【書評】『言いかえ図鑑』(大野萌子)

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お薦めの本の紹介です。
大野萌子さんの『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』です。

大野萌子(おおの・もえこ)さんは、一般社団法人日本メンタルアップ支援機構の代表理事です。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善スキルを得意とされ、コミュニケーション・ハラスメント・メンタルヘルスに関連する行動変容に直結する研修・講演を、年間150件以上行うなどご活躍中です。

プラスの言葉を使って「好印象な人」になろう!

長年、さまざまな企業内健康管理室でカウンセラーとして、たくさんの人の話を聴いてきた大野さん。

相談された悩みの9割は、「上司とうまくいかない」「部下の指導に手こずっている」「取引先とかみ合わない」「家庭不和」など、人間関係に関することだと指摘します。

 言葉というのは怖いもので、使い方を一歩間違えると人間関係にヒビが入ったり、取り返しがつかなくなったりすることもあります。
でももっと怖いのは、相手をイラッとさせることを言っている自覚がない人。
自分では気づかないまま、「マイナスの口癖」が習慣化していて、周囲との人間関係を築くことができず悩んでいる人がとても多いのです。
ハラスメントの行為者(加害者)になりやすいのも、このように無意識のうちに余計なひと言を口にしているタイプです。

特に、2020年6月1日に施行された通称「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」の影響で、組織のコンプライアンスが厳しくなり、ビジネスの現場におけるコミュニケーションにいっそう配慮が必要になってきました。
しかし、「下手なことを言ってしまうとマズイから」と、言いたいことを我慢して、人と話すことを避けてしまうと、ますますわかり合える機会を失ってしまいます。

そもそも、どんな仕事も、人と人とのコミュニケーションなくしては成り立ちません。特に、「ホウ・レン・ソウ」が欠かせない上下関係や、立場が違う人間がチームワークで業務を遂行する場合はなおのこと。
日常的な挨拶や返事の仕方はもちろん、お願いしたり、意見を言ったり、注意したり、謝ったり、褒めたり、叱ったり・・・・・。
ありとあらゆる場面で、言いたいことを伝えつつ、相手に信頼感や安心感を与えて、好意的に受け取ってくれるような言い方を、ひとつでも多く身につける必要があります。

それは、対面の会話だけでなく、メール、チャット、SNSなどのコミュニケーションツールを使う場合でも同じです。
(中略)
プラスの表現は、人間関係に良いスパイラルを生み出します。
好印象を与えるひと言がとっさに出てくると、言いにくいことを伝えるときでも、相手を傷つけることなく、素直に納得してもらうことができます。
そのようなポジティブなコミュニケーションのコツが身につくと、周りに対しても好感、好印象を与えるようになって、信頼関係を築けるようになっていくのです。

同じことを伝える場合でも、使う言葉次第で、まったく違った意味に受け取られることがあります。
そのような事例もたくさん紹介しますので、「自分もこれで痛い目に遭いそうになった」「あの人が使っていてモヤッとした」「こういうこと、あるある」など、自分の言動や周りの人を振り返りながら、お読みいただければと思います。

『言いかえ図鑑』 はじめに より 大野萌子:著 サンマーク出版:刊

本書は、「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に言いかえるパターンを、141例、15章のシーン別にわけて解説した一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「挨拶」は、第一印象を決める大切な儀式!

「挨拶」は、その人の第一印象を決める大切な儀式であり、相手に「安心感」と「信頼感」を与えるための、もっとも大事なコミュニケーションです。

一方、「社交辞令」は、人間関係に必ずしも必要ではないので、軽はずみに口にしないことが望ましいです。
それでも言いたいときは、それとわかるようにサラッとあいまいな表現で、期待を抱かせないのがポイントとなります。

