【書評】『すごい股関節』(中野ジェームズ修一)
お薦めの本の紹介です。
中野ジェームズ修一さんの『すごい股関節 柔らかさ・なめらかさ・動かしやすさをつくる』です。
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中野ジェームズ修一(なかの・じぇーむず・しゅういち)さんは、フィジカルトレーナーです。
フィジカルトレーナー協会(PTI)代表理事を務められ、2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導を担当されるなど、ご活躍されています。
股関節は、なぜ、こんなに「すごい」のか?
股関節は、体のなかで最も大きな力が加わる関節
です。
中野さんは、股関節には、立つ、座る、歩く、走るといった日常動作を支えており、運動をしなくても、とても大きな負荷が日々かかって
おり、筋力の低下や肥満、運動による「使いすぎ」や、逆に長時間同じ姿勢で過ごすことによる「使わなさすぎ」によっても、違和感が不具合は起き
てしまうと指摘します。
股関節の寿命(耐久年数)は70〜80年といわれていますが、50代や60代、なかには30代でも、股関節にトラブルを抱えている方は大勢いるのです。
人間は股関節から老いていく。そう言っても過言ではありません。
一方で、股関節ほど「すごい」関節はないと私は思っています。
構造が複雑であり、関与する筋肉も多く、担う仕事もデカい。しかも、驚くほど緻密にできていて、機能的。知れば知るほど、人体の神秘と素晴らしさを感じさせる関節です。
どんな関節であるかを一言で説明するのは難しく、あえて言うならば「すごい」の一言になってしまうのです。私が心の底から「股関節はすごい」と思えるのは、私がフィジカルトレーナーという仕事をしていることと関係しています。
フィジカルトレーナーとは、いわば「体を強くする専門家」です。
筋力トレーニングや有酸素運動、ストレッチなどを通じて、スポーツにおけるパフォーマンスアップや、ダイエット、ボディメイク、生活習慣病やケガの予防・改善を実現します。
股関節に問題があれば、アスリートのパフォーマンスはガクッと落ちます。高齢者は、立ったり歩いたりするだけで股関節に違和感があると、気分も落ち込んでしまいます。しかし、股関節の問題を取り除けば、アスリートの成績はグッと伸び、高齢者もはつらつと活動的になります。
その複雑さゆえに、どうすれば股関節の問題を取り除けるのかを考えるのは簡単ではありません。でも、トラブルが改善した方の笑顔を見ると、「やはり、股関節はすごい」と思わざるを得ないのです。私がフィジカルトレーナーになったのは30年以上前。その頃、日本ではフィジカルトレーナーという職業がまだなく、当時フィットネスの中心地といわれた米国カリフォルニア州で学んでトレーナーの資格を取得しました。
私が指導しているのは10代の学生から、ビジネスパーソン、高齢者までと幅広く、その目的もスポーツのパフォーマンス向上や、健康管理、ダイエットなどさまざま。クライアントの希望を叶えるために日夜活動をしております。
オリンピック選手をはじめ、数多くのアスリートのサポートもしています。競技としては、テニス、バドミントン、卓球、バスケットボール、陸上、スポーツクライミング、パラ卓球、パラ車いす陸上などさまざまです。
また、本の執筆や、雑誌記事・テレビ番組のほか、インタビューを受けたりもします。メディアを通じ、情報を発信することもフィジカルトレーナーとしての仕事の一環だと考えているのです。私たちトレーナーは、解剖学や生理学などを基礎としたトレーニング理論に基づいて、1人ひとりの体や生活、そして目的に合った運動を「処方」します。どうすればもっといい動作ができるようになるか、トラブルを起こさないよう動けるか。そこを突き詰めていく面白さに魅了されています。
特に最近は、高齢者のトレーニング指導も精力的に行っています。人は90歳、100歳を超えても、ちゃんとトレーニングすれば、みるみる体が変化します。その姿を何度も目の当たりにすることで、とてもやりがいを感じているのです。さて、私はよく「痛みを治す人」と思われがちですが、違います。
トレーナーの仕事は、大きく2つに分けられます。1つは「マイナスの状態をプラスにする」仕事。そしてもう1つは「ゼロの状態からプラスにする」仕事です。
痛みに対応するのは、「マイナスの状態をプラスにする」仕事。つまり、メディカルトレーナーのように、リハビリテーションに携わる人たちが行うものです。資格としては、理学療法士や作業療法士、柔道整復師、はり師、きゅう師、あんまマッサージ指圧師が該当します。
