本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『最高の自分を引き出す法』(井上裕之)

 お薦めの本の紹介です。
 井上裕之さんの『J・マーフィーの教え 最高の自分を引き出す法』です。

 井上裕之(いのうえ・ひろゆき)さん(@inouehiroyuki)は、歯科医・経営コンサルタントです。
 歯科医師として患者の治療を続けられるかたわら、自己啓発、経営プログラムなどを学ばれ、現在はセミナー講師として全国を飛び回られるなどご活躍中です。

「潜在意識」には、例外なく最高の自分が存在している

 今の世界は、多くの人が「生きづらい」社会だ、と感じている世の中です。
 井上さんは、その原因を、いま、多くの人が潜在意識の存在を忘れてしまい、その結果、潜在意識を正しく活用する方法を見失ってしまったことだと指摘しています。

 米国の牧師であったジョセフ・マーフィー博士が、「すべての人は思いのままに生きている」という潜在意識の真理を見いだしてから100年近くが経過しました。
 いまでは、疑いの余地のないものとして広く受け入れられています。

 潜在意識には、思い浮かべたことをそのまま現出する力があります。
潜在意識の現実を変える力、その力を活用すれば、誰でも思いどおりの人生を生きることができるとのこと。

 井上さんは、マーフィーが説いた潜在意識の黄金律といわれる法則性は、理論的に理解すればするほど、現代に生きる人にとって活用しやすいものになっていくはずだと強調しています。

 マーフィーの教えは、「潜在意識は無限の力をもっている。それを大らかに使えば、誰でも、最高の人生を生きられる」というシンプルなもの。

 本書は、“最高の自分を引き出す鍵”である「マーフィーの教え」を使いこなす方法をあますことなく解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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困難、トラブルがきれいに解消してしまう

 井上さんは、「願望を実現に導く方法はあっけないほど簡単だ」と述べています。

 その方法とは、心を静かに、おだやかに整えて、かなえたい願いを静かに心の中で唱えればいいというものです。

 井上さんは、マーフィーは、おだやかな心で願いを潜在意識に届ければ願望が実現することを、「願望は眠りながら実現する」と形容しているとして以下のように解説しています。

 マーフィーの願望実現の哲学は、潜在意識から湧いてくるエネルギーを活用することによって自分の思いをすべてかなえ、完璧なまでに幸福な人生を実現していこうというものです。
 なぜ、眠っている間に願望実現のメカニズムが働くのか。それも明らかにされています。
 覚醒しているとき、目覚め、活動しているときには普通にいわれる意識、潜在意識と相対するこの意識は顕在意識といわれますが、この顕在意識のほうが先に働いてしまうのです。

 先に挙げた、マーフィーが中西部でスピーチする場がほしい、と願ったというケースで、顕在意識と潜在意識の働き方の違いをみてみましょう。顕在意識には、「この地域にはすでにスピーチを行っている人がいるはずだ」とか「中西部にまで通うのは大変だ」、あるいは「中西部の人が自分のスピーチを望んでいるかどうかわからない。聴衆が集まってくるか保証はない」などといろんなことが頭に浮かんできてしまいます。
 このようにあれこれ顕在意識に浮かぶ思いは応々にして潜在意識の働きを妨げ、足を引っ張る要因になってしまうのです。
 ところが、眠っている間は顕在意識に浮かぶさまざまな思いはシャットダウンされます。したがって、邪魔ものがなくなり、潜在意識にダイレクトに働きかけることができるのです。
 マーフィーが行っていたように、寝椅子やベッドに横たわり、まどろむ少し前にかなえたいこと、実現したい願望を静かに思い浮かべる・・・・・。その思いを潜在意識に送り込みながら、そのまま寝てしまえばいいのです。
 潜在意識はあなたが寝ている間も休むことなく働き続け、送り込まれた願望をしっかり受け止め、確実に実現に向かわせます。

「眠りながら願望を実現できる」
「眠りながら成功する」

 マーフィーのこの教えは驚嘆そのものであり、画期的でもありました。
 一生懸命がんばっているのだけれど、ちっとも報われない。こういう人は潜在意識の使い方を根本的に間違えています。
 成功するために歯をくいしばってがんばることがなぜいけないのだ、と反論する人もあるでしょう。
 潜在意識を正しく使いこなしたいならば、あくせくと苦しいがんばりはむしろ、思いの実現を妨げるものであることを知りましょう。こうした努力は、思いと真反対の結果を招いてしまうだけです。