×よけいなひと言

 ご苦労さまです



◎好かれるひと言

 お疲れさまです

新入社員が、取引先の管理者に「ご苦労さまでした」と言って相手を怒らせてしまったことかあります。なぜなら、「ご苦労さま」というのは、上の立場の人が目下の人に対して使う表現だからです。
でも残念ながら、その意味を知らずに使っている人がいます。言われてもそれほど気にしない人もいますが、相手によっては「きみにご苦労さまなんて言われる筋合いはない!」と腹を立てる人もいるのです。
目上の人に限らず同僚でも、このひと言がきっかけで人間関係がこじれるケースも実際にあります。なぜなら、「ご苦労さま」と言われたほうは、「あなたの部下じゃない」と反発心を感じるから。ですから、第一声の挨拶として相手をねぎらいたい場合は、「お疲れさまです」と言うほうがベターです。
ただ最近は、「疲れてないときにお疲れさまですと言われても・・・・・」と気に障る人もいるようです。単なる挨拶であれば「おはようございます」「こんにちは」「失礼します」といった言葉のほうが無難でしょう。ねぎらいの言葉であれば、「おかえりなさい」「◯◯の件が無事に進んだようで何よりです」と言うことで気持ちは伝わると思います。
挨拶は人間関係の大きな潤滑油。ただ、ちょっとした配慮をお忘れなく。
(中略)
×よけいなひと言

 大変ですね



◎好かれるひと言

 仕事が忙しいんですね

基本的に人は、自分の状況や気持ちを理解してほしいという思いで相手と関わります。
「こんなことがあった」「こんな気持ちになった」ということをわかってほしいのに、大雑把にひとくくりにする「大変ですね」は、表面だけの社交辞令にも聞こえ、不快になります。他人事のように感じられるからです。
たとえば、「風邪引いちゃって」「最近、仕事が忙しくて」といった言葉に、「大変ですね」と返すとどうでしょう。たとえねぎらいのつもりでも、相手が「大変」だと思っていなければ返答に困るだけ。また、人によってはうれしいことも大変そうに話すので、「休日も子どもと遊んで疲れちゃった」と言う人に、「大変ですね」と真顔で返すのも余計なお世話。「いや、幸せで忙しいんだけど」とイラッとされるかもしれません。
もし本当に大変なことがあっても、当事者の苦しみは他人にはわかりません。それどころか、他人に「大変」だと決めつけられたら、ますますネガティブな気持ちになります。
ですからまずは、「大変」というブラックワードを安易に口にしないこと。それよりも、相手が発した言葉を繰り返すほうが理解を示せます。「最近休みが取れなくて」には、「休みが取れないほどのお忙しさなんですね」という具合です。とくに挨拶にともなう会話のはじめでは、「相手の言ったことをそのまま受けとめて返すこと」が大切です。
(中略)
×よけいなひと言

 連絡がなかったから心配していた



◎好かれるひと言

 久しぶりに連絡をもらえてうれしい

連絡をして久しぶりに会った友人に、「ずいぶん連絡がなかったから心配していたよ」と言われるのと、「久しぶりに連絡をもらえてうれしかったよ」と言われるのとでは、どちらが気分がいいでしょうか? 前者と後者では、受け取り方がまったく異なりますよね。
たとえば、久しぶりに連絡した友人に、「最近、連絡がなかったから具合でも悪いのかと思ったよ」と返されたら、責められているようで気分が悪くなります。「せっかく連絡したのに人を病人扱いするなんて」と、抵抗感を覚える人もいるのではないでしょうか。
一方、「連絡をもらえてうれしい、ありがとう。元気そうでよかった」と言われたら、悪い気はしませんし、むしろ「連絡してよかった」と気持ちよく話せるものです。
久しぶりに連絡をくれた相手に対する返事の仕方には、もうひとつ注意が必要です。つい言ってしまいがちなのが、「私も連絡しようと思っていたところだったの」という言葉。この裏には「こちらから連絡しないで申し訳ない」という気持ちが含まれているとは思うのですが、そのため言われた相手は、「じゃあなんで先に連絡くれなかったの?」と不快になりがちです。
ですから返事もよけいな気遣いは抜きにして、「連絡くれてうれしかった。ありがとう!」と喜びや感謝の気持ちをストレートに伝えるようにしましょう。

『言いかえ図鑑』 第1章 より 大野萌子:著 サンマーク出版:刊

挨拶や社交辞令は、コミュニティに属している以上、ほぼ毎日欠かせない行為です。

ポジティブな印象を与えるか、ネガティブな印象を与えるか。
付き合いが長ければ長いほど、相手に与える影響は大きくなります。

相手の立場や状況を配慮したひと言を言えるようになりたいですね。

本当に相手が喜んでくれる「気遣い」とは?