スポーツの現場でいうと、例えば「肩を痛めた」「靱帯を切った」「選手に対し、監督やコーチ、医師などと連携しながら、応急処置を施したり、運動療法(リハビリ)などを用いたりして、復帰まで支えるのが「マイナスの状態をプラスにする」ことになります。一方、私のようなフィジカルトレーナーは、「ゼロの状態からプラスにする」のが仕事です。その人に合った運動を処方し、筋力をつけたり心肺機能を向上させたりするのです。スポーツの現場では、体を強くすることでパフォーマンスを上げ、オリンピック選手ならメダルの獲得などの目標を達成するためにサポートします。
そして、私がこの仕事を行ううえで、股関節を改善する必要に迫られることがとても多いのです。つまり、「ゼロの状態からプラスにする」ためには、体の要である股関節がスムーズに機能することが重要である場合が多いというわけです。本書は、私がフィジカルトレーナーとして経験を積んできた今だからこそ書ける股関節の本だといえます。
フィジカルトレーナーといえども、股関節を改善するためにどのようなトレーニングを行えばいいのかを判断するためには、経験が必要ですふ。股関節は関わる筋肉の数が多く、構造も複雑なので、経験の浅いトレーナーは「何から手をつければいいのかわからない」と感じることもよくあります。
当たり前ですが、関節は直接見たり触れたりできません。特に股関節は、お尻や鼠蹊(そけい)部の分厚い筋肉で覆われているので、細かい動きがとてもわかりにくい。そのため、股関節の動きが悪くなっているアスリートに、トレーナーが「大殿(だいでん)筋や大腿四頭(だいたいしとう)筋を鍛えたほうがよい」などとアドバイスするのはとても難しく、多くの経験が必要になるのです。これが股関節ではなく「膝関節」ならどうでしょう。膝に違和感がある場合、トレーナーでなくても一般の方でもすぐできることがあります。ドラッグストアで買える「膝サポーター」をつけると、それだけで改善することも多いですし、膝ならテーピングすることもそれほど難しくはありません。しかし、股関節はそのような対処はできません。テーピングも一般の方には難しいでしょう。
膝に違和感がある方にどのようなトレーニングを行えばいいかをアドバイスすることも、それほど難しくありません。膝関節を支える筋肉は、股関節に比べるとずっと少ないからです。一方で股関節に関しては、「この筋トレやストレッチさえやればOK」と簡単に言うことはできません。場合にっては、その筋トレやストレッチが逆効果になってしまうこともあるのです。
ですから本書は、私がこれまで培ってきた経験をもとに、目に見えず、触れることもできない自分の股関節の状態を把握し、それを改善するための方法について記したものだといえます。『すごい股関節』 はじめに より 中野ジェームズ修一:著 日経BP:刊
本書は、股関節の構造や痛みや違和感が生じるメカニズムを解説し、股関節の状態を改善する具体的なトレーニング方法を交えて、わかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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人間は「大殿筋」で歩く!
股関節は、上半身と下半身をつなぐ文字通り人間の体にとって「要」となる関節
で、そのため多くの筋肉によって支えられて
います。
人間という動物は、直立二足歩行するのが特徴です。人間が完全に直立二足歩行するようになったは、約300万年前だといわれています。
二足歩行する動物なら、ほかにも鳥やカンガルー、さかのぼれば一部の恐竜なんかもそうですよね。しかし、直立二足歩行、つまり脚と胴体を地面に対して垂直に立てて歩くことができるのは、現在は人間だけです。
ちなみに、ペンギンも直立二足歩行するのではないかと思うかもしれません。実は、骨格を見るとわかるのですが、ペンギンは股関節を屈曲させ、膝も曲げながら歩いているので、直立二足歩行ではないのです。
人間が直立二足歩行するようになった前と後で、どのような変化があったと考えられるでしょうか。人間に近い類人猿であるチンパンジーと比較してみましょう。
チンパンジーも二足で立つことができますが、歩くときは腕も使い、直立ではありません。
DNAのレベルでは人間とチンパンジーは98.7%一致しているといわれていますが、骨格を見るとだいぶ異なっていることがわかります(下の図1を参照)。両手をついて前に進むチンパンジーは、縦長の骨盤が斜め前に倒れた状態で歩いたり走ったりします。そして、股関節が屈曲した状態、つまり、背骨に対して大腿骨がほぼ90度に曲がった状態から始まり、主に太ももの後ろ側にあるハムストリングスの力によって、地面を蹴り出して、グングン前に進みます。
一方、人間は、歩くときも背骨と大腿骨が地面に対して垂直になっている状態から始まります。主に働くのは太ももの筋肉ではなく、お尻の表層にある大きな筋肉である大殿筋。もちろんハムストリングスも使われてはいますが、主役はあくまでお尻の筋肉なのです。