 『J・マーフィーの教え 最高の自分を引き出す法』 第1章 より 井上裕之:著 きこ書房:刊

 潜在意識と顕在意識の関係は、よく「海に浮かぶ氷山」に例えられます。

 海の上に浮かんでいる部分が顕在意識です。
 海に隠れてしまっている部分が潜在意識です。

 潜在意識の力は、人間の能力の90%以上を占めるともいわれています。
 その潜在意識の力を妨げているのが「顕在意識」、つまり思考です。

「できない」「無理だ」と自分でブレーキをかけているということです。

言葉で潜在意識に思い、願望を伝える

 願望実現は、「こうしたい」「こうなりたい」という意思をもつことからスタートします。
 それをいっそう強く潜在意識に伝えるものが、「言葉」です。

 思いは言葉に出したとき、より明確な輪郭(りんかく)をもち、具体的な形をとり始めます。
 井上さんは、言葉は世界をも揺り動かす力をもっていると指摘しています。

 潜在意識を動かす言葉の力をさらにパワーアップする方法があります。それは、「こうなりたい」よりも「私は(すでに)こうなりました」と、願望が実現されたと過去形で表現することです。
 プロゴルファーになる夢を抱いているなら、「プロゴルファーになりたい」ではなく、「私はプロゴルファーになり、世界の強豪プレーヤーと一緒にラウンドしています」というのです。絶対に達成したい目標がある場合には、「目標は達成された!」と何度も言葉に出してください。
 言葉の力は内在する力を引き出し、目標達成に向かって動き出させ、やがてそれを現実のものにしていきます。

 私は、学生時代から、海外に留学して、より高度な歯科医療を学びたいと思っていました。しかし、大学時代の教授のすすめもあり、大学院に進学。やがて、開業しました。しかし、海外留学への思いは強く、その間もずっと願い続けていたのです。
「でも、開業してしまったら、すぐには無理だろうな」。
 そう、思いかけたとき、ニューヨーク大学に二年間に六回、通えばよいコースがあることを知りました。これなら、開業していても参加できます。
 ところが、そのコースには日本人向けのプログラムがなく、日本人は受け入れ不可とのことでした。私はさらに強い思いで「参加したい」と願い続けたところ、ついに、前例のない日本人の参加が認められたのです。
 後にマーフィーを知ってみると、これも、強く願い続ければ思いは実現することの証明にほかならなかったとわかります。

 『J・マーフィーの教え 最高の自分を引き出す法』 第3章 より 井上裕之:著 きこ書房:刊

 まだ叶っていない「未来形」の表現よりも、すでに叶ってしまったという「過去形」の表現のほうが、潜在意識に働きかける力は強いということ。
 願望は、思うだけでなく、言葉に出して言ってみることが大事です。

「その願いがすでに実現している」という形で表現すること。
 習慣づけたいですね。

よくありがちな、お金に対するネガティブな思い

 真剣にお金がほしいと願っているのに、なかなかその願望が実現されない。

 最も多い原因は、「お金がほしい」と思っていながら、その一方でお金を強く否定している人が少なくないことです。

 日本社会には長いこと、「お金のことを口にするのは卑しいことだ」という戒めがありました。「清貧に生きる」ことが清々(すがすが)しい精神を表すことだという思い込みもありました。
 いまでも、「貧しくても愛があれば」とか「貧しくても心豊かであれば」と口に出したり、「お金じゃないもの。ハートだもの」などといったりします。
 本当にそうでしょうか。世の中でお金がいちばん大事だとまではいいませんが、お金がなければ、愛も揺らぎがちになりますし、まして心豊かにはなりにくいものです。
「本当に大切な自由はただ一つ。『経済的な自由』がそうだ」
 イギリスの小説家、サマセット・モームの言葉です。
 モームのいうとおり、貧しさは人生の選択肢を狭めてしまいます。これまで、「お金がないからあきらめた」という経験をもつ人は少なくないはずです。
 お金にこだわる姿勢を否定的に考える傾向の背景には、お金はしばしば人との仲を切り割いたり、犯罪を引き起こすことがあるのではないでしょうか。しかし、これはお金を間違って認識してしまった結果です。
 電気も使い方を誤れば感電死という最悪の事態を引き起こします。それとまったく同じです。お金も扱いを誤れば、思いもよらぬ結果を招くことがある。それだけのことです。
 お金について最も正しい姿勢は、次のマーフィーの言葉に象徴されています。
「私はお金が好きです。私はお金を愛します。私は深い思慮をもって、お金を建設的に使います。私はよいことのためだけにお金を使います。実現したい願望をかなえるために、私は喜んでお金を手から放します。そのことにより、やがてお金はさらに成長し、何倍にもなって私の元に返ってくることを信じています。いま、私の心はお金への感謝と豊かさに満たされています」