価値観や考え方は、人それぞれです。
良かれと思ってしたことでも、必ずしも相手が同じように感じているとは限りませんね。

大野さんは、せっかくの気遣いがかえって迷惑になることもあると指摘します。

×よけいなひと言

 みんなも頑張っているからね



◎好かれるひと言

 あなたはよく頑張っているね

自分が頑張っているときに「みんなもやっていることだから」「みんなも頑張っているから」と言われて、がっかりしてしまうことはないでしょうか。「みんなって?」と思って、誰がそうしているのか聞いてみたら、言った本人が思ってただけ、というのはよくある話しです。
「みんな」という言葉は、一般化するのに便利な言葉なので、つい使ってしまうことも多いと思います。しかし、「みんな」を盾に自分の意見を正当化したり、発言を誇張したりする気持ちが見え隠れするので、特に指示や注意をするときには慎重に使ったほうがいいでしょう。
「みんな」が正しくて、「あなた」は間違っていると否定されているように感じるからです。
他人と比較したり、自分の主観で決めつけた「みんなの当たり前」「普通」を前提に話をしたりすると、相手の気分を害してトラブルになることも。「みんなが普通にやっていることだからあなたもやって」と言われて、「はい、そうですね」とは素直に思えないものです。
カウンセリングの場でも、「みんなはどうしているんですか? 普通はどうするんですか?」と聞かれた場合、「人それぞれです。あなたがどう思っているのか、どうしたいのかが重要なんです」と話します。もし、労(ねぎら)いたい場面ならなおのこと。一般化せずに、「あなたはよく頑張っているね」「あなたはそう思うんだね」と個人に対する声かけをするのがベストです。
(中略)
×よけいなひと言

 それはガッカリですね



◎好かれるひと言

 そんなことかあったんですね

人から、「こんなイヤことがあったの」「結果が出なくて大変な目にあったよ」といったネガティブな話を聞かされたとき、「それは最悪ですね」「ガッカリですね」と、つい思ったままを口に出してしまうことはないでしょうか?
言ったほうに悪気はなくても、当事者からすると、たったひと言のマイナス言葉でまとめられたら他人事に思われているようにしか聞こえません。気遣いのつもりで言ったひと言が、かえって傷口に塩を塗るようなことになって、人間関係が悪化することもあるのです。ですから、ネガティブな話題のときほど、慎重に言葉を選ぶ必要があります。
とっさのひと言を口にするとき、迷わずに済む言いかえの基本は、「相手が言ったことをそのままキャッチすること」です。「◯◯なことがあったんですね」「思ったような結果が出なかったんですね」と、相手の状況や気持ちを、言葉をかえずに返せばいいのです。これはカウンセリングの場においても常に心がけていることです。
本人自身が、「残念だったよ」「ガッカリしたわ」とマイナス言葉で話した場合は、同じ言葉を使っても問題ないでしょう。しかし間違っても、相手が言ったこと以上にネガティブな言葉を使わないこと。そのちょっとした気遣いができるかどうかが、「この人ともっと話したい」と思われるか、「これ以上もう話したくない」と思われるかの差になるのです。
(中略)
×よけいなひと言