大殿筋は垂直に立つ骨盤を後ろから支え、股関節が進展した体を前方に押し出す働きがあり、それによって脚を蹴りだす動きが始まります。後ろから大殿筋が「右、左、右、左」と、お尻を交互に押し出していると言えばいいでしょうか。大殿筋が骨盤を支えることで姿勢が安定し、つまり歩行が安定するので、ふらつくこともなく、自然と歩幅が大きくなり、前に進む力もアップします。
このように、骨格だけでなく、歩行のために使われる筋肉も変わってくるというのが面白いところでしょう。人間とチンパンジーの骨の形を比べてみると、特に大きく異なるのは骨盤だということがわかります。
先ほどの骨格の図にあるように、チンパンジーの骨盤は平べったく縦長で、まるで一枚の板のようです。それに対して人間の骨盤は、前後に膨らみがしり、特に腸骨から恥骨にかけて前にせり出しています。これはなぜでしょうか。
人間は、直立した状態で活動するために、腹部に詰まった内臓がずり落ちないように、骨盤で受け止めています。チンパンジーは、両手をついて四肢で歩きますが、股関節が屈曲した状態にあり、骨盤では内臓を受け止めることはできません。腹筋を使って支えているそうです。
もし、直立二足歩行する人間がチンパンジーと同じ骨盤の形をしていたら、内臓が何の支えもなくドンと落ちてしまいますね。
人間とチンパンジーの骨盤は、正面から見ても形がだいぶ異なります。
チンパンジーの骨盤は縦長で細いのに対し、人間の骨盤は横に広がっていて、お椀のような形をしています。お椀形になっているのは、先ほども述べたように内臓を受け止めるためでもあるのですが、骨盤が横に広がっていることでチンパンジーよりもかなり中心から離れた位置に大腿骨とのジョイント部分が位置しているともいえます(下の図2を参照)。
このように、チンパンジーと人間の股関節は、その骨の構造からもかなり違うことがわかります。そして、直立二足歩行する人間の股関節は、その上半身の重さをずっしりと受け止めており、手をつきながら歩くチンパンジーに比べると、その負荷はかなり大きいと考えられます。
ですから、人間は年齢を重ねると、積み重なったダメージから股関節に痛みや違和感を抱える人が増えてくるのです。一方、チンパンジーにはひょっとすると、股関節痛はほとんどないかもしれません。聞いてみないとわかりませんが・・・・・・・。
人間は、直立二足歩行を実現するために、体はある意味で無理もしています。股関節は、四足の状態では屈曲がデフォルトですが、直立二足歩行のためには脚の付け根をギューッと伸ばす必要があり、体重や歩行時の重力による負荷を二足だけで支えるために、股関節にかかるストレスは甚大です。
股関節痛は本人にとっては困った問題ですが、それこそ直立二足歩行になって両手を自由に使えるようになった代償と考えると、人間らしい悩みといえるかもしれませんね。人間が直立二足歩行するときに活躍する大殿筋は、お尻の筋肉のなかで最も大きく、特に上下に幅が広いのが特徴です。その大殿筋がユニークなのは、上の部分と下の部分とで働きが違うということです。
大殿筋は骨盤の後ろから太ももの横まで伸びています。立ったり歩いたりするときは、骨盤の前側にある腸腰筋と協力して太ももを後ろに引く働きをします。つまり、股関節の伸展です。そのほか、大殿筋の上の部分(上方繊維)は外転、下の部分(下方繊維)は内転の作用があります(下の図3を参照)。
外転と内転であれば真逆の方向ではないかと思うかもしれませんが、その通りです。まるで、2つの筋肉があるかのような働きをするのが大殿筋なのです。
外転とは、脚を体の中心から外側に広げる動きのことで、いわゆる「開脚」です。一方で内転とは、脚を体の中心に向かって閉じる動きです。両脚を交差させたり、座ったときに脚を閉じたりするときに該当します。
上の部分と下の部分で作用が逆になるのは、筋肉繊維が上と下で結合している部分が異なるためです。具体的には、上方繊維は腸脛(ちょうけい)靱帯に、下方繊維は臀筋粗面(そめん)に結合します。
大殿筋の上と下が引っ張り合うことで股関節を安定させているともいえます。球関節である股関節は、そのままならクルクルと動いてしまうのですが、上に大殿筋が乗っかり、上と下で引っ張り合いながらバランスを保っている、というイメージです。大殿筋は上と下で筋肉の付き方に個人差があります。これは、動き方のクセにより筋肉の張った具合が変わってくるためです。
歩き方でいうと、ランウェイを歩くモデルのように、骨盤を立てて大股でシュッシュッと歩いている人は、大殿筋の上のほうが盛り上がっています。逆に、腰を落とした姿勢で、歩幅が狭かったり、脚を引きずるようにして歩く人は、大殿筋の上の部分があまり発達していません。このような歩き方は股関節ではなく、膝より下の筋肉を主に使って歩いているといえます。
また、お尻の上部が発達している人は、股関節が外転気味になりやすく、つまり歩いているときも脚が開きやすい傾向があります。私自身も、明らかに大殿筋の上のほうが強く働いている感覚があり、歩いていても股関節が外転気味に引っ張られます。一方で、大殿筋の上部が弱い人は、相対的に下部が強く出るようになり、内転気味になりやすい特徴があります。
