマンさんは、コミュニケーションをとる際に、自分のコミュニケーションスタイルを相手のスタイルに合わせることがもっとも効果的な方法だと指摘します。

「視覚優位の人(視覚タイプ)」は、ものの見え方について話す傾向が強い。このタイプは高い声、早口、いきなり要点に入るという特徴がある。なぜなら、このタイプの人は、自分の頭のなかにある情景を相手もすぐに頭に描けると思っているからだ。自分が判断を下す前に相手の主張の根拠を頭に描こうとする。
 また、このタイプは肺の上部で速い呼吸をする。印象的なファッションを好み、背筋をまっすぐ伸ばしていることが多い。話をする際は、聞き手とアイコンタクトをとりたがる。取り散らかっている状態を嫌う。
 視覚タイプは何でも実際に見えているかのような話し方をする。たとえば「可能性が見えているだから、将来に目を向けようよ」「わたしの視点で申し上げると、ゴールはもう目の前だと思います。私の言っていることがイメージできますか?」といったように。
 一般に、人は頭に映像を浮かべようとすると、視線をやや上に向けて左右に動かすものだ(どんな色のシャツがお好みですかと尋ねられたら、あなたの視線はどこを向く?)。
 このタイプは、空中に絵を描くように上向きや外向きのしぐさをすることが多い。

「聴覚優位の人(聴覚タイプ)」は、ものの聞こえ方について話す傾向が強い。このタイプは話が上手で説得力がある。そして、なめらかで人を惹きつけるような声で話す。大胆な発想をする人も多い。視覚タイプにくらべると、やや話し方がゆっくりで、肺の下部から安定した呼吸をする。
 聴覚タイプの人は、着こなしについて一家言もった人が多い。このタイプの人は、人の話を聞くとき、頭を軽く一方向に向けることがある。実際には、耳を相手のほうに向け、目の焦点をはずして相手の声に集中する。耳障りな音や声、騒音を嫌う。
 会話のなかにやたらと“音”に関係する言葉が出てきたら――「彼の声は耳障りだ」「彼の話を聞いたとき、心の鐘が鳴った」「私はただ自分の意見を声にしただけ」「彼女はすばらしい演説をして、割れんばかりの喝采を浴びた」――おそらくその人は聴覚タイプだ。
 一般に、聴覚タイプの人は音を聴くとき顔を横に向ける(音のする方向に耳を向ける)。聴覚タイプは話をするとき顔を横に向けることが多く、頭のなかのファイルから音を再生するのに集中するため、視線をそらそうとする。このタイプの人のしぐさは言葉のリズムに合わせることが多く、ときどき話しながら口や顎、耳を叩くこともある。

「身体感覚優位の人(身体感覚タイプ)」は、何かについてどう感じたかを話す傾向が強い。直観的で情にもろく、おおらかな人が多い。慎重で控えめな場合もある。大柄か、たくましい体格ならば、おそらくこのタイプの人だろう。
 身体感覚タイプは比較的見分けやすい。実際に触れたり体感することに満足感を覚え、何ごとにも積極的に関わろうとする。ファッションは着心地のよさを重視し、肌触りにこだわる。またデザインや流行よりも機能性を重視する。

 身体感覚タイプは、ゆっくり話したり、細かいことをいちいち挟んできたりする。「そんなこと10分前にはわかってたよ!」と視覚タイプや聴覚タイプの人ならつい金切り声をあげてしまうような相手だ。声は低く、話すスピードは遅い。そして、何かと細かいことにこだわる。
 身体感覚タイプは、身体の一部に関する表現や感覚的な表現を好んで用いる。たとえば「いっちょ腕だめしといくか」「難題が転がっているが、片っぱしから片づけていこう」「混乱を一手に引き受けるよ」「具体的な話がつかめたら、彼女に連絡をつけて手ほどきしてやるんだが」「みんな、気持ちを静めて冷静に、少し落ち着こう」という具合だ。
 一般に、このタイプが感情や情報を扱う場合には、うつむきかげんでやや右を向く傾向がある。腹の底から規則的な呼吸をする。動作は遅く、手や腕を体の前で組むことが多い。

『90秒で好かれる技術』 第5章 より ニコラス・ブースマン:著 中西真雄美:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 相手のコミュニケーションスタイルを知るうえで、参考になるのが「目の動き」です。

