本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『心をとらえる60の法則』(マーク・レクラウ)

 お薦めの本の紹介です。
 マーク・レクラウさんの『心をとらえる60の法則』です。

 マーク・レクラウ(Marc Reklau)さんは、ドイツ出身のライフコーチです。

人生の成功と幸福は、「人との接し方」で決まる!

 レクラウさんは、人生の成功と幸福の大半は、他人とどれだけうまくやっていけるかにかかっていると指摘します。

 成功と幸福は、人によって意味合いが異なります。
 しかし、その両者には、「人と上手に接する」という共通項があります。

 この分野のエキスパートとして知られるレス・ギブリンは、「人と上手に接することができれば、仕事の成功の85%が実現し、人生の幸福の99%が手に入る」と主張しています。まったくそのとおりです。誰にとっても、人と上手に接することができるかどうかは大きな課題であり、人生の幸不幸を分けることになります。
 朗報を紹介しましょう。人と上手に接する方法は後天的に学ぶことができます。しかも相手のプライドを傷つけないので、お互いに得をします。
 どの分野であれ、成功している人は人と上手に接するすべを心得ています。もちろん例外はありますが、成功と幸福の扉を開く究極のカギは、人と上手に接することです。また、強固な人間関係を築いている人は、たいてい幸せで充実した人生を送ることができます。
 成功している人が必ずしも高度な仕事のスキルを持っているとはかぎりませんし、幸福な人生を送っている人が必ずしも頭がいいわけではありません。彼らは人と上手に接する方法を学んで実行しているのです。
 他人に好いてもらうように強制することはできませんが、人と上手に接することができれば、どんな人でも魔法にかかったように喜んで協力してくれます。

『心をとらえる60の法則』 はじめに より マーク・レクラウ:著 弓場隆:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 本書は、人と上手に接する効果的な方法を、わかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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相手を会話の中心にする

 レクラウさんは、人間は、他人よりも自分に大きな関心を抱いていると指摘します。

 人びとは、自分の利益を追求するために行動する。

 この真実を受け入れれば、他人とのやりとりでそれをうまく活用できます。

 どんな人でも興味をそそられる会話の最大のテーマを知っていますか?
 それは「自分自身」です。
 といっても、皮肉ではありません。これはまぎれもない真実です。
 あなたが相手を会話のテーマに選べば、相手は喜んで話をしてくれるはずです。なぜなら、相手はそのテーマに大きな関心を示すからです。
 パーティーに行って誰かと話したとき、その人が延々と自分について話すのを聞かされて、うんざりしたことはありませんか?
 その一方で、誰かがあなたについて適切な質問をし、話をじっくり聞いてくれたとき、どう感じましたか?
 あなたはどちらのタイプの人が好きですか?
 相手と話すときは、会話の中心を自分ではなく相手にするように配慮すると心をとらえることができます。
 たとえば、こんな質問が効果的です。
「どんなお仕事をしていらっしゃるのですか?」
「趣味は何ですか?」
「好きな◯◯は何ですか?」
「最近、調子はいかがですか?」
「何かしてみたいことはありますか?」

 誠実な気持ちで相手に関心を示し、相手が自分自身について話すように会話を誘導しましょう。人は皆、自分について話すのが大好きだという事実をよく覚えておいてください。

 人々を突き動かす原動力は何でしょうか?
 よかれあしかれ、人々がなんらかの行動をとるのはなぜでしょうか?
 その答えは、相手に認められたいという願望です。どんな人でも「自分に気づいてほしい」「自分を重要な存在として扱ってほしい」と思っています。つまり、人は皆、自分の存在価値を他人に認めてほしいのです。
 これが人々の行動原理です(多くの善良な人が素晴らしいことをする原動力だけでなく、悪い人が目立とうとして悪いことをする原動力でもあります)。
 すべての人に共通するこの願望を活用して、ふだんの人間関係を改善しましょう。当然、あなたは誠実な気持ちで相手に接しなければなりません。このテクニックの目的は、自分の利益追求のために相手を利用することではなく、相手を動かしてお互いの利益をはかることです。
 人の心をとらえる優秀なリーダーをたたえるとき、人びとは「チームの一人ひとりが重要な存在だと感じられるように配慮してくれる人だ」と言います。
 これが私たちのめざすべき境地です。周囲の人からこんなふうに言われるようになりたいものです。相手を重要な存在とみなしていることを伝えれば、その度合いに応じて相手は好意的に対応してくれます。
 相手を重要な存在として扱うことを心がけましょう。あなたも重要な存在として扱ってほしいはずです。
 当然、相手を無視したり見下したりしてはいけません。相手の名前を呼び、心を込めてほめましょう。相手の話に耳を傾けてください。重要な存在として扱ってもらっていると相手に感じさせることが大切です。