それでは、あなたは自分の大殿筋の上と下のどちらが強目に出る傾向にあるか、わかるでしょうか。これは、なかなか難しい問題で、アスリートでも違いを感じ取れていない人はいると思います。
実は、大殿筋の上部と下部では、鍛えるトレーニング種目がそれぞれ異なります。自分の体重をおもりとして使う自重トレーニングでいうと、大殿筋の上部を鍛える代表的な種目が「ヒップエクステンション」、下部は「ヒップリフト」です。
これらの筋トレを、「大殿筋の上部に効いているのか」あるいは「下部に効いているのか」と意識しながら続けていれば、両者の違いを感じ取れるようになるかもしれません。股関節の動きと連動して大殿筋の上と下の違いが感じられると、股関節の神秘がわかると思うのです。大殿筋の内側には、外旋六筋と呼ばれる6つの筋肉があります。
名前を挙げると、梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、外閉鎖筋の6つで、いずれも小さい筋肉です(下の図4を参照)。
これらの筋肉は、股関節の内旋・外旋で作用します。太ももを内側にひねる動きが内旋で、外側にひねるのが外旋です。内旋と外旋を合わせて回旋といいます。そもそも回旋とは、体の一部を中心軸に沿って回す動作のこと。首や腰を水平にひねることも回旋です。
まっすぐ立った状態で、片脚の太ももを内側にひねってみてください。つま先は内側を向きますよね。それが内旋です。反対に、太ももを外側にひねってつま先が外側を向くのが外旋です。
この外旋六筋が面白いのは、「外旋六筋」という名前にもかかわらず、状況によっては内旋にも作用するのです。
股関節が屈曲0度の状態、つまり脚をまっすぐ伸ばした体勢では、外旋六筋の作用によって外旋の動きができます。例えば、あお向けに寝そべった状態で太ももを外側にひねるときなどに、外旋六筋が働いているということです。
ところが、股関節が屈曲90度の状態では、外旋六筋のうち梨状筋が、反対の内旋の作用を持ちます。同じ筋肉が股関節の屈曲の角度によって正反対の働きをするなんて、複雑だと思いませんか? 外旋六筋のこのような働きによって、股関節は安定性を保っているのです。
股関節は全部で6つの方向に動くわけですが、日常生活のなかでは複数の方向の動きが組み合わされます。つまり、屈曲しながら外転・内転したり、屈曲しながら外旋・内旋したりします。
そのため日常生活で、腰掛ける・しゃがむ・立ち上がる・階段の上り下り・車やバスなどの乗り降り・靴下の着脱・脚の爪切りなどの動作をすべて円滑に行うためには、屈曲が120〜130度、外転が20度、外旋が30度、内旋が20度くらいの可動域が必要になるといわれています。『すごい股関節』 第1章 より 中野ジェームズ修一:著 日経BP:刊




人間は、完全な直立二足歩行をすることにより、両手を自由に使うことができるようになりました。
それに伴い、骨盤の形や股関節周りの筋肉のつき方も、大きく変化しました。
「2本の足だけで立って、歩いて、走る」
腰痛などの股関節に関わるトラブルは、そんな人間だけの特権を手に入れるための代償なのかもしれません。
「変形性股関節症」に注意!
「人は股関節から老いていく」
そんな言葉もあるほど、股関節の痛みやトラブルは、身体的な衰えを加速させます。
股関節のトラブルで最も多いのは、「変形性股関節症」です。
変形性股関節症とは、股関節の寛骨臼と大腿骨頭を覆う軟骨がすり減り、痛みや股関節の変形を起こす疾患です。この軟骨組織は、骨同士が直接ぶつからないよう、クッションのような役目を担っているもので、股関節のなめらかな動きのためには欠かせません。軟骨がすり減ってしまうと、骨へのインパクトが大きくなり、痛みや違和感を生じてしまうのです(下の図5を参照)。
立ち上がった瞬間や歩き始めたときに、股関節にちょっとした違和感を覚えるようになったら、それは変形性股関節症の初期症状かもしれません。
人間の体も消耗品ですから、長年、生きていればあちこちに不具合が出てきます。股関節も次第に摩耗し、変形や損傷が起きてくるのです。初めは、歩き出したり立ち上がるときなどに違和感を覚えたり、長時間歩いたときにだるさを感じたりするようになります。長く歩くと少し痛みが出てくるものの、休憩すれば気にならなくなる、という感じです。
しかし、変形性股関節症が進行すると、違和感がだんだんと痛みに変わり、股関節の可動域が狭くなったり、歩きづらくなったり、階段の上り下りや靴下を履く、足の爪を切るといった行為も困難になっていきます。
最終的には、安静時や就寝時にも痛みに悩まされるほど悪化するのです。
進行して軟骨がすり減ってくると、関節のすき間が狭くなってきて、骨が次第に変形していきます。「骨嚢胞(のうほう)」という空洞ができたり、「骨棘(きょく)」というトゲができたりして、痛みはどんどん強くなっていきます。