 ブースマンさんは、視覚タイプはやや上を向く傾向があり、聴覚タイプは横を、身体感覚タイプはやや下を向く傾向があると述べています。

 相手のコミュニケーションスタイルを把握して、より効果的な表現方法を選びましょう。

4つの「ビジネス・パーソナリティ」


 ブースマンさんは、ビジネスがつねに求めているのは、次の4つのパーソナリティだと述べています。

  1. アイデアを生みだす「夢想家タイプ」
  2. アイデアの実現性を確認する「分析家タイプ」
  3. アイデアを人に認めさせる「説得者タイプ」
  4. アイデアの実現に向けて事が進んでいることを確認する「管理者タイプ」

 成功した起業家の多くはこのうちいくつかの特性あるいはすべての特性をそなえているものだが、そうでない人はこうした特性をそなえるためのパートナーを必要とする。
 そして、人はたいてい自分のパーソナリティにふさわしい仕事を選ぶものだ。自己主張は強くないが、ものごとをさまざまな角度から見ることのできる人(①夢想家タイプ)は創造的な仕事に向いているし、プロセス指向で慎重な人(②分析家タイプ)は技術者としてその才能を発揮することが多い。外交的で社交好きな人(③説得者タイプ)は営業職などで成功しやすく、生まれつき自己主張が強く率直にものを言う人(④管理者タイプ)は、ほかの人たちを管理するのがうまい。
 分析家タイプや管理者タイプは論理的手順やガイドラインにしたかうことに安心感を覚え、夢想家タイプや説得者タイプは心の動きや自由な裁量によって、最高の力を発揮する。分析家タイプや夢想家タイプがやや控えめで内省的なのに対し、管理者タイプや説得者タイプは外交的で何ごともはっきりと主張する。

 では4つのタイプを見分けるポイントは何だろうか?

 ①夢想家タイプは何もないところから選択肢やアイデアを引っぱり出し、それを明確なものにしていく。このタイプはなかなかあきらめない。何度も何度もトライする。このタイプとビジネス上のつながりをもとうと思うなら、自由な発想を生みだす余地を与え、パーソナル・スペースを尊重することが大切だ。
 ②分析家タイプは強力な機動力によって的確に問題を処理し、申し分のない形で仕事を仕上げる。このタイプの強みは、細部重視と批判的な思考からくるものだ。このタイプとつながりをもとうと思うなら、細部に注意を向け、何ごともきちんと整理し、事実関係を大事にするとよい。
 ③説得者タイプは人を楽しませながら、上手に相手を説得する。このタイプの強みは、楽観的で社交性に富んだ性格からきており、また、人から認められることを切に望んでいる。このタイプとビジネス上のつながりをもとうと思うなら、彼に注目が集まるようにし、こちらが熱意をもって対応し、自発的な行動を高く評価するとよい。細かいことはきちんと書き出すこと。でないと、このタイプは何をやればいいのかわからなくなる。
 ④管理者タイプは競争を恐れず、結果第一主義で、率直にものを言い、自信にあふれている。仕事を完了することが最優先の望みである。このタイプとビジネス上のつながりをもとうと思うなら、相手に選択肢を与えること。あなたの希望を選択肢のなかにうまくしのばせ、そこに注目させる。つねにベストを尽くし、何よりも時間を無駄にしない点を、あなたかよく理解し、高く評価しているということを相手にわからせる。

『90秒で好かれる技術』 第6章 より ニコラス・ブースマン:著 中西真雄美:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

図3 4つのパーソナリティ 90秒で好かれる 第4章
図3.4つのパーソナリティ
(『90秒で好かれる技術』 第6章 より抜粋)

 ブースマンさんは、自分の部下や同僚、上司のパーソナリティを理解することは大事だが、同様に、自分自身のパーソナリティを知ることも大切だと述べています。

 己を知り、敵を知らば、百戦して危うからず。

 コミュニケーションの際には、いつでも「4つのパーソナリティ」のマトリックスを頭の中に入れておきたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 ブースマンさんは、あなたが築いてきたつながりの一つひとつを、一番の宝物として扱ってほしいとおっしゃっています。

 日本にも「一期一会」という言葉があります。

 日常のどんな些細な出会いも、大切にする。
 目の前にいる人に、最大限の関心を注ぐ。

 それが、人に好かれるための秘訣だということですね。

 チャンスを運んできてくれるのは、「人」です。
 人に好かれるということは、より多くの可能性を得るということ。

 人生を切り拓く、実用的なコミュニケーション・スキルの数々。
 私たちも、ぜひ、身につけて“人間関係の達人”を目指したいですね。

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