 ◯◯よりマシじゃない



◎好かれるひと言

 よく頑張ったね

たとえば、なかなか異動希望が通らず不満を抱えている人がいるとします。その人に対して同僚が、「異動希望も出せないアルバイトよりマシじゃない」と励ましの言葉をかけたら、相手はどんな気持ちがするでしょうか?
あるいは、子どもがサッカーの試合で負けたときに、「◯◯のチームよりはマシだよ」と他のチームと比較してなだめているつもりの親。誰かと優劣を比較し、「あなたはまだマシ」という言い方は、気遣いでもなんでもありません。むしろ、相手をモヤモヤさせたりイラッとさせたりする、表面的ななぐさめです。そもそも「比べる」ことが間違いです。
コミュニケーションが上手な人は、「否定せず、解釈せず、比較せず」。これをきちんと守っています。しかし、「◯◯よりマシ」という言い方には、解釈と比較の2つの意味が含まれますから完全にアウト。
相手のことを励ましたいなら、自分の気持ちを伝えるか本人自身の比較にしましょう。たとえば、異動希望が通らない同僚に対しては「早く希望がかなうといいね」。サッカーをしている子どもには「この前の試合より◯◯がよかったよ。頑張ったよね」といった言いかえです。
病気やケガをしたり、悪いことがあったりしたときも、「こういう状態で済んでまだよかったよ」と本人が言うのであればOK。決して他人が言うことではありません。

『言いかえ図鑑』 第4章 より 大野萌子:著 サンマーク出版:刊

気遣いは、あくまで「相手目線」でするのがポイントです。

自分の価値観や考えを押しつけるような気遣いは厳禁。
世間一般の常識を当てはめたり、他の人と比較するのも避けるべきです。

「否定せず、解釈せず、比較せず」

相手とのやりとりでは、いつも意識していたいですね。

「自己主張」は、相手を尊重しながら

「自己主張」とは、文字通り、自己を主張する行為です。

言葉の響きから、ネガティブなイメージがありますが、職場でも家庭でも「自分の意見や考えを伝える」のは大切なことです。

大野さんは、「あなたと私は違う人間だから、意見が違って当然」という前提で話をするのが、コミュニケーションの基本なので、相手を尊重しながら、自分の意見を伝えることが重要だと述べています。

×よけいなひと言

 みんながこう言っているから



◎好かれるひと言

 私はこう思います

子どもはよく「みんなが言ってるよ」「みんなが持っているから買って」と言います。なぜなら、本当は自分が主張したいことでも“その他大勢”を巻き込んで、それが正しいことのように思わせたいから。また、子どもはまだ自分の意見に自信がなく、自己主張に説得力を持てないからです。しかし、73ページでも述べたように、「みんな」を枕詞(まくらことば)のようにつける表現は「一般化」と言われ、逆に説得力に欠ける話になってしまうのです。
「普通は」も似た言葉。「普通は」「みんなは」をよく使う人は、「普通って何?」「みんなって誰?」と相手に思われて“半信半疑”で話を聞かれてしまいます。
自分の意見に耳を傾けてほしいなら、「私はこう思います」「私の考えはこうです」と単刀直入言ったほうが、真っ直ぐに相手に伝わります。もしも実際に、自分と共通意見の人がいるのなら、自分の意見を伝えたうえで、「◯◯さんと△△さんも同意見です」と具体的な名前をプラスすれば説得力が増します。
自己主張するときは、自分の思いや考えを自分自身で把握できなければ、人に伝えることはできません。それができずに、あるいは自信がなくて、ついつい「みんなは」「普通は」と枕詞のようによけいなひと言を加えてしまう人は、「私」の立場ではっきりものを言うことを意識して。それができると、耳を傾けてもらいやすくなりますよ。
(中略)
×よけいなひと言

 私はそんなこと言ってません



◎好かれるひと言

 私はこのように認識していました

話が行き違ったり、思わぬところで誤解が生じていたりしたなど、社会には「理不尽」に思われる出来事がよくあります。そういうときは、「自分は間違ってない!」と主張したくなるもの。もちろん、正当性を伝えるのは悪いことではないのですが、トラブル対応の場合は慎重に言葉を選ばなければ、感情のぶつけ合いになるので注意が必要です。
一番よくないのは、「私はそんなことを言ってません」「私のせいではありません」責任転嫁すること。もし本人に非がなくても、「悪いのは私ではない」と開き直られると、言い訳に聞こえてしまうからです。
なので、このような場合には、「私はこのように認識していました」とか、「それは先輩の指示に従って進めました」というように、まずは事実や状況を説明することです。
人は、「本当はどうだったのか」「実際何があったのか」を知りたいという欲求を持っています。トラブルになった原因を明らかにしたいわけです。ですので、「私はこういうつもりだった」という気持ちではなく、「実際に起こったこと」と相手に「確認してほしいこと」を伝えましょう。こちらの状況を説明し、相手の状況も説明してもらう、ということが大切です。
お互いの事実確認をしたうえで、「じゃあ、次からはこうしよう」と同じトラブルを起こさないための対策を考える。これが良好な関係を維持する秘訣(ひけつ)なのです。
(中略)
×よけいなひと言