変形性股関節症は、原因が明らかではないものを「一次性」、原因が明らかなものを「二次性」と呼びます。
一次性は、原因が明らかではないといいつつも、加齢や肥満、運動時の負荷のかけすぎ、そして日々繰り返される生活での動作などによって発症すると考えられています。
二次性は、関節リウマチが股関節で起きる「リウマチ性股関節症」や、大腿骨頭の血流が悪くなって骨頭が壊死する「骨頭壊死」、大腿骨頭と寛骨臼のいずれかまたは両方に骨のでっぱりがあり、骨同士が衝突(インピンジメント)を起こす「大腿骨寛骨臼インピンジメント)(FAI)」、寛骨臼が先天的に浅く、大腿骨頭が十分に収まらない「股関節形成不全」などの病気のほか、骨密度が下がった高齢の方に多い「大腿骨頚部骨折」などのケガが原因になります。先ほど挙げた二次性の変形股関節症の原因のうち、日本人では特に股関節形成不全が多く見られます(下の図6を参照)。
股関節形成不全では、股関節の「ハマり具合」が浅いため、体の重さやさまざまな動作によってかかる負担が大きくなり、軟骨が摩耗しやすいのです。
変形性股関節症に占める股関節形成不全の割合は、成人男性では0〜2%、成人女性では2〜7%となっています。つまり、特に女性に多いというわけです。女性のほうが、生まれつき寛骨臼が浅い人が多いのだと考えられています。
寛骨臼が生まれつき浅い場合、年齢を重ねるにつれて股関節に違和感を覚える人が増えてくるでしょう。先ほど、一次性の変形性股関節症では、座り方や歩き方などの日常的に繰り返される体の使い方の影響も大きいというお話をしましたが、これは股関節形成不全の人にも当てはまります。つまり、症状を軽減し、股関節が摩耗するスピードを落とすには、日常生活の動作もポイントになるのです。
例えば、「イスに座るとき、常に同じ脚を上にして組むのはよくない」とよくいわれます。同じ脚を上にして組んで長い時間を過ごしていると、立ち上がろうとしたとき、一瞬、股関節に力が入らない、ということがおきます。それはなぜかというと、股関節の周囲にある筋肉が1つの方向に長い間引っ張られることで、大腿骨頭があるべき位置からズレてしまったためなのです。
また、歩くときに常に足の着地が不安定になるような、底の厚い靴を履くことでも、大腿骨頭の位置がズレやすくなります。靴の選び方も重要ですね。
股関節に違和感を覚えるようになって、病院でレントゲンやCT(コンピューター断層撮影)などの画像診断を受けた結果、実は股関節形成不全の傾向があるということが判明する人もいるでしょう。そのような人ほど、股関節に負荷がかからないような日常の動作について知っておいたほうがいいかもしれません。ところで、なぜ女性のほうが股関節形成不全の人が多いのでしょうか。実は、その理由はまだわかっていないそうです。
ただ、男女の骨盤は、明らかに形が異なっています。
女性の骨盤は、男性に比べて横に広がっていて、高さが低いのが特徴です。また、骨盤の恥骨の角度である「恥骨下角(かかく)」を見ると、女性のほうが約80度と広がっていて、男性は約60度と狭くなっています。さらに、骨盤の上のほうの入口は、女性のほうが左右に広い楕円形になっているのに対し、男性は左右に狭いハート形になっています(下の図7を参照)。
女性の骨盤がこのような形になっているのは、胎内で赤ちゃんを育み、出産のときは骨盤を赤ちゃんの頭が通るようになっているためです。出産が近づくと、女性の骨盤はさらに開いていきます。
女性の骨盤のほうが横に広がっていることで、股関節形成不全や一次性の変形性股関節症になりやすいのかどうかはわかりません。ただ、骨盤の男女差から、運動に関して面白いことが推測できます。
股関節の支持性と可動性の観点から見ると、骨盤の幅が広い女性は支持性が高く、幅が狭くて縦長の男性は可動性が高いといえます。また、運動効率でいうと、左右の大腿骨の位置が狭いほうが走ることに適しているため、男性の骨盤のほうが走ることに向いており、女性は支持性に優れているのでジャンプをして着地する運動に向いているといえるでしょう。得意な動作には必要な筋肉も付きやすいので、男女によって得意な競技が異なると考えられるかもしれません。
ただ、以上はあくまで骨格の違いをもとにしたお話です。実際の運動は、神経系や身体能力、筋肉量や筋肉の付き方によっても左右されます。個人の運動の得意・不得意までを全てこうした男女差で説明できるわけではありません。それもまた面白いところなのですが。『すごい股関節』 第2章 より 中野ジェームズ修一:著 日経BP:刊



股関節の異常は、期間が経過するほど、悪化していきます。
違和感を感じている人とは、早めに専門家の医師に診てもらった方がいいかもしれません。
骨盤のゆがみとは「傾き」のこと
機能解剖学の分野では、関節を動かすときの「トラッキング」が安定していれば痛みは出ないが、それが不安定になると痛みが出る、という基本的な考え方