『心をとらえる60の法則』 第1章 より マーク・レクラウ:著 弓場隆:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

「他人に認められたい」

 そんな誰の心の中にもある自己承認欲求を満たしてあげること。
 それが人間関係の達人になる最初の一歩です。

 誠実な気持ちで相手に関心を示すこと。
 相手に自分自身のことを気持ちよく話してもらえるようにすること。

 普段から意識したいですね。

聞き役に徹する

 人の心をとらえるための最も重要なスキルのひとつ。
 それは、「相手の話に耳を傾ける」ことです。

(前略)相手の話を聞けば聞くほど、あなたは好かれます。なぜなら、あなたには希少価値があるからです。ほとんどの人は相手の話にあまり耳を傾けません。
 聞き上手は話し上手より得をします。なぜなら、人は皆、自分の話を聞いてほしいと思っているので、聞き上手な人は相手の願望を満たすことができるからです。
 自分ばかり話していると相手はひいてしまいますが、相手の話に耳を傾けると包容力のある優しい人物に映ります。なぜなら、自分の知識を披露するのではなく、相手を重要な存在とみなしていることを態度で示しているからです。
 聞き上手になるにはどうすればいいのでしょうか?
 相手に興味を持ち、全神経を集中しましょう。相手の話に賛同していることを示すために、相手を見ながらうなずき、ときには微笑むことも必要です。
 ひと言も聞き漏らすまいという気持ちで話に耳を傾けると、相手はあなたに好意を抱きます。そして、ときおり質問しましょう。「それで、どうなったのですか?」「そのときどうしましたか?」という簡単な質問で十分です。
 相手が話し始めたら、アドバイスをしたくなる衝動を抑えてください。解決策を提示するのではなく、相手を理解するよう努めることが大切です。相手の話をさえぎらずに最後まで聞きましょう。
 アドバイスをしたくなったら、相手の許可を求めましょう。たいていの場合、相手は最後まで話をすると、おのずと解決策を思いつきます。
 相手の話に耳を傾けると、あなたの会話力は向上し、人間関係は強固になります。話を聞いてもらっていると感じると、相手はあなたに信頼を寄せます。

『心をとらえる60の法則』 第2章 より マーク・レクラウ:著 弓場隆:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 人というものは、それだけ「話したがり」だということです。

 余計なアドバイスはせず、ただ純粋に、相手の言うことを聞く。
 それが相手の信頼を引き寄せるということです。

 相手の話に耳を傾けることは、相手を重要な存在とみなしていると態度で示すこと。
 忘れないようにしたいですね。

議論を避ける

 人間関係を保つうえで、とくに気をつけるべきこと。
 そのひとつが「議論を避ける」ことです。

 議論に勝つことは本当にできるのでしょうか? おそらくできません。たとえ「勝つ」ことができたとしても、相手の共感が得られる可能性はほとんどゼロです。
 論破された相手があなたを好きになると思いますか? たいていの場合、自分の正しさを主張するより友好関係を維持したほうがずっといいということを肝に銘じてください。
 相手は議論に負けると気分を害し、最悪の場合、メンツを失います。それでは相手の心とらえることはできません。自分が相手よりよく知っていることを見せつけて自己満足にひたっても、何の得にもならないのです。
 議論を避けましょう。議論をしても、9割以上の確率でお互いに自分が正しいと確信する結果になります。どんな場合でも議論に勝つことはできません。議論に負ければ、あなたの負けですが、議論に勝っても、あなたの負けです。あなたが議論に勝てば、相手はプライドを傷つけられて反感を抱くからです。ちなみに、あなたが議論に負けたとしても、あなたは依然として自分の正しさを確信するのではないでしょうか。
 上司と議論して得をしたことはありますか? その結果、あなたは昇進を果たしましたか? 顧客と議論して自分の正しさを主張したとき、その顧客は喜んで買ってくれましたか? おそらくそんなことはないはずです。できるかぎり、お互いの意見が一致しない点より一致する点に意識を向けたほうが得策です。
 議論を仕掛けられたら、相手に賛同しましょう。もし相手が「青い車は赤い車よりかっこいい」と主張したら、「そうですね」と言えばいいのです。議論を避けるのは弱さの証ではなく強さの証しです。相手に逆らって議論すれば、ときには勝てるかもしれません。しかし、相手の好意を得ることはできませんから虚しい勝利です。勝利か相手の好意か、あなたはどちらを手に入れたいですか?

