【書評】『凹まない人の秘密』(アル・シーバート)
お薦めの本の紹介です。
アル・シーバートさんの『凹まない人の秘密』です。
アル・シーバートさんは、心理学者です。
逆境を生き抜いた人を、40年以上に渡って研究し続けられ、アメリカで最も有名な「生き残り」心理博士と言われています。
凹まないための秘訣は?
「凹まない人」というと、“鋼のような固く強い心を持った人間”というイメージがあります。
しかし、本書で述べられている「凹まない人」は、それらのイメージとは、かなり違います。
シーバートさんは最初に、以下のように述べています。
凹まない人は、今まで経験したこともないような状況で、一つの反応に制限されることなく、場合によってはまったく逆の反応ができるということも、研究を通してわかった点です。
私がこのことを話したところ、東洋の賢人たちはそのことをずいぶん前に理解していた、と教えてくれた人がいました。
自分が発見したと思っていたことを、実は何百年も前、すでに東洋の賢人が知っていた。私はそれを聞き、東洋の英知に畏敬の念を抱きました。凹まない人は、あらゆる相反する性格を同時にあわせ持つことができます。そして、この変化の絶え間ない現代において、そんな多様性を身につけた人が、変化を軽々と乗りこなしていくことができるのです。
「凹まない人の秘密」 日本の皆様へ から アル・シーバート:著 林田レジリ浩文:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
「凹まない人」、つまり、精神的に強く立ち直りの早い人は、あらゆる相反する性格を同時にあわせ持つことができ
る人。
このような思想は、東洋的な感じがします。
衝撃を“受け止める”ではなく、“受け流す”。
「無為自然」の境地と、根本は同じです。
日本人には馴染みがある考えなので、とっつきやすい内容です。
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自分の人生に責任を負うのは誰か?
シーバートさんは、凹まない度合いを決定する要因は『自分の人生に責任を負うのは誰か?』という問いにある
と述べています。
自分の人生をコントロールする力が、自分にあると感じている人を「自分コントロール型」。
自分の人生をコントロールする力が、自分以外にあると感じている人を「他人コントロール型」。
と、それぞれ呼びます。
今までのいくつもの研究で、自分コントロール型の人が、困難な状況にもうまく対応できるということが明らかになっている。彼らは、自分の人生の舵を握っているのは自分自身だと感じていて、自分が状況に影響を与えることができると思っている。
それに対して他人コントロール型の人は、被害者意識が強く、人のせいにすることが多いとわかっている。自分が置かれた状況は自分のせいではなく、他人や外的な要因だと考えてしまうのだ。
(中略)
凹まない人は、誰かが助けに来るのをただ待っているということはしない。彼らは自分の感情をコントロールし、ゴールを設定してそのゴールに自ら近づいていくようにする。そして、以前よりより良い状態を手に入れたりするのだ。
彼らが、「あの逆境のお陰で今がある」と、あたかも感謝しているかのように話すのを聞くことさえあるかもしれない。
彼らは、思いもよらない困難に出会ったときの心の使い方がうまいのだ。八方ふさがりの状況に置かれても、そのうちにすべてがうまく回り始めるさ、という態度を崩さない。
たとえ、今まで当然と考えていたものがなくなっても、彼らはそこから這い上がり、さらに強く、そして賢くなっていける。「凹まない人の秘密」 第3章 から アル・シーバート:著 林田レジリ浩文:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
「性格」より「他人にどんな影響を与えるか」
一緒にいると、エネルギーを吸い取られる人もいれば、逆にエネルギーをくれる人もいます。
それを「シナジー効果」と呼んでいます。
シーバートさんは、凹まない人は、「シナジー」の力が強い人
だと指摘します。
外向的とか内向的などという性格は、その人が「他の人に」どのような影響を与えているかに比べれば、はるかにマイナーなことなのである。
マリオネットをご存じだろう。木製の人形で、上からストリングで操られる、あれだ。ストリングを引っ張ることで人形が立ち上がり、動き始める。
私が考えるシナジーとは、そのストリングのようなものだ。
あなたの健全なライフスタイル、問題解決能力、セルフイメージ、相反する性質、と私が書いてきたことすべて、シナジーという核を持つことで、有機的に意味を持っていく。そしてそのシナジーとは、あなたがいる場所をスムーズに動かしたいという意図に支えられている。「凹まない人の秘密」 第8章 から アル・シーバート:著 林田レジリ浩文:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
大切なのは共感できること
シナジーの力を引き出すには、「共感力」が必要です。
共感(empashy)とは、他の人が何を考え、何を感じているかを推し量る能力だ。あなたが周りの人をうまく導こうと思えば、その力は非常に大切になってくる。シナジーと共感は密接に関係している。
共感力を高めるためには、次のような質問が役に立つ。1 今この状況をこの人はどうとらえているだろうか?
2 何を感じているだろうか?
3 何を見ているだろうか?
4 どんな行動を起こすだろうか?あなたがどんな問いを持つかで、あなたが他人の気持ちにオープンであるか否かで決まるのだ。
状況を他人の目で見られるかどうかが、あなたのクリエイティブな問題解決には不可欠になってくる。「凹まない人の秘密」 第8章 から アル・シーバート:著 林田レジリ浩文:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
相手の視点に立って、ものごとを観る。
それによって、自分の中にいろいろな価値観を包有することができます。
凹まない人は、どんな困難な状況でも、冷静さを失いません。
だから、周りのみんなに力を与える「シナジー力」があります。
さらに共感力を高めることで、よりしっかりと、自己を保つことができるようになります。
結果、シナジー力も、より上がります。
まさに、相乗効果ですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
私があなたにどうしても伝えておきたいメッセージは、大事なのは状況そのものではない、ということだ。その状況においてあなたが何をするかが、はるかに大事なのだ。
そして人生の困難に立ち向かう力は、経験によってさらに高められていく、ということも忘れてはならない。
人生の一大事の後で、人はそれ以前と同じではあり得ない。あなたは、そのことによって自分の知らなかった力を発見してさらによい人間になるか、あるいはそれによって粉砕され悪くなるか、そのどちらかしかない。「凹まない人の秘密」 第11章 から アル・シーバート:著 林田レジリ浩文:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
前に進むか、後ろに下がるか。
良くなるか、悪くなるか。
人生の選択肢は、その二通りしかありません。
今向いている方向で、目的地も決まってしまうということ。
どちらを選ぶかは、自分次第です。
腐らず、諦めず、凹まず。
ちょっとずつでも前に進む人生を選びたいですね。
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