があります。
関節のトラッキングとは、簡単に言うと、関節の動き方や動きの軌跡
です。
トラッキングが安定しているということは、つまり、関節を動かすときの軌跡が毎回同じだということです。一方、関節を支える筋肉や靭帯がゆるんでグラグラすると、トラッキングが安定せず、痛みが生じてしまいます。また、関節の周囲の一部が硬くなっていても、トラッキングは安定しません。いっそ関節の周囲がすべて硬くなっていればトラッキングは安定するのですが、今度は曲げづらくて動かしづらくなるなどの問題が生じます。
トラッキングが不安定になるのにはいろいろなケースがありますが、最も多いのが「拘縮(こうしゅく)」です。拘縮とは、関節を動かす機会が減るなどして、関節の周囲にある筋肉や関節包、靭帯などが硬くなり、関節が動きにくくなった状態をいいます。
例えば、股関節の後ろのほうの組織が硬くなったとします。大腿骨頭は、組織の硬いほうから柔らかいほうへとズレるため、通常よりも前方に移動してしまいます。これにより、骨と骨がぶつかって痛みや炎症を引き起こす「インピンジメント」という状態になります。股関節のインピンジメントが生じることで、可動域が狭くなり、トラッキングが不安定になるというわけです。
同様に、体重が重くなる、筋肉量が落ちるなど、体の組成の変化でも、トラッキングが不安定になります。おなかの周囲にたっぷり脂肪がついてくれば、重心が前寄りになったり、上半身が重くなったりしますよね。すると、股関節の特定の部位に負荷が集中し、トラッキングが不安定になります。体が変化すると、脳がそれを察知し、筋肉の使い方を変えようとするのですが、当初は体が適応しきれず炎症を起こすので、違和感や痛みが生じるのです。
体が重くなるなどの変化が起きてからしばらくすると、痛みが気にならなくなる場合もあります。ただ、実際は炎症が鎮静化しただけで、トラッキングが不安定なのは解消されていないかもしれません。また、痛みを避けるために、従来とは違う筋肉の使い方で動作を行うようになると、新たな炎症やゆがみの発生につながることもあります。
つまり、トラッキングが不安定になる根本的な原因を解消しないと、あちこちに違和感を生じたり、慢性的な痛みを抱えるようになる恐れがあるのです。
(中略)
股関節のトラッキングが不安定になる要因の1つに、骨盤の「ゆがみ」があります。ここでいうゆがみとは、骨そのものがゆがんで変形しているのではなく、骨盤が前方に傾いたり後方に傾いたりする状態です。前者を「骨盤前傾」、後者を「骨盤後傾」といいます(下の図8を参照)。
ゆがみの背景には、運動不足や活動量の低下による筋力や柔軟性の低下があります。ですから、それらの筋肉が硬くなったり、力を出せなくなったり、バランスが悪くなったりすると、骨盤の向きも変わってしまうのです。
骨盤のゆがみは姿勢にも現れます。骨盤が過剰に前傾している人は腰を反った姿勢になりがちで、後傾している人はおなかの力が抜けた姿勢になりがちです。つまり、骨盤過前傾の人は、まっすぐ立っているつもりでも股関節が少し屈曲していて、骨盤後傾の人は逆に少し進展しているのです。第1章では、人間の股関節は直立二足歩行に完全には対応できていない、という話をしました。まっすぐに立った状態だと、大腿骨頭の球状の部分が骨盤の寛骨臼から少しはみ出ていて、骨の形状という観点から考えると、四つん這いの姿勢のほうが安定するというわけです。
ところが、股関節の軟骨という観点から考えると、まっすぐ立った姿勢のほうが有利です。まっすぐ立った姿勢だと、股関節の軟骨が最も厚いところに圧力がかかるからです。ということは、骨盤が前傾して股関節が屈曲している人は、軟骨が薄いところに圧力がかかり、骨と骨がぶつかる衝撃で違和感や痛みが生じる恐れがあるということになります。
骨盤が過前傾している人にはどのような特徴があるのでしょうか。まず、病気やケガなどで股関節を動かす機会が減ってしまい、屈曲した状態で固まってしまった「屈曲拘縮」の場合が考えられます。骨盤の前側にある大腰筋や腸腰筋が硬く縮んでしまい、骨盤が前に引っ張られて前傾するのです。デスクワークが多くて座りっぱなしの時間が長い人も注意が必要です。
ほかには、高いヒールの靴や厚底靴をよく履いている人も、骨盤が前傾しやすくなります。ヒールを履くと、かかとが上がり、骨盤も前に倒れます。そのままでは体が倒れてしまうので、上体を起こすために腰が反った状態になります。
「昔はヒールで歩くのがつらかったけれど、今はスニーカーより楽なんだよね」と言う人は、ヒールを履いた状態に体が適応した結果、反り腰の姿勢がふつうになってしまったのです。その状態が快適ならば問題ないように思われますが、体の構造を考えると、あとで股関節や腰、膝などを痛めるリスクもあります。
(中略)
階段を使うと健康によいとよく聞きますよね。それでは、階段を上り下りしているとき、股関節にはどれぐらいの負荷がかかっているでしょうか?