『心をとらえる60の法則』 第3章 より マーク・レクラウ:著 弓場隆:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 人間関係は、勝ち負けではありません。
 自分の主張を相手に受け入れさせたところで、何の得にもなりませんね。

 議論を避けるのは、弱さの証ではなく、強さの証し。

 肝に銘じておきたい言葉ですね。

相手のメンツを立てる

 人間関係を築くうえで重要なのは、相手の自尊心を大切にすること。
 つまり、「相手のメンツを立てる」ことを心がける必要があります。

 人間関係について語るうえで、これは非常に重要なことですが、ふだんそれについて考える人はあまりいません。
 私たちは他人の感情を無視しがちです。人前で他人を平気で叱り、どんな被害が発生するかを考えずに他人を脅し、相手のプライドを傷つける言動をすることすらあります。しかし、ほんの数秒でも相手の立場に立って考え、もう少し配慮をすれば、すべての被害を未然に防げるはずです。
 相手のメンツを立てるだけの思いやりを持たなければ、一瞬で人間関係を破壊してしまいます。どんなに多くの善良な人たちが上司や同僚と折り合いがつかずに職場を去っていったことでしょうか。「人びとが転職するのは、他の上司の下で働きたいからだ」という格言を聞いたことがあるはずです。
 誰かがミスをしたら、その人のメンツを立てましょう。一時の感情に翻弄されて人間関係を台無しにしてはいけません。ましてや「おまえはダメだ」とか「何をしてもうまくできないのか」といった相手の人格を否定する発言はご法度です。
「ミスをするのは普通のことだ」とフォローして相手を励まし、信頼していることを伝えましょう。これは奇跡的な効果を発揮します。ミスをした人は落ち込んでやる気をなくすどころか、信頼に応えるためにやる気を出して全力を尽くすからです。

 どうしても相手に注意を促さなければならないとき、まず自分のミスについて話すと効果的です。
 相手のミスを指摘する前に、過去の自分を振り返ってください。あなたも若かったときや新人だったときに初めて何かをして同じようなミスをしたのではないでしょうか。もしかすると、相手は当時のあなたよりもずっと仕事ができるのかもしれません。
 あなたが当時の自分のミスについて話せば、きっと相手はあなたの指摘に抵抗を感じずに耳を傾けることができます。あなたの謙虚な態度は相手の心を開かせることができるからです。
 まず自分のミスについて話しましょう。正直な人という印象を相手に与え、好感度を高めることができます。そんな人はめったにいないので、人びとはあなたを慕うでしょう。おそらく相手は反省して、ミスをしないように気をつけるはずです。
 もうひとつの効果的にテクニックは、相手のミスを指摘する前に相手をほめることです。最初にほめられると、そのあとで注意されても冷静に指摘を受け入れることができます。

『心をとらえる60の法則』 第5章 より マーク・レクラウ:著 弓場隆:訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 人前で叱られて、いい気分になる人はいません。

 ネガティブなことは、第三者のいない場で、1対1で言う。
 ポジティブなことは、あえて周囲に聞こえるように言う。

 そんなちょっとした心遣いが、相手の心を掴みます。

 ほんの数秒でも相手の立場に立って考える。
 忘れないようにしたいですね。

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 レクラウさんは、人間関係の技術を身につけたいなら、まず人間とはどういうものかを理解しなければならないとおっしゃっています。

 人間とはどういうものかを理解するというのは、「人間のありのままの姿を直視すること」です。

 私たち自身も人間です。
 ですから、人間が何をされると嬉しくて、何をされると嫌か、わかっています。

 ただ、自分以外の人間に対するときは、そんなことお構いなしになりがちです。

 良好な人間関係を築くための秘訣。
 それは、相手がしてほしくないことをせず、してほしいことをすること。

 誰もが、頭では理解できているけれど、実際にはできていない。
 それが、人間関係の難しいところですね。

 本書は、人間を理解し、人間関係を劇的に改善するヒントがぎっしり詰まっています。
 できることから一つずつ実行し、人を惹きつける「マグネット」のような存在を目指したいですね。

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