 こんなこと言いたくないんだけど



◎好かれるひと言

 気になっているので伝えておくね

以前、こんな出来事がありました。ある会社は、資料作成がいつも遅くて残業ばかりしている社員に、先輩が「こんなこと言いたくないんだけど、あなたはもう5年目だよね。もしかしてまだパソコン苦手なの?」と言ったそうです。
このように、少しでも相手をバカにした言い方は相手を傷つけます。しかも強い威圧感があったために、パワハラと受け取られて、コンプライアンス窓口に苦情として報告されたのです。
他人にやってほしいことや言いたいことがあるとき、「本当はこんなこと言いたくないんだけど」と前置きするのは、「どうしても言っておきたいからよく聞いてよ」と脅しているようなニュアンスがあります。もしも仕事を早く終わらせてもらいたいなら、「以前から気になっているのでお伝えします。残業が増えているので改善してください。就業時間内で終わらせるための効率化を相談しましょう」と言えばよいのです。
「こんなこと言いたくないんだけど」には、“不満”を言いたいときに使われることがほとんど。ですから相手も、「言いたくないなら言わないでいいのに・・・・・」と内心警戒して、言われたことに苦痛を感じるケースが多いため、うっかり口にしないようにしましょう。
声をかけるなら、「気になっているので」「相談して」と明るく伝えるのが正解です。

『言いかえ図鑑』 第7章 より 大野萌子:著 サンマーク出版:刊

同じ内容のアドバイスや意見でも、言い方次第で、相手の心に素直に入ってい場合もあれば、逆に反発を買うこともあります。

相手に押し付けない。
相手を尊重する。

そんなコミュニケーションをつねに心がけたいですね。

「SNS・メール」の思わぬ落とし穴とは?

プライベートでも仕事でも、メールやSNSでやり取りするのは、今や当たり前となりました。
ただ、思わぬ落とし穴もあるので注意が必要です。

大野さんは、メールやSNSによるやりとりは、対面での会話に比べて情報量が少ないため、誤解を招きやすいと指摘します。

×よけいなひと言

 近日中に連絡します



◎好かれるひと言

 今週金曜までに連絡します

スケジュールや数字に関するあいまい表現は、必ずと言っていいほど相手に迷惑をかけて、トラブルの元になりやすいもの。
仕事のやりとりの中で、「近日中にお返事します」「追ってまた連絡します」「検討します」と書かれたメールを受け取った経験は、誰にもあると思います。そういう対応をされると、「近日中っていつ?」「追ってって?」と宙ぶらりんの状況が気になって、他の仕事の日程まで待機させられる場合もあります。あいまい表現は、それだけ相手にストレスを与えて迷惑をかけていることがわかっていない人が多いのです。
メールによく書かれている「今週中に」という言葉も、金曜日までか、土曜日までか、日曜日までなのか人によって受け取り方が違います。ですから、「今週木曜日までに連絡します」と具体的に表記しなければ、行き違いが起こります。同様に、「本日中に」も就業時間内の18時までなのか、その日が終わる24時までなのかでは、6時間も違ってきます。今はオンラインでのやりとりが多く、いつでも連絡が可能なために注意する必要があります。
それほど誤解を招きやすい表現ですから、特にメールやSNSで要件を伝える場合は、自分の「つもり」をすべて数字で具体化することかトラブル回避につながります。最後には、「この日程で問題ないでしょうか?」と確認して、相手の合意を得るようにしましょう。
(中略)
×よけいなひと言