答えは体重の6〜7倍です。階段の上り下りは、片方の脚だけで体を支える瞬間の繰り返しですが、1歩ずつ上り下りするたびにこれだけの重量が股関節にかかります。
ちなみに、歩行時は体重の2〜3倍、走るときは3〜6倍で、ジャンプなら2〜4倍の負荷がかかります(下の図9を参照)。階段の上り下りはなかなか負荷の高い運動だとわかります。
そのため、トラッキングが正常でないと、階段の上り下りで股関節に違和感や痛みが生じやすいのです。
このような症状があるならば、原因は股関節を支えるお尻の筋肉にあるのかもしれません。
股関節は殿筋群に支えられている関節です。大殿筋は股関節の屈曲・進展の動作で使われ、階段を上り下りするときや走るときは、片脚になっても倒れないよう骨盤を支えます。そして、骨盤が左右にぶれないように支えているのが中殿筋です。これらの殿筋群の働きによって股関節にかかる負担も軽減されます。
ところが、殿筋群は運動不足によって落ちやすいだけでなく、加齢によって硬くなりやすいという特徴があります。筋肉は、維持するだけでも多くのエネルギーを要する、燃費の悪い組織です。座りっぱなしの生活や下半身を使わない生活を送っていると、脳は下半身の筋肉を「不要」と判断し、殿筋群を含めた下肢の筋肉をそぎ落としていってしまいます。
その結果、若い人でも運動不足の生活を送っていると、老人のような薄く垂れ下がった「扁平尻」になってしまうのです。ある筋肉を使わない生活を続けていると、体はその筋肉を使わない動作に適応します。これは、「代償動作」の一種だといえます。
代償動作とは、障害や痛みがある部位をカバーしようと、本来、使わなくてもよいほかの関節や筋肉を使ってしまう動作のことです。これがクセになると、使われるはずだった関節や筋肉が、使われないことでどんどん弱くなり、柔軟性を失っていきます。逆に、代償動作で過剰な負荷がほかの関節や筋肉にかかると、炎症や損傷を起こし、やはり硬くなっていきます。つまり、代償動作は拘縮や異常なトラッキングの引き金になるのです。
イメージしやすいよう、スクワットの動きで説明しましょう。スクワットで腰を落とす際、股関節と足関節が正常に可動すれば、腰をしっかり沈めることができます。ところが股関節と足関節がうまく動かない、あるいはそこに痛みがあると、深くしゃがめません。そして体は何とか腰を沈めようとして、無意識に膝を内側に倒します。これが代償動作です。
膝が動きすぎてしまい、正常なトラッキングから逸脱しているため、膝の関節にかかる負担が増大し、ケガをするリスクも上がります。殿筋群を使わない生活を送っていると、代わりに過剰に働いてしまうのは、隣接する腰回りの筋肉です。運動に慣れていない人が殿筋群のトレーニングを始めると、必ずといっていいほど「腰が痛い」と言います。ふだんの生活ですっかりお尻を使わなくなっている証拠だといえます。
日常生活でも殿筋群を鍛えるために、まずは「階段生活」に切り替えてみましょう。駅や商業施設などでエスカレーターを使わないようにする、横断歩道ではなく歩道橋を使うなど、できることからでOKです。
なお、「私は毎日2時間ウォーキングをしています」という中高年の方もいますが、平地を歩いているだけでは下半身に与える負荷は低く、残念ながら殿筋群の筋トレという観点では物足りません。しかも、歩行は同じ動作の繰り返しです。かえって股関節を痛める原因になりかねないのです。
体を動かす習慣があることは素晴らしいことです。でも、「歩いた翌日は腰に違和感がある」という方は、ぜひ殿筋群にも着目しましょう。ウォーキングの途中でコースに歩道橋や長い階段のある神社などを組み込んでみるといいでしょう。『すごい股関節』 第2章 より 中野ジェームズ修一:著 日経BP:刊


使わなくなってしまうと、動きが悪くなり、機能が低下してしまう。
股関節も、その例外ではないということですね。
なかなか治らない腰痛や膝痛の原因は、股関節のゆがみが原因かもしれません。
股関節の働きを改善するには、殿筋群鍛えること。
まずは「階段生活」に切り替えることから始めたいですね。
上半身を安定させる「インナーユニット」
中野さんは、股関節をうまく使うことができれば、違和感や痛みを予防することにつなが
ると指摘します。
股関節をうまく使うためには、上半身を安定させて股関節にかかる負担を減らすことも大切
になります。
人体における股関節は、この場合、上半身は地面の上にある建物、下半身は地盤やそこに打ち込まれた杭になるでしょう(下の図10を参照)。
建物が揺れやすくグラグラしていると、土台に大きな負担がかかります。一方、構造がしっかりしている建物はグラグラしないので、土台への負担も少なくなりますよね。人間の体も同様です。上半身が安定すると、土台である股関節にかかる負担も減ります。
それでは、どうすれば上半身を安定させることができるでしょうか。