 『J・マーフィーの教え 最高の自分を引き出す法』 第4章 より 井上裕之:著 きこ書房:刊

 ほとんどの人は、顕在意識では「お金がほしい」と、お金が入ってくることを望んでいます。
 ただ、潜在意識では「お金は卑(いや)しいもの」と、拒否をしている人の方が多いのですね。

 お金自体に貴賤(きせん)はありません。
「お金は卑しい」というのは、単なるレッテルにすぎませんね。

 お金にネガティブなイメージを持たないようにすること。
 それがお金を引き寄せる秘訣ということです。

奇跡的な治癒をもたらす3つのステップ

 井上さんは、実は、私たちは知らない間に悪い暗示、ネガティブな想いを潜在意識に届けていることが珍しくない・・・・。それが不調や病気の原因だと指摘しています。

 マーフィー博士も、自分を否定する言葉や他人への嫉妬や恨み、怒りの感情などは、「潜在意識に毒を入れるもの」と述べています。

 潜在意識に生命エネルギーの養分となる、生き生きとした肯定的な思いを注ぎ続ける。
 それが、健康を保つための秘訣です。

 マーフィー博士は、著書の中で「奇跡的な治癒(ちゆ)への3つのステップ」と題して、病気や傷を治すためのステップを紹介しています。

 第一段階は、いますぐその病気や傷が重くなった場合を想像することをやめること。
 第二段階は、過去をくよくよ思い出したり、後悔するのをやめること。
 第三段階は、自分の中にある自然治癒力を高めること。
 自分は必ず治ると信じ、病気や傷が治り、健康そのもので暮らしている自分を強くイメージすれば、内なる自然治癒力が明らかに高まることは改めて説明するまでもないでしょう。

 また、病気であることを忘れてしまうと、病的症状が気にならなくなることはよくあります。症状が気にならなければ、その人は病ではないという見方もできるのです。

 あるリウマチ専門医の著書には、その方の豊富な経験から、難病が治るケースは「病気をあきらめた人」「病気を忘れた人」「人のために尽くした人」の3つしかないと書かれています。
「病気をあきらめた人」とは、ちょっと逆説的な言い方で、たえず病気のことを考え続けることをやめ、いまの症状と折り合って暮らしている人を指しています。
「病気を忘れた人」によくあるのは、忙しくて病気を気にしてなんかいられない人。
「人のために尽くす」とは、社会的な貢献ばかりでなく、子供の世話に追われているとか、親の介護に全愛情を注いでいる人などで、ときには薬を飲むことさえ忘れていたのに、いつのまにか症状が劇的に改善していた。そんなケースが実際にあるといっています。
 この方の経験と、マーフィーの奇跡的な治癒力を引き出すための3つのステップが、ほとんど重なっていることは当然だとも、驚異であるともいえます。

 『J・マーフィーの教え 最高の自分を引き出す法』 第5章 より 井上裕之:著 きこ書房:刊

 病気のことを考えるということは、逆に、その病気にエネルギーを与えてしまうことです。

 病気のことを極力考えず「健康である自分」だけをイメージすること。
 それが奇跡的な治癒力を引き出します。

「病は気から」とよくいわれますね。
 それは罹るとき同様、治るときにも当てはまるということです。

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 マーフィー博士のいう、「すべての人は思いのままに生きている」という言葉は、もちろん「すべての人は潜在意識で思うままに生きている」という意味です。

 にもかかわらず、実際には「自分の思い通りに生きていない」と感じている人ばかりです。
 この事実は、潜在意識の存在を忘れている人がいかに多いかを物語っていますね。

 思い通りにいかない、今の現実を変えるには、まず、自分の潜在意識の存在に気づくこと。
 心の声に耳をすまして、自分の願いを妨げているネガティブな考えを解き放ちたいですね。

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