 突然メールをお送りして申し訳ございません



◎好かれるひと言

 突然のメールで失礼いたします

はじめてメールを送る相手に、必要以上に恐縮してお詫びの言葉を並べる人がいます。「突然、メールをお送りして大変申し訳ございません」「突然のメールをお送りする失礼をお許しください」といった文面です。
けれども、仕事に関する用件ではじめて連絡するのは悪いことではありません。むしろ、新規の仕事の依頼をいただく人にとっては「何だろう?」と興味を持つお知らせでしょう。
そのため、過剰にへりくだったり謙遜したり、自分を卑下までする必要はまったくないのです。それが逆効果となって、受け取ったほうが恐縮して引いてしまう可能性もあります。
もちろん、朝早い時間や夜遅い時間にはじめて連絡すると、「こんな時間に何の用だろう?」と警戒されることもあるので、「夜分遅くに、突然のメールをお送りして申し訳ございません」と、失礼をお詫びするのは礼儀のうちです。しかし、基本的には、「突然のメールで失礼します」と前置きするだけで問題ないでしょう。
逆の立場で、依頼されたことを断らなければならないとき、「せっかくいただいた機会を無駄にした自分が、あまりにも情けなくて腹が立ち・・・・・」などと、重大な罪を犯したようなお詫びの長文メールを送る人がいます。それもやり過ぎると、「本気でそこまで思ってないでしょ」と相手をシラケさせてしまうので、何事もほどほどに。
(中略)
×よけいなひと言

 了解しました



◎好かれるひと言

 かしこまりました

「了解」という言葉は、とても便利です。「了解です」「了解しました」はメールだけでなく、LINEのスタンプにもたくさんあるので、気軽に使っている人も多いのではないでしょうか。この言葉は、「わかりました」「理解しました」という意味の丁寧語なので、相手に不快感を与えるほどの言葉ではありません。
しかし、ビジネスメールとなると話は別です。
「了解」という言葉にはへりくだった意味合いが含まれていませんから、自分と同世代か立場が下の人に使うことには適しています。けれども、上司や取引先に対して使うと対等なニュアンスがあり、失礼だと感じる人もいるのです。
上司の指示や取引先からの依頼に対して返事をする場合は、指示されたことや依頼を謹んで承諾するという意味を持つ「かしこまりました」「承知いたしました」を使うほうが適切です。こちらのほうが、相手に対する敬意を払っている言い方になります。
特に、「かしこまる」は相手に対する、おそれ敬う気持ちを表す意味合いがあります。そのため、相手が自分よりも立場が上で、特に配慮が必要な場合には、「かしこまりました」がより丁寧です。「承知いたしました」も「承知しました」の謙譲語ですから、問題ありません。
ビジネスメールの返事を、SNSのようなノリで返さないように注意してください。

『言いかえ図鑑』 第12章 より 大野萌子:著 サンマーク出版:刊

大野さんは、メールやSNSのコミュニケーションで気をつけるべきポイントとして、次の3つを挙げています。

・トラブルになった場合は、直接話すようにすること。
・「〇〇しないでください」など否定的な言葉を使わず、「〇〇してください」と肯定形で書くこと。
・「できれば今週までにお返事ください」といった、“あいまい表現”で相手に答えを委ねず、「〇〇までにお返事をお願いします。難しい場合はご連絡ください」と希望とフォローをセットで伝えること。


相手の表情が見えない分、よけいに表現の仕方には気をつけるようにしたいですね。

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大野さんは、コミュニケーションの是非は「自分の在り方」で決まるとおっしゃっています。
その理由は、自らの意思や思いを把握できてこそ、人にそれを伝えることができるからです。

自分に肯定的な考えを持つ人は、相手にも肯定的な表現をします。

自分の在り方が変われば、言い方も変わる。

「逆もまた真なり」です。

言い方を変えれば自分の在り方も変わります。

ちょっとした言いかえが、相手の反応をポジティブに変え、自分の考え方もポジティブに変えてくれます。

一回の効果は小さくても、積み重ねれば、想像を超える影響力を発揮します。
皆さんも、ぜひ、そんな“チリツモ”的なノウハウが満載の一冊をお手に取ってみてください。
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