上半身を安定させるには、「インナーユニット」の活用が鍵を握ります。インナーユニットとは、胴体の深部にある、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群で構成される筋肉群の総称です。これらの筋肉群は、膜のような形状をしていて、内臓の詰まった「腹腔(ふくこう)」を引き締め、安定させる働きがあります。
腹腔とは、肋骨の下から骨盤までの間のことで、肝臓や腎臓、胃、小腸、大腸などの臓器が収まっています。インナーユニットとは、これらの臓器を内側で支えるカゴのようなものだとイメージしてください。
インナーユニットは、「コア」とか「体幹」とも呼ばれます(下の図11を参照)。そして、インナーユニットを鍛えて使えるようになるには、いわゆる「体感トレーニング」を行うとよいのです。
また、インナーユニットの外側には、「アウターユニット」があります。これは、胴体の表層にある腹直筋、腹斜筋群、広背筋で構成されています。一般的な腹筋運動などの筋トレで鍛えられるのはこのアウターユニットです。インナーユニットは、ふだんは意識しないものです。これを作動させて力を発揮させることを、「コアを入れる」などといいます。インナーユニットを使えるようになると、体を芯から支えられるようになり、上半身が安定します。
そのための第一歩が、インナーユニットの大部分を占める腹横筋の働きを促す呼吸法である「ドローイン」の習得です。肋骨と骨盤の間をぐるりと覆う腹横筋は、ドローインによって、まるでコルセットのようにおなかを横から引き締めてくれます。
ドローインは、意識的に息を吐くことで、腹横筋の引き締める力を促します。すると、筋肉でできたカゴであるインナーユニットが平らにグッと引き締まり、腹腔に上半身を支える芯ができるのです。ドローインがうまくなると、必要な時にいつでもインナーユニットを入れて上半身を安定させられます。
もしドローインをまだやったことがないのであれば、一番基本的なやり方として、あお向けになって行うことをおすすめします(下の図12を参照)。
あお向けになり、両膝を立てます。まずは5秒間、息を吸いながらおなかをふくらませていき、同時に腰を大きく反らします。腹腔を大きく広げるイメージで息を吸い続けましょう。
続いて、5秒かけて口から息を吐いていき、腰と床の間が手のひら1枚分の隙間になるまで、腰を床に近づけていきます。
このとき、腰を動かすのではなく、息を吐くことで自然と腰が床に向かっていくイメージで行ってください。また、腰を床にべったりつけるのはNGです。
ポイントは2つ。息を吐くときに、腹直筋があまり硬くならないようお腹をゆるめたまま行うこと。そして、肛門や膣を締めながら息を吐くことです。こうすることで、骨盤底筋群も鍛えることができます。
ドローインは意識的にインナーユニットを使い、上半身を安定させる技術です。回数を重ねるほどうまくできるようになるので、繰り返しやってみてください。この体勢で楽にできるようになったら、今度はあお向けで膝を立てずに両足を伸ばした状態でやってみましょう。
それが楽にできるようになったら、上半身がより不安定になる体勢でのドローインにチャレンジしてみてください。四つん這い、膝立ち、立つ、という順番です。難易度を上げていくことで、どんな体勢でも自在にインナーユニットを作動させるスキルを習得することができます。それぞれの段階でも先ほど挙げた2つのポイントを守り、じっくりと取り組んでいきましょう。
さらに、仕事の合間、イスに座っている体勢でドローインを行ったり、電車での移動中など手持ち無沙汰な時間を活用して取り組んでもいいでしょう。
また、ドローインをはじめとする体幹トレーニングについては、拙著『世界一効く体幹トレーニング』(サンマーク出版)に詳しいので、興味を持った方は参考にしてください。『すごい股関節』 第3章 より 中野ジェームズ修一:著 日経BP:刊



基礎の部分は、もちろん大切です。
ただ、その上に乗る建物の部分の安定化も、同じくらい大切だということですね。
ドローインを習得し、インナーユニットを働かせる。
上半身を安定させて、下半身の痛み知らずの快適な生活を手に入れましょう。
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それが壊れてしまうと、全体が崩れてしまう。
そんな「扇の要」のような部分。
人間の体においては、それが「股関節」にあたります。
デスクワークが中心、座りっぱなしで、体を動かすこともない。
そんな人も多いことでしょう。
普通に生活していると、知らないうちに股関節が錆びついていく。
そんな現代社会では、意識して股関節を動かして、活性化させることが必要になります。
股関節やその周りの関節や筋肉の構造や働きを知ること。
股関節周りの機能を改善・回復し、鍛えること。
私たちも、本書を読んで正しい知識や方向を学び、「すごい股関節」を手に入れ、快適な日常生活を謳歌したいですね。
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